概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- メソトレキセート® (添付文書¹⁾)

 メトトレキサート

- エクザール® (添付文書²⁾)

 ビンブラスチン

- アドリアシン® (添付文書³⁾)

 ドキソルビシン

- ランダ®など (添付文書⁴⁾ / 安全性情報⁵⁾*)

 シスプラチン *日本化薬株式会社の外部サイトへ遷移

用法用量 (1サイクル2週間)

VESPER試験⁶⁾のプロトコル

メトトレキサート30mg/m²を1日目、 ビンブラスチン3mg/m²を2日目、 ドキソルビシン30mg/m²を2日目、 シスプラチン70mg/m²を2日目に投与

J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022⁶⁾より作図

特徴と注意点

G-CSF投与について

dose-dense MVACは14日ごとに1サイクルのレジメンである。 オリジナルレジメンはG-CSFを連日投与するプロトコールだが、 日本の実臨床では peg G-CSFの使用で退院が可能となる。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

古典的MVACレジメントの比較

古典的なMVACレジメンに比べると、 粘膜炎や発熱性好中球減少症などの重篤な有害事象が少ないとされている⁷⁾。

一方、 GC (GEM+CDDP)と比較すると頻度の高い有害事象が多いため、 忍容性がある症例を選択して適用することが重要⁶⁾。

VESPER試験⁶⁾の参加者の年齢中央値は63歳であったことに留意する。 腎機能のよい症例 (CrCl≧50ml/min) にのみ適用となる。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

KeyData|臨床試験結果

EORTC30924試験⁷⁾

J Clin Oncol . 2001;19(10):2638-46.

局所進行性または転移性尿路上皮癌患者において、 dose-denseスケジュールのddMVAC療法の効果を、 4週毎投与の古典的MVAC群を対照に検証した第Ⅲ相比較試験EORTC30924

有効性|ddMVAC療法群

  • ORR : 62%
古典的MVAC群 : 50%
  • OS中央値 : 15.5ヵ月
古典的MVAC 14.1ヵ月
  • OS率 (2年時) : 35.3%
古典的MVAC群 : 25.4%
  • PFS中央値 : 9.1ヵ月
古典的MVAC 8.2ヵ月
  • PFS率 (2年) : 24.7%
古典的MVAC群 : 11.6%

安全性|有害事象 (AE)

  • Grade3-4の白血球減少は、 ddMVAC群で20%、 古典的MVAC群で62%であった
  • 発熱性好中球減少症は、 ddMVAC群で10%、 古典的MVAC群で26% (p<0.001) であった
  • クレアチニンへの毒性は、 両群間に差は認めなかった (p=0.815)。

>>臨床試験の詳細をみる

VESPER試験⁶⁾

J Clin Oncol. 2022;40(18):2013-2022.

非転移性筋層浸潤性膀胱がん患者を対象に、 周術期化学療法としてのdose-denseスケジュールのdd-MVAC療法とゲムシタビン、 シスプラチン (GC) 療法の毒性および病理学的奏効を比較した無作為化第III相試験

有効性|dd-MVAC療法 周術期全体

  • 3年PFS率 : 64%
  • 3年時TTP率:69%

各プロトコル

投与開始基準

VESPER試験⁶⁾のプロトコル

J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022⁶⁾より作図

継続基準

VESPER試験⁶⁾のプロトコル

J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022⁶⁾より作図

出典

  1. ファイザー株式会社. メソトレキセート®電子添文 (2023年6月改訂第3版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  2. 日本化薬株式会社. エクザール®電子添文 (2023年4月改訂第1版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  3. 日本化薬株式会社. アドリアシン®電子添文 (2022年11月改訂第1版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  4. 日本化薬株式会社. ランダ®電子添文 (2021年4月改訂第1版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  5. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/04/03]
  6. Dose-Dense Methotrexate, Vinblastine, Doxorubicin, and Cisplatin or Gemcitabine and Cisplatin as Perioperative Chemotherapy for Patients With Nonmetastatic Muscle-Invasive Bladder Cancer: Results of the GETUG-AFU V05 VESPER Trial. J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022. PMID: 35254888
  7. Randomized phase III trial of high-dose-intensity methotrexate, vinblastine, doxorubicin, and cisplatin (MVAC) chemotherapy and recombinant human granulocyte colony-stimulating factor versus classic MVAC in advanced urothelial tract tumors: European Organization for Research and Treatment of Cancer Protocol no. 30924. J Clin Oncol . 2001 May 15;19(10):2638-46. PMID: 11352955
最終更新日 : 2024年11月4日
監修医師 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

レジメン
ddMVAC
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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メトトレキサート + ビンブラスチン + ドキソルビシン + シスプラチン
2024年11月05日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- メソトレキセート® (添付文書¹⁾)

 メトトレキサート

- エクザール® (添付文書²⁾)

 ビンブラスチン

- アドリアシン® (添付文書³⁾)

 ドキソルビシン

- ランダ®など (添付文書⁴⁾ / 安全性情報⁵⁾*)

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用法用量 (1サイクル2週間)

VESPER試験⁶⁾のプロトコル

メトトレキサート30mg/m²を1日目、 ビンブラスチン3mg/m²を2日目、 ドキソルビシン30mg/m²を2日目、 シスプラチン70mg/m²を2日目に投与

J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022⁶⁾より作図

特徴と注意点

G-CSF投与について

dose-dense MVACは14日ごとに1サイクルのレジメンである。 オリジナルレジメンはG-CSFを連日投与するプロトコールだが、 日本の実臨床では peg G-CSFの使用で退院が可能となる。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

古典的MVACレジメントの比較

古典的なMVACレジメンに比べると、 粘膜炎や発熱性好中球減少症などの重篤な有害事象が少ないとされている⁷⁾。

一方、 GC (GEM+CDDP)と比較すると頻度の高い有害事象が多いため、 忍容性がある症例を選択して適用することが重要⁶⁾。

VESPER試験⁶⁾の参加者の年齢中央値は63歳であったことに留意する。 腎機能のよい症例 (CrCl≧50ml/min) にのみ適用となる。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

KeyData|臨床試験結果

EORTC30924試験⁷⁾

J Clin Oncol . 2001;19(10):2638-46.

局所進行性または転移性尿路上皮癌患者において、 dose-denseスケジュールのddMVAC療法の効果を、 4週毎投与の古典的MVAC群を対照に検証した第Ⅲ相比較試験EORTC30924

有効性|ddMVAC療法群

  • ORR : 62%
古典的MVAC群 : 50%
  • OS中央値 : 15.5ヵ月
古典的MVAC 14.1ヵ月
  • OS率 (2年時) : 35.3%
古典的MVAC群 : 25.4%
  • PFS中央値 : 9.1ヵ月
古典的MVAC 8.2ヵ月
  • PFS率 (2年) : 24.7%
古典的MVAC群 : 11.6%

安全性|有害事象 (AE)

  • Grade3-4の白血球減少は、 ddMVAC群で20%、 古典的MVAC群で62%であった
  • 発熱性好中球減少症は、 ddMVAC群で10%、 古典的MVAC群で26% (p<0.001) であった
  • クレアチニンへの毒性は、 両群間に差は認めなかった (p=0.815)。

>>臨床試験の詳細をみる

VESPER試験⁶⁾

J Clin Oncol. 2022;40(18):2013-2022.

非転移性筋層浸潤性膀胱がん患者を対象に、 周術期化学療法としてのdose-denseスケジュールのdd-MVAC療法とゲムシタビン、 シスプラチン (GC) 療法の毒性および病理学的奏効を比較した無作為化第III相試験

有効性|dd-MVAC療法 周術期全体

  • 3年PFS率 : 64%
  • 3年時TTP率:69%

各プロトコル

投与開始基準

VESPER試験⁶⁾のプロトコル

J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022⁶⁾より作図

継続基準

VESPER試験⁶⁾のプロトコル

J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022⁶⁾より作図

出典

  1. ファイザー株式会社. メソトレキセート®電子添文 (2023年6月改訂第3版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  2. 日本化薬株式会社. エクザール®電子添文 (2023年4月改訂第1版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  3. 日本化薬株式会社. アドリアシン®電子添文 (2022年11月改訂第1版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  4. 日本化薬株式会社. ランダ®電子添文 (2021年4月改訂第1版) [最終閲覧 : 2024/6/19]
  5. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/04/03]
  6. Dose-Dense Methotrexate, Vinblastine, Doxorubicin, and Cisplatin or Gemcitabine and Cisplatin as Perioperative Chemotherapy for Patients With Nonmetastatic Muscle-Invasive Bladder Cancer: Results of the GETUG-AFU V05 VESPER Trial. J Clin Oncol. 2022 Jun 20;40(18):2013-2022. PMID: 35254888
  7. Randomized phase III trial of high-dose-intensity methotrexate, vinblastine, doxorubicin, and cisplatin (MVAC) chemotherapy and recombinant human granulocyte colony-stimulating factor versus classic MVAC in advanced urothelial tract tumors: European Organization for Research and Treatment of Cancer Protocol no. 30924. J Clin Oncol . 2001 May 15;19(10):2638-46. PMID: 11352955
最終更新日 : 2024年11月4日
監修医師 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(泌尿器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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