治療スケジュール
概要
監修医師

RAM:ラムシルマブ(サイラムザ®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1~Day1,15

PTX:パクリタキセル(タキソール®)

投与量コース投与日
80mg/m² 点滴1~Day1,8,15

その他

1コース28日間。
レジメン
PTX+RAM
参考文献本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

投与開始基準

RAINBOW¹⁾における基準

継続投与基準 

RAINBOW¹⁾における基準

ラムシルマブの継続投与基準

パクリタキセルの継続投与基準

中止基準

RAINBOW¹⁾における基準

ラムシルマブの中止基準

パクリタキセルの中止基準

  • infusion reaction:Grade3~4 (パクリタキセルと関連が明らかであると考えられる)
  • 2段階を超える減量を必要とする事象
  • 最終投与から ≧28日の投与中断を必要とする事象
  • 明らかにパクリタキセルに関連がある事象 (再発性あるいは持続性のニューロパチー等)

減量基準

ラムシルマブの減量基準

主な有害事象

RAINBOW 試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少症 54.4% (40.7%)
  • 貧血 33.9% (9.2%)
  • 白血球減少症 33.9% (17.4%)
  • 血小板減少症 13.1% (1.5%)
  • 悪心 35.2% (1.8%)
  • 下痢 32.4% (3.7%)
  • 嘔吐 26.9% (3.1%)
  • 便秘 21.4% (0%)
  • 口内炎 19.6% (0.6%)
  • 疲労 39.8% (7.0%)
  • 発熱 18.0% (0.9%)
  • 体重減少 13.8% (1.8%)
  • AST増加 8.3% (1.8%)
  • ALT増加 6.1% (1.2%)
  • 食欲減退 40.1% (3.1%)

注意すべき有害事象

  • 末梢性感覚ニューロパチー 17.4% (1.8%)
  • 末梢性ニューロパチー 14.4% (3.1%)
  • 蛋白尿 16.5% (1.2%)
  • 脱毛症 32.7% (0%)
  • 高血圧 23.9% (14.1%)

上手に使うためのワンポイント

  • RAINBOW試験¹⁾におけるPTXの減量方法は10mg/m²ずつ減量するとされている。 60mg/m²投与で減量が必要なイベントが発生した場合は、 PTX投与を中止することになっていたが、 リアルワールドでは、 PTXのday8投与を計画的にskipする実質PTX隔週投与で継続することも選択肢となる。
  • REGARD試験²⁾の結果によりRAM単剤でも効果があるため、 PTXが何らかの理由で終了したとしてもRAMのみ継続する。
  • RAMによる尿蛋白1+出現時には、 次コースからのUPCRの事前測定を考慮する。 UPCR<2.0で投与可能。

特徴と注意点

  • PTXは無水エタノールで溶解されているため、 投与前までにアルコール不耐でないかの確認をすること、 投与後には車の運転は控えるように指導する。
  • 添加物であるポリオキシエチレンヒマシ油へのアレルギーがある患者や、 アルコール不耐の患者には使用不能のためnPTX+RAMの使用を考慮する。 また一次治療終了時にCIPN G2の場合はIRI+RAMを考慮する。
  • RAINBOW試験¹⁾において好中球減少発現の中央値がday15だった。 実臨床でもday15に好中球減少を経験するが、 その際にはPTXの投与をskipし、 RAMのみ投与する。

関連する臨床試験|RAINBOW試験¹⁾

1次治療後に進行した胃または食道胃接合部腺癌患者において、 ラムシルマブ+パクリタキセルの併用療法の効果を、 プラセボ+パクリタキセルを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験RAINBOWの結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • ラムシルマブ群:9.6ヵ月
(95%CI 8.5-10.8ヵ月)
  • プラセボ群:7.4ヵ月
(95%CI 6.3-8.4ヵ月)
HR 0.807 (95%CI 0.678-0.962)、 p=0.017

OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時)

  • ラムシルマブ群:72%、 40%
  • プラセボ群:57%、 30%

OSの多変量解析

多変量解析により、 生存率改善に寄与する下記の7つの因子が同定された。

  • ECOG PS0
  • 体重減少10%未満
  • 転移部位は2箇所まで
  • 腹水なし
  • 腫瘍が高分化または中分化
  • 胃切除の既往

PFS中央値

  • ラムシルマブ群:4.4ヵ月
(95%CI 4.2-5.3ヵ月)
  • プラセボ群:2.9ヵ月
(95%CI 2.8-3.0ヵ月)
HR 0.635 (95%CI 0.536-0.752)、 p<0.0001

PFS率 (6ヵ月時、 9ヵ月時)

  • ラムシルマブ群:36%、 22%
  • プラセボ群:17%、 10%

ORR

  • ラムシルマブ群:28%
(95%CI 23-33%)
  • プラセボ群:16%
(95%CI 13-20%)
 p=0.0001

病勢コントロール率

  • ラムシルマブ群:80%
(95%CI 75-84%)
  • プラセボ群:64%
(95%CI 58-69%)
p<0.0001

奏効期間 (中央値)

  • ラムシルマブ群:4.4ヵ月
  • プラセボ群:2.8ヵ月

出典

  1. Ramucirumab plus paclitaxel versus placebo plus paclitaxel in patients with previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (RAINBOW): a double-blind, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35. PMID: 25240821
  2. Ramucirumab monotherapy for previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (REGARD): an international, randomised, multicentre, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet. 2014 Jan 4;383(9911):31-39. PMID: 24094768
最終更新日:2023年12月1日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

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HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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PTX+RAM
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PTX+RAM

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パクリタキセル (タキソール®) +ラムシルマブ (サイラムザ®)
2024年04月24日更新

RAM:ラムシルマブ(サイラムザ®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1~Day1,15

PTX:パクリタキセル(タキソール®)

投与量コース投与日
80mg/m² 点滴1~Day1,8,15

その他

1コース28日間。

概要

参考文献本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

投与開始基準

RAINBOW¹⁾における基準

継続投与基準 

RAINBOW¹⁾における基準

ラムシルマブの継続投与基準

パクリタキセルの継続投与基準

中止基準

RAINBOW¹⁾における基準

ラムシルマブの中止基準

パクリタキセルの中止基準

  • infusion reaction:Grade3~4 (パクリタキセルと関連が明らかであると考えられる)
  • 2段階を超える減量を必要とする事象
  • 最終投与から ≧28日の投与中断を必要とする事象
  • 明らかにパクリタキセルに関連がある事象 (再発性あるいは持続性のニューロパチー等)

減量基準

ラムシルマブの減量基準

主な有害事象

RAINBOW 試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少症 54.4% (40.7%)
  • 貧血 33.9% (9.2%)
  • 白血球減少症 33.9% (17.4%)
  • 血小板減少症 13.1% (1.5%)
  • 悪心 35.2% (1.8%)
  • 下痢 32.4% (3.7%)
  • 嘔吐 26.9% (3.1%)
  • 便秘 21.4% (0%)
  • 口内炎 19.6% (0.6%)
  • 疲労 39.8% (7.0%)
  • 発熱 18.0% (0.9%)
  • 体重減少 13.8% (1.8%)
  • AST増加 8.3% (1.8%)
  • ALT増加 6.1% (1.2%)
  • 食欲減退 40.1% (3.1%)

注意すべき有害事象

  • 末梢性感覚ニューロパチー 17.4% (1.8%)
  • 末梢性ニューロパチー 14.4% (3.1%)
  • 蛋白尿 16.5% (1.2%)
  • 脱毛症 32.7% (0%)
  • 高血圧 23.9% (14.1%)

上手に使うためのワンポイント

  • RAINBOW試験¹⁾におけるPTXの減量方法は10mg/m²ずつ減量するとされている。 60mg/m²投与で減量が必要なイベントが発生した場合は、 PTX投与を中止することになっていたが、 リアルワールドでは、 PTXのday8投与を計画的にskipする実質PTX隔週投与で継続することも選択肢となる。
  • REGARD試験²⁾の結果によりRAM単剤でも効果があるため、 PTXが何らかの理由で終了したとしてもRAMのみ継続する。
  • RAMによる尿蛋白1+出現時には、 次コースからのUPCRの事前測定を考慮する。 UPCR<2.0で投与可能。

特徴と注意点

  • PTXは無水エタノールで溶解されているため、 投与前までにアルコール不耐でないかの確認をすること、 投与後には車の運転は控えるように指導する。
  • 添加物であるポリオキシエチレンヒマシ油へのアレルギーがある患者や、 アルコール不耐の患者には使用不能のためnPTX+RAMの使用を考慮する。 また一次治療終了時にCIPN G2の場合はIRI+RAMを考慮する。
  • RAINBOW試験¹⁾において好中球減少発現の中央値がday15だった。 実臨床でもday15に好中球減少を経験するが、 その際にはPTXの投与をskipし、 RAMのみ投与する。

関連する臨床試験|RAINBOW試験¹⁾

1次治療後に進行した胃または食道胃接合部腺癌患者において、 ラムシルマブ+パクリタキセルの併用療法の効果を、 プラセボ+パクリタキセルを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験RAINBOWの結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

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OS中央値

  • ラムシルマブ群:9.6ヵ月
(95%CI 8.5-10.8ヵ月)
  • プラセボ群:7.4ヵ月
(95%CI 6.3-8.4ヵ月)
HR 0.807 (95%CI 0.678-0.962)、 p=0.017

OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時)

  • ラムシルマブ群:72%、 40%
  • プラセボ群:57%、 30%

OSの多変量解析

多変量解析により、 生存率改善に寄与する下記の7つの因子が同定された。

  • ECOG PS0
  • 体重減少10%未満
  • 転移部位は2箇所まで
  • 腹水なし
  • 腫瘍が高分化または中分化
  • 胃切除の既往

PFS中央値

  • ラムシルマブ群:4.4ヵ月
(95%CI 4.2-5.3ヵ月)
  • プラセボ群:2.9ヵ月
(95%CI 2.8-3.0ヵ月)
HR 0.635 (95%CI 0.536-0.752)、 p<0.0001

PFS率 (6ヵ月時、 9ヵ月時)

  • ラムシルマブ群:36%、 22%
  • プラセボ群:17%、 10%

ORR

  • ラムシルマブ群:28%
(95%CI 23-33%)
  • プラセボ群:16%
(95%CI 13-20%)
 p=0.0001

病勢コントロール率

  • ラムシルマブ群:80%
(95%CI 75-84%)
  • プラセボ群:64%
(95%CI 58-69%)
p<0.0001

奏効期間 (中央値)

  • ラムシルマブ群:4.4ヵ月
  • プラセボ群:2.8ヵ月

出典

  1. Ramucirumab plus paclitaxel versus placebo plus paclitaxel in patients with previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (RAINBOW): a double-blind, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35. PMID: 25240821
  2. Ramucirumab monotherapy for previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (REGARD): an international, randomised, multicentre, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet. 2014 Jan 4;383(9911):31-39. PMID: 24094768
最終更新日:2023年12月1日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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