概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

前投薬

高度催吐性リスクとして制吐剤を投与する。 

主な有害事象

NSABP B-15試験¹⁾

有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 白血球数減少 3.7%
  • 血小板数減少 0.1%
  • 悪心/嘔吐 91.4%
  • 下痢 2.9%
  • 体重増加 14.4%
  • 体重減少 8.6%
  • 発熱 5.5%

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 92.4%

特徴と注意点

  • アントラサイクリン系レジメンとして、 術前・術後補助化学療法および転移・再発例に対する化学療法として使用される¹⁾²⁾。
  • 治療開始前および治療期間中の定期的な心エコー検査が推奨される。
  • 高度催吐性リスクに該当し、 NK1受容体拮抗薬、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンの3剤に加えて、 糖尿病の既往がなければオランザピンの併用を検討する。
  • 5-HT3受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用したAC療法において、 day2以降のデキサメタゾンを省略するsteroid sparingがステロイド通常投与に対する非劣性が示されている³⁾。 

関連する臨床試験|NSABP B-15試験¹⁾

腋窩リンパ節転移陽性かつ内分泌療法に不応な原発性乳癌の術後療法において、アドリアマイシン+シクロホスファミド (AC療法) 、 シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル (CMF療法) 、 AC療法後にCMF療法を実施する3群を比較した第Ⅱ相無作為化試験NSABPの結果より、 無病生存期間 (DFS) 、 遠隔無病生存期間 (DDFS) 、 全生存期間 (OS) に3群間で有意差のないことが示された。

>>臨床試験の詳細をみる

DFS

3群間で有意差を認めず

p=0.5

DFS率 (3年時)

  • AC療法群:62%
  • AC療法→CMF療法群:68%
  • CMF療法群:63%

DDFS

3群間で有意差を認めず

p=0.5

DDFS率 (3年時)

  • AC療法群:68%
  • CMF療法群:68%

OS

3群間で有意差を認めず

p=0.8

OS率 (3年時)

  • AC療法群:83%
  • CMF療法群:82%

関連する臨床試験②|第Ⅲ相試験²⁾

転移性乳癌患者において、 ドキソルビシン+パクリタキセル (AT療法) の効果をドキソルビシン+シクロホスファミド (AC療法) を対照に検証した第Ⅲ相比較試験の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) の有意な延長と奏効率の改善は認められなかった。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値

  • AT群:6ヵ月
(95%CI 5.1-6.8ヵ月)
  • AC群:6ヵ月
(95%CI 5.1-6.8ヵ月)
HR 1.06 (95%CI 0.83-1.35)、 p=0.65

PFSの多変量解析

無病生存期間2年以上/以下、 50歳以上/以下、 内臓疾患の有無、 病変部位数1/2-3/3以上で評価を行い、 病変部位数のみが統計的に有意であった (p=0.018) 。

  • 2~3部位vs1部位
HR 1.28 (95%CI 0.93-1.76)
  • 3部位以上vs1部位
HR 1.69 (95%CI 1.17-2.43)

奏効率

  • AT群:58%
  • AC群:54%
p=0.51

奏効期間中央値

  • AT群:5.4ヵ月
(95%CI 4.7-6.6ヵ月)
  • AC群:5ヵ月
(95%CI 4.5-5.8ヵ月)

OS中央値

  • AT群:20.6ヵ月
(95%CI 18.3-23.4ヵ月)
  • AC群:20.5ヵ月
(95%CI 16.2-25.3ヵ月)
HR 0.90 (95%CI 0.67-1.21)、 p=0.49

参考文献

  1. Two months of doxorubicin-cyclophosphamide with and without interval reinduction therapy compared with 6 months of cyclophosphamide, methotrexate, and fluorouracil in positive-node breast cancer patients with tamoxifen-nonresponsive tumors: results from the National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project B-15. J Clin Oncol. 1990 Sep;8(9):1483-96. PMID: 2202791
  2. Doxorubicin and paclitaxel versus doxorubicin and cyclophosphamide as first-line chemotherapy in metastatic breast cancer: The European Organization for Research and Treatment of Cancer 10961 Multicenter Phase III Trial. J Clin Oncol. 2002 Jul 15;20(14):3114-21. PMID: 12118025
  3. Placebo-Controlled, Double-Blinded Phase III Study Comparing Dexamethasone on Day 1 With Dexamethasone on Days 1 to 3 With Combined Neurokinin-1 Receptor Antagonist and Palonosetron in High-Emetogenic Chemotherapy. J Clin Oncol. 2018 Apr 1;36(10):1000-1006. PMID: 29443652

最終更新日:2023年10月27日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ドキソルビシン+シクロホスファミド
2024年03月05日更新
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薬剤情報

用法用量

前投薬

高度催吐性リスクとして制吐剤を投与する。 

主な有害事象

NSABP B-15試験¹⁾

有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 白血球数減少 3.7%
  • 血小板数減少 0.1%
  • 悪心/嘔吐 91.4%
  • 下痢 2.9%
  • 体重増加 14.4%
  • 体重減少 8.6%
  • 発熱 5.5%

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 92.4%

特徴と注意点

  • アントラサイクリン系レジメンとして、 術前・術後補助化学療法および転移・再発例に対する化学療法として使用される¹⁾²⁾。
  • 治療開始前および治療期間中の定期的な心エコー検査が推奨される。
  • 高度催吐性リスクに該当し、 NK1受容体拮抗薬、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンの3剤に加えて、 糖尿病の既往がなければオランザピンの併用を検討する。
  • 5-HT3受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用したAC療法において、 day2以降のデキサメタゾンを省略するsteroid sparingがステロイド通常投与に対する非劣性が示されている³⁾。 

関連する臨床試験|NSABP B-15試験¹⁾

腋窩リンパ節転移陽性かつ内分泌療法に不応な原発性乳癌の術後療法において、アドリアマイシン+シクロホスファミド (AC療法) 、 シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル (CMF療法) 、 AC療法後にCMF療法を実施する3群を比較した第Ⅱ相無作為化試験NSABPの結果より、 無病生存期間 (DFS) 、 遠隔無病生存期間 (DDFS) 、 全生存期間 (OS) に3群間で有意差のないことが示された。

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DFS

3群間で有意差を認めず

p=0.5

DFS率 (3年時)

  • AC療法群:62%
  • AC療法→CMF療法群:68%
  • CMF療法群:63%

DDFS

3群間で有意差を認めず

p=0.5

DDFS率 (3年時)

  • AC療法群:68%
  • CMF療法群:68%

OS

3群間で有意差を認めず

p=0.8

OS率 (3年時)

  • AC療法群:83%
  • CMF療法群:82%

関連する臨床試験②|第Ⅲ相試験²⁾

転移性乳癌患者において、 ドキソルビシン+パクリタキセル (AT療法) の効果をドキソルビシン+シクロホスファミド (AC療法) を対照に検証した第Ⅲ相比較試験の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) の有意な延長と奏効率の改善は認められなかった。

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PFS中央値

  • AT群:6ヵ月
(95%CI 5.1-6.8ヵ月)
  • AC群:6ヵ月
(95%CI 5.1-6.8ヵ月)
HR 1.06 (95%CI 0.83-1.35)、 p=0.65

PFSの多変量解析

無病生存期間2年以上/以下、 50歳以上/以下、 内臓疾患の有無、 病変部位数1/2-3/3以上で評価を行い、 病変部位数のみが統計的に有意であった (p=0.018) 。

  • 2~3部位vs1部位
HR 1.28 (95%CI 0.93-1.76)
  • 3部位以上vs1部位
HR 1.69 (95%CI 1.17-2.43)

奏効率

  • AT群:58%
  • AC群:54%
p=0.51

奏効期間中央値

  • AT群:5.4ヵ月
(95%CI 4.7-6.6ヵ月)
  • AC群:5ヵ月
(95%CI 4.5-5.8ヵ月)

OS中央値

  • AT群:20.6ヵ月
(95%CI 18.3-23.4ヵ月)
  • AC群:20.5ヵ月
(95%CI 16.2-25.3ヵ月)
HR 0.90 (95%CI 0.67-1.21)、 p=0.49

参考文献

  1. Two months of doxorubicin-cyclophosphamide with and without interval reinduction therapy compared with 6 months of cyclophosphamide, methotrexate, and fluorouracil in positive-node breast cancer patients with tamoxifen-nonresponsive tumors: results from the National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project B-15. J Clin Oncol. 1990 Sep;8(9):1483-96. PMID: 2202791
  2. Doxorubicin and paclitaxel versus doxorubicin and cyclophosphamide as first-line chemotherapy in metastatic breast cancer: The European Organization for Research and Treatment of Cancer 10961 Multicenter Phase III Trial. J Clin Oncol. 2002 Jul 15;20(14):3114-21. PMID: 12118025
  3. Placebo-Controlled, Double-Blinded Phase III Study Comparing Dexamethasone on Day 1 With Dexamethasone on Days 1 to 3 With Combined Neurokinin-1 Receptor Antagonist and Palonosetron in High-Emetogenic Chemotherapy. J Clin Oncol. 2018 Apr 1;36(10):1000-1006. PMID: 29443652

最終更新日:2023年10月27日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(乳腺)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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