【1コース】28日間
【催吐性】 報告なし
【FN発症】報告なし
通常、 成人にはフルキンチニブとして1日1回5mgを3週間連日経口投与し、 その後1週間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。 なお、 患者の状態により適宜減量する。
難治性かつ転移性の大腸癌患者を対象に、 VEGFR1、2、3を標的とする経口チロシンキナーゼ阻害薬フルキンチニブの有効性と安全性をプラセボを対照に検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験
【有効性】フルキンチニブ群
- mOS : 7.4ヵ月
- mPFS : 3.7ヵ月
- DCR : 55.5%
<サブグループ解析>
前治療歴 (トリフルリジン/チピラシルもしくはレゴラフェニブ)、 RAS遺伝子変異の有無、 一次治療からの期間などを含め、 ほぼ全てのサブグループにおいて、 フルキンチニブ群はOSとPFSが良好な結果となっていた。
【安全性】フルキンチニブ群
- Grade3以上の有害事象 : 63% (286/456例)
- 頻度が高かったGrade3以上の主な有害事象
・ 高血圧 14% (62/456例)
・ 無力症 8% (35/456例)
・ 手足症候群 6% (29/456例)
- 治療関連死は1件 (腸管穿孔)
- 発現率が10%以上の有害事象は以下
・ 倦怠感53% ・ 高血圧38%
・ 口内炎31% ・ 腹痛25%
・ 下痢24% ・ 甲状腺機能低下症21%
・ 手足症候群19% ・ 蛋白尿18%
・ 発声障害18% ・ 筋骨格痛16%
・ 関節痛11%
- 1段階減量 4mg/日
- 2段階減量 3mg/日
- 3mg/日で忍容性が得られない場合、投与中止
高血圧、出血、蛋白尿、肝機能検査値異常、 皮膚障害、 消化管穿孔、 可逆性後白質脳症症候群、 動脈血栓塞栓症、 その他の副作用対応に関して、 フリュザクラ®添付文書(2024年11月作成)を参照
大手術前2週間は休薬。 術後少なくとも2週間が経過し創部が十分に回復したことを確認し再開
強い~中程度のCYP3A誘導剤との併用で、 本剤の代謝が促進され、 血中濃度が低下し有効性が減弱するおそれがある。 そのため、 CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮。
▼強いCYP3A誘導剤の代表例
エンザルタミド、 カルバマゼピン、 リファンピシン ※リファンピシン併用時はフルキンチニブのAUCが0.35倍 (75%低下) になる。
▼中程度のCYP3A誘導剤の例
フェノバルビタール、 フェニトイン、 セントジョーンズワート
国立がん研究センター中央病院消化管内科 廣瀬俊晴先生の解説記事⁵⁾より引用
▼3次治療における薬剤選択
FRESCO試験では3次治療としてフルキンチニブが投与されているが、 3次治療においてフルキンチニブ、 FTD/TPI (トリフルリジン/チピラシル) (+ベバシズマブ)、 Regorafinib (レゴラフェニブ)のいずれを使用するのがよいか直接比較した試験はなく、 今後検討が必要である。
▼4次治療における有効性
FRESCO-2試験²⁾の結果から、 FTD/TPI (トリフルリジン/チピラシル)またはRegorafinib (レゴラフェニブ)を使用した後、 4次治療でも良好な有効性を示していた。
FRESCO-2試験においては、 フルキンチニブ群の約96%が抗VEGF抗体の投与を受けており、 フルキンチニブが前治療の血管新生阻害薬の有無に関わらず有効であることが示されている。
一方でこの試験の対象となったのはトリフルリジン/チピラシル単剤もしくはレゴラフェニブ単剤での病勢進行となった患者で、 プラセボ群との比較試験であった。 現状での3次治療においてはSUNLIGHT試験の結果からFTD/TPI+Bmab (トリフルリジン/チピラシル) が標準治療として確立しており、 この対象の後に病勢進行となった場合のエビデンスはまだない。
▼毒性プロファイル
毒性プロファイルに関しては、 フルキンチニブでは従来のTKIと同様に高血圧や蛋白尿、 手足症候群の副作用が報告されていた。 フルキンチニブによる治療を受けた患者の休薬は47%であり、 減量は24%であった。
これは同様のTKIであるRegorafinib (レゴラフェニブ)と比較すると休薬と減量ともに少ない結果であった。 一方でFTD/TPI (トリフルリジン/チピラシル)に関しては骨髄抑制が主な副作用であり、 この部分が使い分けの目安になると考える。
▼薬剤の使用順序
使用順序に関しては、 Regorafinib (レゴラフェニブ)を使用した後にフルキンチニブを使用した方が生存期間が良かったとの報告もある³⁾が、 まだエビデンスとしては不十分であり、 こちらも今後の検討課題である。
1) 武田薬品工業株式会社. フリュザクラ®添付文書 (2024年11月作成 第2版) [最終閲覧2024/11/29]
4) Fruzaqla. Prescribing Information. Takeda Pharmaceuticals America, Inc; 2023.
5) 廣瀬俊晴. 解説 大腸癌におけるフルキンチニブの有効性 (医師限定)
その他情報は随時更新予定です
最終更新日 : 2024年11月29日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
【1コース】28日間
【催吐性】 報告なし
【FN発症】報告なし
通常、 成人にはフルキンチニブとして1日1回5mgを3週間連日経口投与し、 その後1週間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。 なお、 患者の状態により適宜減量する。
難治性かつ転移性の大腸癌患者を対象に、 VEGFR1、2、3を標的とする経口チロシンキナーゼ阻害薬フルキンチニブの有効性と安全性をプラセボを対照に検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第Ⅲ相試験
【有効性】フルキンチニブ群
- mOS : 7.4ヵ月
- mPFS : 3.7ヵ月
- DCR : 55.5%
<サブグループ解析>
前治療歴 (トリフルリジン/チピラシルもしくはレゴラフェニブ)、 RAS遺伝子変異の有無、 一次治療からの期間などを含め、 ほぼ全てのサブグループにおいて、 フルキンチニブ群はOSとPFSが良好な結果となっていた。
【安全性】フルキンチニブ群
- Grade3以上の有害事象 : 63% (286/456例)
- 頻度が高かったGrade3以上の主な有害事象
・ 高血圧 14% (62/456例)
・ 無力症 8% (35/456例)
・ 手足症候群 6% (29/456例)
- 治療関連死は1件 (腸管穿孔)
- 発現率が10%以上の有害事象は以下
・ 倦怠感53% ・ 高血圧38%
・ 口内炎31% ・ 腹痛25%
・ 下痢24% ・ 甲状腺機能低下症21%
・ 手足症候群19% ・ 蛋白尿18%
・ 発声障害18% ・ 筋骨格痛16%
・ 関節痛11%
- 1段階減量 4mg/日
- 2段階減量 3mg/日
- 3mg/日で忍容性が得られない場合、投与中止
高血圧、出血、蛋白尿、肝機能検査値異常、 皮膚障害、 消化管穿孔、 可逆性後白質脳症症候群、 動脈血栓塞栓症、 その他の副作用対応に関して、 フリュザクラ®添付文書(2024年11月作成)を参照
大手術前2週間は休薬。 術後少なくとも2週間が経過し創部が十分に回復したことを確認し再開
強い~中程度のCYP3A誘導剤との併用で、 本剤の代謝が促進され、 血中濃度が低下し有効性が減弱するおそれがある。 そのため、 CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮。
▼強いCYP3A誘導剤の代表例
エンザルタミド、 カルバマゼピン、 リファンピシン ※リファンピシン併用時はフルキンチニブのAUCが0.35倍 (75%低下) になる。
▼中程度のCYP3A誘導剤の例
フェノバルビタール、 フェニトイン、 セントジョーンズワート
国立がん研究センター中央病院消化管内科 廣瀬俊晴先生の解説記事⁵⁾より引用
▼3次治療における薬剤選択
FRESCO試験では3次治療としてフルキンチニブが投与されているが、 3次治療においてフルキンチニブ、 FTD/TPI (トリフルリジン/チピラシル) (+ベバシズマブ)、 Regorafinib (レゴラフェニブ)のいずれを使用するのがよいか直接比較した試験はなく、 今後検討が必要である。
▼4次治療における有効性
FRESCO-2試験²⁾の結果から、 FTD/TPI (トリフルリジン/チピラシル)またはRegorafinib (レゴラフェニブ)を使用した後、 4次治療でも良好な有効性を示していた。
FRESCO-2試験においては、 フルキンチニブ群の約96%が抗VEGF抗体の投与を受けており、 フルキンチニブが前治療の血管新生阻害薬の有無に関わらず有効であることが示されている。
一方でこの試験の対象となったのはトリフルリジン/チピラシル単剤もしくはレゴラフェニブ単剤での病勢進行となった患者で、 プラセボ群との比較試験であった。 現状での3次治療においてはSUNLIGHT試験の結果からFTD/TPI+Bmab (トリフルリジン/チピラシル) が標準治療として確立しており、 この対象の後に病勢進行となった場合のエビデンスはまだない。
▼毒性プロファイル
毒性プロファイルに関しては、 フルキンチニブでは従来のTKIと同様に高血圧や蛋白尿、 手足症候群の副作用が報告されていた。 フルキンチニブによる治療を受けた患者の休薬は47%であり、 減量は24%であった。
これは同様のTKIであるRegorafinib (レゴラフェニブ)と比較すると休薬と減量ともに少ない結果であった。 一方でFTD/TPI (トリフルリジン/チピラシル)に関しては骨髄抑制が主な副作用であり、 この部分が使い分けの目安になると考える。
▼薬剤の使用順序
使用順序に関しては、 Regorafinib (レゴラフェニブ)を使用した後にフルキンチニブを使用した方が生存期間が良かったとの報告もある³⁾が、 まだエビデンスとしては不十分であり、 こちらも今後の検討課題である。
1) 武田薬品工業株式会社. フリュザクラ®添付文書 (2024年11月作成 第2版) [最終閲覧2024/11/29]
4) Fruzaqla. Prescribing Information. Takeda Pharmaceuticals America, Inc; 2023.
5) 廣瀬俊晴. 解説 大腸癌におけるフルキンチニブの有効性 (医師限定)
その他情報は随時更新予定です
最終更新日 : 2024年11月29日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
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