治療スケジュール
概要
監修医師

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
85mg/m² 点滴1~Day1

l-LV:レボホリナートカルシウム(アイソボリン®)

投与量コース投与日
200mg/m² 点滴1~Day1

CPT-11:イリノテカン塩酸塩水和物(トポテシン®)

投与量コース投与日
180mg/m² 点滴1~Day1

5-FU:フルオロウラシル(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
400mg/m² 急速静注1~Day1
2400mg/m² 持続静注1~Day1~3

その他

1コース14日間。
L-OHP+l-LV+CPT-11+5−FUでFOLFIRINOX療法と呼ぶ。
レジメン
FOLFIRINOX
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

適正使用ガイド

FOLFIRINOX療法 (治癒切除不能な膵癌) * 

*持田製薬株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

継続基準 (2サイクル目以降)

減量・休薬・中止基準

初回基準量と減量レベル

主な有害事象

ACCORD 11試験¹⁾

Grade3~4の有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 好中球減少 45.7%
  • 血小板減少症 9.1%
  • 貧血 7.8%
  • 発熱性好中球減少症 5.4%
  • 倦怠感 23.6%
  • 嘔吐 14.5%
  • 下痢 12.7%

注意すべき有害事象

  • 末梢性感覚ニューロパチー 9.0%

上手に使うためのワンポイント

UGT1A1遺伝子多型検査は早めに

UGT1A1遺伝子多型検査は結果が得られるまでに1週間前後かかるため、 本レジメン開始時に結果が得られているよう、 早めに検査しておく。

UGT1A1遺伝子が*6または*28のホモ接合体、 *6と*28のヘテロ接合体のいずれかの患者において本レジメンの有効性、 安全性は確立していないため、 他のレジメンへ変更するか、 少なくともイリノテカンを減量する。

高度催吐性レジメンの予防的制吐療法

投与初期は悪心、 嘔吐、 食欲不振などの消化器毒性の発現頻度が高い。 このため、 高度催吐性レジメンとして予防的制吐療法を行う。

オラパリブへの切り替えも検討

生殖細胞系列BRCA遺伝子異常を認め、 かつ本レジメンが16週を超えて効果を認める場合は、 オラパリブへの切り替えを検討する。

特徴と注意点

ガイドラインの推奨

膵癌診療ガイドライン2022年版において、 遠隔転移を有する膵癌に対してGEM+nba-PTXとともに推奨されているレジメンである。

毒性について

毒性によりコース開始が延期となった場合、 次コースから減量し、 2週毎の投与を目指す。

血液毒性、 消化器毒性がともに強いことから、 本レジメンの適用は75歳以下、 かつPS 0-1の全身状態が良好な患者に限る。

オキサリプラチンによる末梢感覚性/運動性ニューロパチーの対策

オキサリプラチンによる末梢感覚性/運動性ニューロパチーは蓄積性に増悪する。 プレガバリン、 ミロガバリン、 牛車腎気丸などの支持療法を行いながら、 増悪時は減量、 休薬し軽快を図る。 

その他

5-FUの持続点滴を行うため、中心静脈ポートが必要である。

関連する臨床試験|ACCORD 11試験¹⁾

化学療法による治療歴のない転移性膵癌患者において、 FOLFIRINOXレジメン (オキサリプラチン+ロイコボリン+イリノテカン+フルオロウラシル) の効果を、 ゲムシタビン (GEM) 単剤投与を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験ACCORD 11の結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • FOLFIRINOX群:11.1ヵ月
(95%CI 9.0-13.1ヵ月)
  • GEM群:6.8ヵ月
(95%CI 5.5-7.6ヵ月)
HR 0.57 (95%CI 0.45-0.73)、 p<0.001

OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • FOLFIRINOX群:75.9%、 48.4%、 18.6%
  • GEM群:57.6%、 20.6%、 6.0%

PFS中央値

  • FOLFIRINOX群:6.4ヵ月
(95%CI 5.5-7.2ヵ月)
  • GEM群:3.3ヵ月
(95%CI 2.2-3.6ヵ月)
HR 0.47 (95%CI 0.37-0.59)、 p<0.001

PFS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • FOLFIRINOX群:52.8%、 12.1%、 3.3%
  • GEM群:17.2%、 3.5%、 0%

ORR

  • FOLFIRINOX群:31.6%
(95%CI 24.7-39.1%)
  • GEM群:9.4%
(95%CI 5.4-14.7%)
 p<0.001

出典

  1. FOLFIRINOX versus gemcitabine for metastatic pancreatic cancer. N Engl J Med. 2011 May 12;364(19):1817-25. PMID: 21561347
最終更新日:2024年4月9日
執筆医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 小林 智先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
FOLFIRINOX
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
FOLFIRINOX
レジメン
FOLFIRINOX

FOLFIRINOX

レボホリナートカルシウム+フルオロウラシル+イリノテカン塩酸塩+オキサリプラチン
2024年04月09日更新

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
85mg/m² 点滴1~Day1

l-LV:レボホリナートカルシウム(アイソボリン®)

投与量コース投与日
200mg/m² 点滴1~Day1

CPT-11:イリノテカン塩酸塩水和物(トポテシン®)

投与量コース投与日
180mg/m² 点滴1~Day1

5-FU:フルオロウラシル(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
400mg/m² 急速静注1~Day1
2400mg/m² 持続静注1~Day1~3

その他

1コース14日間。
L-OHP+l-LV+CPT-11+5−FUでFOLFIRINOX療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

適正使用ガイド

FOLFIRINOX療法 (治癒切除不能な膵癌) * 

*持田製薬株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

継続基準 (2サイクル目以降)

減量・休薬・中止基準

初回基準量と減量レベル

主な有害事象

ACCORD 11試験¹⁾

Grade3~4の有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 好中球減少 45.7%
  • 血小板減少症 9.1%
  • 貧血 7.8%
  • 発熱性好中球減少症 5.4%
  • 倦怠感 23.6%
  • 嘔吐 14.5%
  • 下痢 12.7%

注意すべき有害事象

  • 末梢性感覚ニューロパチー 9.0%

上手に使うためのワンポイント

UGT1A1遺伝子多型検査は早めに

UGT1A1遺伝子多型検査は結果が得られるまでに1週間前後かかるため、 本レジメン開始時に結果が得られているよう、 早めに検査しておく。

UGT1A1遺伝子が*6または*28のホモ接合体、 *6と*28のヘテロ接合体のいずれかの患者において本レジメンの有効性、 安全性は確立していないため、 他のレジメンへ変更するか、 少なくともイリノテカンを減量する。

高度催吐性レジメンの予防的制吐療法

投与初期は悪心、 嘔吐、 食欲不振などの消化器毒性の発現頻度が高い。 このため、 高度催吐性レジメンとして予防的制吐療法を行う。

オラパリブへの切り替えも検討

生殖細胞系列BRCA遺伝子異常を認め、 かつ本レジメンが16週を超えて効果を認める場合は、 オラパリブへの切り替えを検討する。

特徴と注意点

ガイドラインの推奨

膵癌診療ガイドライン2022年版において、 遠隔転移を有する膵癌に対してGEM+nba-PTXとともに推奨されているレジメンである。

毒性について

毒性によりコース開始が延期となった場合、 次コースから減量し、 2週毎の投与を目指す。

血液毒性、 消化器毒性がともに強いことから、 本レジメンの適用は75歳以下、 かつPS 0-1の全身状態が良好な患者に限る。

オキサリプラチンによる末梢感覚性/運動性ニューロパチーの対策

オキサリプラチンによる末梢感覚性/運動性ニューロパチーは蓄積性に増悪する。 プレガバリン、 ミロガバリン、 牛車腎気丸などの支持療法を行いながら、 増悪時は減量、 休薬し軽快を図る。 

その他

5-FUの持続点滴を行うため、中心静脈ポートが必要である。

関連する臨床試験|ACCORD 11試験¹⁾

化学療法による治療歴のない転移性膵癌患者において、 FOLFIRINOXレジメン (オキサリプラチン+ロイコボリン+イリノテカン+フルオロウラシル) の効果を、 ゲムシタビン (GEM) 単剤投与を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験ACCORD 11の結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • FOLFIRINOX群:11.1ヵ月
(95%CI 9.0-13.1ヵ月)
  • GEM群:6.8ヵ月
(95%CI 5.5-7.6ヵ月)
HR 0.57 (95%CI 0.45-0.73)、 p<0.001

OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • FOLFIRINOX群:75.9%、 48.4%、 18.6%
  • GEM群:57.6%、 20.6%、 6.0%

PFS中央値

  • FOLFIRINOX群:6.4ヵ月
(95%CI 5.5-7.2ヵ月)
  • GEM群:3.3ヵ月
(95%CI 2.2-3.6ヵ月)
HR 0.47 (95%CI 0.37-0.59)、 p<0.001

PFS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • FOLFIRINOX群:52.8%、 12.1%、 3.3%
  • GEM群:17.2%、 3.5%、 0%

ORR

  • FOLFIRINOX群:31.6%
(95%CI 24.7-39.1%)
  • GEM群:9.4%
(95%CI 5.4-14.7%)
 p<0.001

出典

  1. FOLFIRINOX versus gemcitabine for metastatic pancreatic cancer. N Engl J Med. 2011 May 12;364(19):1817-25. PMID: 21561347
最終更新日:2024年4月9日
執筆医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 小林 智先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。