治療スケジュール
概要
監修医師

BOR:ボルテゾミブ(ベルケイド®)

投与量コース投与日
1mg/m² 皮下注1~Day1、 4、 8、 11

Thalidomide:サリドマイド(サレド®)

投与量コース投与日
200mg/body 経口1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg/body 経口1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

CDDP:シスプラチン(ランダ®)

投与量コース投与日
10mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

ADR:アドリアマイシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
10mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
400mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
40mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

前投薬

CDDP、 ADR、 CPA、 ETP投与日は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
NK1受容体拮抗薬の使用を考慮.

その他

1コースは21日間.
DEXの投与量40mg/bodyは、 エステル化物としての量を用いる.
レジメン
VTD-PACE
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*安全管理手順は「藤本製薬株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

Cancer. 2015 Oct 15;121(20):3622-30.¹⁾より引用

詳細な有害事象について記載なし

骨髄抑制

  • 貧血
  • 好中球減少
  • 血小板減少

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少 (50%)

その他

  • 血栓塞栓症 (9%)

特徴と注意点

  • VTD-PACEは、 進行又は再発難治性多発性骨髄腫に対するサルベージ療法の一つ.

感染対策

  • 帯状疱疹の予防として、 抗ヘルペスウイルス薬の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮.
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • ボルテゾミブは急性肺障害の国内報告があり、 適正使用ガイドを遵守する.
  • ボルテゾミブによる末梢神経障害が発現した場合は、 減量又は中止を検討.
  • サリドマイドの使用にあたり、 サリドマイド製剤安全管理手順 (TERMS®) を遵守する.
  • サリドマイドには血栓・塞栓症リスクがあるため、 血小板が5 万/μL 以上であれば抗血栓薬の予防投与を考慮.
  • デキサメタゾンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.
  • アドリアマイシンには累積心毒性があるため、 累積上限量は500mg/m².
  • シクロホスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあるため、 水分摂取を励行し排尿を促す.

関連する臨床試験の結果

Br J Haematol. 2007 Jul;138(2):176-85.²⁾

概要

  • 新たに骨髄腫と診断された患者303名に対する第2相試験.
  • 年齢中央値59歳 (64歳以上は28%).
  • 導入、 強化療法:移植前後にVTD-PACEを各2サイクル投与.
  • 3年間の維持療法:初年度はVTD、 残りの年はTDを月1回投与.
  • EFS、 OS、 毒性を評価.
  EFS:無イベント生存率 OS:全生存率

結果

  • 追跡期間中央値20ヵ月.
  • 2年推定EFS:84%
  • 2年推定OS:86%
  • 遺伝子アレイデータが利用可能な275人のサブグループのうち、 GEPで定義された高リスク (14%、 70遺伝子モデル) は、 EFSとOSが劣っていた.
  • Grade2以上の有害事象として、 血栓塞栓症が27%、 末梢神経障害が12%に認められた.
  • ボルテゾミブと多剤併用化学療法は安全に併用でき、 80%以上の患者にほぼ完全な寛解状態と2年間の生存率をもたらすことが実証された.

ボルテゾミブの減量基準

参考文献

  1. Cancer. 2015 Oct 15;121(20):3622-30.
  2. Br J Haematol. 2007 Jul;138(2):176-85.

最終更新:2023年5月7日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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VTD-PACE

ボルテゾミブ、 サリドマイド、 デキサメタゾン、 シスプラチン、 アドリアマイシン、 シクロホスファミド、 エトポシド
2023年05月07日更新

BOR:ボルテゾミブ(ベルケイド®)

投与量コース投与日
1mg/m² 皮下注1~Day1、 4、 8、 11

Thalidomide:サリドマイド(サレド®)

投与量コース投与日
200mg/body 経口1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg/body 経口1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

CDDP:シスプラチン(ランダ®)

投与量コース投与日
10mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

ADR:アドリアマイシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
10mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
400mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
40mg/m² 24hr持続静注1~Day4~7 (2コース以降はDay1~4)

前投薬

CDDP、 ADR、 CPA、 ETP投与日は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
NK1受容体拮抗薬の使用を考慮.

その他

1コースは21日間.
DEXの投与量40mg/bodyは、 エステル化物としての量を用いる.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*安全管理手順は「藤本製薬株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

Cancer. 2015 Oct 15;121(20):3622-30.¹⁾より引用

詳細な有害事象について記載なし

骨髄抑制

  • 貧血
  • 好中球減少
  • 血小板減少

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少 (50%)

その他

  • 血栓塞栓症 (9%)

特徴と注意点

  • VTD-PACEは、 進行又は再発難治性多発性骨髄腫に対するサルベージ療法の一つ.

感染対策

  • 帯状疱疹の予防として、 抗ヘルペスウイルス薬の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮.
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • ボルテゾミブは急性肺障害の国内報告があり、 適正使用ガイドを遵守する.
  • ボルテゾミブによる末梢神経障害が発現した場合は、 減量又は中止を検討.
  • サリドマイドの使用にあたり、 サリドマイド製剤安全管理手順 (TERMS®) を遵守する.
  • サリドマイドには血栓・塞栓症リスクがあるため、 血小板が5 万/μL 以上であれば抗血栓薬の予防投与を考慮.
  • デキサメタゾンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.
  • アドリアマイシンには累積心毒性があるため、 累積上限量は500mg/m².
  • シクロホスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあるため、 水分摂取を励行し排尿を促す.

関連する臨床試験の結果

Br J Haematol. 2007 Jul;138(2):176-85.²⁾

概要

  • 新たに骨髄腫と診断された患者303名に対する第2相試験.
  • 年齢中央値59歳 (64歳以上は28%).
  • 導入、 強化療法:移植前後にVTD-PACEを各2サイクル投与.
  • 3年間の維持療法:初年度はVTD、 残りの年はTDを月1回投与.
  • EFS、 OS、 毒性を評価.
  EFS:無イベント生存率 OS:全生存率

結果

  • 追跡期間中央値20ヵ月.
  • 2年推定EFS:84%
  • 2年推定OS:86%
  • 遺伝子アレイデータが利用可能な275人のサブグループのうち、 GEPで定義された高リスク (14%、 70遺伝子モデル) は、 EFSとOSが劣っていた.
  • Grade2以上の有害事象として、 血栓塞栓症が27%、 末梢神経障害が12%に認められた.
  • ボルテゾミブと多剤併用化学療法は安全に併用でき、 80%以上の患者にほぼ完全な寛解状態と2年間の生存率をもたらすことが実証された.

ボルテゾミブの減量基準

参考文献

  1. Cancer. 2015 Oct 15;121(20):3622-30.
  2. Br J Haematol. 2007 Jul;138(2):176-85.

最終更新:2023年5月7日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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