本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
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主な有害事象
Cancer. 2015 Oct 15;121(20):3622-30.¹⁾より引用
詳細な有害事象について記載なし
骨髄抑制
主な有害事象
その他
特徴と注意点
- VTD-PACEは、 進行又は再発難治性多発性骨髄腫に対するサルベージ療法の一つ.
感染対策
- 帯状疱疹の予防として、 抗ヘルペスウイルス薬の投与を考慮.
- ST合剤の予防内服を考慮.
- HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.
各薬剤の副作用と対策
- ボルテゾミブは急性肺障害の国内報告があり、 適正使用ガイドを遵守する.
- ボルテゾミブによる末梢神経障害が発現した場合は、 減量又は中止を検討.
- サリドマイドの使用にあたり、 サリドマイド製剤安全管理手順 (TERMS®) を遵守する.
- サリドマイドには血栓・塞栓症リスクがあるため、 血小板が5 万/μL 以上であれば抗血栓薬の予防投与を考慮.
- デキサメタゾンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.
- アドリアマイシンには累積心毒性があるため、 累積上限量は500mg/m².
- シクロホスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあるため、 水分摂取を励行し排尿を促す.
関連する臨床試験の結果
Br J Haematol. 2007 Jul;138(2):176-85.²⁾
概要
- 新たに骨髄腫と診断された患者303名に対する第2相試験.
- 年齢中央値59歳 (64歳以上は28%).
- 導入、 強化療法:移植前後にVTD-PACEを各2サイクル投与.
- 3年間の維持療法:初年度はVTD、 残りの年はTDを月1回投与.
- EFS、 OS、 毒性を評価.
EFS:無イベント生存率 OS:全生存率
結果
- 追跡期間中央値20ヵ月.
- 2年推定EFS:84%
- 2年推定OS:86%
- 遺伝子アレイデータが利用可能な275人のサブグループのうち、 GEPで定義された高リスク (14%、 70遺伝子モデル) は、 EFSとOSが劣っていた.
- Grade2以上の有害事象として、 血栓塞栓症が27%、 末梢神経障害が12%に認められた.
- ボルテゾミブと多剤併用化学療法は安全に併用でき、 80%以上の患者にほぼ完全な寛解状態と2年間の生存率をもたらすことが実証された.
ボルテゾミブの減量基準

参考文献
- Cancer. 2015 Oct 15;121(20):3622-30.
- Br J Haematol. 2007 Jul;138(2):176-85.
最終更新:2023年5月7日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔