治療スケジュール
概要
監修医師

VEN:ベネトクラクス(ベネクレクスタ®)

投与量コース投与日
100mg/body 経口1Day 1
200mg/body 経口1Day 2
400mg/body 経口1Day 3
600mg/body 経口1Day 4~28
600mg/body 経口2~Day 1~28

LDAC:少量シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
20mg/m² 皮下注1~Day 1~10

その他

1コースは28日間.
レジメン
VEN+LDAC
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「アッヴィ合同会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

VIALE-C試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少 (≧Grade3 46%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 45%)
  • 貧血 (≧Grade3 25%)

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 32%)
  • 低カリウム血症 (28%)
  • 肺炎 (20%)

その他重要な有害事象

  • 嘔気 (42%)
  • 下痢 (28%)
  • 嘔吐 (25%)
  • 便秘 (18%)

特徴と注意点

作用機序と適応

  • ベネトクラクスはBCL2阻害薬 (BH3オンリータンパクの模倣薬)でBCL2の抗アポトーシス作用を阻害することでアポトーシスへ導く.
  • ベネトクラクスは急性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病に保険適用 (用法・用量・併用薬は異なる).
  • 少量シタラビン療法は従来より強力な寛解導入療法が適応とならない急性骨髄性白血病に使用されてきた.
  • ベネトクラクス+少量シタラビン併用療法は急性骨髄性白血病に使用される.

副作用と対策

  • 腫瘍量が多い場合腫瘍崩壊症候群が出現するため十分な予防が必要. 
  • ベネトクラクスが最大用量に達するday3までは1日1~2回の血液検査を推奨. 
  • 外来管理が可能 (皮下注および内服治療のため) とされているが骨髄抑制や感染症の頻度を考慮すると入院下での導入が望ましい
  • 通常強度の化学療法や移植が適応とならない高齢者へも使用可
  • CYP3Aで代謝されるためCYP3A阻害作用のある薬剤を併用する場合にはベネトクラクスの減量が必要

CYP阻害剤併用時のベネトクラクス用量調整基準

  • 中等度のCYP3A阻害剤 (フルコナゾール等)
  • 強いCYP3A阻害剤 (イトラコナゾール等)

関連する臨床試験の結果

VIALE-C試験¹⁾

概要

  • 国際共同ランダム化二重盲検第3相試験.
  • 対象:強力な寛解導入療法の適応とならない未治療急性骨髄性白血病.
  • 低用量シタラビン療法に対するベネトクラクスの上乗せ効果を検証.
  • 治療介入:ベネトクラクス+少量シタラビン (VEN+LDAC) vs プラセボ+少量シタラビン (LDAC群).

結果

  • 追跡期間中央値:12.0ヵ月.
  • 全生存期間中央値:VEN+LDAC群 7.2ヵ月 vs LDAC群 4.1ヵ月 (HR 0.75、 95%CI 0.52-1.07、 p=0.11). 
  • 全生存期間中央値 (6ヵ月追加追跡):VEN+LDAC群 8.4ヵ月 vs LDAC群 4.1ヵ月 (HR 0.70、 95%CI 0.50-0.99、 p=0.04). 
  • 完全寛解率:VEN+LDAC群 27% vs LDAC群 7% (p<0.01).
  • 複合的完全寛解率:VEN+LDAC群 48% vs LDAC群 13% (p<0.01).
複合完全寛解率:完全寛解率+血球回復が不完全な完全寛解率
  • 有害事象 (VEN+LDAC群 vs LDAC群で記載):血小板減少G3/4 (45% vs 37%)、 好中球減少G3/4 (46% vs 16%)、 発熱性好中球減少症 (32% vs 29%)、 嘔気 (42% vs 31%). *その他のVEN+LDACの有害事象は上記有害事象の項を参照.

結論

  • VEN+LDACはLDACと比較し未治療急性骨髄性白血病患者の生存期間を延長する.

参考文献

  1. Blood. 2020 Jun 11;135(24):2137-45.

最終更新:2022年8月19日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ベネトクラクス、 少量シタラビン
2023年04月01日更新

VEN:ベネトクラクス(ベネクレクスタ®)

投与量コース投与日
100mg/body 経口1Day 1
200mg/body 経口1Day 2
400mg/body 経口1Day 3
600mg/body 経口1Day 4~28
600mg/body 経口2~Day 1~28

LDAC:少量シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
20mg/m² 皮下注1~Day 1~10

その他

1コースは28日間.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「アッヴィ合同会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

VIALE-C試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少 (≧Grade3 46%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 45%)
  • 貧血 (≧Grade3 25%)

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 32%)
  • 低カリウム血症 (28%)
  • 肺炎 (20%)

その他重要な有害事象

  • 嘔気 (42%)
  • 下痢 (28%)
  • 嘔吐 (25%)
  • 便秘 (18%)

特徴と注意点

作用機序と適応

  • ベネトクラクスはBCL2阻害薬 (BH3オンリータンパクの模倣薬)でBCL2の抗アポトーシス作用を阻害することでアポトーシスへ導く.
  • ベネトクラクスは急性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病に保険適用 (用法・用量・併用薬は異なる).
  • 少量シタラビン療法は従来より強力な寛解導入療法が適応とならない急性骨髄性白血病に使用されてきた.
  • ベネトクラクス+少量シタラビン併用療法は急性骨髄性白血病に使用される.

副作用と対策

  • 腫瘍量が多い場合腫瘍崩壊症候群が出現するため十分な予防が必要. 
  • ベネトクラクスが最大用量に達するday3までは1日1~2回の血液検査を推奨. 
  • 外来管理が可能 (皮下注および内服治療のため) とされているが骨髄抑制や感染症の頻度を考慮すると入院下での導入が望ましい
  • 通常強度の化学療法や移植が適応とならない高齢者へも使用可
  • CYP3Aで代謝されるためCYP3A阻害作用のある薬剤を併用する場合にはベネトクラクスの減量が必要

CYP阻害剤併用時のベネトクラクス用量調整基準

  • 中等度のCYP3A阻害剤 (フルコナゾール等)
  • 強いCYP3A阻害剤 (イトラコナゾール等)

関連する臨床試験の結果

VIALE-C試験¹⁾

概要

  • 国際共同ランダム化二重盲検第3相試験.
  • 対象:強力な寛解導入療法の適応とならない未治療急性骨髄性白血病.
  • 低用量シタラビン療法に対するベネトクラクスの上乗せ効果を検証.
  • 治療介入:ベネトクラクス+少量シタラビン (VEN+LDAC) vs プラセボ+少量シタラビン (LDAC群).

結果

  • 追跡期間中央値:12.0ヵ月.
  • 全生存期間中央値:VEN+LDAC群 7.2ヵ月 vs LDAC群 4.1ヵ月 (HR 0.75、 95%CI 0.52-1.07、 p=0.11). 
  • 全生存期間中央値 (6ヵ月追加追跡):VEN+LDAC群 8.4ヵ月 vs LDAC群 4.1ヵ月 (HR 0.70、 95%CI 0.50-0.99、 p=0.04). 
  • 完全寛解率:VEN+LDAC群 27% vs LDAC群 7% (p<0.01).
  • 複合的完全寛解率:VEN+LDAC群 48% vs LDAC群 13% (p<0.01).
複合完全寛解率:完全寛解率+血球回復が不完全な完全寛解率
  • 有害事象 (VEN+LDAC群 vs LDAC群で記載):血小板減少G3/4 (45% vs 37%)、 好中球減少G3/4 (46% vs 16%)、 発熱性好中球減少症 (32% vs 29%)、 嘔気 (42% vs 31%). *その他のVEN+LDACの有害事象は上記有害事象の項を参照.

結論

  • VEN+LDACはLDACと比較し未治療急性骨髄性白血病患者の生存期間を延長する.

参考文献

  1. Blood. 2020 Jun 11;135(24):2137-45.

最終更新:2022年8月19日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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