概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

【催吐性】 中等度催吐性
*日本イーライリリーの外部サイトへ遷移します
*中外製薬株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

OCEANS試験⁶⁾のプロトコル

ゲムシタビンとカルボプラチンは6サイクルまで、 ベバシズマブのみ10サイクルまで継続後

J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より作図、 引用
電子添文の用法および用量
ゲムシタビン : 1回1000mg/m²を30分かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続し、 4週目は休薬
ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版)¹⁾より引用
カルボプラチン : 1日1回300~400mg/m²を投与し、 少なくとも4週間休薬
パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版)³⁾より引用
ベバシズマブ : 1回10mg/kgを2週間間隔又は1回15mg/kgを3週間間隔で点滴静脈内注射
アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版)⁴⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX 9.9mg + 生食 100ml

- NK₁阻害剤 + 5HT₃拮抗剤 + 生食 50ml (30分)

- GEM 1,000mg/m² + 5%ブ糖液 500mL (day1,8、 30分)

- CBDCA AUC4 + 生食 250mL (day1、 30-60分)

- Bmab 15mg/kg + 生食 100mL

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供

投与開始基準

OCEANS試験⁶⁾のプロトコル

18歳以上、 PS 0-1でプラチナベースの化学療法6ヵ月以上経過後に再発した卵巣癌、 原発性腹膜癌、 または卵管癌患者

以下に該当する患者は除外

ベバシズマブは以下に該当する場合に除外

  • 収縮期血圧>150 mmHg and/or 拡張期血圧>100 mmHg
  • UPCR ≧1.0
J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より作図

中止基準

OCEANS試験⁶⁾のプロトコル

  • Grade3、 4の薬物で管理されない高血圧
  • ≧Grade2の肺またはCNS出血、 もしくは他のGrade4の出血
  • Grade4で症状のある静脈血栓症
  • 動脈TE (血栓塞栓) イベント
  • Grade4の左室収縮機能不全
  • ネフローゼ症候群
  • Grade1の原因不明の消化管穿孔*またはGrade2以上の消化管穿孔 (腹腔内膿瘍または瘻孔を含む)
*腹腔穿刺や再手術など他の原因に起因する腹腔内気泡の証拠を除く
  • 内科的または外科的介入後も完全に回復していない≧Grade2の腸閉塞
  • 内科的または外科的介入を要する創傷の開裂
  • RPLS (逆行性後白質脳症症候群)
  • 研究者によって研究薬に関連すると考えられる任意のGrade4の事象
J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

OCEANS試験⁶⁾

対象: プラチナ感受性再発上皮性卵巣癌、 原発性腹膜癌、 または卵管癌患者484例
方法: GEM+CBDCA+BV群 vs GEM+CBDCA群

【有効性】GEM+CBDCA+BV群

  • ORR 78.5%
  • mPFS 12.4ヵ月
  • mOS 33.3ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 発熱性好中球減少症 1.6%
  • 好中球数減少 (≧Grade4) 20.6%
  • 高血圧 (≧Grade3) 17.4%
  • 蛋白尿 (≧Grade3) 8.5%
J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

OCEANS試験⁶⁾のBV上乗せ効果

GC (CBDCA+GEM) 療法と、 GC+BV (ベバシズマブ) を比較したベバシズマブの上乗せ効果を評価したRCTです。 プライマリーエンドポイントのPFS (無増悪生存期間) は有意にGC+Bmab療法が優っていました (12.4 vs 8.4ヵ月、 HR=0.484、 95% CI : 0.388~0.605; log-rank、 p<0.0001) が、 OS (全生存期間) 延長のエビデンスは得られていません。

再発後BV投与の有用性

ただし、 初回治療にBVを投与した患者に、 再発後に、 BVを投与することの有用性はまだ示されていないことを知っていてほしいです。

副作用の観点から

GC療法と同様に、 GC+BV療法は、 再発プラチナ感受性卵巣がん患者には、 脱毛や末梢神経障害が少ない点は利点となりますので、 良いオプションとなると思います。

監修 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. 日本イーライリリー. ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  2. 日本イーライリリー. ジェムザール®適正使用ガイド (2021年10月作成) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  3. クリニジェン株式会社. パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  4. 中外製薬株式会社. アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  5. 中外製薬株式会社. アバスチン®適正使用ガイド (2022年6月作成) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  6. OCEANS: a randomized, double-blind, placebo-controlled phase III trial of chemotherapy with or without bevacizumab in patients with platinum-sensitive recurrent epithelial ovarian, primary peritoneal, or fallopian tube cancer. J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45. PMID: 22529265
最終更新日 : 2024年5月7日
監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ゲムシタビン + カルボプラチン + ベバシズマブ
2024年07月23日更新
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ゲムシタビンとカルボプラチンは6サイクルまで、 ベバシズマブのみ10サイクルまで継続後

J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より作図、 引用
電子添文の用法および用量
ゲムシタビン : 1回1000mg/m²を30分かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続し、 4週目は休薬
ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版)¹⁾より引用
カルボプラチン : 1日1回300~400mg/m²を投与し、 少なくとも4週間休薬
パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版)³⁾より引用
ベバシズマブ : 1回10mg/kgを2週間間隔又は1回15mg/kgを3週間間隔で点滴静脈内注射
アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版)⁴⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX 9.9mg + 生食 100ml

- NK₁阻害剤 + 5HT₃拮抗剤 + 生食 50ml (30分)

- GEM 1,000mg/m² + 5%ブ糖液 500mL (day1,8、 30分)

- CBDCA AUC4 + 生食 250mL (day1、 30-60分)

- Bmab 15mg/kg + 生食 100mL

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供

投与開始基準

OCEANS試験⁶⁾のプロトコル

18歳以上、 PS 0-1でプラチナベースの化学療法6ヵ月以上経過後に再発した卵巣癌、 原発性腹膜癌、 または卵管癌患者

以下に該当する患者は除外

ベバシズマブは以下に該当する場合に除外

  • 収縮期血圧>150 mmHg and/or 拡張期血圧>100 mmHg
  • UPCR ≧1.0
J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より作図

中止基準

OCEANS試験⁶⁾のプロトコル

  • Grade3、 4の薬物で管理されない高血圧
  • ≧Grade2の肺またはCNS出血、 もしくは他のGrade4の出血
  • Grade4で症状のある静脈血栓症
  • 動脈TE (血栓塞栓) イベント
  • Grade4の左室収縮機能不全
  • ネフローゼ症候群
  • Grade1の原因不明の消化管穿孔*またはGrade2以上の消化管穿孔 (腹腔内膿瘍または瘻孔を含む)
*腹腔穿刺や再手術など他の原因に起因する腹腔内気泡の証拠を除く
  • 内科的または外科的介入後も完全に回復していない≧Grade2の腸閉塞
  • 内科的または外科的介入を要する創傷の開裂
  • RPLS (逆行性後白質脳症症候群)
  • 研究者によって研究薬に関連すると考えられる任意のGrade4の事象
J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

OCEANS試験⁶⁾

対象: プラチナ感受性再発上皮性卵巣癌、 原発性腹膜癌、 または卵管癌患者484例
方法: GEM+CBDCA+BV群 vs GEM+CBDCA群

【有効性】GEM+CBDCA+BV群

  • ORR 78.5%
  • mPFS 12.4ヵ月
  • mOS 33.3ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 発熱性好中球減少症 1.6%
  • 好中球数減少 (≧Grade4) 20.6%
  • 高血圧 (≧Grade3) 17.4%
  • 蛋白尿 (≧Grade3) 8.5%
J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45⁶⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

OCEANS試験⁶⁾のBV上乗せ効果

GC (CBDCA+GEM) 療法と、 GC+BV (ベバシズマブ) を比較したベバシズマブの上乗せ効果を評価したRCTです。 プライマリーエンドポイントのPFS (無増悪生存期間) は有意にGC+Bmab療法が優っていました (12.4 vs 8.4ヵ月、 HR=0.484、 95% CI : 0.388~0.605; log-rank、 p<0.0001) が、 OS (全生存期間) 延長のエビデンスは得られていません。

再発後BV投与の有用性

ただし、 初回治療にBVを投与した患者に、 再発後に、 BVを投与することの有用性はまだ示されていないことを知っていてほしいです。

副作用の観点から

GC療法と同様に、 GC+BV療法は、 再発プラチナ感受性卵巣がん患者には、 脱毛や末梢神経障害が少ない点は利点となりますので、 良いオプションとなると思います。

監修 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. 日本イーライリリー. ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  2. 日本イーライリリー. ジェムザール®適正使用ガイド (2021年10月作成) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  3. クリニジェン株式会社. パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  4. 中外製薬株式会社. アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  5. 中外製薬株式会社. アバスチン®適正使用ガイド (2022年6月作成) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  6. OCEANS: a randomized, double-blind, placebo-controlled phase III trial of chemotherapy with or without bevacizumab in patients with platinum-sensitive recurrent epithelial ovarian, primary peritoneal, or fallopian tube cancer. J Clin Oncol. 2012 Jun 10;30(17):2039-45. PMID: 22529265
最終更新日 : 2024年5月7日
監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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