概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- トルカプ® (添付文書¹⁾/適正使用情報²⁾)

  AKT選択的阻害薬 カピバセルチブ錠
  *アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します

- フェソロデックス® (添付文書³⁾)

投与スケジュール

CAPItello-291試験⁴⁾のプロトコル
N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2058-2070⁴⁾より作図

各プロトコル

適格基準例

CAPItello-291試験⁴⁾の主な適格基準

N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2058-2070⁴⁾より作図

減量・休薬・中止基準

トルカプ電子添文¹⁾の基準
Capivasertibの初回基準量と減量レベル

主な有害事象

CAPItello-291試験⁴⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 下痢 72.4% (9.3%)
  • 発疹 38.0% (12.1%)
  • 悪心 34.6% (0.8%)
  • 倦怠感 20.8% (0.6%)
  • 嘔吐 20.6% (1.7%)
  • 頭痛 16.9% (0.3%)
  • 食欲減退 16.6% (0.3%)
  • 高血糖 16.3% (2.3%)
  • 口内炎 14.6% (2.0%)
  • 無力症 13.2% (1.1%)
  • 掻痒 12.4% (0.6%)
  • 貧血 10.4% (2.0%)
  • 尿路感染 10.1% (1.4%)
N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2058-2070⁴⁾より引用

レジメンの特徴と注意点

作用機序

CapivasertibはAKT阻害であり、 内分泌療法±CDK4/6阻害薬の耐性機序の一つであるPI3K/AKT/PTEN経路を抑制することで効果が期待される。

薬剤師からのワンポイントアドバイス

NTT東日本関東病院薬剤部 兼平暖先生

Capivasertibは、 4日間連続で服用し、 その後3日間休薬する7日間を1サイクルとするスケジュールで使用される。 患者が誤って連日服用しないよう、 事前に十分な説明を行う。

特徴的な有害事象である高血糖は、 非糖尿病の患者においても重篤化することがあり、 投与開始後に糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) を発症し、 大量のインスリン (例 : 100単位/時) による治療でも血糖管理が困難となり、 死亡に至った症例が報告されている。 このため、 投与開始前に空腹時血糖値およびHbA1cを測定し、 投与開始後1ヵ月間は2週間ごとに空腹時血糖値、 その後は1ヵ月ごとに空腹時血糖値、 3ヵ月ごとにHbA1cを測定することに加え、 ケトン体の測定を行うことが適正使用ガイド²⁾において推奨されている。 また、 副作用として下痢の報告もあり、 脱水による高血糖の増悪に注意する。

Capivasertibは主にCYP3A4によって代謝されるほか、 CYP3A4に対して弱い阻害作用を有する。 また、 MATE1、 MATE2-K、 OCT2に対する阻害作用も示し、 これらの基質となるメトホルミンなどの血中濃度が上昇する可能性がある。

レジメン適用時の注意事項¹⁾

  • 高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスを来すことがあるため、 投与前および投与中は空腹時血糖値とHbA1cを定期的に測定し、 可能であればケトン体も併せて確認
  • 口渇・頻尿・多尿・体重減少などの症状出現時には速やかに受診するよう指導
2025年4月15日、 日本糖尿病学会より 「AKT阻害薬カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起」 が発出された。

>> 詳細を確認する

(外部リンク)

RMP【重要な特定されたリスク】

トルカプ® 医薬品リスク管理計画書 (RMP)
  • 高血糖
  • 重度の下期
  • 重度の皮膚障害
  • CYP3A阻害剤との薬物相互作用

コンパニオン診断薬の情報

本レジメンを適用するにあたっては、 PIK3CA、 AKT1、 PTENの各遺伝子変異の有無を確認する必要がある。 適応判定に用いることができるコンパニオン診断薬は以下のとおり。

- FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル

出典

  1. アストラゼネカ株式会社. トルカプ®電子添文 (2025年3月改訂 第2版)
  2. アストラゼネカ株式会社. トルカプ®適正使用ガイド (2025年4月 作成)
  3. アストラゼネカ株式会社. フェソロデックス®電子添文 (2024年3月改訂 第3版)
  4. N Engl J Med. 2023;388(22):2058-2070.
最終更新日 : 2025年6月30日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

レジメン
Capivasertib + Fulvestrant
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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Capivasertib + Fulvestrant
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カピバセルチブ (トルカプ®) + フルベストラント (フェソロデックス®)
2025年06月30日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- トルカプ® (添付文書¹⁾/適正使用情報²⁾)

  AKT選択的阻害薬 カピバセルチブ錠
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投与スケジュール

CAPItello-291試験⁴⁾のプロトコル
N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2058-2070⁴⁾より作図

各プロトコル

適格基準例

CAPItello-291試験⁴⁾の主な適格基準

N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2058-2070⁴⁾より作図

減量・休薬・中止基準

トルカプ電子添文¹⁾の基準
Capivasertibの初回基準量と減量レベル

主な有害事象

CAPItello-291試験⁴⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 下痢 72.4% (9.3%)
  • 発疹 38.0% (12.1%)
  • 悪心 34.6% (0.8%)
  • 倦怠感 20.8% (0.6%)
  • 嘔吐 20.6% (1.7%)
  • 頭痛 16.9% (0.3%)
  • 食欲減退 16.6% (0.3%)
  • 高血糖 16.3% (2.3%)
  • 口内炎 14.6% (2.0%)
  • 無力症 13.2% (1.1%)
  • 掻痒 12.4% (0.6%)
  • 貧血 10.4% (2.0%)
  • 尿路感染 10.1% (1.4%)
N Engl J Med. 2023 Jun 1;388(22):2058-2070⁴⁾より引用

レジメンの特徴と注意点

作用機序

CapivasertibはAKT阻害であり、 内分泌療法±CDK4/6阻害薬の耐性機序の一つであるPI3K/AKT/PTEN経路を抑制することで効果が期待される。

薬剤師からのワンポイントアドバイス

NTT東日本関東病院薬剤部 兼平暖先生

Capivasertibは、 4日間連続で服用し、 その後3日間休薬する7日間を1サイクルとするスケジュールで使用される。 患者が誤って連日服用しないよう、 事前に十分な説明を行う。

特徴的な有害事象である高血糖は、 非糖尿病の患者においても重篤化することがあり、 投与開始後に糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) を発症し、 大量のインスリン (例 : 100単位/時) による治療でも血糖管理が困難となり、 死亡に至った症例が報告されている。 このため、 投与開始前に空腹時血糖値およびHbA1cを測定し、 投与開始後1ヵ月間は2週間ごとに空腹時血糖値、 その後は1ヵ月ごとに空腹時血糖値、 3ヵ月ごとにHbA1cを測定することに加え、 ケトン体の測定を行うことが適正使用ガイド²⁾において推奨されている。 また、 副作用として下痢の報告もあり、 脱水による高血糖の増悪に注意する。

Capivasertibは主にCYP3A4によって代謝されるほか、 CYP3A4に対して弱い阻害作用を有する。 また、 MATE1、 MATE2-K、 OCT2に対する阻害作用も示し、 これらの基質となるメトホルミンなどの血中濃度が上昇する可能性がある。

レジメン適用時の注意事項¹⁾

  • 高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスを来すことがあるため、 投与前および投与中は空腹時血糖値とHbA1cを定期的に測定し、 可能であればケトン体も併せて確認
  • 口渇・頻尿・多尿・体重減少などの症状出現時には速やかに受診するよう指導
2025年4月15日、 日本糖尿病学会より 「AKT阻害薬カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起」 が発出された。

>> 詳細を確認する

(外部リンク)

RMP【重要な特定されたリスク】

トルカプ® 医薬品リスク管理計画書 (RMP)
  • 高血糖
  • 重度の下期
  • 重度の皮膚障害
  • CYP3A阻害剤との薬物相互作用

コンパニオン診断薬の情報

本レジメンを適用するにあたっては、 PIK3CA、 AKT1、 PTENの各遺伝子変異の有無を確認する必要がある。 適応判定に用いることができるコンパニオン診断薬は以下のとおり。

- FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル

出典

  1. アストラゼネカ株式会社. トルカプ®電子添文 (2025年3月改訂 第2版)
  2. アストラゼネカ株式会社. トルカプ®適正使用ガイド (2025年4月 作成)
  3. アストラゼネカ株式会社. フェソロデックス®電子添文 (2024年3月改訂 第3版)
  4. N Engl J Med. 2023;388(22):2058-2070.
最終更新日 : 2025年6月30日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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