本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。 がん化学療法施行時における血管外漏出について、 2023年度版ガイドラインの内容を含めて概説します。
静脈内に投与されるべき薬剤が血管周囲の皮下組織などに漏れ出ることをEVと呼ぶ。
がん薬物療法のうち壊死起因性抗がん剤のEV頻度は0.1-6.5%
EVによって、 皮膚や周辺組織に障害を起こし、 発赤、 腫脹、 疼痛、 灼熱感、 びらん、 水疱形成のみならず、 潰瘍化、 組織壊死等の外科的介入を必要とするような皮膚状態を引き起こす可能性があり、 適切な対応を要する。
▼患者側のリスク因子
細い血管、 複数回のがん薬物療法歴、 出血傾向、 高度な肥満、 広範囲にわたる皮膚疾患など
▼医療側のリスク因子
経験の浅いスタッフによる穿刺、 高流量による点滴、 ワンショット等の投与方法など
少量の漏出でも強い痛みが生じ、水疱や潰瘍、組織障害や壊死を生じる可能性がある。
注射部位やその周囲、 血管に沿って痛みや炎症・潰瘍が生じる可能性がある。
漏れ出た場合に、 組織が障害を受けたり破壊されたりする可能性は非常に低い。
類似する症状として、 フレア反応、 静脈炎、 リコール反応がある。 主観的症状や客観的徴候の類似点、 相違点およびEVの既往、 点滴投与の状況の情報を含めて鑑別する必要がある。
静脈に沿って紅班が出現し、通常数分以内に消失する。 掻痒感が生じることもあるが、 局所の疼痛はなく、 血液の逆流は認める。
投与部位や血管に沿って痛み、 紅班や黒ずみを生じる。 腫脹や潰瘍は生じず、 血液の逆血は認めるが、 炎症により血液の逆流が減少することもある。
原因となるがん薬物療法薬を投与した際に、 過去の放射線治療の照射野に炎症が生じる現象、 および、 過去にがん薬物療法薬によるEVを生じたことにより、 その後、 同じ薬剤を投与した際に、 再びEV部位に炎症が生じる現象をいう。
がん薬物療法を受ける患者にとってEVの発症予防が重要である。 治療開始前には、 投与方法、 どの部位にどのデバイスを用いて投与するのか、 医療者は十分に検討し、 利点・欠点を含めて患者に説明し話し合う必要がある。
医療者は、 末梢静脈穿刺の際に、 手背や肘関節周囲の静脈を避け、 可能な限り最も太く柔らかい弾力のある血管など適切な部位を選択し、 穿刺することがEV予防の上で重要である。 適時、 末梢静脈ラインの入れ替えや、 自然滴下にするか等を検討する.
注射部位反応の観察として、 主観的症状や客観的徴候、 点滴投与状況を観察する。 がん薬物療法中にEVの症状・徴候により、 EVの疑いもしくは発生した場合、 直ちに投与を中断し、 EVを鑑別し適宜ケアや治療を行う。 治療数日後、 遅発性に発生した場合は、 患者や患者家族などが気が付いた時点で、 医療機関へ連絡・受診し、 診断後に治療を開始する。
前腕で太く(≒血流の多い)柔らかい弾力のある血管が望ましい。 なお、 以下の血管は極力避ける。
✕ 細く脆い血管
✕ 化学療法の繰り返しで硬化した血管
✕ 関節など、 動きの影響を受けやすい血管
✕ 一度で穿刺が出来なかった血管
✕ 血管炎や血管外漏出の既往のある血管
✕ 静脈疾患や局所感染、 創傷瘢痕を伴う部位
✕ 24時間以内に注射・採血した部位よりも末梢側の血管
以下の注意点を事前に説明すると良い。
医療スタッフ間で血管外漏出、 静脈炎発現時の対応情報等をあらかじめ共有し、 マニュアル整備、 必要な薬剤やキットを用意する等、 体制を整えておく
最終更新日:2023年12月16日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。 がん化学療法施行時における血管外漏出について、 2023年度版ガイドラインの内容を含めて概説します。
静脈内に投与されるべき薬剤が血管周囲の皮下組織などに漏れ出ることをEVと呼ぶ。
がん薬物療法のうち壊死起因性抗がん剤のEV頻度は0.1-6.5%
EVによって、 皮膚や周辺組織に障害を起こし、 発赤、 腫脹、 疼痛、 灼熱感、 びらん、 水疱形成のみならず、 潰瘍化、 組織壊死等の外科的介入を必要とするような皮膚状態を引き起こす可能性があり、 適切な対応を要する。
▼患者側のリスク因子
細い血管、 複数回のがん薬物療法歴、 出血傾向、 高度な肥満、 広範囲にわたる皮膚疾患など
▼医療側のリスク因子
経験の浅いスタッフによる穿刺、 高流量による点滴、 ワンショット等の投与方法など
少量の漏出でも強い痛みが生じ、水疱や潰瘍、組織障害や壊死を生じる可能性がある。
注射部位やその周囲、 血管に沿って痛みや炎症・潰瘍が生じる可能性がある。
漏れ出た場合に、 組織が障害を受けたり破壊されたりする可能性は非常に低い。
類似する症状として、 フレア反応、 静脈炎、 リコール反応がある。 主観的症状や客観的徴候の類似点、 相違点およびEVの既往、 点滴投与の状況の情報を含めて鑑別する必要がある。
静脈に沿って紅班が出現し、通常数分以内に消失する。 掻痒感が生じることもあるが、 局所の疼痛はなく、 血液の逆流は認める。
投与部位や血管に沿って痛み、 紅班や黒ずみを生じる。 腫脹や潰瘍は生じず、 血液の逆血は認めるが、 炎症により血液の逆流が減少することもある。
原因となるがん薬物療法薬を投与した際に、 過去の放射線治療の照射野に炎症が生じる現象、 および、 過去にがん薬物療法薬によるEVを生じたことにより、 その後、 同じ薬剤を投与した際に、 再びEV部位に炎症が生じる現象をいう。
がん薬物療法を受ける患者にとってEVの発症予防が重要である。 治療開始前には、 投与方法、 どの部位にどのデバイスを用いて投与するのか、 医療者は十分に検討し、 利点・欠点を含めて患者に説明し話し合う必要がある。
医療者は、 末梢静脈穿刺の際に、 手背や肘関節周囲の静脈を避け、 可能な限り最も太く柔らかい弾力のある血管など適切な部位を選択し、 穿刺することがEV予防の上で重要である。 適時、 末梢静脈ラインの入れ替えや、 自然滴下にするか等を検討する.
注射部位反応の観察として、 主観的症状や客観的徴候、 点滴投与状況を観察する。 がん薬物療法中にEVの症状・徴候により、 EVの疑いもしくは発生した場合、 直ちに投与を中断し、 EVを鑑別し適宜ケアや治療を行う。 治療数日後、 遅発性に発生した場合は、 患者や患者家族などが気が付いた時点で、 医療機関へ連絡・受診し、 診断後に治療を開始する。
前腕で太く(≒血流の多い)柔らかい弾力のある血管が望ましい。 なお、 以下の血管は極力避ける。
✕ 細く脆い血管
✕ 化学療法の繰り返しで硬化した血管
✕ 関節など、 動きの影響を受けやすい血管
✕ 一度で穿刺が出来なかった血管
✕ 血管炎や血管外漏出の既往のある血管
✕ 静脈疾患や局所感染、 創傷瘢痕を伴う部位
✕ 24時間以内に注射・採血した部位よりも末梢側の血管
以下の注意点を事前に説明すると良い。
医療スタッフ間で血管外漏出、 静脈炎発現時の対応情報等をあらかじめ共有し、 マニュアル整備、 必要な薬剤やキットを用意する等、 体制を整えておく
最終更新日:2023年12月16日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
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