治療スケジュール
概要
監修医師

BOR:ボルテゾミブ(ベルケイド®)

投与量コース投与日
1.3mg/m² 皮下注121日コース:Day 1、4、8、11

CPA:シクロフォスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
500mg/m² 経口or点滴静注121日コース:Day1、8、15

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg/body 経口121日コース:Day1、8、15

前投薬

CPA投与日は5-HT3受容体拮抗薬を使用.

その他

1コースは21日間.
BORを週1回とする場合は1コース28日間を参照 (Reeder CB の文献²⁾をもとに作成した一例).
レジメン
BCD(VCD)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

EVOLUTION試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少 (≧Grade3 24%)
  • 白血球減少 (≧Grade3 6%)
  • 貧血 (≧Grade3 12%)

重大な有害事象

  • 神経障害 (≧Grade3 18%)

その他

  • 肺炎 (≧Grade3 6%)
  • 下痢 (≧Grade3 6%)

特徴と注意点

  • BCD (VCD) は多発性骨髄腫に対して推奨される寛解導入療法の一つ. 
  • BLd (VRD) と比較してcost-effective. 
  • 本法には幾つかの変法があり、 ボルテゾミブはtwice weeklyとonce weekly²⁾、 シクロフォスファミドは用量と投与経路、 デキサメタゾンは高用量と低用量の違いによる¹⁾³⁾. 投与スケジュールは施設や患者状態を考慮の上で検討. 
  • ボルテゾミブは急性肺障害の国内報告があり、 ベルケイド®適正使用ガイドを遵守
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う
  • 帯状疱疹の予防として抗ヘルペスウイルス薬の予防投与を推奨
  • シクロフォスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあり、 排尿促進のため水分摂取を励行

関連する臨床試験の結果

EVOLUTION試験¹⁾

概要

  • 前治療歴のない多発性骨髄腫 (MM) を対象に行った無作為化第2相試験. 
  • ボルテゾミブ (V) +デキサメタゾン (D) +レナリドミド (R) またはシクロフォスファミド (C) の併用療法に対して、 CR+VGPR、 安全性と忍容性、 ORR、 TTP、 PFS、 OSなどを比較. 
  • VDCR、 VDR、 VCD、 VCDmodの4群構成.  (VCD:CをDay1、 8. VCDmod:C をDay1、 8、 15)
CR:完全奏功 VGPR:最良部分奏功 ORR:奏効率
TTP:無憎悪期間 PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • ORR:VDCR 88%、 VDR 85%、 VCD 75% 、 VCDmod 100%. 
  • VGPR 以上の奏効:VDCR 58%、 VDR 51%、 VCD 41%、 VCDmod 53%. 
  • 中止に至った副作用:VDCR 21%、 VDR 19%、 VCD 12%、 VCDmod 6%. 血液学的毒性は頻繁であり、 Cを含む群では好中球減少が最も多かった. 
  • 1年PFS:VDCR 86%、 VDR 83%、 VCD 93%、 VCDmod 100%.
  • 1年後TTP:VDCR 91%、 VDR 68%、 VCD 97%、 VCDmod 100%. 
  • 1年後OS推定値:VDCR 92%、 他の3 群 100%. 65歳以下の患者96名の生存期間は全体と同様であり、 1年OS推定値はVDCR 94%、 他の3群 100%. 
  • 本試験により、 VCDmodは臨床的に有用な治療法であることが示唆された.
  • 3剤併用療法に対するVDCRの実質的な有用性は認められなかった.

参考文献

  1. Blood. 2012 May 10;119(19):4375-82.
  2. Blood. 2010 Apr 22;115(16):3416-7.
  3. Blood. 2016 May 26;127(21):2569-74.

最終更新:2023年5月7日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ボルテゾミブ、 シクロフォスファミド、 デキサメタゾン
2023年05月07日更新

BOR:ボルテゾミブ(ベルケイド®)

投与量コース投与日
1.3mg/m² 皮下注121日コース:Day 1、4、8、11

CPA:シクロフォスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
500mg/m² 経口or点滴静注121日コース:Day1、8、15

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg/body 経口121日コース:Day1、8、15

前投薬

CPA投与日は5-HT3受容体拮抗薬を使用.

その他

1コースは21日間.
BORを週1回とする場合は1コース28日間を参照 (Reeder CB の文献²⁾をもとに作成した一例).

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

EVOLUTION試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少 (≧Grade3 24%)
  • 白血球減少 (≧Grade3 6%)
  • 貧血 (≧Grade3 12%)

重大な有害事象

  • 神経障害 (≧Grade3 18%)

その他

  • 肺炎 (≧Grade3 6%)
  • 下痢 (≧Grade3 6%)

特徴と注意点

  • BCD (VCD) は多発性骨髄腫に対して推奨される寛解導入療法の一つ. 
  • BLd (VRD) と比較してcost-effective. 
  • 本法には幾つかの変法があり、 ボルテゾミブはtwice weeklyとonce weekly²⁾、 シクロフォスファミドは用量と投与経路、 デキサメタゾンは高用量と低用量の違いによる¹⁾³⁾. 投与スケジュールは施設や患者状態を考慮の上で検討. 
  • ボルテゾミブは急性肺障害の国内報告があり、 ベルケイド®適正使用ガイドを遵守
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う
  • 帯状疱疹の予防として抗ヘルペスウイルス薬の予防投与を推奨
  • シクロフォスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあり、 排尿促進のため水分摂取を励行

関連する臨床試験の結果

EVOLUTION試験¹⁾

概要

  • 前治療歴のない多発性骨髄腫 (MM) を対象に行った無作為化第2相試験. 
  • ボルテゾミブ (V) +デキサメタゾン (D) +レナリドミド (R) またはシクロフォスファミド (C) の併用療法に対して、 CR+VGPR、 安全性と忍容性、 ORR、 TTP、 PFS、 OSなどを比較. 
  • VDCR、 VDR、 VCD、 VCDmodの4群構成.  (VCD:CをDay1、 8. VCDmod:C をDay1、 8、 15)
CR:完全奏功 VGPR:最良部分奏功 ORR:奏効率
TTP:無憎悪期間 PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • ORR:VDCR 88%、 VDR 85%、 VCD 75% 、 VCDmod 100%. 
  • VGPR 以上の奏効:VDCR 58%、 VDR 51%、 VCD 41%、 VCDmod 53%. 
  • 中止に至った副作用:VDCR 21%、 VDR 19%、 VCD 12%、 VCDmod 6%. 血液学的毒性は頻繁であり、 Cを含む群では好中球減少が最も多かった. 
  • 1年PFS:VDCR 86%、 VDR 83%、 VCD 93%、 VCDmod 100%.
  • 1年後TTP:VDCR 91%、 VDR 68%、 VCD 97%、 VCDmod 100%. 
  • 1年後OS推定値:VDCR 92%、 他の3 群 100%. 65歳以下の患者96名の生存期間は全体と同様であり、 1年OS推定値はVDCR 94%、 他の3群 100%. 
  • 本試験により、 VCDmodは臨床的に有用な治療法であることが示唆された.
  • 3剤併用療法に対するVDCRの実質的な有用性は認められなかった.

参考文献

  1. Blood. 2012 May 10;119(19):4375-82.
  2. Blood. 2010 Apr 22;115(16):3416-7.
  3. Blood. 2016 May 26;127(21):2569-74.

最終更新:2023年5月7日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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