概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

テセントリク® (添付文書¹⁾/適正使用ガイド*²⁾)

ヒト化抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体 アテゾリズマブ
*中外製薬株式会社の外部サイトへ遷移します¹⁾

投与スケジュール

【1コース】21日
【催吐性】 軽度催吐性
【FN発症】低リスク 

1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注

テセントリク®︎適正使用ガイド」 (2024年1月改訂)²⁾より引用
※切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に適応があるのは 1200mgのみ なお、 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

KeyData|臨床試験結果

📊IMpower110試験³⁾ [1次治療]

SP142を用いたPD-L1免疫染色でTC1もしくはIC1以上 (PD-L1発現あり相当)、 PS 0-1の切除不能な進行・再発NSCLC患者を対象として、 アテゾリズマブ単剤療法とプラチナ製剤併用療法を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験。 PD-L1別によるヒエラルキー解析が用いられ、TC≧1% (PD-L1高発現相当) の患者205人を対象とした解析において有効性が証明された。

【有効性】同サブグループ

- mOS : 20.2ヵ月 [主要評価項目]

- mPFS : 8.1ヵ月

- ORR : 38.3%

【安全性】主な副作用 (5%以上)

- 173例 (60.5%) に副作用が認められた

- 疲労22例 (7.7%)

- 無力症21例 (7.3%)

- 悪心20例 (7.0%)

- 食欲減退20例 (7.0%)

- 甲状腺機能低下症19例 (6.6%)

- 発疹19例 (6.6%)

- ALT増加18例 (6.3%)

- 下痢17例 (5.9%)

📊OAK試験⁴⁾ [2次治療以降]

プラチナ併用療法の治療歴を有するPS0~1の切除不能な進行・再発NSCLC患者を対象として、 アテゾリズマブ単剤療法とドセタキセル単剤療法を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験 [本剤群613例、 ドセタキセル群612例]

【有効性】

- mOS   : 13.8ヵ月 [主要評価項目]

- mPFS : 2.8ヵ月

- ORR : 14.0%

ITT集団、 TC1/2/3またはIC1/2/3集団のいずれにおいてもアテゾリズマブ単剤療法群で統計学的に有意に延長した。 PD-L1発現がない (TC0かつIC0) 集団でも、 アテゾリズマブ単剤療法群でOSを有意に延長した。

【安全性】主な副作用 (5%以上)

- 390例 (64.0%) に副作用が認められた

- 疲労87例 (14.3%)

- 悪心53例 (8.7%)

- 食欲減退52例 (8.5%)

- 無力症51例 (8.4%)

- 発熱49例 (8.0%)

- 下痢47例 (7.7%)

- 発疹42例 (6.9%)

- そう痒症38例 (6.2%)

レジメンの特徴と注意点

投与開始前の注意点

PD-L1の発現頻度により効果に差がある

  • 1次治療 : SP142で評価 (TC3ないしはIC3なことを確認する)
  • 2次治療~ : PD-L1検査は必須ではない
  • アジュバント : SP263で評価 (TC≧1%であることを確認する)

コンパニオン診断薬については「肺癌患者におけるPD-L1検査の手引き⁴⁾」を参照する。

副作用と対策

本剤のT細胞活性化作用により、 過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態 (irAE) が現れることがあり、以下が推奨される。

  • 内分泌機能検査 (TSH、 FT4、 ACTHなど) を定期的に実施し、モニタリングする。
  • その他尿検査や画像評価などの定期的なモニタリングも必要である。
  • 有害事象が疑われた場合には、 各専門医へのコンサルトも検討する。

>>irAEについてはこちらを参照下さい

出典

1) 中外製薬株式会社 「テセントリク®点滴静注1200mg添付文書 (2024年7月改訂 第7版)」 [最終閲覧 2024/8/18]

2) 中外製薬株式会社 「テセントリク®︎適正使用ガイド」 (2024年1月改訂) [最終閲覧 2024/8/18]

*中外製薬株式会社の外部サイトへ遷移します

3) Atezolizumab for First-Line Treatment of PD-L1-Selected Patients with NSCLC. N Engl J Med. 2020 Oct 1;383(14):1328-1339. PMID: 32997907

4) Atezolizumab versus docetaxel in patients with previously treated non-small-cell lung cancer (OAK): a phase 3, open-label, multicentre randomised controlled trial. Lancet. 2017 Jan 21;389(10066):255-265. PMID: 27979383

最終更新日 : 2024年8月18日
監修・作図 : HOKUTO編集部専門医

レジメン
Atezolizumab
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
Atezolizumab
レジメン
Atezolizumab

Atezolizumab

アテゾリズマブ (テセントリク®)
2024年08月18日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

テセントリク® (添付文書¹⁾/適正使用ガイド*²⁾)

ヒト化抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体 アテゾリズマブ
*中外製薬株式会社の外部サイトへ遷移します¹⁾

投与スケジュール

【1コース】21日
【催吐性】 軽度催吐性
【FN発症】低リスク 

1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注

テセントリク®︎適正使用ガイド」 (2024年1月改訂)²⁾より引用
※切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に適応があるのは 1200mgのみ なお、 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。

KeyData|臨床試験結果

📊IMpower110試験³⁾ [1次治療]

SP142を用いたPD-L1免疫染色でTC1もしくはIC1以上 (PD-L1発現あり相当)、 PS 0-1の切除不能な進行・再発NSCLC患者を対象として、 アテゾリズマブ単剤療法とプラチナ製剤併用療法を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験。 PD-L1別によるヒエラルキー解析が用いられ、TC≧1% (PD-L1高発現相当) の患者205人を対象とした解析において有効性が証明された。

【有効性】同サブグループ

- mOS : 20.2ヵ月 [主要評価項目]

- mPFS : 8.1ヵ月

- ORR : 38.3%

【安全性】主な副作用 (5%以上)

- 173例 (60.5%) に副作用が認められた

- 疲労22例 (7.7%)

- 無力症21例 (7.3%)

- 悪心20例 (7.0%)

- 食欲減退20例 (7.0%)

- 甲状腺機能低下症19例 (6.6%)

- 発疹19例 (6.6%)

- ALT増加18例 (6.3%)

- 下痢17例 (5.9%)

📊OAK試験⁴⁾ [2次治療以降]

プラチナ併用療法の治療歴を有するPS0~1の切除不能な進行・再発NSCLC患者を対象として、 アテゾリズマブ単剤療法とドセタキセル単剤療法を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験 [本剤群613例、 ドセタキセル群612例]

【有効性】

- mOS   : 13.8ヵ月 [主要評価項目]

- mPFS : 2.8ヵ月

- ORR : 14.0%

ITT集団、 TC1/2/3またはIC1/2/3集団のいずれにおいてもアテゾリズマブ単剤療法群で統計学的に有意に延長した。 PD-L1発現がない (TC0かつIC0) 集団でも、 アテゾリズマブ単剤療法群でOSを有意に延長した。

【安全性】主な副作用 (5%以上)

- 390例 (64.0%) に副作用が認められた

- 疲労87例 (14.3%)

- 悪心53例 (8.7%)

- 食欲減退52例 (8.5%)

- 無力症51例 (8.4%)

- 発熱49例 (8.0%)

- 下痢47例 (7.7%)

- 発疹42例 (6.9%)

- そう痒症38例 (6.2%)

レジメンの特徴と注意点

投与開始前の注意点

PD-L1の発現頻度により効果に差がある

  • 1次治療 : SP142で評価 (TC3ないしはIC3なことを確認する)
  • 2次治療~ : PD-L1検査は必須ではない
  • アジュバント : SP263で評価 (TC≧1%であることを確認する)

コンパニオン診断薬については「肺癌患者におけるPD-L1検査の手引き⁴⁾」を参照する。

副作用と対策

本剤のT細胞活性化作用により、 過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態 (irAE) が現れることがあり、以下が推奨される。

  • 内分泌機能検査 (TSH、 FT4、 ACTHなど) を定期的に実施し、モニタリングする。
  • その他尿検査や画像評価などの定期的なモニタリングも必要である。
  • 有害事象が疑われた場合には、 各専門医へのコンサルトも検討する。

>>irAEについてはこちらを参照下さい

出典

1) 中外製薬株式会社 「テセントリク®点滴静注1200mg添付文書 (2024年7月改訂 第7版)」 [最終閲覧 2024/8/18]

2) 中外製薬株式会社 「テセントリク®︎適正使用ガイド」 (2024年1月改訂) [最終閲覧 2024/8/18]

*中外製薬株式会社の外部サイトへ遷移します

3) Atezolizumab for First-Line Treatment of PD-L1-Selected Patients with NSCLC. N Engl J Med. 2020 Oct 1;383(14):1328-1339. PMID: 32997907

4) Atezolizumab versus docetaxel in patients with previously treated non-small-cell lung cancer (OAK): a phase 3, open-label, multicentre randomised controlled trial. Lancet. 2017 Jan 21;389(10066):255-265. PMID: 27979383

最終更新日 : 2024年8月18日
監修・作図 : HOKUTO編集部専門医

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(呼吸器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。