本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
スプリセル® (添付文書 / 適正使用ガイド*)
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主な有害事象
Blood. 2007 Oct 1;110(7):2309-15.¹⁾より引用
(8ヵ月後の追跡調査時の患者数から作成)
骨髄抑制
- 白血球減少 (≧Grade3 64%)
- 好中球減少 (≧Grade3 72%)
- 血小板減少 (≧Grade3 78%)
- 貧血 (≧Grade3 47%)
- 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 11%)
主な有害事象
- 下痢 (31%、 ≧Grade3 8%)
- 発熱 (25%、 ≧Grade3 3%)
- 嘔気 (22%、 ≧Grade3 0%)
- 無力症 (19%、 ≧Grade3 8%)
- 胸水 (19%、 ≧Grade3 3%)
- 発疹 (17%、 ≧Grade3 3%)
- 末梢浮腫 (17%、 ≧Grade3 0%)
- 体重減少 (17%、 ≧Grade3 0%)
- 呼吸困難 (14%、 ≧Grade3 3%)
- 頭痛 (14%、 ≧Grade3 0%)
- 倦怠感 (11%、 ≧Grade3 0%)
- 嘔吐 (11%、 ≧Grade3 0%)
特徴と注意点
- 第2世代 Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害薬.
- T315I変異に対しては無効.
- 胃酸分泌抑制薬との併用で吸収低下.
- CYP3A4により代謝.
- Dasatinib+HyperCVAD²⁾³⁾やDasatinib+Blinatumomab⁴⁾の報告もあるが、 本邦において推奨されていないことに留意.
副作用と対策
- 体液・胸水貯留に注意. 頻回の体重測定を推奨.
- 間質性肺疾患の発現リスクあり注意.
- QT延長に注意. ハイリスク患者では心電図モニタリングを推奨.


関連する臨床試験の結果
概要
- 海外第2相試験
- 対象:イマチニブ抵抗性又は不耐性のPh陽性ALL患者36名
- 介入:ダサチニブ140mg投与 (70mg 1日2回)
- 評価:有効性、 安全性、 忍容性
MaHR:主要血液学的奏効率 CCyR:細胞遺伝学的完全奏効
結果
- 追跡期間:8ヵ月
- MaHR:42% (15/36例)、 そのうちの67%は無増悪状態を維持
- MaHRまでの期間中央値:1.8ヵ月
- CCyR:58% (21/36例)
- イマチニブ耐性 (BCR-ABL変異) は、 ダサチニブの奏効を妨げるものではなかった.
- 多くの有害事象はGrade1~2であった.
- 最も頻度の高い重篤な有害事象は発熱性好中球減少症であったが、 他の血球減少症も含め、 用量を減らすことで管理可能であった.
- 忍容性も良好であり、 毒性により治療を中止した患者は6% (2/36例) であった.
- ダサチニブは安全で効果的な治療選択肢であり、 Ph陽性ALL患者にとって重要な治療進歩となった.
参考文献
- Blood. 2007 Oct 1;110(7):2309-15.
- Blood. 2010 Sep 23;116(12):2070-7.
- Cancer. 2015 Dec 1;121(23):4158-64.
- N Engl J Med. 2020 Oct 22;383(17):1613-1623.
最終更新:2023年7月23日
執筆担当:牛久愛和総合病院 薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔