治療スケジュール
概要
監修医師

RIT:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m² 点滴静注1~Day 1

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
3,500mg/m² 点滴静注 2hr1~Day 2

VCR:ビンクリスチン(オンコビン®)

投与量コース投与日
1.4mg/m² 点滴静注1~Day 2
(最大2mg)--

PCZ:プロカルバジン(プロカルバジン®)

投与量コース投与日
100mg/m² 経口1、3、5Day 1~7
-奇数コースのみ投与-

前投薬

RIT投与日は解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用.
Day2に5-HT3受容体拮抗薬を使用.

その他

1コース14日間. 5または7コース施行.
PCZは奇数コースのみ内服.
MTX静注終了24時間後からロイコボリン救援療法を行う (詳細は概要参照).
VCRは静注も可. 各施設の運用方針による.
レジメン
R-MPV
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

※適正使用ガイドは全薬工業株式会社の外部サイトに遷移します。

主な有害事象

Blood. 2015 Feb 26;125(9):1403-10.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 貧血 (≧Grade3 18%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 21%)

重大な有害事象

  • ALTまたはAST上昇 (≧Grade3 51%)
  • 血清Cr上昇 (≧Grade3 15%)
  • 感染症 (≧Grade3 12%)

その他

  • 末梢神経障害 (≧Grade3 6%)
  • 倦怠感 (≧Grade3 6%)
  • 血栓塞栓症 (≧Grade3 9%)
  • 便秘 (≧Grade3 3%)
  • 失神 (≧Grade3 3%)
  • 脳症 (≧Grade3 3%)

特徴と注意点

  • R-MPV療法は、 PCNSLに対して推奨される緩解導入療法の一つ.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≦3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • メトトレキサート (MTX) の副作用軽減目的として、 MTX終了24時間後からロイコボリン®︎救援療法 (15mg/6hrおき 4日間) を行う.
  • MTX投与開始後、 48時間後・72時間後のMTX血中濃度が、 それぞれ1μM未満、 0.1μM未満であることを確認する. どちらか一方でも超えた場合は、 各々1μM未満、 0.1μM未満になるまで、 十分な水分の補給、 尿のアルカリ化、 ロイコボリンの増量や投与延長を行う.
  • MTX大量療法に伴い、 薬物相互作用の観点から、 MTX投与前から排泄完了まではフロセミド、 NSAIDs、 ST合剤、 PPIの使用は避ける.
  • ビンクリスチンによる末梢神経障害や便秘・腸閉塞に注意.

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 2013 Nov 1;31(31):3971-9.²⁾

概要

  • 原発性CNSリンパ腫に対してR-MPV療法を使用した多施設第2相試験.
  • R-MPV療法後に強化減量全脳放射線療法 (rdWBRT) およびシタラビンを実施.
  • 患者数52名、 年齢の中央値60歳、 Karnofsky performance scoreの中央値70.

結果

  • 追跡期間の中央値5.9年.
  • R-MPV後に60% (31人) がCRを達成し、 rdWBRTに移行.
  • rdWBRT移行群の2年PFSは77% (95%CI 63~92%)、 PFS中央値は7.7年、 5年OSは80% (95%CI 66~94%).
  • 全体 (52人) では、 PFS中央値3.3年、 OS中央値6.6年.
  • 認知機能評価は、 化学療法後に実行機能 (p<0.01) と言語記憶 (p<0.05) の改善あり.
  • ADC値の違いは、 奏効 (p=0.15)、 PFS (p=0.27)、 OS (p=0.33) を予測せず.
  • R-MPVによる導入化学療法に続いて、 rdWBRTとシタラビンを併用する地固め療法は実施可能であり、 効果的であることが示唆された.
  • 本研究はWBRT併用の試験であり、 R-MPVのみで同様の有効性が達成できるかは不明.

参考文献

1)Blood. 2015 Feb 26;125(9):1403-10.

2)J Clin Oncol. 2013 Nov 1;31(31):3971-9.

最終更新:2023年10月30日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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リツキシマブ併用MPV
2023年11月07日更新

RIT:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m² 点滴静注1~Day 1

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
3,500mg/m² 点滴静注 2hr1~Day 2

VCR:ビンクリスチン(オンコビン®)

投与量コース投与日
1.4mg/m² 点滴静注1~Day 2
(最大2mg)--

PCZ:プロカルバジン(プロカルバジン®)

投与量コース投与日
100mg/m² 経口1、3、5Day 1~7
-奇数コースのみ投与-

前投薬

RIT投与日は解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用.
Day2に5-HT3受容体拮抗薬を使用.

その他

1コース14日間. 5または7コース施行.
PCZは奇数コースのみ内服.
MTX静注終了24時間後からロイコボリン救援療法を行う (詳細は概要参照).
VCRは静注も可. 各施設の運用方針による.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

※適正使用ガイドは全薬工業株式会社の外部サイトに遷移します。

主な有害事象

Blood. 2015 Feb 26;125(9):1403-10.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 貧血 (≧Grade3 18%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 21%)

重大な有害事象

  • ALTまたはAST上昇 (≧Grade3 51%)
  • 血清Cr上昇 (≧Grade3 15%)
  • 感染症 (≧Grade3 12%)

その他

  • 末梢神経障害 (≧Grade3 6%)
  • 倦怠感 (≧Grade3 6%)
  • 血栓塞栓症 (≧Grade3 9%)
  • 便秘 (≧Grade3 3%)
  • 失神 (≧Grade3 3%)
  • 脳症 (≧Grade3 3%)

特徴と注意点

  • R-MPV療法は、 PCNSLに対して推奨される緩解導入療法の一つ.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≦3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • メトトレキサート (MTX) の副作用軽減目的として、 MTX終了24時間後からロイコボリン®︎救援療法 (15mg/6hrおき 4日間) を行う.
  • MTX投与開始後、 48時間後・72時間後のMTX血中濃度が、 それぞれ1μM未満、 0.1μM未満であることを確認する. どちらか一方でも超えた場合は、 各々1μM未満、 0.1μM未満になるまで、 十分な水分の補給、 尿のアルカリ化、 ロイコボリンの増量や投与延長を行う.
  • MTX大量療法に伴い、 薬物相互作用の観点から、 MTX投与前から排泄完了まではフロセミド、 NSAIDs、 ST合剤、 PPIの使用は避ける.
  • ビンクリスチンによる末梢神経障害や便秘・腸閉塞に注意.

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 2013 Nov 1;31(31):3971-9.²⁾

概要

  • 原発性CNSリンパ腫に対してR-MPV療法を使用した多施設第2相試験.
  • R-MPV療法後に強化減量全脳放射線療法 (rdWBRT) およびシタラビンを実施.
  • 患者数52名、 年齢の中央値60歳、 Karnofsky performance scoreの中央値70.

結果

  • 追跡期間の中央値5.9年.
  • R-MPV後に60% (31人) がCRを達成し、 rdWBRTに移行.
  • rdWBRT移行群の2年PFSは77% (95%CI 63~92%)、 PFS中央値は7.7年、 5年OSは80% (95%CI 66~94%).
  • 全体 (52人) では、 PFS中央値3.3年、 OS中央値6.6年.
  • 認知機能評価は、 化学療法後に実行機能 (p<0.01) と言語記憶 (p<0.05) の改善あり.
  • ADC値の違いは、 奏効 (p=0.15)、 PFS (p=0.27)、 OS (p=0.33) を予測せず.
  • R-MPVによる導入化学療法に続いて、 rdWBRTとシタラビンを併用する地固め療法は実施可能であり、 効果的であることが示唆された.
  • 本研究はWBRT併用の試験であり、 R-MPVのみで同様の有効性が達成できるかは不明.

参考文献

1)Blood. 2015 Feb 26;125(9):1403-10.

2)J Clin Oncol. 2013 Nov 1;31(31):3971-9.

最終更新:2023年10月30日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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