概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

【催吐性】中等度催吐性

カンプト® (添付文書¹⁾)

用法用量

国内第Ⅱ相試験²⁾のプロトコル

Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6²⁾より作図
電子添文¹⁾の用法および用量
A法 : 1日1回、 100mg/m²を1週間間隔で3~4回点滴静注し、 少なくとも2週間休薬
B法 : 1日1回、 150mg/m²を2週間間隔で2~3回点滴静注し、 少なくとも3週間休薬
カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版)¹⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX 6.6mg+5HT₃拮抗剤 + 生食 100ml (30分)

- CPT-11 100mg/m² + 5%ブ糖液 500mL (90分)

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供

投与開始基準

国内第Ⅱ相試験²⁾のプロトコル

  • プラチナまたはタキサン難治性で、 治療中または治療終了後3ヵ月以内に腫瘍の進行が見られる患者
  • プラチナまたはタキサン抵抗性で、 直近の治療終了後3~6ヵ月の間に腫瘍進行が見られる患者
Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6²⁾より引用

休薬・中止基準

電子添文¹⁾の基準

カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版)¹⁾より作図
  • 投与可能な数値であっても、 白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、 骨髄機能抑制が疑われる場合には、 中止又は延期
  • 白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者において、 投与後に白血球の急激な減少が起こった場合、 投与可能な数値であっても、 骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと
カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版)¹⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

国内第Ⅱ相試験²⁾

対象: プラチナ/タキサンに抵抗性または難治性の卵巣癌、 腹膜癌、 または卵管癌の患者28例
方法: イリノテカン100mg/m²を週1回投与

【有効性】

  • ORR 29%
  • mPFS 17週
  • mOS 8ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 白血球数数減少 75.0% (17.9%)
  • 好中球数減少 71.4% (17.9%)
  • 貧血 85.7% (3.6%)
  • 悪心 92.9% (0%)
  • 下痢 82.1% (10.7%)
  • 嘔吐 64.3% (0%)
  • 便秘 25.0% (0%)
  • 脱毛症 50.0% (0%)
Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6²⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

国内第Ⅱ相試験²⁾の結果

29% (8/28人) の奏効率を認めています。

重症下痢のマネジメント³⁾

CPT-11投与時の注意点としては、 下痢があります。 時に重症な下痢を引き起こすことがあります。

CPT-11の副作用を予測する検査として、 UGT1A1遺伝子多型検査があります。UGT1A1は肝臓のUDPグルクロン酸転移酵素 (UGT : Uridine diphosphate glucuronosyltransferase) の分子種の1つであり、 CPT-11の代謝酵素です。 UGT1A1検査で、 6か28のホモ接合が認められた場合には、 重症下痢の発現頻度が80%にもなるという報告がありますので、 ホモ接合を認めた際には、 あらかじめ、 減量してから投与することが勧められます。

また、 重症下痢を起こした際には、 大量ロペラミド療法 (1回2カプセル、 2時間ごと投与、 1日24カプセル投与) が有効であると、 ガイドライン³⁾にも示されていますので、 知っておくとよいと思います。

監修 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. ヤクルト本社. カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  2. The safety and efficacy of the weekly dosing of irinotecan for platinum- and taxanes-resistant epithelial ovarian cancer. Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6. PMID: 16298422
  3. Recommended guidelines for the treatment of cancer treatment-induced diarrhea. J Clin Oncol. 2004 Jul 15;22(14):2918-26. PMID: 15254061
最終更新日 : 2024年7月23日
監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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イリノテカン (カンプト®)
2024年07月23日更新
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【催吐性】中等度催吐性

カンプト® (添付文書¹⁾)

用法用量

国内第Ⅱ相試験²⁾のプロトコル

Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6²⁾より作図
電子添文¹⁾の用法および用量
A法 : 1日1回、 100mg/m²を1週間間隔で3~4回点滴静注し、 少なくとも2週間休薬
B法 : 1日1回、 150mg/m²を2週間間隔で2~3回点滴静注し、 少なくとも3週間休薬
カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版)¹⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX 6.6mg+5HT₃拮抗剤 + 生食 100ml (30分)

- CPT-11 100mg/m² + 5%ブ糖液 500mL (90分)

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供

投与開始基準

国内第Ⅱ相試験²⁾のプロトコル

  • プラチナまたはタキサン難治性で、 治療中または治療終了後3ヵ月以内に腫瘍の進行が見られる患者
  • プラチナまたはタキサン抵抗性で、 直近の治療終了後3~6ヵ月の間に腫瘍進行が見られる患者
Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6²⁾より引用

休薬・中止基準

電子添文¹⁾の基準

カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版)¹⁾より作図
  • 投与可能な数値であっても、 白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、 骨髄機能抑制が疑われる場合には、 中止又は延期
  • 白血球数が異常な高値を示す患者及びCRPが異常値を示すなど感染症が疑われる患者において、 投与後に白血球の急激な減少が起こった場合、 投与可能な数値であっても、 骨髄機能の回復を十分に確認してから投与を行うこと
カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版)¹⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

国内第Ⅱ相試験²⁾

対象: プラチナ/タキサンに抵抗性または難治性の卵巣癌、 腹膜癌、 または卵管癌の患者28例
方法: イリノテカン100mg/m²を週1回投与

【有効性】

  • ORR 29%
  • mPFS 17週
  • mOS 8ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 白血球数数減少 75.0% (17.9%)
  • 好中球数減少 71.4% (17.9%)
  • 貧血 85.7% (3.6%)
  • 悪心 92.9% (0%)
  • 下痢 82.1% (10.7%)
  • 嘔吐 64.3% (0%)
  • 便秘 25.0% (0%)
  • 脱毛症 50.0% (0%)
Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6²⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

国内第Ⅱ相試験²⁾の結果

29% (8/28人) の奏効率を認めています。

重症下痢のマネジメント³⁾

CPT-11投与時の注意点としては、 下痢があります。 時に重症な下痢を引き起こすことがあります。

CPT-11の副作用を予測する検査として、 UGT1A1遺伝子多型検査があります。UGT1A1は肝臓のUDPグルクロン酸転移酵素 (UGT : Uridine diphosphate glucuronosyltransferase) の分子種の1つであり、 CPT-11の代謝酵素です。 UGT1A1検査で、 6か28のホモ接合が認められた場合には、 重症下痢の発現頻度が80%にもなるという報告がありますので、 ホモ接合を認めた際には、 あらかじめ、 減量してから投与することが勧められます。

また、 重症下痢を起こした際には、 大量ロペラミド療法 (1回2カプセル、 2時間ごと投与、 1日24カプセル投与) が有効であると、 ガイドライン³⁾にも示されていますので、 知っておくとよいと思います。

監修 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. ヤクルト本社. カンプト®電子添文 (2022年12月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/03/21]
  2. The safety and efficacy of the weekly dosing of irinotecan for platinum- and taxanes-resistant epithelial ovarian cancer. Gynecol Oncol. 2006 Feb;100(2):412-6. PMID: 16298422
  3. Recommended guidelines for the treatment of cancer treatment-induced diarrhea. J Clin Oncol. 2004 Jul 15;22(14):2918-26. PMID: 15254061
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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