治療スケジュール
概要
監修医師

Nivolumab:ニボルマブ(オプジーボ®)

投与量コース投与日
240mg/body 点滴1~Day1
240mg/body 点滴5~ (2週間間隔の場合)Day1
480mg/body 点滴5~ (4週間間隔の場合)Day1

IPI:イピリムマブ(ヤーボイ®)

投与量コース投与日
1mg/kg 点滴1~Day1

その他

1コース21日間。
レジメン
IPI+Nivo
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*小野薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

JCheckMate 142試験¹⁾の基準より抜粋

18歳以上のフルオロピリミジンとオキサリプラチンまたはイリノテカンを含む1回以上の前治療で病勢進行が認められたか、 または不耐容のdMMR および/またはMSI-Hとして評価された再発CRCまたはmCRCが組織学的に確認されたPS0〜1の患者

主な有害事象

CheckMate 142試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 下痢 21.8% (1.7%)
  • 倦怠感 17.6% (1.7%)
  • 発熱 15.1% (0%)
  • AST増加 14.3% (7.6%)
  • 甲状腺機能低下症 13.4% (0.8%)
  • 悪心 12.6% (0.8%)
  • ALT増加 11.8% (6.7%)
  • 甲状腺機能亢進症 10.9% (0%)

上手に使うためのワンポイント

  • CheckMate-142試験¹⁾ではGrade3以上の肝障害の頻度が高い傾向にあった¹⁾。 特に治療開始3ヵ月以内で発生しやすいため、 留意する²⁾。
  • 免疫関連有害事象のマネージメントは基本的にはがん免疫療法ガイドラインを参考に行う³⁾。 日本における保険承認状況と異なることに留意が必要ではあるが、 ASCO⁴⁾やESMO⁵⁾のガイドラインも参考になる。
  • 免疫関連有害事象の管理が最も重要である。 患者教育・多職種チーム医療はもちろん、 採血セットを作成する、 他科コンサルテーションのシステム作り、 患者にirAEを疑う症状が出現した際の相談部署・受診基準など院内でのirAE対策システムを構築することが望ましい。 神経内科医がいないなど、 院内のみで完結できないケースが多々あると考えられるが、地域の基幹病院とコンサルテーションできるシステム作りが望ましい。 様々な施設の取り組みが各製薬会社のHPで紹介されているため、 参考にしていただきたい。
  • Pseudo progressionが一定数存在する。 CT上増悪を疑うような場合でも、 (明らかな増悪を除き) CTのみで増悪と判断せず、 腫瘍マーカーの変動、 臨床症状の変化など総合的に判断する。 担当医個人ではなく、 カンファレンスで検討することが望ましい。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、 MSI-H/dMMR大腸癌既治療例の標準治療である⁶⁾。
  • 1次治療でペムブロリズマブが承認されたため、 投与機会が減っているが、 術後補助化学療法の早期再発例など1次治療でペムブロリズマブが投与されなかった症例が主な対象になると考えられる。
  • 1次治療ペムブロリズマブ不応例に対するIPI+NIVOの有効性は、 まとまったデータがなく不明である。

関連する臨床試験

CheckMate 142試験¹⁾

フッ化ピリミジン系薬剤とオキサリプラチンまたはイリノテカンを含む、 少なくとも一つの前治療歴を有する、 ミスマッチ修復機能 (mismatch repair: MMR) 欠損 (deficient MMR: dMMR、 microsatellite instability-High: MSI-High) を有する切除不能進行再発大腸癌を対象としたニボルマブ徹bイピリムマブ併用療法の効果を検討した国際共同第II相試験。 主要評価項目は客観的奏効率 (ORR)、 副次評価項目は盲検独立中央レビュー (BICR) ごとの客観的奏効率 (ORR) および病勢コントロール率 (DCR) が含まれた。

Lancet Oncol. 2017 Sep;18(9):1182-1191.

出典

  1. Durable Clinical Benefit With Nivolumab Plus Ipilimumab in DNA Mismatch Repair-Deficient/Microsatellite Instability-High Metastatic Colorectal Cancer. J Clin Oncol. 2018 Mar 10;36(8):773-779. PMID: 29355075
  2. Safety of Nivolumab plus Low-Dose Ipilimumab in Previously Treated Microsatellite Instability-High/Mismatch Repair-Deficient Metastatic Colorectal Cancer. Oncologist. 2019 Nov;24(11):1453-1461. PMID: 31147488
  3. がん免疫療法ガイドライン第3版. 日本臨床腫瘍学会編. 金原出版株式会社.
  4. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: ASCO Guideline Update. J Clin Oncol. 2021 Dec 20;39(36):4073-4126. PMID: 34724392
  5. Management of toxicities from immunotherapy: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2022 Dec;33(12):1217-1238. PMID: 36270461
  6. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編. 金原出版株式会社.
最終更新日:2023年10月12日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ニボルマブ (オプジーボ®) +イピリムマブ (ヤーボイ®)
2024年04月23日更新

Nivolumab:ニボルマブ(オプジーボ®)

投与量コース投与日
240mg/body 点滴1~Day1
240mg/body 点滴5~ (2週間間隔の場合)Day1
480mg/body 点滴5~ (4週間間隔の場合)Day1

IPI:イピリムマブ(ヤーボイ®)

投与量コース投与日
1mg/kg 点滴1~Day1

その他

1コース21日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

投与開始基準

JCheckMate 142試験¹⁾の基準より抜粋

18歳以上のフルオロピリミジンとオキサリプラチンまたはイリノテカンを含む1回以上の前治療で病勢進行が認められたか、 または不耐容のdMMR および/またはMSI-Hとして評価された再発CRCまたはmCRCが組織学的に確認されたPS0〜1の患者

主な有害事象

CheckMate 142試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 下痢 21.8% (1.7%)
  • 倦怠感 17.6% (1.7%)
  • 発熱 15.1% (0%)
  • AST増加 14.3% (7.6%)
  • 甲状腺機能低下症 13.4% (0.8%)
  • 悪心 12.6% (0.8%)
  • ALT増加 11.8% (6.7%)
  • 甲状腺機能亢進症 10.9% (0%)

上手に使うためのワンポイント

  • CheckMate-142試験¹⁾ではGrade3以上の肝障害の頻度が高い傾向にあった¹⁾。 特に治療開始3ヵ月以内で発生しやすいため、 留意する²⁾。
  • 免疫関連有害事象のマネージメントは基本的にはがん免疫療法ガイドラインを参考に行う³⁾。 日本における保険承認状況と異なることに留意が必要ではあるが、 ASCO⁴⁾やESMO⁵⁾のガイドラインも参考になる。
  • 免疫関連有害事象の管理が最も重要である。 患者教育・多職種チーム医療はもちろん、 採血セットを作成する、 他科コンサルテーションのシステム作り、 患者にirAEを疑う症状が出現した際の相談部署・受診基準など院内でのirAE対策システムを構築することが望ましい。 神経内科医がいないなど、 院内のみで完結できないケースが多々あると考えられるが、地域の基幹病院とコンサルテーションできるシステム作りが望ましい。 様々な施設の取り組みが各製薬会社のHPで紹介されているため、 参考にしていただきたい。
  • Pseudo progressionが一定数存在する。 CT上増悪を疑うような場合でも、 (明らかな増悪を除き) CTのみで増悪と判断せず、 腫瘍マーカーの変動、 臨床症状の変化など総合的に判断する。 担当医個人ではなく、 カンファレンスで検討することが望ましい。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、 MSI-H/dMMR大腸癌既治療例の標準治療である⁶⁾。
  • 1次治療でペムブロリズマブが承認されたため、 投与機会が減っているが、 術後補助化学療法の早期再発例など1次治療でペムブロリズマブが投与されなかった症例が主な対象になると考えられる。
  • 1次治療ペムブロリズマブ不応例に対するIPI+NIVOの有効性は、 まとまったデータがなく不明である。

関連する臨床試験

CheckMate 142試験¹⁾

フッ化ピリミジン系薬剤とオキサリプラチンまたはイリノテカンを含む、 少なくとも一つの前治療歴を有する、 ミスマッチ修復機能 (mismatch repair: MMR) 欠損 (deficient MMR: dMMR、 microsatellite instability-High: MSI-High) を有する切除不能進行再発大腸癌を対象としたニボルマブ徹bイピリムマブ併用療法の効果を検討した国際共同第II相試験。 主要評価項目は客観的奏効率 (ORR)、 副次評価項目は盲検独立中央レビュー (BICR) ごとの客観的奏効率 (ORR) および病勢コントロール率 (DCR) が含まれた。

Lancet Oncol. 2017 Sep;18(9):1182-1191.

出典

  1. Durable Clinical Benefit With Nivolumab Plus Ipilimumab in DNA Mismatch Repair-Deficient/Microsatellite Instability-High Metastatic Colorectal Cancer. J Clin Oncol. 2018 Mar 10;36(8):773-779. PMID: 29355075
  2. Safety of Nivolumab plus Low-Dose Ipilimumab in Previously Treated Microsatellite Instability-High/Mismatch Repair-Deficient Metastatic Colorectal Cancer. Oncologist. 2019 Nov;24(11):1453-1461. PMID: 31147488
  3. がん免疫療法ガイドライン第3版. 日本臨床腫瘍学会編. 金原出版株式会社.
  4. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: ASCO Guideline Update. J Clin Oncol. 2021 Dec 20;39(36):4073-4126. PMID: 34724392
  5. Management of toxicities from immunotherapy: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2022 Dec;33(12):1217-1238. PMID: 36270461
  6. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編. 金原出版株式会社.
最終更新日:2023年10月12日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。