本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
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主な有害事象
POLARIX試験¹⁾より引用
骨髄抑制
- 好中球減少症 (≧Grade3 28.3%)
- 貧血 (≧Grade3 12.0%)
主な有害事象
- 末梢神経障害 (52.9%、 ≧Grade3 1.6%)
- 嘔気 (41.6%、 ≧Grade3 1.1%)
- 下痢 (30.8%、 ≧Grade3 3.9%)
- 便秘 (28.7%、 ≧Grade3 1.1%)
- 倦怠感 (25.7%、 ≧Grade3 0.9%)
- 脱毛 (24.4%、 ≧Grade3 0.0%)
- 食欲不振 (16.3%、 ≧Grade3 0.0%)
- 発熱 (15.6%、 ≧Grade3 1.4%)
- 嘔吐 (14.9%、 ≧Grade3 1.1%)
- 発熱性好中球減少症 (14.3%、 ≧Grade3 13.8%)
- 頭痛 (12.9%、 ≧Grade3 0.2%)
- 咳嗽 (12.9%、 ≧Grade3 0.0%)
- 体重減少 (12.6%、 ≧Grade3 0.9%)
- 味覚異常 (11.3%、 ≧Grade3 0.0%)
その他重要な有害事象
- Infusion reaction (IRR) (13.3%)
特徴と注意点
Pola-R-CHP療法の適応
- Pola-R-CHP療法の適応は未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL).
- POLARIX試験¹⁾は、 81歳以上、 ECOG PS 3以上、 IPI低リスクの患者を含んでいないことに注意して適応を決定する.
- POLARIX試験¹⁾は、 無増悪生存期間を有意に延長した. 論文公表時点では全生存期間は延長していない.
ポラツズマブベドチン(Polatuzumab vedtin:Pola or PV)
- Polaは、 DLBCLに対する抗体薬物複合体で、 細胞表面にあるCD79bに結合した後、 細胞内に移行し、 抗腫瘍作用をもつモノメチルアウリスタチンE (MMAE) を放出して効果を示す.
- Pola投与による副作用:骨髄抑制、 感染症、 末梢性ニューロパチー、 infusion reaction (以下IRR)、 腫瘍崩壊症候群、 進行性多巣性白質脳症、 肝機能障害.
- Polaは0.2又は0.22μmのメンブランフィルターを用いて投与.
- Polaは溶解後2~8℃保管で72時間、 30℃・室内光下保管で24時間安定.
リツキシマブ(Rituximab:RIT)
- 感染予防にST合剤、 抗真菌薬等の予防投与を考慮.
- IRRに注意し、 段階的に投与速度を上げる.
ポラツズマブベドチン及びリツキシマブによるIRR発現時の対応の詳細は添付文書を参照.
関連する臨床試験の結果
概要
- 未治療のDLBCL患者を対象としたR-CHOP療法に対するポラツズマブベドチン+R-CHP療法の優越性を検証した国際共同第III相臨床試験.
結果
- 無増悪生存期間 (追跡期間中央値28.2ヵ月):HR 0.73、 95%CI 0.57-0.95、 p=0.02).
- 無増悪生存率 (2年):Pola-R-CHP群 76.7% vs R-CHOP群 70.2%.
- 無イベント生存率 (2年):Pola-BR群 75.6% vs R-CHOP群 69.4% (HR 0.75、 95%CI 0.58-0.96、 p=0.02).
- 全生存率 (2年):Pola-BR群 88.7% vs R-CHOP群 88.6% (HR 0.94、 95%CI 0.65-1.37、 p=0.75).
- 全奏効率:Pola-R-CHP群 85.5% vs R-CHOP群 83.8%.
- 完全奏効率:Pola-R-CHP群 78.0% vs R-CHOP群 74.0%.
- 部分奏効率:Pola-R-CHP群 1.8% vs R-CHOP群 1.4%.
- 安全性:Pola-R-CHP群とR-CHOP群の安全性プロファイルおよびGrade3/4の有害事象は同程度.
参考文献
- N Engl J Med. 2022 Jan 27;386(4):351-363.
最終更新:2024年3月22日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔