治療スケジュール
概要
監修医師

PV:ポラツズマブベドチン(ポライビー®)

投与量コース投与日
1.8mg/kg1-6Day 1 (または2)

RIT:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m²1-8Day 1

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
750mg/m²1-6Day 1

DXR:ドキソルビシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
50mg/m²1-6Day 1

PSL:プレドニゾロン(プレドニン®)

投与量コース投与日
100mg/body1-6Day 1~5

前投薬

RIT投与開始の60分以上前にPSL100mg (又はmPSL80mg) を投与し、 RIT投与開始の30分以上前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を投与.
RIT投与終了後にPola (PV)を投与する際、 infusion reaction症状があらわれていないことを確認するため経過観察の時間を設ける (初回投与時は90分間、 以降は忍容性が良好であれば30分間).
Polaの初回投与で前投与を行わずにinfusion reactionが認められた場合、 以降はPola前に前投与を行う.

その他

1コース21日間、 Pola-R-CHPとして計6コース.
臨床試験では、 Pola-R-CHP 6コース後に、 RIT単剤を7-8コース目に投与.
PolaはDay2に投与も可.
Polaは初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる.
実臨床では、「Polaも含めて1日目に投与」、「Polaのみ2日目に投与」以外に、「1日目にRITのみ投与し2日目にPola+CHP投与」も行われているが臨床試験のプロトコルに沿った投与法でないことに注意.
レジメン
Pola-R-CHP
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*ポライビー®適正使用ガイドは「中外製薬株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*リツキサン®適正使用ガイドは「中外製薬株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

POLARIX試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少症 (≧Grade3 28.3%)
  • 貧血 (≧Grade3 12.0%)

主な有害事象

  • 末梢神経障害 (52.9%、 ≧Grade3 1.6%)
  • 嘔気 (41.6%、 ≧Grade3 1.1%)
  • 下痢 (30.8%、 ≧Grade3 3.9%)
  • 便秘 (28.7%、 ≧Grade3 1.1%)
  • 倦怠感 (25.7%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 脱毛 (24.4%、 ≧Grade3 0.0%)
  • 食欲不振 (16.3%、 ≧Grade3 0.0%)
  • 発熱 (15.6%、 ≧Grade3 1.4%)
  • 嘔吐 (14.9%、 ≧Grade3 1.1%)
  • 発熱性好中球減少症 (14.3%、 ≧Grade3 13.8%)
  • 頭痛 (12.9%、 ≧Grade3 0.2%)
  • 咳嗽 (12.9%、 ≧Grade3 0.0%)
  • 体重減少 (12.6%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 味覚異常 (11.3%、 ≧Grade3 0.0%)

その他重要な有害事象

  • Infusion reaction (IRR) (13.3%)

特徴と注意点

Pola-R-CHP療法の適応

  • Pola-R-CHP療法の適応未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL).
  • POLARIX試験¹⁾は、 81歳以上、 ECOG PS 3以上、 IPI低リスクの患者を含んでいないことに注意して適応を決定する.
  • POLARIX試験¹⁾は、 無増悪生存期間を有意に延長した. 論文公表時点では全生存期間は延長していない.

ポラツズマブベドチン(Polatuzumab vedtin:Pola or PV)

  • Polaは、 DLBCLに対する抗体薬物複合体で、 細胞表面にあるCD79bに結合した後、 細胞内に移行し、 抗腫瘍作用をもつモノメチルアウリスタチンE (MMAE) を放出して効果を示す.
  • Pola投与による副作用:骨髄抑制、 感染症、 末梢性ニューロパチー、 infusion reaction (以下IRR)、 腫瘍崩壊症候群、 進行性多巣性白質脳症、 肝機能障害.
  • Polaは0.2又は0.22μmのメンブランフィルターを用いて投与.
  • Polaは溶解後2~8℃保管で72時間、 30℃・室内光下保管で24時間安定.

リツキシマブ(Rituximab:RIT)

  • 感染予防にST合剤、 抗真菌薬等の予防投与を考慮.
  • IRRに注意し、 段階的に投与速度を上げる.
ポラツズマブベドチン及びリツキシマブによるIRR発現時の対応の詳細は添付文書を参照.

関連する臨床試験の結果

POLARIX試験¹⁾

概要

  • 未治療のDLBCL患者を対象としたR-CHOP療法に対するポラツズマブベドチン+R-CHP療法の優越性を検証した国際共同第III相臨床試験.

結果

  • 無増悪生存期間 (追跡期間中央値28.2ヵ月):HR 0.73、 95%CI 0.57-0.95、 p=0.02).
  • 無増悪生存率 (2年):Pola-R-CHP群 76.7% vs R-CHOP群 70.2%.
  • 無イベント生存率 (2年):Pola-BR群 75.6% vs R-CHOP群 69.4% (HR 0.75、 95%CI 0.58-0.96、 p=0.02).
  • 全生存率 (2年):Pola-BR群 88.7% vs R-CHOP群 88.6% (HR 0.94、 95%CI 0.65-1.37、 p=0.75).
  • 全奏効率:Pola-R-CHP群 85.5% vs R-CHOP群 83.8%.
  • 完全奏効率:Pola-R-CHP群 78.0% vs R-CHOP群 74.0%.
  • 部分奏効率:Pola-R-CHP群 1.8% vs R-CHOP群 1.4%.
  • 安全性:Pola-R-CHP群とR-CHOP群の安全性プロファイルおよびGrade3/4の有害事象は同程度.

参考文献

  1. N Engl J Med. 2022 Jan 27;386(4):351-363.
最終更新:2024年3月22日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン
2024年03月22日更新

PV:ポラツズマブベドチン(ポライビー®)

投与量コース投与日
1.8mg/kg1-6Day 1 (または2)

RIT:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m²1-8Day 1

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
750mg/m²1-6Day 1

DXR:ドキソルビシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
50mg/m²1-6Day 1

PSL:プレドニゾロン(プレドニン®)

投与量コース投与日
100mg/body1-6Day 1~5

前投薬

RIT投与開始の60分以上前にPSL100mg (又はmPSL80mg) を投与し、 RIT投与開始の30分以上前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を投与.
RIT投与終了後にPola (PV)を投与する際、 infusion reaction症状があらわれていないことを確認するため経過観察の時間を設ける (初回投与時は90分間、 以降は忍容性が良好であれば30分間).
Polaの初回投与で前投与を行わずにinfusion reactionが認められた場合、 以降はPola前に前投与を行う.

その他

1コース21日間、 Pola-R-CHPとして計6コース.
臨床試験では、 Pola-R-CHP 6コース後に、 RIT単剤を7-8コース目に投与.
PolaはDay2に投与も可.
Polaは初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる.
実臨床では、「Polaも含めて1日目に投与」、「Polaのみ2日目に投与」以外に、「1日目にRITのみ投与し2日目にPola+CHP投与」も行われているが臨床試験のプロトコルに沿った投与法でないことに注意.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

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主な有害事象

POLARIX試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少症 (≧Grade3 28.3%)
  • 貧血 (≧Grade3 12.0%)

主な有害事象

  • 末梢神経障害 (52.9%、 ≧Grade3 1.6%)
  • 嘔気 (41.6%、 ≧Grade3 1.1%)
  • 下痢 (30.8%、 ≧Grade3 3.9%)
  • 便秘 (28.7%、 ≧Grade3 1.1%)
  • 倦怠感 (25.7%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 脱毛 (24.4%、 ≧Grade3 0.0%)
  • 食欲不振 (16.3%、 ≧Grade3 0.0%)
  • 発熱 (15.6%、 ≧Grade3 1.4%)
  • 嘔吐 (14.9%、 ≧Grade3 1.1%)
  • 発熱性好中球減少症 (14.3%、 ≧Grade3 13.8%)
  • 頭痛 (12.9%、 ≧Grade3 0.2%)
  • 咳嗽 (12.9%、 ≧Grade3 0.0%)
  • 体重減少 (12.6%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 味覚異常 (11.3%、 ≧Grade3 0.0%)

その他重要な有害事象

  • Infusion reaction (IRR) (13.3%)

特徴と注意点

Pola-R-CHP療法の適応

  • Pola-R-CHP療法の適応未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (diffuse large B-cell lymphoma;DLBCL).
  • POLARIX試験¹⁾は、 81歳以上、 ECOG PS 3以上、 IPI低リスクの患者を含んでいないことに注意して適応を決定する.
  • POLARIX試験¹⁾は、 無増悪生存期間を有意に延長した. 論文公表時点では全生存期間は延長していない.

ポラツズマブベドチン(Polatuzumab vedtin:Pola or PV)

  • Polaは、 DLBCLに対する抗体薬物複合体で、 細胞表面にあるCD79bに結合した後、 細胞内に移行し、 抗腫瘍作用をもつモノメチルアウリスタチンE (MMAE) を放出して効果を示す.
  • Pola投与による副作用:骨髄抑制、 感染症、 末梢性ニューロパチー、 infusion reaction (以下IRR)、 腫瘍崩壊症候群、 進行性多巣性白質脳症、 肝機能障害.
  • Polaは0.2又は0.22μmのメンブランフィルターを用いて投与.
  • Polaは溶解後2~8℃保管で72時間、 30℃・室内光下保管で24時間安定.

リツキシマブ(Rituximab:RIT)

  • 感染予防にST合剤、 抗真菌薬等の予防投与を考慮.
  • IRRに注意し、 段階的に投与速度を上げる.
ポラツズマブベドチン及びリツキシマブによるIRR発現時の対応の詳細は添付文書を参照.

関連する臨床試験の結果

POLARIX試験¹⁾

概要

  • 未治療のDLBCL患者を対象としたR-CHOP療法に対するポラツズマブベドチン+R-CHP療法の優越性を検証した国際共同第III相臨床試験.

結果

  • 無増悪生存期間 (追跡期間中央値28.2ヵ月):HR 0.73、 95%CI 0.57-0.95、 p=0.02).
  • 無増悪生存率 (2年):Pola-R-CHP群 76.7% vs R-CHOP群 70.2%.
  • 無イベント生存率 (2年):Pola-BR群 75.6% vs R-CHOP群 69.4% (HR 0.75、 95%CI 0.58-0.96、 p=0.02).
  • 全生存率 (2年):Pola-BR群 88.7% vs R-CHOP群 88.6% (HR 0.94、 95%CI 0.65-1.37、 p=0.75).
  • 全奏効率:Pola-R-CHP群 85.5% vs R-CHOP群 83.8%.
  • 完全奏効率:Pola-R-CHP群 78.0% vs R-CHOP群 74.0%.
  • 部分奏効率:Pola-R-CHP群 1.8% vs R-CHOP群 1.4%.
  • 安全性:Pola-R-CHP群とR-CHOP群の安全性プロファイルおよびGrade3/4の有害事象は同程度.

参考文献

  1. N Engl J Med. 2022 Jan 27;386(4):351-363.
最終更新:2024年3月22日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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