治療スケジュール
概要
監修医師

Ibrutinib:イブルチニブ(イムブルビカ®)

投与量コース投与日
420mg 経口1-Day 1-

前投薬

なし

その他

造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病 (ステロイド剤の投与で効果不十分な場合) に対して420mgを1日1回経口投与.
CYP3Aで代謝されるため相互作用に注意 (概要欄参照).
レジメン
Ibrutinib (cGVHD)
  • 本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

国際共同第III相試験 (PCYC-1140-IM試験) ⁴⁾より引用

骨髄抑制

  • 血小板減少症 (≧Grade3 9%)

主な有害事象

  • 不眠症 (28%、 ≧Grade3 1%)
  • 末梢浮腫 (27%、 ≧Grade3 0%)
  • 咳嗽 (21%、 ≧Grade3 0%)
  • 筋痙攣 (18%、 ≧Grade3 0%)
  • 下痢 (17%、 ≧Grade3 2%)
  • 倦怠感 (17%、 ≧Grade3 0%)
  • 嘔吐 (17%、 ≧Grade3 1%)
  • 上気道感染 (16%、 ≧Grade3 0%)
  • 呼吸困難 (10%、 ≧Grade3 2%)

特徴と注意点

適応

  • イブルチニブは、 造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病 (cGVHD) (ステロイドで効果不十分な場合)、 慢性リンパ性白血病又は小リンパ球性リンパ腫 (CLL/SLL)マントル細胞リンパ腫 (MCL)原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫 (WM/LPL)マントル細胞リンパ腫 (MCL) に保険適用.
  • cGVHD、 CLL/SLL、 WM/LPLには420mgを1日1回、 MCLには560mgを1日1回内服.

特徴

  • ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 活性を阻害することで、 異常な免疫応答を抑制し、 cGVHDに対する効果を発揮する. またT細胞の活性化に関与するインターロイキン2誘導性T細胞キナーゼを阻害することから、 cGVHD発症に寄与するT細胞にも作用する可能性が考えられている.
  • CYP3Aで代謝されるため相互作用に注意する. ボリコナゾール併用時は280mg1日1回ポサコナゾール併用時は140mg1日1回に減量する.
  • B型肝炎ウイルス、 結核、 帯状疱疹等が再活性化する可能性がある.
  • 中等度以上の肝機能障害患者への投与は禁忌である. 軽度の肝機能障害患者には減量を考慮する.
  • 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されていない.
  • 出血性事象の発現に注意. 「出血の高リスク因子 (下記)」を有する場合、 PT-INR、 APTT、 血小板凝集能、 第Ⅷ凝固因子、 von Willebrand因子活性を確認の上慎重に投与.

出血の高リスク因子

  • 抗凝固薬や抗血小板薬の併用
  • 周術期患者
  • 年齢65歳以上
  • 脂質異常症の既往
  • 精神神経疾患の既往
  • 大きな事故やけがの既往
  • リンパ球数の増加 (10万/µL以上)
  • 血小板数の減少 (10万/µL以下)
  • 出血の既往
  • 軽度の肝機能障害
  • CYP3A阻害薬の併用

cGVHDの症状改善時の投与中断例

臨床試験3試験 (54179060GVH3001試験、 PCYC-1146-IM試験、 PCYC-1140-IM試験) 規定より引用

以下の条件をすべて満たした場合、 医師の判断で中断可能とした. 中断後cGVHDが再燃・悪化した場合は再開を可とした.

  • cGVHD治療のために使用していた全ての全身免疫抑制剤を中止した.
  • 全ての免疫抑制剤 (イブルチニブ除く) を完全に中止した後12週間、 cGVHDに対する奏効が持続した.
  • 最低48週間イブルチニブを投与していた.

投与中止基準例

臨床試験3試験 (54179060GVH3001試験、 PCYC-1126-CA試験、 PCYC-1146-IM試験 規定より引用
  • 患者に許容できない有害事象が確認された場合
  • cGVHDに対して他の全身療法 (体外循環光療法ECPを含む) を開始した場合
  • cGVHDの進行が認められた場合
  • 移植の適応となった悪性腫瘍の進行又は再発もしくは移植後リンパ増殖性疾患の発症が認められた場合
  • 患者が妊娠した場合
  • 患者が投与中止を望んだ場合

関連する臨床試験の結果

海外第Ib/II相試験 (PCYC-1129-CA試験)¹⁾ ²⁾

概要

  • 非盲検、 多施設共同、 非ランダム化試験.
  • 18歳以上のステロイド依存性又は抵抗性のcGVHD患者 (n=42) を対象にイブルチニブ420mg/日を投与したときの有効性、 安全性及び忍容性を検討.
  • 観察期間中央値:25.6ヵ月 (範囲 0.5-36.7) (最終解析).

結果

  • 全奏効率:69.0% (95%CI 52.9-82.4).
  • 完全奏効 31.0%、 部分奏効 38.1%、 安定 14.3%、 疾患進行 4.8%.
  • cGVHDに関連した臓器別奏効率:口腔 88.0%、 皮膚 84.0%、 消化管 81.8%.
  • 奏効持続期間中央値:未到達 (範囲 0.03-33.87ヵ月).
  • 奏効持続率:20週以上 69.0%、 32週以上 62.1%、 44週以上 55.2%.
  • Lee cGVHD症状評価尺度7点以上の低下率:42.9% (95%CI 27.7-59.0).

安全性

  • イブルチニブと関連性がある重篤な有害事象 26.2%に認められ、 肺炎および敗血症性ショックがそれぞれ2例 (4.8%).
  • 投与中止に至った有害事象は42.9%に認められ、疲労および肺炎がそれぞれ2例 (4.8%).
  • 死亡例は気管支肺アスペルギルス症および肺炎がそれぞれ1例 (2.4%).

国内第III相試験 (54179060GVH3001試験)³⁾

概要

  • 非盲検、 多施設共同、 非ランダム化試験. 
  • 12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性のcGVHD患者 (n=19) を対象にイブルチニブ420mg/日を投与したときの有効性、 安全性等を検討. 
  • 観察期間中央値:11.9ヵ月 (範囲 1.9-16.7).

結果

  • 全奏効率:73.7% (95%CI 48.8-90.9). 
  • 完全奏効 10.5%、 部分奏効 63.2%、 安定 26.3%、 疾患進行 0.0%. 
  • cGVHDに関連した臓器別奏効率:口腔 35.7%、 皮膚 35.7%、 関節・筋膜 60.0%. 
  • 奏効持続期間中央値:未到達 (範囲 7.40ヵ月-推定不可). 
  • 奏効持続率:20週以上 71.4%. 

安全性

  • イブルチニブと関連性がある重篤な有害事象は42.1%に認められ、 肺炎 4例 (21.1%) および蜂巣炎 3例 (15.8%).
  • 投与中止に至った有害事象は15.8%に認められ、口内炎、 多臓器機能不全症候群およびクモ膜下出血がそれぞれ1例 (5.3%).
  • 死亡例は多臓器機能不全、真菌性肺炎およびクモ膜下出血がそれぞれ1例 (5.3%).

国際共同第III相試験 (PCYC-1140-IM)⁴⁾

概要

  • 二重盲検、 多施設共同、 国際共同、 ランダム化試験. 
  • 12歳以上の未治療の中等症~重症のcGVHD患者に対するイブルチニブ420mg/日+プレドニゾン (国内未承認) 併用 (n=95) の有効性、 安全性をプラセボ+プレドニゾン (n=98) と比較検証. 
  • 観察期間中央値:イブルチニブ群 19.8ヵ月 (範囲 0.59-34.2)、 プラセボ群 18.4ヵ月 (範囲 0.03-32.9).

結果

  • 全奏効率 (48週時点):イブルチニブ群 41% vsプラセボ群 37% (p=0.54).
  • 完全奏効(48週時点):イブルチニブ群 9% vsプラセボ群 6%.
  • 部分奏効(48週時点):イブルチニブ群 32% vsプラセボ群 31%.
  • 安定(48週時点):イブルチニブ群 4% vsプラセボ群 2%. 
  • 疾患進行(48週時点):イブルチニブ群 24% vsプラセボ群 35%.
  • cGVHD再燃(48週時点):イブルチニブ群 1% vsプラセボ群 3%.
  • 評価不能(48週時点):イブルチニブ群 30% vsプラセボ群 23%.
  • 無イベント生存期間中央値:イブルチニブ群 14.98ヵ月 vsプラセボ群 8.31ヵ月 (HR 0.756、 95%CI 0.535-1.066、 p=0.11).
  • 治療成功生存期間中央値:イブルチニブ群 16.43ヵ月 vsプラセボ群 9.10ヵ月 (HR 0.806、 95%CI 0.566-1.149).
  • 奏効持続期間中央値:イブルチニブ群 19.09ヵ月 vsプラセボ群 10.22ヵ月 (HR 0.717、 95%CI 0.482-1.068).

安全性

  • 重篤な有害事象はイブルチニブ群で46.8%に認められ、 血尿、 肺炎、 敗血症性ショック、 失神がそれぞれ2例 (2.1%).
  • 投与中止に至った有害事象はイブルチニブ群で22.3%に認められ、 心房細動および肺炎がそれぞれ2例 (2.1%).
  • 死亡に至った有害事象はイブルチニブ群で9.6%に認められ、 再発急性骨髄性白血病、 心停止、 cGVHD、 死亡、 肺炎、 真菌性肺炎、 気道感染、 敗血症および敗血症性ショックがそれぞれ1例 (1.1%).

参考文献

  1. Blood. 2017 Nov 23;130(21):2243-2250.
  2. Biol Blood Marrow Transplant. 2019 Oct;25(10):2002-2007.  
  3. Transplant Cell Ther. 2021 Oct;27(10):867.e1-867.e9.  
  4. J Clin Oncol. 2023 Apr 1;41(10):1876-1887.

関連コンテンツ

🔢 慢性GVHDの重症度分類

最終更新:2023年11月26日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
Ibrutinib (cGVHD)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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イブルチニブ
2023年11月26日更新

Ibrutinib:イブルチニブ(イムブルビカ®)

投与量コース投与日
420mg 経口1-Day 1-

前投薬

なし

その他

造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病 (ステロイド剤の投与で効果不十分な場合) に対して420mgを1日1回経口投与.
CYP3Aで代謝されるため相互作用に注意 (概要欄参照).

概要

  • 本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

国際共同第III相試験 (PCYC-1140-IM試験) ⁴⁾より引用

骨髄抑制

  • 血小板減少症 (≧Grade3 9%)

主な有害事象

  • 不眠症 (28%、 ≧Grade3 1%)
  • 末梢浮腫 (27%、 ≧Grade3 0%)
  • 咳嗽 (21%、 ≧Grade3 0%)
  • 筋痙攣 (18%、 ≧Grade3 0%)
  • 下痢 (17%、 ≧Grade3 2%)
  • 倦怠感 (17%、 ≧Grade3 0%)
  • 嘔吐 (17%、 ≧Grade3 1%)
  • 上気道感染 (16%、 ≧Grade3 0%)
  • 呼吸困難 (10%、 ≧Grade3 2%)

特徴と注意点

適応

  • イブルチニブは、 造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病 (cGVHD) (ステロイドで効果不十分な場合)、 慢性リンパ性白血病又は小リンパ球性リンパ腫 (CLL/SLL)マントル細胞リンパ腫 (MCL)原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫 (WM/LPL)マントル細胞リンパ腫 (MCL) に保険適用.
  • cGVHD、 CLL/SLL、 WM/LPLには420mgを1日1回、 MCLには560mgを1日1回内服.

特徴

  • ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) 活性を阻害することで、 異常な免疫応答を抑制し、 cGVHDに対する効果を発揮する. またT細胞の活性化に関与するインターロイキン2誘導性T細胞キナーゼを阻害することから、 cGVHD発症に寄与するT細胞にも作用する可能性が考えられている.
  • CYP3Aで代謝されるため相互作用に注意する. ボリコナゾール併用時は280mg1日1回ポサコナゾール併用時は140mg1日1回に減量する.
  • B型肝炎ウイルス、 結核、 帯状疱疹等が再活性化する可能性がある.
  • 中等度以上の肝機能障害患者への投与は禁忌である. 軽度の肝機能障害患者には減量を考慮する.
  • 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されていない.
  • 出血性事象の発現に注意. 「出血の高リスク因子 (下記)」を有する場合、 PT-INR、 APTT、 血小板凝集能、 第Ⅷ凝固因子、 von Willebrand因子活性を確認の上慎重に投与.

出血の高リスク因子

  • 抗凝固薬や抗血小板薬の併用
  • 周術期患者
  • 年齢65歳以上
  • 脂質異常症の既往
  • 精神神経疾患の既往
  • 大きな事故やけがの既往
  • リンパ球数の増加 (10万/µL以上)
  • 血小板数の減少 (10万/µL以下)
  • 出血の既往
  • 軽度の肝機能障害
  • CYP3A阻害薬の併用

cGVHDの症状改善時の投与中断例

臨床試験3試験 (54179060GVH3001試験、 PCYC-1146-IM試験、 PCYC-1140-IM試験) 規定より引用

以下の条件をすべて満たした場合、 医師の判断で中断可能とした. 中断後cGVHDが再燃・悪化した場合は再開を可とした.

  • cGVHD治療のために使用していた全ての全身免疫抑制剤を中止した.
  • 全ての免疫抑制剤 (イブルチニブ除く) を完全に中止した後12週間、 cGVHDに対する奏効が持続した.
  • 最低48週間イブルチニブを投与していた.

投与中止基準例

臨床試験3試験 (54179060GVH3001試験、 PCYC-1126-CA試験、 PCYC-1146-IM試験 規定より引用
  • 患者に許容できない有害事象が確認された場合
  • cGVHDに対して他の全身療法 (体外循環光療法ECPを含む) を開始した場合
  • cGVHDの進行が認められた場合
  • 移植の適応となった悪性腫瘍の進行又は再発もしくは移植後リンパ増殖性疾患の発症が認められた場合
  • 患者が妊娠した場合
  • 患者が投与中止を望んだ場合

関連する臨床試験の結果

海外第Ib/II相試験 (PCYC-1129-CA試験)¹⁾ ²⁾

概要

  • 非盲検、 多施設共同、 非ランダム化試験.
  • 18歳以上のステロイド依存性又は抵抗性のcGVHD患者 (n=42) を対象にイブルチニブ420mg/日を投与したときの有効性、 安全性及び忍容性を検討.
  • 観察期間中央値:25.6ヵ月 (範囲 0.5-36.7) (最終解析).

結果

  • 全奏効率:69.0% (95%CI 52.9-82.4).
  • 完全奏効 31.0%、 部分奏効 38.1%、 安定 14.3%、 疾患進行 4.8%.
  • cGVHDに関連した臓器別奏効率:口腔 88.0%、 皮膚 84.0%、 消化管 81.8%.
  • 奏効持続期間中央値:未到達 (範囲 0.03-33.87ヵ月).
  • 奏効持続率:20週以上 69.0%、 32週以上 62.1%、 44週以上 55.2%.
  • Lee cGVHD症状評価尺度7点以上の低下率:42.9% (95%CI 27.7-59.0).

安全性

  • イブルチニブと関連性がある重篤な有害事象 26.2%に認められ、 肺炎および敗血症性ショックがそれぞれ2例 (4.8%).
  • 投与中止に至った有害事象は42.9%に認められ、疲労および肺炎がそれぞれ2例 (4.8%).
  • 死亡例は気管支肺アスペルギルス症および肺炎がそれぞれ1例 (2.4%).

国内第III相試験 (54179060GVH3001試験)³⁾

概要

  • 非盲検、 多施設共同、 非ランダム化試験. 
  • 12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性のcGVHD患者 (n=19) を対象にイブルチニブ420mg/日を投与したときの有効性、 安全性等を検討. 
  • 観察期間中央値:11.9ヵ月 (範囲 1.9-16.7).

結果

  • 全奏効率:73.7% (95%CI 48.8-90.9). 
  • 完全奏効 10.5%、 部分奏効 63.2%、 安定 26.3%、 疾患進行 0.0%. 
  • cGVHDに関連した臓器別奏効率:口腔 35.7%、 皮膚 35.7%、 関節・筋膜 60.0%. 
  • 奏効持続期間中央値:未到達 (範囲 7.40ヵ月-推定不可). 
  • 奏効持続率:20週以上 71.4%. 

安全性

  • イブルチニブと関連性がある重篤な有害事象は42.1%に認められ、 肺炎 4例 (21.1%) および蜂巣炎 3例 (15.8%).
  • 投与中止に至った有害事象は15.8%に認められ、口内炎、 多臓器機能不全症候群およびクモ膜下出血がそれぞれ1例 (5.3%).
  • 死亡例は多臓器機能不全、真菌性肺炎およびクモ膜下出血がそれぞれ1例 (5.3%).

国際共同第III相試験 (PCYC-1140-IM)⁴⁾

概要

  • 二重盲検、 多施設共同、 国際共同、 ランダム化試験. 
  • 12歳以上の未治療の中等症~重症のcGVHD患者に対するイブルチニブ420mg/日+プレドニゾン (国内未承認) 併用 (n=95) の有効性、 安全性をプラセボ+プレドニゾン (n=98) と比較検証. 
  • 観察期間中央値:イブルチニブ群 19.8ヵ月 (範囲 0.59-34.2)、 プラセボ群 18.4ヵ月 (範囲 0.03-32.9).

結果

  • 全奏効率 (48週時点):イブルチニブ群 41% vsプラセボ群 37% (p=0.54).
  • 完全奏効(48週時点):イブルチニブ群 9% vsプラセボ群 6%.
  • 部分奏効(48週時点):イブルチニブ群 32% vsプラセボ群 31%.
  • 安定(48週時点):イブルチニブ群 4% vsプラセボ群 2%. 
  • 疾患進行(48週時点):イブルチニブ群 24% vsプラセボ群 35%.
  • cGVHD再燃(48週時点):イブルチニブ群 1% vsプラセボ群 3%.
  • 評価不能(48週時点):イブルチニブ群 30% vsプラセボ群 23%.
  • 無イベント生存期間中央値:イブルチニブ群 14.98ヵ月 vsプラセボ群 8.31ヵ月 (HR 0.756、 95%CI 0.535-1.066、 p=0.11).
  • 治療成功生存期間中央値:イブルチニブ群 16.43ヵ月 vsプラセボ群 9.10ヵ月 (HR 0.806、 95%CI 0.566-1.149).
  • 奏効持続期間中央値:イブルチニブ群 19.09ヵ月 vsプラセボ群 10.22ヵ月 (HR 0.717、 95%CI 0.482-1.068).

安全性

  • 重篤な有害事象はイブルチニブ群で46.8%に認められ、 血尿、 肺炎、 敗血症性ショック、 失神がそれぞれ2例 (2.1%).
  • 投与中止に至った有害事象はイブルチニブ群で22.3%に認められ、 心房細動および肺炎がそれぞれ2例 (2.1%).
  • 死亡に至った有害事象はイブルチニブ群で9.6%に認められ、 再発急性骨髄性白血病、 心停止、 cGVHD、 死亡、 肺炎、 真菌性肺炎、 気道感染、 敗血症および敗血症性ショックがそれぞれ1例 (1.1%).

参考文献

  1. Blood. 2017 Nov 23;130(21):2243-2250.
  2. Biol Blood Marrow Transplant. 2019 Oct;25(10):2002-2007.  
  3. Transplant Cell Ther. 2021 Oct;27(10):867.e1-867.e9.  
  4. J Clin Oncol. 2023 Apr 1;41(10):1876-1887.

関連コンテンツ

🔢 慢性GVHDの重症度分類

最終更新:2023年11月26日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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