治療スケジュール
概要
監修医師

Romiplostim:ロミプロスチム(ロミプレート®)

投与量コース投与日
1µg/kg1-Day 1、 8、 15、・・・

前投薬

なし

その他

ITPには初回投与量1μg/kgを皮下投与.
投与開始後血小板数、 症状に応じて投与量を適宜増減し、 週1回皮下投与する.
最高投与量は週1回10μg/kg.
再生不良性貧血とは用量が異なるため注意.
レジメン
Romiplostim
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ロミプレート® (添付文書/総合製品情報概要)

主な有害事象

主な有害事象

国内第Ⅲ相試験¹⁾より引用 

  • 頭痛 (23%)
  • 疲労、 四肢痛 (9%)
  • 倦怠感、 関節痛、 背部痛、 胸痛、 下痢、 浮動性めまい、 鼻出血、 四肢不快感、 悪心 (5%)

重大な有害事象

*添付文書より引用

  • 血栓症・血栓塞栓症
  • 肺塞栓症 (0.8%)
  • 深部静脈血栓症 (0.8%)
  • 心筋梗塞 (0.6%)
  • 血栓性静脈炎 (0.5%)
  • 骨髄レチクリン増生 (1.6%)

特徴と注意点

作用機序

  • トロンボポエチン受容体結合配列とヒトIgG1のFc領域を併せ持つ遺伝子組み換え融合タンパク質.
  • トロンボポエチン受容体を介して巨核球とその前駆細胞造血幹細胞や造血前駆細胞に作用する.

① 巨核球による血小板造血作用、 及び 巨核球系前駆細胞の増殖や分化を促進し、 血小板を増加させる.

② 造血幹細胞及び造血前駆細胞の増殖や分化を促進し、 血小板だけでなく赤血球及び好中球を増加させる.

適応

  • 適応:慢性特発性血小板減少性紫斑病 (cITP)、 及び 再生不良性貧血 (AA).
cITP:chronic idiopathic thrombocytopenic purpura
※近年、 免疫性血小板減少性紫斑病 (immune thrombocytopenic purpura)とも呼ばれる.
AA:aplastic anemia
  • cITPにおいては、 以下の場合に使用可能.

① 他の治療にて十分な効果が得られない場合

② 忍容性に問題があると考えられる場合.

③ 血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合.

用法・用量 

  • cITPとAAで用法及び用量が異なる.
  • cITPには、 初回投与量1μg/kgを週1回皮下投与する.
  • 投与開始後、 血小板数や症状に応じて投与量を適宜増減し、 週1回皮下投与する.
  • 最高投与量は10μg/kg.
  • 効果は通常1~2週間で現れるので、 増量にあたっては慎重に検討する.
  • 下記を参照の上、 治療上必要最小限の用量で使用する.

【ロミプレート®の用量調節】

  • 本剤投与中は、 血小板数が安定するまで (少なくとも4週間にわたり用量調整せずに血小板数が50,000/μL以上)、 血小板数を毎週測定する.
  • 血小板数が安定した場合でも4週に1回を目安に血小板数を測定する.
  • 最高投与量として週1回10μg/kgを4週間連続投与しても、 臨床上重大な出血リスクを回避できるレベルに血小板数が増加しなかった場合は、 本剤の投与を中止するなど、 適切な処置を行う.

重大な有害事象とその対策

血栓症・血栓塞栓症

  • 肺塞栓症 (0.8%)、 深部静脈血栓症 (0.8%)、 心筋梗塞 (0.6%)、 血栓性静脈炎 (0.5%) 等があらわれることがある.
  • 一般に血小板数が正常範囲の上限 (400,000/μL)を超えると血栓症又は血栓塞栓症のリスクが増大することが否定できない.
  • 発現頻度は、 慢性特発性血小板減少性紫斑病の承認時までの臨床試験に基づく.

骨髄レチクリン増生

  • 骨髄線維化があらわれる可能性がある.
  • 血球系の形態異常又は血球減少を認めた場合は、本剤の投与を中止する.
  • 線維化状態の確認のため骨髄生検・特殊染色等の実施を考慮する.

臨床試験

国内第Ⅲ相試験 (脾臓摘出歴の有無を問わない) ¹⁾

  • 対象:治療歴のある、血小板数が30,000/μg未満の血小板減少を呈するITP患者.
  • 本剤を3μg/kgから投与開始.
  • 12週間の投与期間において、有効性に関する主要評価項目である血小板反応(投与第2~13週目の各週の規定日に測定した血小板数が50,000/μL以上に増加すること)が認められた週数は、 本剤群で9.5±3.3週(平均値±標準偏差)、プラセボ群で0.2±0.4 週であり、本剤群で有意(P<0.0001)に高値であった.

海外第Ⅲ相試験 (脾臓摘出歴を有する患者) ²⁾

  • 治療歴を有し、 血小板数が30,000/μL未満のITP患者を対象.
  • 本剤を1µg/kgから投与開始.
  • 24週間の投与期間において、 持続血小板反応(治療期間の最後の8週間のうち6週間以上で血小板数が 50,000/μL以上であること)が認められた患者の割合は、 本剤群で38.1%、 プラセボ群で0%であり、 本剤群で有意(P<0.0013)に高値であった.

参考文献

  1. Int J Hematol. 2011 Jul;94(1):71-80.
  2. Lancet. 2008 Feb 2;371(9610):395-403.
  3. ロミプレート®インタビューフォーム
  4. ロミプレート® 総合製品情報概要

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最終更新:2023年11月15日
執筆担当:小澤病院薬剤部 長剛広
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ロミプロスチム(ロミプレート®)
2024年01月02日更新

Romiplostim:ロミプロスチム(ロミプレート®)

投与量コース投与日
1µg/kg1-Day 1、 8、 15、・・・

前投薬

なし

その他

ITPには初回投与量1μg/kgを皮下投与.
投与開始後血小板数、 症状に応じて投与量を適宜増減し、 週1回皮下投与する.
最高投与量は週1回10μg/kg.
再生不良性貧血とは用量が異なるため注意.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません.個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ロミプレート® (添付文書/総合製品情報概要)

主な有害事象

主な有害事象

国内第Ⅲ相試験¹⁾より引用 

  • 頭痛 (23%)
  • 疲労、 四肢痛 (9%)
  • 倦怠感、 関節痛、 背部痛、 胸痛、 下痢、 浮動性めまい、 鼻出血、 四肢不快感、 悪心 (5%)

重大な有害事象

*添付文書より引用

  • 血栓症・血栓塞栓症
  • 肺塞栓症 (0.8%)
  • 深部静脈血栓症 (0.8%)
  • 心筋梗塞 (0.6%)
  • 血栓性静脈炎 (0.5%)
  • 骨髄レチクリン増生 (1.6%)

特徴と注意点

作用機序

  • トロンボポエチン受容体結合配列とヒトIgG1のFc領域を併せ持つ遺伝子組み換え融合タンパク質.
  • トロンボポエチン受容体を介して巨核球とその前駆細胞造血幹細胞や造血前駆細胞に作用する.

① 巨核球による血小板造血作用、 及び 巨核球系前駆細胞の増殖や分化を促進し、 血小板を増加させる.

② 造血幹細胞及び造血前駆細胞の増殖や分化を促進し、 血小板だけでなく赤血球及び好中球を増加させる.

適応

  • 適応:慢性特発性血小板減少性紫斑病 (cITP)、 及び 再生不良性貧血 (AA).
cITP:chronic idiopathic thrombocytopenic purpura
※近年、 免疫性血小板減少性紫斑病 (immune thrombocytopenic purpura)とも呼ばれる.
AA:aplastic anemia
  • cITPにおいては、 以下の場合に使用可能.

① 他の治療にて十分な効果が得られない場合

② 忍容性に問題があると考えられる場合.

③ 血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合.

用法・用量 

  • cITPとAAで用法及び用量が異なる.
  • cITPには、 初回投与量1μg/kgを週1回皮下投与する.
  • 投与開始後、 血小板数や症状に応じて投与量を適宜増減し、 週1回皮下投与する.
  • 最高投与量は10μg/kg.
  • 効果は通常1~2週間で現れるので、 増量にあたっては慎重に検討する.
  • 下記を参照の上、 治療上必要最小限の用量で使用する.

【ロミプレート®の用量調節】

  • 本剤投与中は、 血小板数が安定するまで (少なくとも4週間にわたり用量調整せずに血小板数が50,000/μL以上)、 血小板数を毎週測定する.
  • 血小板数が安定した場合でも4週に1回を目安に血小板数を測定する.
  • 最高投与量として週1回10μg/kgを4週間連続投与しても、 臨床上重大な出血リスクを回避できるレベルに血小板数が増加しなかった場合は、 本剤の投与を中止するなど、 適切な処置を行う.

重大な有害事象とその対策

血栓症・血栓塞栓症

  • 肺塞栓症 (0.8%)、 深部静脈血栓症 (0.8%)、 心筋梗塞 (0.6%)、 血栓性静脈炎 (0.5%) 等があらわれることがある.
  • 一般に血小板数が正常範囲の上限 (400,000/μL)を超えると血栓症又は血栓塞栓症のリスクが増大することが否定できない.
  • 発現頻度は、 慢性特発性血小板減少性紫斑病の承認時までの臨床試験に基づく.

骨髄レチクリン増生

  • 骨髄線維化があらわれる可能性がある.
  • 血球系の形態異常又は血球減少を認めた場合は、本剤の投与を中止する.
  • 線維化状態の確認のため骨髄生検・特殊染色等の実施を考慮する.

臨床試験

国内第Ⅲ相試験 (脾臓摘出歴の有無を問わない) ¹⁾

  • 対象:治療歴のある、血小板数が30,000/μg未満の血小板減少を呈するITP患者.
  • 本剤を3μg/kgから投与開始.
  • 12週間の投与期間において、有効性に関する主要評価項目である血小板反応(投与第2~13週目の各週の規定日に測定した血小板数が50,000/μL以上に増加すること)が認められた週数は、 本剤群で9.5±3.3週(平均値±標準偏差)、プラセボ群で0.2±0.4 週であり、本剤群で有意(P<0.0001)に高値であった.

海外第Ⅲ相試験 (脾臓摘出歴を有する患者) ²⁾

  • 治療歴を有し、 血小板数が30,000/μL未満のITP患者を対象.
  • 本剤を1µg/kgから投与開始.
  • 24週間の投与期間において、 持続血小板反応(治療期間の最後の8週間のうち6週間以上で血小板数が 50,000/μL以上であること)が認められた患者の割合は、 本剤群で38.1%、 プラセボ群で0%であり、 本剤群で有意(P<0.0013)に高値であった.

参考文献

  1. Int J Hematol. 2011 Jul;94(1):71-80.
  2. Lancet. 2008 Feb 2;371(9610):395-403.
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最終更新:2023年11月15日
執筆担当:小澤病院薬剤部 長剛広
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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