概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

FASG-05試験²⁾より抜粋

前投薬

高度催吐性リスクのため、 アプレピタント、 5HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンを投与

投与開始基準

The FNCLCC PACS 01 Trial試験¹⁾より抜粋

18-64歳で、 組織学的に腋窩リンパ節転移が確認された以下に該当する女性患者

FASG-05試験²⁾³⁾より抜粋

18-64歳で、 組織学的に腋窩リンパ節転移が確認されたエストロゲンまたはプロゲステロン受容体陰性でPS≦2の患者

主な有害事象

The FNCLCC PACS 01 Trial試験¹⁾

Grade3、 4有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 好中球数減少 (21日目) 33.6%
  • 好中球数減少 (サイクル4-6) 20.2%
  • 発熱性好中球減少症 8.4%
  • 貧血 1.4%
  • 血小板数減少 0.3%
  • 悪心/嘔吐 20.5%
  • 口内炎 4.0%

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 83.9%

特徴と注意点

  • エピルビシンの総投与量が900mg/m²を超えると心毒性のリスクが上昇するため、 アントラサイクリン系の投与歴の確認が必要である。
  • シクロホスファミドにより出血性膀胱炎が起こる可能性があるが、 エピルビシンの投与で尿が赤色に着色するため鑑別に注意が必要である。
  • エピルビシンは起壊死性抗がん薬のため、 血管外漏出に注意が必要である。
  • アントラサイクリン系の心毒性に対して、 事前を含む定期的な左室駆出率の測定をする。
  • 5-FUの代謝酵素であるDPD (ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ) 酵素活性の低下や欠損症がある場合は、 重篤な有害事象が起こる可能性がある。 骨髄抑制、 皮膚障害、 粘膜障害、 下痢等の副作用の増強がないか注意する。

関連する臨床試験|The FNCLCC PACS 01 Trial試験¹⁾

腋窩リンパ節転移を有する乳癌患者の術後療法において、 FEC療法 (フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド) 後にドセタキセルを投与する効果を、 FEC療法単独を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験the FNCLCC PACS 01の結果より、 無病生存期間 (DFS) および全生存期間 (OS) を有意に延長させることが示された。

>>臨床試験の詳細を見る

5年DFS率

  • FEC-D群 : 78.4%
  • FEC群 : 73.2%
HR 0.83 (95%CI 0.69-0.99)、 p=0.034

サブグループ解析

  • リンパ節転移陽性が1~3個
HR 0.75 (95%CI 0.57-0.98)、 p=0.04
  • リンパ節転移が4個以上
HR 0.83 (95%CI 0.65-1.05)、 p=0.12
  • 年齢≧50歳
HR 0.64 (95%CI 0.49-0.84)、 p=0.001
  • 年齢<50歳
HR 0.95 (95%CI 0.74-1.20)、 p=0.65

OS (イベント数)

  • FEC-D群 : 100件
  • FEC群 : 135件

5年OS率

  • FEC-D群 : 90.7%
  • FEC群 : 86.7%
HR 0.73 (95%CI 0.56-0.94)

参考文献

  1. Sequential adjuvant epirubicin-based and docetaxel chemotherapy for node-positive breast cancer patients: the FNCLCC PACS 01 Trial. J Clin Oncol. 2006 Dec 20;24(36):5664-71. PMID: 17116941
  2. Epirubicin increases long-term survival in adjuvant chemotherapy of patients with poor-prognosis, node-positive, early breast cancer: 10-year follow-up results of the French Adjuvant Study Group 05 randomized trial. J Clin Oncol. 2005 Apr 20;23(12):2686-93. PMID: 15837983
  3. Benefit of a high-dose epirubicin regimen in adjuvant chemotherapy for node-positive breast cancer patients with poor prognostic factors: 5-year follow-up results of French Adjuvant Study Group 05 randomized trial. J Clin Oncol. 2001 Feb 1;19(3):602-11. PMID: 11157009
最終更新日:2024年2月14日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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フルオロウラシル、 エピルビシン、 シクロホスファミド
2024年03月06日更新
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用法用量

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前投薬

高度催吐性リスクのため、 アプレピタント、 5HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンを投与

投与開始基準

The FNCLCC PACS 01 Trial試験¹⁾より抜粋

18-64歳で、 組織学的に腋窩リンパ節転移が確認された以下に該当する女性患者

FASG-05試験²⁾³⁾より抜粋

18-64歳で、 組織学的に腋窩リンパ節転移が確認されたエストロゲンまたはプロゲステロン受容体陰性でPS≦2の患者

主な有害事象

The FNCLCC PACS 01 Trial試験¹⁾

Grade3、 4有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 好中球数減少 (21日目) 33.6%
  • 好中球数減少 (サイクル4-6) 20.2%
  • 発熱性好中球減少症 8.4%
  • 貧血 1.4%
  • 血小板数減少 0.3%
  • 悪心/嘔吐 20.5%
  • 口内炎 4.0%

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 83.9%

特徴と注意点

  • エピルビシンの総投与量が900mg/m²を超えると心毒性のリスクが上昇するため、 アントラサイクリン系の投与歴の確認が必要である。
  • シクロホスファミドにより出血性膀胱炎が起こる可能性があるが、 エピルビシンの投与で尿が赤色に着色するため鑑別に注意が必要である。
  • エピルビシンは起壊死性抗がん薬のため、 血管外漏出に注意が必要である。
  • アントラサイクリン系の心毒性に対して、 事前を含む定期的な左室駆出率の測定をする。
  • 5-FUの代謝酵素であるDPD (ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ) 酵素活性の低下や欠損症がある場合は、 重篤な有害事象が起こる可能性がある。 骨髄抑制、 皮膚障害、 粘膜障害、 下痢等の副作用の増強がないか注意する。

関連する臨床試験|The FNCLCC PACS 01 Trial試験¹⁾

腋窩リンパ節転移を有する乳癌患者の術後療法において、 FEC療法 (フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド) 後にドセタキセルを投与する効果を、 FEC療法単独を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験the FNCLCC PACS 01の結果より、 無病生存期間 (DFS) および全生存期間 (OS) を有意に延長させることが示された。

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5年DFS率

  • FEC-D群 : 78.4%
  • FEC群 : 73.2%
HR 0.83 (95%CI 0.69-0.99)、 p=0.034

サブグループ解析

  • リンパ節転移陽性が1~3個
HR 0.75 (95%CI 0.57-0.98)、 p=0.04
  • リンパ節転移が4個以上
HR 0.83 (95%CI 0.65-1.05)、 p=0.12
  • 年齢≧50歳
HR 0.64 (95%CI 0.49-0.84)、 p=0.001
  • 年齢<50歳
HR 0.95 (95%CI 0.74-1.20)、 p=0.65

OS (イベント数)

  • FEC-D群 : 100件
  • FEC群 : 135件

5年OS率

  • FEC-D群 : 90.7%
  • FEC群 : 86.7%
HR 0.73 (95%CI 0.56-0.94)

参考文献

  1. Sequential adjuvant epirubicin-based and docetaxel chemotherapy for node-positive breast cancer patients: the FNCLCC PACS 01 Trial. J Clin Oncol. 2006 Dec 20;24(36):5664-71. PMID: 17116941
  2. Epirubicin increases long-term survival in adjuvant chemotherapy of patients with poor-prognosis, node-positive, early breast cancer: 10-year follow-up results of the French Adjuvant Study Group 05 randomized trial. J Clin Oncol. 2005 Apr 20;23(12):2686-93. PMID: 15837983
  3. Benefit of a high-dose epirubicin regimen in adjuvant chemotherapy for node-positive breast cancer patients with poor prognostic factors: 5-year follow-up results of French Adjuvant Study Group 05 randomized trial. J Clin Oncol. 2001 Feb 1;19(3):602-11. PMID: 11157009
最終更新日:2024年2月14日
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執筆:公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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