治療スケジュール
概要
監修医師

Anagrelide:アナグレリド(アグリリン®)

投与量コース投与日
1回0.5mg 1日2回で開始 経口1~Day1~

その他

定期的に血小板数のモニタリングを行い、 目標血小板数未満に維持される必要最低限の用量を使用.
増量は1週間以上の間隔をあけ、 1日用量として0.5mgずつ行い、 1日4回を超えない範囲で分割投与.
1回用量2.5mg、 1日用量10mgを超えないこと. 7mgを超えて検討された本邦での試験成績は無し.
レジメン
Anagrelide
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

アグリリン® (添付文書 / 適正使用ガイド*)

※武田薬品工業株式会社株式会社の外部サイトへ遷移します。

主な有害事象

アグリリン®適正使用ガイド¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 貧血 (49%)
  • 白血球減少 (3.8%)
  • 好中球減少 (1.9%)
  • 血小板減少 (5.7%)

主な有害事象

  • 一般・全身障害および投与部位の状態 (50.9%)
  • 胃腸障害 (49.1%)
  • 神経系障害 (49.1%)
  • 心臓障害 (37.7%)
  • 臨床検査値異常 (34%)
  • 呼吸器、 胸郭および縦隔障害 (24.5%)
  • 感染症および寄生虫症 (22.6%)
  • 血管障害 (18.9%)
  • 皮膚および皮下組織障害 (17%)
  • 筋骨格系および結合組織障害 (11.3%)
  • 代謝および栄養障害 (11.3%)
  • 腎および尿路障害 (11.3%)

その他

  • 肝胆道系障害 (9.4%)
  • 眼障害 (3.8%)
  • 先天性、 家族性および遺伝性障害 (3.8%)
  • 傷害、 中毒および処置合併症 (3.8%)
  • 耳および迷路障害 (1.9%)
  • 精神障害 (1.9%)
  • 生殖系および乳房障害 (1.9%)

特徴と注意点

投与前検査

  • 抗血小板薬を併用する際は、 出血リスクを避けるため、 von Willebrand因子活性の検査を行う.
  • 全ET患者で心血管系リスク因子、 心血管系疾患既往、 心電図異常の有無の把握を行い、 既往や異常がある場合は、 本剤の投与可否について、 循環器専門医にコンサルトを行う.

副作用と対策

異常を認めた場合は、 減量、 休薬又は投与中止を検討し、 適切な処置を行う.

▼心臓障害

  • 投与開始前及び投与中は、 定期的に心機能検査 (心エコー、 心電図等) を行う.
  • 全身性浮腫、 呼吸困難、 運動耐性の低下、 咳嗽又は胸部X線異常等、 心臓関連の徴候又は症状を示す患者に対しては精密検査を検討する.
  • 本剤のPDEⅢ阻害作用により変力作用及び変時作用増強の可能性があるため、 他のPDEⅢ阻害薬との併用を避けることを推奨.
PDEⅢ: Phosphodiesterase Ⅲ (ホスホジエステラーゼⅢ) 他のPDEⅢ阻害薬 : ミルリノン、 オルプリノン、 シロスタゾール、 イブジラスト等
  • 動悸、 息切れ又は異常な倦怠感、 失神等があった場合、 速やかに報告するよう患者に指導.

▼QT/QTc延長  >>詳細をみる

  • QT間隔延長のおそれ又はその既往のある患者では慎重投与.
  • 投与開始前及び投与中は、 定期的に心電図検査及び電解質 (Ca、 K、 Mg) 測定を行う.
  • QTc間隔を延長させる薬剤を使用する場合は十分注意すること.

▼血液毒性

  • 定期的に血液検査 (血球数算定等) を実施し、 モニタリングを行う.

▼血栓・出血性事象

  • アスピリンと併用した場合、 アスピリン単独時に比べ出血リスクが上昇することから、 特に出血リスクの高い場合は患者ごとに検討を行う.
  • 血小板凝集抑制作用を有する薬剤と併用する場合は十分注意すること.
  • 血栓・出血リスクについて十分な説明を行い、 該当する症状があった場合は、 速やかに医師に報告するよう患者指導を行う.

▼間質性肺疾患

  • 発熱、 咳嗽及び呼吸困難などの症状を示す患者では胸部検査を行い、 必要に応じて精密検査を実施する.
  • 咳、 息切れ、 発熱などが出現・持続する場合は、 速やかに医師に報告するよう患者指導を行う.

▼頭痛

  • 投与開始後2週間は特に頭痛が生じやすい²⁾ことを患者に説明する.
開始3ヵ月以降の頭痛発現頻度は、2割以下に減少の報告³⁾
  • アセトアミノフェン等の鎮痛剤の投与を行う. アセトアミノフェン無効例ではトリプタン系の使用を考慮する.

関連する臨床試験の結果

SPD422-308試験⁴⁾

概要

国内第3相臨床試験 (多施設共同、 非盲検、 用量調節、 単一群)

他の細胞減少療法に不応/不耐用の高リスクET患者53例を対象に、 アナグレリドの有効性及び安全性を評価した

結果

 <有効性結果>

  • 投与期間 12ヵ月、 投与量中央値1.9mg/日
  • 67.9%が血小板反応 (<60万/μL) を示し、 45.3%が血小板数の正常化 (<40万/μL) を達成.
  • 血小板数反応までの期間中央値は98.5日.
  • 血小板数正常化までの期間中央値は274日.

 <安全性結果>

  • 主な有害事象は、 貧血、 頭痛、 動悸および下痢であり、 これらの大部分は軽度または中等度であった.
  • 高リスク日本人ET患者におけるアナグレリドの安全性プロファイルは、 欧州の製品特性概要と一致していた.

SPD422-309試験⁵⁾

概要

SPD422-308の継続試験

アナグレリドの継続が有用と判断された41例を対象に、 有効性及び安全性を評価した。

結果

 <有効性結果>

  • 平均血小板数は、 102.16万/μL (308試験開始時) から最終評価時の67.54万/μLまで減少した.
  • 4年間の治療を完了した10名の患者の平均血小板数は44.45万/μLであった.
  • 長期的な血小板数の減少は、 平均投与量を顕著に変化させることなく維持された.

 <安全性結果>

  • 主な有害事象は、 貧血 (54.7%)、 頭痛 (49.1%) であったが、 忍容性は良好だった.
  • 高リスク日本人ET患者において、 アナグレリドの持続的な有効性、 忍容性が示された.

参考文献

  1. アグリリン®適正使用ガイド
  2. Int J Clin Pract. 2012 Oct;66(10):976-83.
  3. Blood. 2001 Feb 15;97(4):863-6.
  4. Int J Hematol. 2014 Oct;100(4):353-60.
  5. Int J Hematol. 2018 Nov;108(5):491-498.

最終更新:2023年11月1日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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アナグレリド(アグリリン®)
2024年03月19日更新

Anagrelide:アナグレリド(アグリリン®)

投与量コース投与日
1回0.5mg 1日2回で開始 経口1~Day1~

その他

定期的に血小板数のモニタリングを行い、 目標血小板数未満に維持される必要最低限の用量を使用.
増量は1週間以上の間隔をあけ、 1日用量として0.5mgずつ行い、 1日4回を超えない範囲で分割投与.
1回用量2.5mg、 1日用量10mgを超えないこと. 7mgを超えて検討された本邦での試験成績は無し.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

アグリリン® (添付文書 / 適正使用ガイド*)

※武田薬品工業株式会社株式会社の外部サイトへ遷移します。

主な有害事象

アグリリン®適正使用ガイド¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 貧血 (49%)
  • 白血球減少 (3.8%)
  • 好中球減少 (1.9%)
  • 血小板減少 (5.7%)

主な有害事象

  • 一般・全身障害および投与部位の状態 (50.9%)
  • 胃腸障害 (49.1%)
  • 神経系障害 (49.1%)
  • 心臓障害 (37.7%)
  • 臨床検査値異常 (34%)
  • 呼吸器、 胸郭および縦隔障害 (24.5%)
  • 感染症および寄生虫症 (22.6%)
  • 血管障害 (18.9%)
  • 皮膚および皮下組織障害 (17%)
  • 筋骨格系および結合組織障害 (11.3%)
  • 代謝および栄養障害 (11.3%)
  • 腎および尿路障害 (11.3%)

その他

  • 肝胆道系障害 (9.4%)
  • 眼障害 (3.8%)
  • 先天性、 家族性および遺伝性障害 (3.8%)
  • 傷害、 中毒および処置合併症 (3.8%)
  • 耳および迷路障害 (1.9%)
  • 精神障害 (1.9%)
  • 生殖系および乳房障害 (1.9%)

特徴と注意点

投与前検査

  • 抗血小板薬を併用する際は、 出血リスクを避けるため、 von Willebrand因子活性の検査を行う.
  • 全ET患者で心血管系リスク因子、 心血管系疾患既往、 心電図異常の有無の把握を行い、 既往や異常がある場合は、 本剤の投与可否について、 循環器専門医にコンサルトを行う.

副作用と対策

異常を認めた場合は、 減量、 休薬又は投与中止を検討し、 適切な処置を行う.

▼心臓障害

  • 投与開始前及び投与中は、 定期的に心機能検査 (心エコー、 心電図等) を行う.
  • 全身性浮腫、 呼吸困難、 運動耐性の低下、 咳嗽又は胸部X線異常等、 心臓関連の徴候又は症状を示す患者に対しては精密検査を検討する.
  • 本剤のPDEⅢ阻害作用により変力作用及び変時作用増強の可能性があるため、 他のPDEⅢ阻害薬との併用を避けることを推奨.
PDEⅢ: Phosphodiesterase Ⅲ (ホスホジエステラーゼⅢ) 他のPDEⅢ阻害薬 : ミルリノン、 オルプリノン、 シロスタゾール、 イブジラスト等
  • 動悸、 息切れ又は異常な倦怠感、 失神等があった場合、 速やかに報告するよう患者に指導.

▼QT/QTc延長  >>詳細をみる

  • QT間隔延長のおそれ又はその既往のある患者では慎重投与.
  • 投与開始前及び投与中は、 定期的に心電図検査及び電解質 (Ca、 K、 Mg) 測定を行う.
  • QTc間隔を延長させる薬剤を使用する場合は十分注意すること.

▼血液毒性

  • 定期的に血液検査 (血球数算定等) を実施し、 モニタリングを行う.

▼血栓・出血性事象

  • アスピリンと併用した場合、 アスピリン単独時に比べ出血リスクが上昇することから、 特に出血リスクの高い場合は患者ごとに検討を行う.
  • 血小板凝集抑制作用を有する薬剤と併用する場合は十分注意すること.
  • 血栓・出血リスクについて十分な説明を行い、 該当する症状があった場合は、 速やかに医師に報告するよう患者指導を行う.

▼間質性肺疾患

  • 発熱、 咳嗽及び呼吸困難などの症状を示す患者では胸部検査を行い、 必要に応じて精密検査を実施する.
  • 咳、 息切れ、 発熱などが出現・持続する場合は、 速やかに医師に報告するよう患者指導を行う.

▼頭痛

  • 投与開始後2週間は特に頭痛が生じやすい²⁾ことを患者に説明する.
開始3ヵ月以降の頭痛発現頻度は、2割以下に減少の報告³⁾
  • アセトアミノフェン等の鎮痛剤の投与を行う. アセトアミノフェン無効例ではトリプタン系の使用を考慮する.

関連する臨床試験の結果

SPD422-308試験⁴⁾

概要

国内第3相臨床試験 (多施設共同、 非盲検、 用量調節、 単一群)

他の細胞減少療法に不応/不耐用の高リスクET患者53例を対象に、 アナグレリドの有効性及び安全性を評価した

結果

 <有効性結果>

  • 投与期間 12ヵ月、 投与量中央値1.9mg/日
  • 67.9%が血小板反応 (<60万/μL) を示し、 45.3%が血小板数の正常化 (<40万/μL) を達成.
  • 血小板数反応までの期間中央値は98.5日.
  • 血小板数正常化までの期間中央値は274日.

 <安全性結果>

  • 主な有害事象は、 貧血、 頭痛、 動悸および下痢であり、 これらの大部分は軽度または中等度であった.
  • 高リスク日本人ET患者におけるアナグレリドの安全性プロファイルは、 欧州の製品特性概要と一致していた.

SPD422-309試験⁵⁾

概要

SPD422-308の継続試験

アナグレリドの継続が有用と判断された41例を対象に、 有効性及び安全性を評価した。

結果

 <有効性結果>

  • 平均血小板数は、 102.16万/μL (308試験開始時) から最終評価時の67.54万/μLまで減少した.
  • 4年間の治療を完了した10名の患者の平均血小板数は44.45万/μLであった.
  • 長期的な血小板数の減少は、 平均投与量を顕著に変化させることなく維持された.

 <安全性結果>

  • 主な有害事象は、 貧血 (54.7%)、 頭痛 (49.1%) であったが、 忍容性は良好だった.
  • 高リスク日本人ET患者において、 アナグレリドの持続的な有効性、 忍容性が示された.

参考文献

  1. アグリリン®適正使用ガイド
  2. Int J Clin Pract. 2012 Oct;66(10):976-83.
  3. Blood. 2001 Feb 15;97(4):863-6.
  4. Int J Hematol. 2014 Oct;100(4):353-60.
  5. Int J Hematol. 2018 Nov;108(5):491-498.

最終更新:2023年11月1日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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