概要
監修医師
「がん薬物療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん」 に対して、 2023年11月20日に承認申請、 2024年10月30日に二部会で承認を了承、 今後正式承認見込みである
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

バルバーサ® (掲載準備中)

2024年10月30日 二部会で承認を了承、 今後正規承認見込み
線維芽細胞増殖因子受容体 (FGFR) チロシンキナーゼ阻害薬
エルダフィチニブ、 ヤンセンファーマ

用法用量

<がん薬物療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん>

通常、 成人には1日1回8mgを2週間経口投与し、 それ以降は1日1回9mgを経口投与する。 なお、 患者の状態により適宜減量する

KeyData|臨床試験結果

THOR試験

N Engl J Med. 2023 ;389(21):1961-71.

FGFR3/2変異陽性の転移性尿路上皮癌を有し、 抗PD-1 薬または抗 PD-L1薬を含む1~2 種類の前治療後に進行を認めた患者266例を対象として、 エルダフィチニブを化学療法と比較した国際共同第Ⅲ相試験。 主要評価項目はOSであった。

【有効性】エルダフィチニブ群 136例

  • ORR   45.6%
  • mPFS 5.6ヵ月
  • mOS  12.1ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 ≧Grade3)

  • 高リン血症 80.0% (5.2%)
  • 下痢 62.2% (3.0%)
  • 口内炎 48.1% (8.1%)
  • 口渇 39.3% (0%)
  • 手掌足底発赤知覚不全症候群 30.4% (9.6%)
  • 味覚障害 27.4% (0.7%)
  • ALT増加 27.4% (3.0%)
  • 便秘 26.7% (0%)
  • 食欲減退 26.7% (3.0%)
  • 貧血 25.9% (7.4%)
  • 脱毛症 25.2% (0.7%)
  • 乾燥肌 23.0% (1.5%)
  • 爪剥離症 23.0% (5.9%)
  • 体重減少 22.2% (2.2%)
  • AST増加 21.5% (2.2%)
  • 爪甲脱落症 20.7% (1.5%)
  • 爪の変色 17.8% (0.7%)
  • ドライアイ 17.0% (0%)
  • 無力症 14.8% (1.5%)
  • 悪心 14.8% (1.5%)
  • 倦怠感 14.8% (0%)
N Engl J Med. 2023 Nov 23;389(21):1961-1971より引用

特徴と注意点

コンパニオン診断について

QIAGEN社のTherascreen®にて、 FGFR3遺伝子変異 R248C, S249C, G370C, Y373C, あるいはFGFR2 や FGFR3の融合遺伝子 FGFR2-BICC1, FGFR2-CASP7, FGFR3-TACC3, FGFR3-BAIAP2L1が認められた場合に治療の適応となる。 陽性率は16.6%と報告されている。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

治療の適応について

転移性尿路上皮がんで、 免疫チェックポイント阻害薬を含む1-2ライン後に進行した症例が治療の適応となる。 主治医選択化学療法 (ドセタキセル、 Vinflunin (本邦未承認) と比べてPFS、 OS、 RRで優れていた。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

高リン血症の管理

エルダフィチニブは高リン血症の有害事象があり初期用量が低く設定されているため、 血清リン値のモニタリングを行い、 2週間後に8mgから9mgへの漸増を行う必要がある。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

各プロトコル

投与開始基準

THOR試験のプロトコル¹⁾

N Engl J Med. 2023 Nov 23;389(21):1961-1971より作図

出典

1) Erdafitinib or Chemotherapy in Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma. N Engl J Med. 2023 Nov 23;389(21):1961-1971. PMID: 37870920

最終更新日 : 2024年11月20日
監修医師 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

レジメン
Erdafitinib
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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エルダフィチニブ (バルバーサ®)
2024年11月20日更新
「がん薬物療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん」 に対して、 2023年11月20日に承認申請、 2024年10月30日に二部会で承認を了承、 今後正式承認見込みである
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

バルバーサ® (掲載準備中)

2024年10月30日 二部会で承認を了承、 今後正規承認見込み
線維芽細胞増殖因子受容体 (FGFR) チロシンキナーゼ阻害薬
エルダフィチニブ、 ヤンセンファーマ

用法用量

<がん薬物療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん>

通常、 成人には1日1回8mgを2週間経口投与し、 それ以降は1日1回9mgを経口投与する。 なお、 患者の状態により適宜減量する

KeyData|臨床試験結果

THOR試験

N Engl J Med. 2023 ;389(21):1961-71.

FGFR3/2変異陽性の転移性尿路上皮癌を有し、 抗PD-1 薬または抗 PD-L1薬を含む1~2 種類の前治療後に進行を認めた患者266例を対象として、 エルダフィチニブを化学療法と比較した国際共同第Ⅲ相試験。 主要評価項目はOSであった。

【有効性】エルダフィチニブ群 136例

  • ORR   45.6%
  • mPFS 5.6ヵ月
  • mOS  12.1ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 ≧Grade3)

  • 高リン血症 80.0% (5.2%)
  • 下痢 62.2% (3.0%)
  • 口内炎 48.1% (8.1%)
  • 口渇 39.3% (0%)
  • 手掌足底発赤知覚不全症候群 30.4% (9.6%)
  • 味覚障害 27.4% (0.7%)
  • ALT増加 27.4% (3.0%)
  • 便秘 26.7% (0%)
  • 食欲減退 26.7% (3.0%)
  • 貧血 25.9% (7.4%)
  • 脱毛症 25.2% (0.7%)
  • 乾燥肌 23.0% (1.5%)
  • 爪剥離症 23.0% (5.9%)
  • 体重減少 22.2% (2.2%)
  • AST増加 21.5% (2.2%)
  • 爪甲脱落症 20.7% (1.5%)
  • 爪の変色 17.8% (0.7%)
  • ドライアイ 17.0% (0%)
  • 無力症 14.8% (1.5%)
  • 悪心 14.8% (1.5%)
  • 倦怠感 14.8% (0%)
N Engl J Med. 2023 Nov 23;389(21):1961-1971より引用

特徴と注意点

コンパニオン診断について

QIAGEN社のTherascreen®にて、 FGFR3遺伝子変異 R248C, S249C, G370C, Y373C, あるいはFGFR2 や FGFR3の融合遺伝子 FGFR2-BICC1, FGFR2-CASP7, FGFR3-TACC3, FGFR3-BAIAP2L1が認められた場合に治療の適応となる。 陽性率は16.6%と報告されている。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

治療の適応について

転移性尿路上皮がんで、 免疫チェックポイント阻害薬を含む1-2ライン後に進行した症例が治療の適応となる。 主治医選択化学療法 (ドセタキセル、 Vinflunin (本邦未承認) と比べてPFS、 OS、 RRで優れていた。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

高リン血症の管理

エルダフィチニブは高リン血症の有害事象があり初期用量が低く設定されているため、 血清リン値のモニタリングを行い、 2週間後に8mgから9mgへの漸増を行う必要がある。

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

各プロトコル

投与開始基準

THOR試験のプロトコル¹⁾

N Engl J Med. 2023 Nov 23;389(21):1961-1971より作図

出典

1) Erdafitinib or Chemotherapy in Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma. N Engl J Med. 2023 Nov 23;389(21):1961-1971. PMID: 37870920

最終更新日 : 2024年11月20日
監修医師 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(泌尿器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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