治療スケジュール
概要
監修医師

G-CSF:フィルグラスチム(グラン®)

投与量コース投与日
300μg/m² 皮下注1治療開始時、 24時間後、 48時間後、 72時間後

FLU:フルダラビン(フルダラ®)

投与量コース投与日
15mg/m² 点滴静注 <30min>120時間後、 32時間後、 44時間後、 56時間後、 68時間後、 80時間後、 92時間後、 104時間後

Ara-C:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m² 点滴静注 <3hr>124時間後、 36時間後、 48時間後、 60時間後、 72時間後、 84時間後、 96時間後、 108時間後

MIT:ミトキサントロン(ノバントロン®)

投与量コース投与日
10mg/m² 点滴静注 <30min>172時間後、 96時間後、 120時間後

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬を使用.

その他

Ara-Cによる発熱や発疹予防として、 投与前に副腎皮質ステロイドを考慮.
中枢神経系毒性、 骨髄抑制の軽減目的にAra-Cは3hrで投与.
抗白血病効果を最大とするための時間設定であり、 各々の開始時間を遵守.
レジメン
FLAGM
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

Int J Hematol. 2019;109(4):418425.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 貧血
  • 好中球減少
  • 血小板減少

主な有害事象

  • 感染症 (≧Grade3 59%)
  • 吐き気/嘔吐 (≧Grade3 15%)

その他

  • 下痢 (≧Grade3 7%)
  • 肝酵素上昇 (≧Grade3 7%)

特徴と注意点

  • FLAGMは再発難治性の急性骨髄性白血病 (AML) における治療選択の一つ.
  • 抗白血病作用の増強を目的に、 既存のFLAG療法²⁾を改変・追加したレジメン. シタラビン (Ara-C) 用量は第1相試験の結果をもとに設定³⁾. 
改変・追加内容:Ara-C 2,000mg/回/12hrに増量、 ミトキサントロン追加
  • フルダラビンはAra-C投与の4時間前に投与.
フルダラビンの前投与により、 Ara-C活性代謝物質 (Ara-CTP) の細胞内濃度が上昇し、 抗白血病作用が増強

感染対策

  • 抗菌薬、 抗真菌薬の予防投与を考慮.
  • FN時には経験的抗菌薬を使用.

各薬剤の副作用と対策

  • Ara-C大量療法に伴う角膜・結膜障害予防にステロイド含有点眼薬を使用.
  • Ara-Cによる発熱や発疹の対策として投与前に副腎皮質ホルモン薬の使用を考慮.
  • 小脳失調、 傾眠、 痙攣などが認められた場合は直ちに投与を中止.
  • ミトキサントロンには累積心毒性があるため、 上限量に注意.

関連する臨床試験の結果

Int J Hematol. 2019;109(4):418-425.¹⁾

概要

  • FLAGMを用いた国内第2相試験
  • 対象:再発/難治性のAML患者41名
  • 年齢中央値:52歳 (範囲18-64歳)
  • 主要評価項目:完全寛解 (CR) 率、 早期死亡

結果

  • CR:30例 (73%、 95%CI 58-84%)
  • 早期死亡:肺炎による1例
  • 2年全生存率は39.4% (95%CI 25.2-55.6%)
  • CRを達成した患者のうち27例が同種幹細胞移植 (SCT) を受け、 12例のSCT施行者は長期生存を示した.
  • FLAGMは再発/難治性AML患者に対する有効かつ安全な救済療法であり、 多くの患者にSCTを促進することができた.

参考文献

  1. Int J Hematol. 2019 Apr;109(4):418-425.
  2. J Clin Oncol. 1994 Apr;12(4):671-8. 
  3. Int J Hematol. 2007 Nov;86(4):343-7. 

最終更新:2022年3月23日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
レジメン
FLAGM
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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フルダラビン、シタラビン、G-CSF、ミトキサントロン
2023年04月01日更新

G-CSF:フィルグラスチム(グラン®)

投与量コース投与日
300μg/m² 皮下注1治療開始時、 24時間後、 48時間後、 72時間後

FLU:フルダラビン(フルダラ®)

投与量コース投与日
15mg/m² 点滴静注 <30min>120時間後、 32時間後、 44時間後、 56時間後、 68時間後、 80時間後、 92時間後、 104時間後

Ara-C:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m² 点滴静注 <3hr>124時間後、 36時間後、 48時間後、 60時間後、 72時間後、 84時間後、 96時間後、 108時間後

MIT:ミトキサントロン(ノバントロン®)

投与量コース投与日
10mg/m² 点滴静注 <30min>172時間後、 96時間後、 120時間後

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬を使用.

その他

Ara-Cによる発熱や発疹予防として、 投与前に副腎皮質ステロイドを考慮.
中枢神経系毒性、 骨髄抑制の軽減目的にAra-Cは3hrで投与.
抗白血病効果を最大とするための時間設定であり、 各々の開始時間を遵守.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

Int J Hematol. 2019;109(4):418425.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 貧血
  • 好中球減少
  • 血小板減少

主な有害事象

  • 感染症 (≧Grade3 59%)
  • 吐き気/嘔吐 (≧Grade3 15%)

その他

  • 下痢 (≧Grade3 7%)
  • 肝酵素上昇 (≧Grade3 7%)

特徴と注意点

  • FLAGMは再発難治性の急性骨髄性白血病 (AML) における治療選択の一つ.
  • 抗白血病作用の増強を目的に、 既存のFLAG療法²⁾を改変・追加したレジメン. シタラビン (Ara-C) 用量は第1相試験の結果をもとに設定³⁾. 
改変・追加内容:Ara-C 2,000mg/回/12hrに増量、 ミトキサントロン追加
  • フルダラビンはAra-C投与の4時間前に投与.
フルダラビンの前投与により、 Ara-C活性代謝物質 (Ara-CTP) の細胞内濃度が上昇し、 抗白血病作用が増強

感染対策

  • 抗菌薬、 抗真菌薬の予防投与を考慮.
  • FN時には経験的抗菌薬を使用.

各薬剤の副作用と対策

  • Ara-C大量療法に伴う角膜・結膜障害予防にステロイド含有点眼薬を使用.
  • Ara-Cによる発熱や発疹の対策として投与前に副腎皮質ホルモン薬の使用を考慮.
  • 小脳失調、 傾眠、 痙攣などが認められた場合は直ちに投与を中止.
  • ミトキサントロンには累積心毒性があるため、 上限量に注意.

関連する臨床試験の結果

Int J Hematol. 2019;109(4):418-425.¹⁾

概要

  • FLAGMを用いた国内第2相試験
  • 対象:再発/難治性のAML患者41名
  • 年齢中央値:52歳 (範囲18-64歳)
  • 主要評価項目:完全寛解 (CR) 率、 早期死亡

結果

  • CR:30例 (73%、 95%CI 58-84%)
  • 早期死亡:肺炎による1例
  • 2年全生存率は39.4% (95%CI 25.2-55.6%)
  • CRを達成した患者のうち27例が同種幹細胞移植 (SCT) を受け、 12例のSCT施行者は長期生存を示した.
  • FLAGMは再発/難治性AML患者に対する有効かつ安全な救済療法であり、 多くの患者にSCTを促進することができた.

参考文献

  1. Int J Hematol. 2019 Apr;109(4):418-425.
  2. J Clin Oncol. 1994 Apr;12(4):671-8. 
  3. Int J Hematol. 2007 Nov;86(4):343-7. 

最終更新:2022年3月23日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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