治療スケジュール
概要
監修医師

Bmab:ベバシズマブ(アバスチン®)

投与量コース投与日
7.5mg/kg 点滴1~Day1

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
130mg/m² 点滴1~Day1

S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/日 経口 (40~60mg/回 朝夕食後)1~Day1夕~15朝

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A
制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

その他

1コース21日間。
S-1+L-OHPをSOX療法と呼ぶ。
レジメン
SOX+Bmab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

 *中外製薬の外部サイトへ遷移します

用法用量

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A

制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

投与開始基準

SOFT試験¹⁾の抜粋

20〜80歳の組織学的に証明された根治切除不能、 進行または再発の大腸癌で以下の条件を満たす患者

主な有害事象

SOFT試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板減少症 70.0% (3.6%)
  • 好中球減少症 59.2% (8.8%)
  • 白血球減少症 58.0% (2.4%)
  • AST増加 55.2% (4.4%)
  • ALT増加 39.2% (4.8%)
  • 貧血 39.2% (5.2%)
  • 倦怠感 56.0% (2.8%)
  • 下痢 53.2% (9.2%)
  • 悪心 52.0% (2.0%)
  • 口腔粘膜炎 41.2% (1.6%)
  • 嘔吐 20.4% (8.0%)
  • 発熱 15.2% (0%)

注意すべき有害事象

  • 感覚ニューロパチー 91.2% (10.0%)
  • 蛋白尿 46.0% (0%)
  • 高血圧 26.0% (6.0%)
  • 手足症候群 15.6% (0.4%)
  • 脱毛症 6.0% (0%)

上手に使うためのワンポイント

  • 実臨床ではCIPN評価に、 CTCAEよりも症状の期間を加味されたDEB-NTCを用いてオキサリプラチン中止時期を検討する。 コンバージョンが明らかに困難と思われ、 延命を目的とするような症例では、 QOL低下を考慮して、OPTIMOX1試験²⁾に準じたオキサリプラチン計画中止も積極的に検討する。
  • オキサリプラチン130mg/m²は、 悪心・嘔吐を訴える症例が多く、 著者はルーチンでNK1受容体阻害薬 (例:アプレピタント) を投与している。
  • 早期にオキサリプラチンによるGrade2以下のアレルギーが生じた症例の場合は、 アレルギー予防³⁾を行いながら、 可能な範囲で継続を検討する。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、 1次治療の標準治療の1つである⁴⁾。
  • CrCl 30mL/min以下の症例にはS1は禁忌である。
  • オキサリプラチンの末梢神経障害は、 長期に渡って遺残することが多い。 また、 中止後の増悪 (コースティング) も見られることから、 導入前に十分に患者に説明し、 適切なタイミングで中止する。

関連する臨床試験

SOFT試験¹⁾

化学療法未施行の切除不能大腸癌を対象とし、 mFOLFOX6+BV療法を対照に、 SOX+BV療法の無増悪生存期間における非劣性を検証するためのオープンラベル非劣性検証無作為化第Ⅲ相試験。 主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS) 、 副次評価項目は全生存期間 (0S) 、 無増悪期間、 有害事象の発現頻度と程度等とされた。

Lancet Oncol. 2013 Dec;14(13):1278-86. 

参考文献

  1. Leucovorin, fluorouracil, and oxaliplatin plus bevacizumab versus S-1 and oxaliplatin plus bevacizumab in patients with metastatic colorectal cancer (SOFT): an open-label, non-inferiority, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2013 Dec;14(13):1278-86. PMID: 24225157
  2. OPTIMOX1: a randomized study of FOLFOX4 or FOLFOX7 with oxaliplatin in a stop-and-Go fashion in advanced colorectal cancer--a GERCOR study.J Clin Oncol. 2006 Jan 20;24(3):394-400. PMID: 16421419
  3. A single-arm Phase II validation study of preventing oxaliplatin-induced hypersensitivity reactions by dexamethasone: the AVOID trial. Drug Des Devel Ther. 2015 Nov 11;9:6067-73. PMID: 26648694
  4. 金原出版株式会社.大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編.
最終更新日:2023年10月17日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
SOX+Bmab
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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SOX+Bmab

S-1+オキサリプラチン+ベバシズマブ
2023年12月13日更新

Bmab:ベバシズマブ(アバスチン®)

投与量コース投与日
7.5mg/kg 点滴1~Day1

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
130mg/m² 点滴1~Day1

S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/日 経口 (40~60mg/回 朝夕食後)1~Day1夕~15朝

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A
制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

その他

1コース21日間。
S-1+L-OHPをSOX療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

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用法用量

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A

制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

投与開始基準

SOFT試験¹⁾の抜粋

20〜80歳の組織学的に証明された根治切除不能、 進行または再発の大腸癌で以下の条件を満たす患者

主な有害事象

SOFT試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板減少症 70.0% (3.6%)
  • 好中球減少症 59.2% (8.8%)
  • 白血球減少症 58.0% (2.4%)
  • AST増加 55.2% (4.4%)
  • ALT増加 39.2% (4.8%)
  • 貧血 39.2% (5.2%)
  • 倦怠感 56.0% (2.8%)
  • 下痢 53.2% (9.2%)
  • 悪心 52.0% (2.0%)
  • 口腔粘膜炎 41.2% (1.6%)
  • 嘔吐 20.4% (8.0%)
  • 発熱 15.2% (0%)

注意すべき有害事象

  • 感覚ニューロパチー 91.2% (10.0%)
  • 蛋白尿 46.0% (0%)
  • 高血圧 26.0% (6.0%)
  • 手足症候群 15.6% (0.4%)
  • 脱毛症 6.0% (0%)

上手に使うためのワンポイント

  • 実臨床ではCIPN評価に、 CTCAEよりも症状の期間を加味されたDEB-NTCを用いてオキサリプラチン中止時期を検討する。 コンバージョンが明らかに困難と思われ、 延命を目的とするような症例では、 QOL低下を考慮して、OPTIMOX1試験²⁾に準じたオキサリプラチン計画中止も積極的に検討する。
  • オキサリプラチン130mg/m²は、 悪心・嘔吐を訴える症例が多く、 著者はルーチンでNK1受容体阻害薬 (例:アプレピタント) を投与している。
  • 早期にオキサリプラチンによるGrade2以下のアレルギーが生じた症例の場合は、 アレルギー予防³⁾を行いながら、 可能な範囲で継続を検討する。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、 1次治療の標準治療の1つである⁴⁾。
  • CrCl 30mL/min以下の症例にはS1は禁忌である。
  • オキサリプラチンの末梢神経障害は、 長期に渡って遺残することが多い。 また、 中止後の増悪 (コースティング) も見られることから、 導入前に十分に患者に説明し、 適切なタイミングで中止する。

関連する臨床試験

SOFT試験¹⁾

化学療法未施行の切除不能大腸癌を対象とし、 mFOLFOX6+BV療法を対照に、 SOX+BV療法の無増悪生存期間における非劣性を検証するためのオープンラベル非劣性検証無作為化第Ⅲ相試験。 主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS) 、 副次評価項目は全生存期間 (0S) 、 無増悪期間、 有害事象の発現頻度と程度等とされた。

Lancet Oncol. 2013 Dec;14(13):1278-86. 

参考文献

  1. Leucovorin, fluorouracil, and oxaliplatin plus bevacizumab versus S-1 and oxaliplatin plus bevacizumab in patients with metastatic colorectal cancer (SOFT): an open-label, non-inferiority, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2013 Dec;14(13):1278-86. PMID: 24225157
  2. OPTIMOX1: a randomized study of FOLFOX4 or FOLFOX7 with oxaliplatin in a stop-and-Go fashion in advanced colorectal cancer--a GERCOR study.J Clin Oncol. 2006 Jan 20;24(3):394-400. PMID: 16421419
  3. A single-arm Phase II validation study of preventing oxaliplatin-induced hypersensitivity reactions by dexamethasone: the AVOID trial. Drug Des Devel Ther. 2015 Nov 11;9:6067-73. PMID: 26648694
  4. 金原出版株式会社.大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編.
最終更新日:2023年10月17日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。