治療スケジュール
概要
監修医師

Lenvatinib:レンバチニブ(レンビマ®)

投与量コース投与日
≧60kg 12mg/日 分1経口連日服用Day1~
<60kg 8mg/日 分1経口連日服用Day1~
レジメン
Lenvatinib
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

レンビマ® (添付文書)

用法用量 (連日投与)

投与開始基準

REFLECT試験¹⁾より抜粋

減量・休薬・中止基準

初回基準量と減量レベル

主な有害事象

REFLECT試験¹⁾

日本人集団において発現率≧10%の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板数減少 28.4% (7.4%)
  • 高血圧 49.4% (32.1%)
  • 食欲減退 48.1% (7.4%)
  • 下痢 37.0% (3.7%)
  • 体重減少 19.8% (4.9%)
  • 疲労 14.8% (0%)
  • 悪心 14.8% (0%)

注意すべき有害事象

  • 手掌・足底発赤知覚不全症候群 51.9% (7.4%)
  • 蛋白尿 45.7% (8.6%)

上手に使うためのワンポイント

  • REFLECT試験¹⁾のレンバチニブに割り付けられた日本人集団の注意が必要な副作用として高血圧、 蛋白尿、 食欲減退、 疲労、 甲状腺機能低下症などが報告されている。
  • 特に高齢者の多い本邦の肝細胞癌患者において食欲減退はQOLの低下だけではなく、 治療中断・中止に直結するため適切な休薬減量介入を要する。
  • レンバチニブは休薬基準が尿蛋白3.5g/日とされる。 一方で他レジメンによる逐次治療を考慮する際、 他レジメンは休薬基準が尿蛋白2.0g/日となっていることに注意が必要である。

特徴と注意点

  • 本レジメンは免疫療法登場以前に切除不能肝細胞癌に対する一次治療としてREFLECT試験¹⁾でソラフェニブに対する非劣性を証明して承認された。
  • 肝予備能がChild-Pugh分類Aの症例に対して使用が推奨されており、 それ以外の肝予備能の症例に対しては有効性・安全性が確立していない。 体重別 (60kg) に用量が設定されている。
  • ソラフェニブと異なり手足症候群が少ないものの、 食欲不振、 全身倦怠感が見られやすい。
  • 現在の肝癌診療ガイドラインでは複合免疫療法の適応がない症例に対する一次治療と位置づけられており、 複合免疫療法後の症例においてはエビデンスはないが二次治療以降に使用する薬剤とされている。

関連する臨床試験|REFLECT試験¹⁾

全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者において、 レンバチニブの効果を、 ソラフェニブを対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験REFLECTの結果より、 全生存期間 (OS) における非劣性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • レンバチニブ群:13.6ヵ月
(95%CI 12.1-14.9ヵ月)
  • ソラフェニブ群:12.3ヵ月
(95%CI 10.4-13.9ヵ月)
HR 0.92 (95%CI 0.79-1.06)

OSのサブグループ解析

ベースラインのAFP<200ng/mLの患者は、 両治療群ともAFP≧200ng/mLの患者よりもOSが長かった。

PFS中央値

  • レンバチニブ群:7.4ヵ月
(95%CI 6.9–8.8ヵ月)
  • ソラフェニブ群:3.7ヵ月
(95%CI 3.6–4.6ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.57-0.77)、 p<0.0001

TTP中央値

  • レンバチニブ群:8.9ヵ月
(95%CI 7.4-9.2ヵ月)
  • ソラフェニブ群:3.7ヵ月
(95%CI 3.6-5.4ヵ月)
HR 0.63 (95%CI 0.53-0.73)、 p<0.0001

ORR

  • レンバチニブ群:24.1%
(95%CI 20.2–27.9%)
  • ソラフェニブ群:9.2%
(95%CI 6.6–11.8%)
オッズ比 3.13 (95%CI 2.15-4.56)、 p<0.0001

QOL

  • EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-HCC18健康質問票のベースラインスコアは両群で同程度であった。
  • 治療後、 スコアは両群で低下し、 サマリースコアは治療群間で有意差はなかった。
HR 0.87 (95%CI 0.754-1.013)

参考文献

  1. Lenvatinib versus sorafenib in first-line treatment of patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomised phase 3 non-inferiority trial. Lancet. 2018 Mar 24;391(10126):1163-1173. PMID: 29433850
最終更新日:2023年11月15日
執筆医:愛媛県立中央病院 消化器内科主任部長 平岡淳先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
Lenvatinib
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レンバチニブ (レンビマ®)
2023年11月15日更新

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投与量コース投与日
≧60kg 12mg/日 分1経口連日服用Day1~
<60kg 8mg/日 分1経口連日服用Day1~

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量 (連日投与)

投与開始基準

REFLECT試験¹⁾より抜粋

減量・休薬・中止基準

初回基準量と減量レベル

主な有害事象

REFLECT試験¹⁾

日本人集団において発現率≧10%の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板数減少 28.4% (7.4%)
  • 高血圧 49.4% (32.1%)
  • 食欲減退 48.1% (7.4%)
  • 下痢 37.0% (3.7%)
  • 体重減少 19.8% (4.9%)
  • 疲労 14.8% (0%)
  • 悪心 14.8% (0%)

注意すべき有害事象

  • 手掌・足底発赤知覚不全症候群 51.9% (7.4%)
  • 蛋白尿 45.7% (8.6%)

上手に使うためのワンポイント

  • REFLECT試験¹⁾のレンバチニブに割り付けられた日本人集団の注意が必要な副作用として高血圧、 蛋白尿、 食欲減退、 疲労、 甲状腺機能低下症などが報告されている。
  • 特に高齢者の多い本邦の肝細胞癌患者において食欲減退はQOLの低下だけではなく、 治療中断・中止に直結するため適切な休薬減量介入を要する。
  • レンバチニブは休薬基準が尿蛋白3.5g/日とされる。 一方で他レジメンによる逐次治療を考慮する際、 他レジメンは休薬基準が尿蛋白2.0g/日となっていることに注意が必要である。

特徴と注意点

  • 本レジメンは免疫療法登場以前に切除不能肝細胞癌に対する一次治療としてREFLECT試験¹⁾でソラフェニブに対する非劣性を証明して承認された。
  • 肝予備能がChild-Pugh分類Aの症例に対して使用が推奨されており、 それ以外の肝予備能の症例に対しては有効性・安全性が確立していない。 体重別 (60kg) に用量が設定されている。
  • ソラフェニブと異なり手足症候群が少ないものの、 食欲不振、 全身倦怠感が見られやすい。
  • 現在の肝癌診療ガイドラインでは複合免疫療法の適応がない症例に対する一次治療と位置づけられており、 複合免疫療法後の症例においてはエビデンスはないが二次治療以降に使用する薬剤とされている。

関連する臨床試験|REFLECT試験¹⁾

全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者において、 レンバチニブの効果を、 ソラフェニブを対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験REFLECTの結果より、 全生存期間 (OS) における非劣性が示された。

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OS中央値

  • レンバチニブ群:13.6ヵ月
(95%CI 12.1-14.9ヵ月)
  • ソラフェニブ群:12.3ヵ月
(95%CI 10.4-13.9ヵ月)
HR 0.92 (95%CI 0.79-1.06)

OSのサブグループ解析

ベースラインのAFP<200ng/mLの患者は、 両治療群ともAFP≧200ng/mLの患者よりもOSが長かった。

PFS中央値

  • レンバチニブ群:7.4ヵ月
(95%CI 6.9–8.8ヵ月)
  • ソラフェニブ群:3.7ヵ月
(95%CI 3.6–4.6ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.57-0.77)、 p<0.0001

TTP中央値

  • レンバチニブ群:8.9ヵ月
(95%CI 7.4-9.2ヵ月)
  • ソラフェニブ群:3.7ヵ月
(95%CI 3.6-5.4ヵ月)
HR 0.63 (95%CI 0.53-0.73)、 p<0.0001

ORR

  • レンバチニブ群:24.1%
(95%CI 20.2–27.9%)
  • ソラフェニブ群:9.2%
(95%CI 6.6–11.8%)
オッズ比 3.13 (95%CI 2.15-4.56)、 p<0.0001

QOL

  • EORTC QLQ-C30およびEORTC QLQ-HCC18健康質問票のベースラインスコアは両群で同程度であった。
  • 治療後、 スコアは両群で低下し、 サマリースコアは治療群間で有意差はなかった。
HR 0.87 (95%CI 0.754-1.013)

参考文献

  1. Lenvatinib versus sorafenib in first-line treatment of patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomised phase 3 non-inferiority trial. Lancet. 2018 Mar 24;391(10126):1163-1173. PMID: 29433850
最終更新日:2023年11月15日
執筆医:愛媛県立中央病院 消化器内科主任部長 平岡淳先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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