治療スケジュール
概要
監修医師

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
800mg/m² 点滴静注1、3Day 1

CPA:シクロフォスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
200mg/m² 点滴静注1、3Day 2~5

VCR:ビンクリスチン(オンコビン®)

投与量コース投与日
1.5mg/m² (最大2mg) 点滴静注1、3Day 1、8

DXR:ドキソルビシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
40mg/m² 点滴静注1、3Day 1

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
300mg/m² (Age>65歳:100mg/m²) 点滴静注 1hr1、3Day 10

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
2,700mg/m² (Age>65歳:900mg/m²) 点滴静注 23hr持続1、3Day 10

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
70mg/body 髄注1、3Day 1、3

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
12mg/body 髄注1、3Day 15

IFM:イホスファミド(イホマイド®)

投与量コース投与日
1,500mg/m² (Age>65歳:1,000mg/m²) 点滴静注2、4Day 1~5

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
60mg/m² 点滴静注2、4Day 1~5

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²/回 1日2回 点滴静注3hr2、4Day 1~2

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
12mg/body 髄注2、4Day 5

前投薬

CODOX-M療法は、 Day1~5、 Day10に5-HT3受容体拮抗薬を使用.
IVAC療法は、 Day1~5に5-HT3受容体拮抗薬を使用.
リツキシマブ (RIT) を併用する時は、 RIT投与日に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用.
悪心・嘔吐が強い場合、 NK1受容体拮抗薬の使用を考慮.

その他

1コース21日間.
CODOX-M療法とIVAC療法を交互に使用.
RIT併用時は、 Day0に投与.
但し、 1コース目にRIT併用する時は、 TLSリスクを考慮しDay6以降に投与.
MTX持続静注終了12時間後からロイコボリン救援療法を開始する (詳細は概要欄を参照).
出血性膀胱炎の予防目的にメスナを投与する (詳細は概要欄を参照).
VCRやADMは静注も可. 各施設の運用方針による.
レジメン
CODOX-M/IVAC
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」の外部サイトに遷移します。

主な有害事象

Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 白血球減少 (≧Grade3 99%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 99%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 86%)

重大な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 80%)
  • 粘膜炎 (≧Grade3 45%)

その他

  • 神経障害 (≧Grade3 8%)

特徴と注意点

  • CODOX-M/IVAC療法は、 バーキットリンパ腫などの高悪性度B細胞リンパ腫に使用される標準治療の一つ.
  • CODOX-M療法は、 MTXを3g/m²として用いるdose-modified CODOX-M療法が主流である¹⁾.
  • CD20陽性である場合、リツキシマブの併用が考慮される. 後方視的研究では、バーキットリンパ腫に対して、リツキシマブ併用で3年EFS及びOS割合が改善したとの報告があるが、 統計学的には有意では無かった²⁾.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≦3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • シクロフォスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあるため、 水分摂取を励行し排尿を促す.
  • ドキソルビシンには累積心毒性があるため、 累積上限量は500mg/m².
  • メトトレキサート (MTX) の副作用軽減目的として、 MTX終了12時間後からロイコボリンⓇ救援療法 (15mg/6hrおき 4日間) を行う.
  • MTX投与開始後、 48時間後・72時間後のMTX血中濃度が、 それぞれ1µM未満、 0.1µM未満であることを確認する. どちらか一方でも超えた場合は、 各々1µM未満、 0.1µM未満になるまで、 十分な水分の補給、 尿のアルカリ化、 ロイコボリンの増量や投与延長を行う.
  • MTX大量療法に伴い、 薬物相互作用の観点から、 MTX投与前から排泄完了まではフロセミド、 NSAIDs、 ST合剤、 PPIの使用は避ける.
  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • イホスファミドは出血性膀胱炎リスクがあるため、 メスナ (ウロミテキサンⓇ) の使用、尿量確保のため十分な輸液・水分補給 (目安:2,000~3,000mL/m²/日)、 尿のアルカリ化を行う.
  • メスナの1回投与量は、 イホスファミド1日投与量の20%量とし、 イホスファミド投与時、4時間後、 8時間後に行う (イホスファミド1,500mgであればメスナ300mg/m²/回を3回).
  • シタラビン大量療法に伴う角膜・結膜障害予防にステロイド含有点眼薬を使用.

関連する臨床試験の結果

Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.¹⁾

概要

  • 高悪性度B細胞リンパ腫 (バーキットリンパ腫、 DLBCL) に対する国際共同第2相試験.
  • 本試験で使用されたdose-modified (dm) CODOX-M療法は、 LY06試験³⁾で使用された高用量MTX6.7g/m²を3g/m²に減量した変法.
  • 国際予後指標 (IPI16) であるLDH正常、 WHO performance status 0-1、 Ann Arbor stage I~II、 節外病変数1以下のうち、 3つ以上の要素を有する患者を低リスク群、 それ以外を高リスク群とした.
  • 低リスク群にはdmCODOX-M療法、 高リスク群にはdmCODOX-M療法/IVAC療法を用いて、 PFS、 OS、 毒性などを評価.
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • 追跡期間中央値29ヵ月.
  • 2年PFS:低リスク群85% (95%CI 73-97)、 高リスク群49% (95%CI 38-60).
  • 2年OS:低リスク群88% (95%CI 77-99)、 高リスク群52% (95%CI 41-63).
Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.より引用
  • 2年PFS についてLY06試験と同じ定義で本試験を比較した場合、 LY06試験で低リスク群72% (95%CI 53-91)、 高リスク群54% (95%CI 38-70) に対し、 本試験では、 それぞれ88% (95%CI 75-91)、 54% (95%CI 38-70) であった.
  • 2年OSについてLY06試験と同じ定義で本試験を比較した場合、 LY06試験で低リスク群76% (95%CI 57~95)、 高リスク群62% (95%CI 47-77) に対し、 本試験では、 それぞれ92% (95%CI 81-100)、 62% (95%CI 50-74)であった.
  • MTX減量による毒性の軽減は証明されなかったが、 MTX3g/m²でも同等の効果が得られることが示唆された.

参考文献

  1. Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.
  2. Ann Oncol. 2011 Aug;22(8):1859-64.
  3. Ann Oncol. 2002 Aug;13(8):1264-74.

最終更新:2021年12月25日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
レジメン
CODOX-M/IVAC
こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン
CODOX-M/IVAC
レジメン
CODOX-M/IVAC

CODOX-M/IVAC

Dose-modified CODOX-M / IVAC交替療法
2022年08月31日更新

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
800mg/m² 点滴静注1、3Day 1

CPA:シクロフォスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
200mg/m² 点滴静注1、3Day 2~5

VCR:ビンクリスチン(オンコビン®)

投与量コース投与日
1.5mg/m² (最大2mg) 点滴静注1、3Day 1、8

DXR:ドキソルビシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
40mg/m² 点滴静注1、3Day 1

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
300mg/m² (Age>65歳:100mg/m²) 点滴静注 1hr1、3Day 10

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
2,700mg/m² (Age>65歳:900mg/m²) 点滴静注 23hr持続1、3Day 10

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
70mg/body 髄注1、3Day 1、3

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
12mg/body 髄注1、3Day 15

IFM:イホスファミド(イホマイド®)

投与量コース投与日
1,500mg/m² (Age>65歳:1,000mg/m²) 点滴静注2、4Day 1~5

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
60mg/m² 点滴静注2、4Day 1~5

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²/回 1日2回 点滴静注3hr2、4Day 1~2

MTX:メトトレキサート(メソトレキセート®)

投与量コース投与日
12mg/body 髄注2、4Day 5

前投薬

CODOX-M療法は、 Day1~5、 Day10に5-HT3受容体拮抗薬を使用.
IVAC療法は、 Day1~5に5-HT3受容体拮抗薬を使用.
リツキシマブ (RIT) を併用する時は、 RIT投与日に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用.
悪心・嘔吐が強い場合、 NK1受容体拮抗薬の使用を考慮.

その他

1コース21日間.
CODOX-M療法とIVAC療法を交互に使用.
RIT併用時は、 Day0に投与.
但し、 1コース目にRIT併用する時は、 TLSリスクを考慮しDay6以降に投与.
MTX持続静注終了12時間後からロイコボリン救援療法を開始する (詳細は概要欄を参照).
出血性膀胱炎の予防目的にメスナを投与する (詳細は概要欄を参照).
VCRやADMは静注も可. 各施設の運用方針による.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」の外部サイトに遷移します。

主な有害事象

Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 白血球減少 (≧Grade3 99%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 99%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 86%)

重大な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 80%)
  • 粘膜炎 (≧Grade3 45%)

その他

  • 神経障害 (≧Grade3 8%)

特徴と注意点

  • CODOX-M/IVAC療法は、 バーキットリンパ腫などの高悪性度B細胞リンパ腫に使用される標準治療の一つ.
  • CODOX-M療法は、 MTXを3g/m²として用いるdose-modified CODOX-M療法が主流である¹⁾.
  • CD20陽性である場合、リツキシマブの併用が考慮される. 後方視的研究では、バーキットリンパ腫に対して、リツキシマブ併用で3年EFS及びOS割合が改善したとの報告があるが、 統計学的には有意では無かった²⁾.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≦3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • シクロフォスファミドは出血性膀胱炎のリスクがあるため、 水分摂取を励行し排尿を促す.
  • ドキソルビシンには累積心毒性があるため、 累積上限量は500mg/m².
  • メトトレキサート (MTX) の副作用軽減目的として、 MTX終了12時間後からロイコボリンⓇ救援療法 (15mg/6hrおき 4日間) を行う.
  • MTX投与開始後、 48時間後・72時間後のMTX血中濃度が、 それぞれ1µM未満、 0.1µM未満であることを確認する. どちらか一方でも超えた場合は、 各々1µM未満、 0.1µM未満になるまで、 十分な水分の補給、 尿のアルカリ化、 ロイコボリンの増量や投与延長を行う.
  • MTX大量療法に伴い、 薬物相互作用の観点から、 MTX投与前から排泄完了まではフロセミド、 NSAIDs、 ST合剤、 PPIの使用は避ける.
  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • イホスファミドは出血性膀胱炎リスクがあるため、 メスナ (ウロミテキサンⓇ) の使用、尿量確保のため十分な輸液・水分補給 (目安:2,000~3,000mL/m²/日)、 尿のアルカリ化を行う.
  • メスナの1回投与量は、 イホスファミド1日投与量の20%量とし、 イホスファミド投与時、4時間後、 8時間後に行う (イホスファミド1,500mgであればメスナ300mg/m²/回を3回).
  • シタラビン大量療法に伴う角膜・結膜障害予防にステロイド含有点眼薬を使用.

関連する臨床試験の結果

Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.¹⁾

概要

  • 高悪性度B細胞リンパ腫 (バーキットリンパ腫、 DLBCL) に対する国際共同第2相試験.
  • 本試験で使用されたdose-modified (dm) CODOX-M療法は、 LY06試験³⁾で使用された高用量MTX6.7g/m²を3g/m²に減量した変法.
  • 国際予後指標 (IPI16) であるLDH正常、 WHO performance status 0-1、 Ann Arbor stage I~II、 節外病変数1以下のうち、 3つ以上の要素を有する患者を低リスク群、 それ以外を高リスク群とした.
  • 低リスク群にはdmCODOX-M療法、 高リスク群にはdmCODOX-M療法/IVAC療法を用いて、 PFS、 OS、 毒性などを評価.
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • 追跡期間中央値29ヵ月.
  • 2年PFS:低リスク群85% (95%CI 73-97)、 高リスク群49% (95%CI 38-60).
  • 2年OS:低リスク群88% (95%CI 77-99)、 高リスク群52% (95%CI 41-63).
Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.より引用
  • 2年PFS についてLY06試験と同じ定義で本試験を比較した場合、 LY06試験で低リスク群72% (95%CI 53-91)、 高リスク群54% (95%CI 38-70) に対し、 本試験では、 それぞれ88% (95%CI 75-91)、 54% (95%CI 38-70) であった.
  • 2年OSについてLY06試験と同じ定義で本試験を比較した場合、 LY06試験で低リスク群76% (95%CI 57~95)、 高リスク群62% (95%CI 47-77) に対し、 本試験では、 それぞれ92% (95%CI 81-100)、 62% (95%CI 50-74)であった.
  • MTX減量による毒性の軽減は証明されなかったが、 MTX3g/m²でも同等の効果が得られることが示唆された.

参考文献

  1. Blood. 2008 Sep 15;112(6):2248-60.
  2. Ann Oncol. 2011 Aug;22(8):1859-64.
  3. Ann Oncol. 2002 Aug;13(8):1264-74.

最終更新:2021年12月25日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:伊勢原協同病院血液内科 扇屋大輔
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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