概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。
※2024/9/8時点、 悪性黒色腫に対して、本邦適応外薬

薬剤情報

グリベック® (添付文書¹⁾)

BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬 イマチニブ
*ノバルティス ファーマの外部サイトへ遷移します

用法用量 ※適応外

イマチニブ400mg/日を連日経口内服 (1日1回)

監修 : 山崎直也先生 (国立がんセンター中央 皮膚腫瘍科)

エキスパートによるワンポイント

エキソン11および13の変異を持つKIT変異陽性の悪性黒色腫患者に対する選択肢

BRAF以外の悪性黒色腫の変異遺伝子としてNRAS、 KITなどが知られている。 日本人に多いacral (末端黒子) 型や、 mucosal (粘膜) 型ではKIT変異の割合が比較的高く (15-25%)²⁾、 KITタンパクは治療標的として期待されており³⁾、 c-Kit阻害剤イマチニブは特にエキソン11および13の変異を持つKIT変異陽性の悪性黒色腫患者に対し、 貴重な治療選択肢となる。 なお、 日本では保険適用外である。

臨床試験の有効性結果

代表的な海外第Ⅱ相試験⁴⁾において、 KIT変異あるいは増幅を有するacral、 mucosal及びCSD型悪性黒色腫を対象にイマチニブ 400mg/日を内服 (進行の場合は800mg/日まで増量可) し、 最良奏効効果 (best overall response rate) を解析した。

評価対象24例のうち、 変異・増幅ともにみられた症例は5例 (21%) であり、 8例 (33%) にKIT遺伝子の変異のみを、 11例 (46%) にKIT遺伝子の増幅のみを認めた。

追跡期間中央値10.6ヵ月 (3.7-27.1ヵ月) におけるBORRは29%であり、 KIT変異群が7/13 (54%) に有効であったのに対しvs KIT増幅のみでは奏効例は0例であった。 また疾患制御率50% (KIT変異群77% vs KIT増幅群18%) と、 特にKIT変異を有する症例においては一定の効果を示し、 PFSの中央値は3.7ヵ月 (95%Cl 2.6~5.6ヵ月) であった。

安全性結果

上記海外第Ⅱ相試験⁴⁾では完全性の評価対象となった25例のうち、 3例にGrade4の有害事象 (好中球減少、 Hb減少、 呼吸苦)、 7例にGrade3の有害事象 (皮膚掻痒、 Hb減少、 白血球減少、 リンパ球減少、 低K血症、 低Na血症、 倦怠感) が認められた。 全グレードでは有害事象は嘔気 (17例) が最も多く、 倦怠感 (16例)、 貧血 (12例)、 高血糖 (11例)、 嘔吐 (10例) と続いた。 また、 治療関連死は認められなかった。

出典

1) ノバルティス ファーマ. グリベック®電子添文 (2023年1月改訂 (第4版) [最終閲覧 : 2024/03/25]

2) Clinical characteristics associated with BRAF, NRAS and KIT mutations in Japanese melanoma patients. J Dermatol Sci 2015; 80: 33-7.

3) KIT as a therapeutic target in metastatic melanoma. JAMA 2011; 305:2327-2334.

4) Phase II, open-label, single-arm trial of imatinib mesylate in patients with metastatic melanoma harboring c-Kit mutation or amplification. J Clin Oncol 2011; 29:2904–9.

最終更新日 : 2024年9月8日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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イマチニブ (グリベック®)
2024年09月08日更新
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イマチニブ400mg/日を連日経口内服 (1日1回)

監修 : 山崎直也先生 (国立がんセンター中央 皮膚腫瘍科)

エキスパートによるワンポイント

エキソン11および13の変異を持つKIT変異陽性の悪性黒色腫患者に対する選択肢

BRAF以外の悪性黒色腫の変異遺伝子としてNRAS、 KITなどが知られている。 日本人に多いacral (末端黒子) 型や、 mucosal (粘膜) 型ではKIT変異の割合が比較的高く (15-25%)²⁾、 KITタンパクは治療標的として期待されており³⁾、 c-Kit阻害剤イマチニブは特にエキソン11および13の変異を持つKIT変異陽性の悪性黒色腫患者に対し、 貴重な治療選択肢となる。 なお、 日本では保険適用外である。

臨床試験の有効性結果

代表的な海外第Ⅱ相試験⁴⁾において、 KIT変異あるいは増幅を有するacral、 mucosal及びCSD型悪性黒色腫を対象にイマチニブ 400mg/日を内服 (進行の場合は800mg/日まで増量可) し、 最良奏効効果 (best overall response rate) を解析した。

評価対象24例のうち、 変異・増幅ともにみられた症例は5例 (21%) であり、 8例 (33%) にKIT遺伝子の変異のみを、 11例 (46%) にKIT遺伝子の増幅のみを認めた。

追跡期間中央値10.6ヵ月 (3.7-27.1ヵ月) におけるBORRは29%であり、 KIT変異群が7/13 (54%) に有効であったのに対しvs KIT増幅のみでは奏効例は0例であった。 また疾患制御率50% (KIT変異群77% vs KIT増幅群18%) と、 特にKIT変異を有する症例においては一定の効果を示し、 PFSの中央値は3.7ヵ月 (95%Cl 2.6~5.6ヵ月) であった。

安全性結果

上記海外第Ⅱ相試験⁴⁾では完全性の評価対象となった25例のうち、 3例にGrade4の有害事象 (好中球減少、 Hb減少、 呼吸苦)、 7例にGrade3の有害事象 (皮膚掻痒、 Hb減少、 白血球減少、 リンパ球減少、 低K血症、 低Na血症、 倦怠感) が認められた。 全グレードでは有害事象は嘔気 (17例) が最も多く、 倦怠感 (16例)、 貧血 (12例)、 高血糖 (11例)、 嘔吐 (10例) と続いた。 また、 治療関連死は認められなかった。

出典

1) ノバルティス ファーマ. グリベック®電子添文 (2023年1月改訂 (第4版) [最終閲覧 : 2024/03/25]

2) Clinical characteristics associated with BRAF, NRAS and KIT mutations in Japanese melanoma patients. J Dermatol Sci 2015; 80: 33-7.

3) KIT as a therapeutic target in metastatic melanoma. JAMA 2011; 305:2327-2334.

4) Phase II, open-label, single-arm trial of imatinib mesylate in patients with metastatic melanoma harboring c-Kit mutation or amplification. J Clin Oncol 2011; 29:2904–9.

最終更新日 : 2024年9月8日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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