概要
監修医師
2024年9月24日に 「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発NSCLC」 を対象として承認、 2024年11月20日薬価収載 (40mg1カプセル 3468.30円/ 1日薬価 : 2万7746.40円)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

オータイロ® (添付文書¹⁾/ 適正使用ガイド²⁾*)

*BMS株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】連日内服
【催吐性】軽度~最小度催吐性リスク*
【FN発症】低リスク**
*NCCN Guidelines Version 2.2025 Antiemesisを引用
**TRIDENT-1試験のFN発症率0%より編集部が分類

成人に対して、 1日1回160mgを1日1回14日間経口投与し、 その後160mgを1日2回に増量

開始14日間で忍容性が認められない場合、 1日2回投与に増量しない

Key Data|臨床試験結果

📊 TRIDENT-1試験

N Engl J Med 2024:390:118-31.

進行固形腫瘍を対象とした国際共同第I/II相試験であり、 特にROS1融合遺伝子陽性NSCLCが組み入れられた。 レポトレクチニブは1日160mgを14日間投与後、 1日2回160mgへ増量された。 第II相の主要評価項目は奏効率、 副次評価項目として奏効期間 (DoR)、 PFS、 安全性が評価された。 

【有効性】

ROS1-TKI未治療例 (N=71) :

- 奏効率 : 79%

- DoR中央値 : 34.1ヵ月

- PFS中央値 : 35.7ヵ月

1種類のROS1-TKI既治療/化学療法未治療例 (N=56) :

- 奏効率 : 38%

- DoR中央値 : 14.8ヵ月

- PFS中央値 : 9.0ヵ月

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- めまい 62.0% (2.6%)

- 味覚障害 52.6% (0%)

- 便秘 38.0% (0.2%)

- 貧血 37.6% (7.7%)

- 感覚異常 33.6% (0.7%)

- 呼吸困難 27.7% (6.3%)

- ALT増加 23.2% (1.9%)

- 倦怠感 22.3% (0.9%)

- 運動失調 21.1% (0.2%)

- AST増加 20.9% (2.1%)

- 悪心 20.0% (0.7%)

- 筋力低下 20.0% (1.9%)

- 頭痛 18.5% (0%)

- 血中CK上昇 17.6% (3.5%)

- 体重増加 15.7% (2.6%)

- 記憶障害 15.3% (0.2%)

- 咳 15.0% (0.2%)

安全性解析対象集団312例におけるレポトレクチニブの投与減量または中止の主な有害事象は以下のとおり。

各プロトコル

適格基準

TRIDENT-1試験³⁾の主な適格基準

- 12歳以上

- PS

  • ≧18歳 : ECOG PS  0–1
  • 16歳以上18歳未満 : Karnofskyスコア≧50
  • 12歳以上15歳未満 : Lanskyスコア≧50

- 好中球数≧1,500/mm³

- 血小板数≧10万/mm³

- ヘモグロビン≧9.0g/dL

- 腎機能 : CrCl>40mL/min

- 肝機能 : T-bil<1.5×ULN、 AST/ALT<2.5×ULN

用量レベル

オータイロ®電子添文¹⁾を基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

尿中未変化体排泄率は0.56%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調整は不要と考えられる。

出典²⁾を基に編集部が評価

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

オータイロ®電子添文¹⁾を基に編集部作成

なお、 TRIDENT-1試験³⁾では、 血液毒性およびQTc延長発現時の対応が以下のとおり定められていた。

TRIDENT-1試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

作用機序の特徴

レポトレクチニブは、 トロポミオシン受容体キナーゼ (TRK)、 ROS1、 ALKなどを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬である。 ROS1融合タンパク質を含むチロシンキナーゼの活性を阻害し、 下流のシグナル伝達分子のリン酸化を抑制することで、 腫瘍の増殖を抑えると考えられている。

レジメン適用時の注意事項

中枢神経系障害 : めまい・運動失調・認知障害が出現した場合は、 自動車運転など危険を伴う作業を避けるよう指導する。

間質性肺疾患 : 息切れ・咳嗽・発熱などの初期症状の有無や胸部CT検査など、 十分に観察する。 また、 症状発現時は速やかに医療機関を受診するよう患者に指導する。

RMP【重要な特定されたリスク】

オータイロ® 医薬品リスク管理計画書 (RMP)

- 中枢神経系障害

- 間質性肺疾患

コンパニオン診断薬の情報

コンパニオン診断薬を用いてROS1融合遺伝子陽性を確認する。

>> 肺癌コンパニオン診断薬 を確認

HOKUTOレジメンツールへ遷移します

出典

  1. ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社. オータイロカプセル40mg/160mg 電子添文 2025年9月改訂 (第3版)
  2. ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社. オータイロカプセル40mg/160mg 適正使用ガイド. 2025年9月作成
  3. N Engl J Med 2024:390:118-31.
最終更新日 : 2025年9月16日
執筆 : 京都桂病院 薬剤科 塩飽英二
監修 : HOKUTO編集部 医師

レジメン
Repotrectinib
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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監修・協力医一覧
レジメン
Repotrectinib
レジメン
Repotrectinib

Repotrectinib

レポトレクチニブ (オータイロ®)
2025年09月16日更新
2024年9月24日に 「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発NSCLC」 を対象として承認、 2024年11月20日薬価収載 (40mg1カプセル 3468.30円/ 1日薬価 : 2万7746.40円)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

オータイロ® (添付文書¹⁾/ 適正使用ガイド²⁾*)

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投与スケジュール

【1コース】連日内服
【催吐性】軽度~最小度催吐性リスク*
【FN発症】低リスク**
*NCCN Guidelines Version 2.2025 Antiemesisを引用
**TRIDENT-1試験のFN発症率0%より編集部が分類

成人に対して、 1日1回160mgを1日1回14日間経口投与し、 その後160mgを1日2回に増量

開始14日間で忍容性が認められない場合、 1日2回投与に増量しない

Key Data|臨床試験結果

📊 TRIDENT-1試験

N Engl J Med 2024:390:118-31.

進行固形腫瘍を対象とした国際共同第I/II相試験であり、 特にROS1融合遺伝子陽性NSCLCが組み入れられた。 レポトレクチニブは1日160mgを14日間投与後、 1日2回160mgへ増量された。 第II相の主要評価項目は奏効率、 副次評価項目として奏効期間 (DoR)、 PFS、 安全性が評価された。 

【有効性】

ROS1-TKI未治療例 (N=71) :

- 奏効率 : 79%

- DoR中央値 : 34.1ヵ月

- PFS中央値 : 35.7ヵ月

1種類のROS1-TKI既治療/化学療法未治療例 (N=56) :

- 奏効率 : 38%

- DoR中央値 : 14.8ヵ月

- PFS中央値 : 9.0ヵ月

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- めまい 62.0% (2.6%)

- 味覚障害 52.6% (0%)

- 便秘 38.0% (0.2%)

- 貧血 37.6% (7.7%)

- 感覚異常 33.6% (0.7%)

- 呼吸困難 27.7% (6.3%)

- ALT増加 23.2% (1.9%)

- 倦怠感 22.3% (0.9%)

- 運動失調 21.1% (0.2%)

- AST増加 20.9% (2.1%)

- 悪心 20.0% (0.7%)

- 筋力低下 20.0% (1.9%)

- 頭痛 18.5% (0%)

- 血中CK上昇 17.6% (3.5%)

- 体重増加 15.7% (2.6%)

- 記憶障害 15.3% (0.2%)

- 咳 15.0% (0.2%)

安全性解析対象集団312例におけるレポトレクチニブの投与減量または中止の主な有害事象は以下のとおり。

各プロトコル

適格基準

TRIDENT-1試験³⁾の主な適格基準

- 12歳以上

- PS

  • ≧18歳 : ECOG PS  0–1
  • 16歳以上18歳未満 : Karnofskyスコア≧50
  • 12歳以上15歳未満 : Lanskyスコア≧50

- 好中球数≧1,500/mm³

- 血小板数≧10万/mm³

- ヘモグロビン≧9.0g/dL

- 腎機能 : CrCl>40mL/min

- 肝機能 : T-bil<1.5×ULN、 AST/ALT<2.5×ULN

用量レベル

オータイロ®電子添文¹⁾を基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

尿中未変化体排泄率は0.56%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調整は不要と考えられる。

出典²⁾を基に編集部が評価

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

オータイロ®電子添文¹⁾を基に編集部作成

なお、 TRIDENT-1試験³⁾では、 血液毒性およびQTc延長発現時の対応が以下のとおり定められていた。

TRIDENT-1試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

作用機序の特徴

レポトレクチニブは、 トロポミオシン受容体キナーゼ (TRK)、 ROS1、 ALKなどを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬である。 ROS1融合タンパク質を含むチロシンキナーゼの活性を阻害し、 下流のシグナル伝達分子のリン酸化を抑制することで、 腫瘍の増殖を抑えると考えられている。

レジメン適用時の注意事項

中枢神経系障害 : めまい・運動失調・認知障害が出現した場合は、 自動車運転など危険を伴う作業を避けるよう指導する。

間質性肺疾患 : 息切れ・咳嗽・発熱などの初期症状の有無や胸部CT検査など、 十分に観察する。 また、 症状発現時は速やかに医療機関を受診するよう患者に指導する。

RMP【重要な特定されたリスク】

オータイロ® 医薬品リスク管理計画書 (RMP)

- 中枢神経系障害

- 間質性肺疾患

コンパニオン診断薬の情報

コンパニオン診断薬を用いてROS1融合遺伝子陽性を確認する。

>> 肺癌コンパニオン診断薬 を確認

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出典

  1. ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社. オータイロカプセル40mg/160mg 電子添文 2025年9月改訂 (第3版)
  2. ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社. オータイロカプセル40mg/160mg 適正使用ガイド. 2025年9月作成
  3. N Engl J Med 2024:390:118-31.
最終更新日 : 2025年9月16日
執筆 : 京都桂病院 薬剤科 塩飽英二
監修 : HOKUTO編集部 医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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レジメン(呼吸器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。