治療スケジュール
概要
監修医師

Bmab:ベマシズマブ(アバスチン®)

投与量コース投与日
7.5mg/kg 点滴1~Day1

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
130mg/m² 点滴1~Day1

Cape:カペシタビン(ゼローダ®)

投与量コース投与日
1800mg~ 経口分2 朝夕食後 (体表面積により調節)1~Day1~14

その他

1コース21日間。
L-OHP+CapeをCAPOXと呼ぶ。
レジメン
CAPOX+Bmab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*中外製薬会社の外部サイトへ遷移します
*中外製薬会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

カペシタビンは体表面積に合わせて調節

投与開始基準

TRICOLORE試験¹⁾

コースの開始基準

Bmabの開始基準

Bmab投与可能基準のみを満たさない場合:Cape+L-OHPのみを投与

→有害事象の軽快/回復後に Cape+L-OHPのday1投与日に合わせて Bmabを投与が可能

Bmab投与中止基準に抵触した場合:Cape+L-OHPとして継続

→有害事象が軽快/回復後のBmab投与再開は行わない

休薬・再開基準

TRICOLORE試験¹⁾

Capeの休薬基準

Capeの再開基準

減量基準

TRICOLORE試験¹⁾

カペシタビンの初回基準量と減量レベル

L-OHPの初回基準量と減量レベル

中止基準

TRICOLORE試験¹⁾

Bmabの開始基準

主な有害事象

TRICOLORE試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 白血球減少症 63.6% (2.5%)
  • 好中球減少症 57.4% (13.6%)
  • 血小板減少症 62.4% (1.7%)
  • 貧血 38.0% (2.1%)
  • ビリルビン上昇 33.1% (2.5%)
  • AST上昇 49.2% (3.3%)
  • ALT上昇 33.9% (2.5%)
  • 粘膜炎/口内炎 43.0% (1.7%)
  • 食欲不振 61.6% (6.6%)
  • 悪心 49.2% (3.7%)
  • 嘔吐 15.3% (1.7%)
  • 下痢 45.0% (6.6%)
  • 疲労 61.6% (5.0%)

注意すべき有害事象

  • 蛋白尿 44.2% (2.9%)
  • 手足症候群 51.7% (6.2%)
  • 末梢感覚ニューロパチー 92.1% (21.9%)
  • 脱毛症 12.4%
  • 高血圧 35.5% (12.0%)

上手に使うためのワンポイント

  • 30 mL/min≦Ccr<50 mL/minの場合は、 カペシタビンを1段階減量する。
  • 術後補助療法におけるCAPOX使用歴がある場合は、 その時の減量状況にあわせて初回投与量を決定する。
  • 一般的には好中球数≧1500/μLが投与開始基準となっているが、 複数回数投与により、 その患者の毒性プロファイルがある程度予想できる場合には好中球数1200/μL前後でも投与可能とする医師はいる。
  • 実臨床ではCIPN評価に、 CTCAEよりも症状の期間を加味されたDEB-NTCを用いてオキサリプラチン中止時期を検討する。 コンバージョンが明らかに困難と思われ、 延命を目的とするような症例では、 QOL低下を考慮して、 OPTIMOX1試験²⁾に準じたオキサリプラチン計画中止も積極的に検討する。 TRICOLORE試験¹⁾ではオキサリプラチン総投与量が 600mg/m²を超える場合に、 医師判断でオキサリプラチンの投与をスキップしてコースを開始することができるようになっていた。

特徴と注意点

  • カペシタビン投与不能な時には、 他の薬剤全て中止する。
  • 若年・女性など、 悪心リスクが高い患者には、 初回投与時からNK1受容体拮抗型制吐剤を前投薬として用いることを検討する。
  • ベバシズマブによる尿蛋白1+出現時には、 次コースからのUPCRの事前測定を考慮する。 リアルワールドでは、 尿蛋白2+でもUPCR<2.0で投与可能とする医師はいる。
  • JCOG1018試験により、75歳以上もしくは、 70-74歳かつPS2の高齢患者では、1次治療のPFSにおけるオキサリプラチンの上乗せ効果は乏しいことが報告されている。 患者の身体及び腫瘍状況を考慮して治療方針を決定する必要がある。
  • 創傷治癒遅延を考慮し、 大手術後1カ月未満ではベバシズマブの投与を控える。 CVポート造設直後のベバシズマブの投与は問題ないことが報告されている。

関連する臨床試験

TRICOLORE試験¹⁾

化学療法未施行の切除不能大腸癌を対象とし、mFOLFOX6/CapeOX+BV療法を対照に、IRIS+BV療法の無増悪生存期間における非劣性を検証するためのオープンラベル非劣性検証無作為化第Ⅲ相試験。 主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 次評価項目は全生存期間 (OS)、 治療成功期間、 奏効率、 有害事象の発現頻度と程度等とされた。

Ann Oncol. 2018 Mar 1;29(3):624-631. 

出典

  1. S-1 and irinotecan plus bevacizumab versus mFOLFOX6 or CapeOX plus bevacizumab as first-line treatment in patients with metastatic colorectal cancer (TRICOLORE): a randomized, open-label, phase III, noninferiority trial. Ann Oncol. 2018 Mar 1;29(3):624-631. PMID: 29293874
  2. OPTIMOX1: a randomized study of FOLFOX4 or FOLFOX7 with oxaliplatin in a stop-and-Go fashion in advanced colorectal cancer--a GERCOR study. J Clin Oncol. 2006 Jan 20;24(3):394-400. PMID: 16421419
最終更新日:2023年8月17日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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カペシタビン+オキサリプラチン+ベマシズマブ
2024年04月23日更新

Bmab:ベマシズマブ(アバスチン®)

投与量コース投与日
7.5mg/kg 点滴1~Day1

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
130mg/m² 点滴1~Day1

Cape:カペシタビン(ゼローダ®)

投与量コース投与日
1800mg~ 経口分2 朝夕食後 (体表面積により調節)1~Day1~14

その他

1コース21日間。
L-OHP+CapeをCAPOXと呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

カペシタビンは体表面積に合わせて調節

投与開始基準

TRICOLORE試験¹⁾

コースの開始基準

Bmabの開始基準

Bmab投与可能基準のみを満たさない場合:Cape+L-OHPのみを投与

→有害事象の軽快/回復後に Cape+L-OHPのday1投与日に合わせて Bmabを投与が可能

Bmab投与中止基準に抵触した場合:Cape+L-OHPとして継続

→有害事象が軽快/回復後のBmab投与再開は行わない

休薬・再開基準

TRICOLORE試験¹⁾

Capeの休薬基準

Capeの再開基準

減量基準

TRICOLORE試験¹⁾

カペシタビンの初回基準量と減量レベル

L-OHPの初回基準量と減量レベル

中止基準

TRICOLORE試験¹⁾

Bmabの開始基準

主な有害事象

TRICOLORE試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 白血球減少症 63.6% (2.5%)
  • 好中球減少症 57.4% (13.6%)
  • 血小板減少症 62.4% (1.7%)
  • 貧血 38.0% (2.1%)
  • ビリルビン上昇 33.1% (2.5%)
  • AST上昇 49.2% (3.3%)
  • ALT上昇 33.9% (2.5%)
  • 粘膜炎/口内炎 43.0% (1.7%)
  • 食欲不振 61.6% (6.6%)
  • 悪心 49.2% (3.7%)
  • 嘔吐 15.3% (1.7%)
  • 下痢 45.0% (6.6%)
  • 疲労 61.6% (5.0%)

注意すべき有害事象

  • 蛋白尿 44.2% (2.9%)
  • 手足症候群 51.7% (6.2%)
  • 末梢感覚ニューロパチー 92.1% (21.9%)
  • 脱毛症 12.4%
  • 高血圧 35.5% (12.0%)

上手に使うためのワンポイント

  • 30 mL/min≦Ccr<50 mL/minの場合は、 カペシタビンを1段階減量する。
  • 術後補助療法におけるCAPOX使用歴がある場合は、 その時の減量状況にあわせて初回投与量を決定する。
  • 一般的には好中球数≧1500/μLが投与開始基準となっているが、 複数回数投与により、 その患者の毒性プロファイルがある程度予想できる場合には好中球数1200/μL前後でも投与可能とする医師はいる。
  • 実臨床ではCIPN評価に、 CTCAEよりも症状の期間を加味されたDEB-NTCを用いてオキサリプラチン中止時期を検討する。 コンバージョンが明らかに困難と思われ、 延命を目的とするような症例では、 QOL低下を考慮して、 OPTIMOX1試験²⁾に準じたオキサリプラチン計画中止も積極的に検討する。 TRICOLORE試験¹⁾ではオキサリプラチン総投与量が 600mg/m²を超える場合に、 医師判断でオキサリプラチンの投与をスキップしてコースを開始することができるようになっていた。

特徴と注意点

  • カペシタビン投与不能な時には、 他の薬剤全て中止する。
  • 若年・女性など、 悪心リスクが高い患者には、 初回投与時からNK1受容体拮抗型制吐剤を前投薬として用いることを検討する。
  • ベバシズマブによる尿蛋白1+出現時には、 次コースからのUPCRの事前測定を考慮する。 リアルワールドでは、 尿蛋白2+でもUPCR<2.0で投与可能とする医師はいる。
  • JCOG1018試験により、75歳以上もしくは、 70-74歳かつPS2の高齢患者では、1次治療のPFSにおけるオキサリプラチンの上乗せ効果は乏しいことが報告されている。 患者の身体及び腫瘍状況を考慮して治療方針を決定する必要がある。
  • 創傷治癒遅延を考慮し、 大手術後1カ月未満ではベバシズマブの投与を控える。 CVポート造設直後のベバシズマブの投与は問題ないことが報告されている。

関連する臨床試験

TRICOLORE試験¹⁾

化学療法未施行の切除不能大腸癌を対象とし、mFOLFOX6/CapeOX+BV療法を対照に、IRIS+BV療法の無増悪生存期間における非劣性を検証するためのオープンラベル非劣性検証無作為化第Ⅲ相試験。 主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 次評価項目は全生存期間 (OS)、 治療成功期間、 奏効率、 有害事象の発現頻度と程度等とされた。

Ann Oncol. 2018 Mar 1;29(3):624-631. 

出典

  1. S-1 and irinotecan plus bevacizumab versus mFOLFOX6 or CapeOX plus bevacizumab as first-line treatment in patients with metastatic colorectal cancer (TRICOLORE): a randomized, open-label, phase III, noninferiority trial. Ann Oncol. 2018 Mar 1;29(3):624-631. PMID: 29293874
  2. OPTIMOX1: a randomized study of FOLFOX4 or FOLFOX7 with oxaliplatin in a stop-and-Go fashion in advanced colorectal cancer--a GERCOR study. J Clin Oncol. 2006 Jan 20;24(3):394-400. PMID: 16421419
最終更新日:2023年8月17日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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