治療スケジュール
概要
監修医師

DARA:ダラツムマブ(ダラキューロ®)

投与量コース投与日
1800㎎/body 皮下注1~2Day 1、8、15、22
1800㎎/body 皮下注3~6Day 1、15
1800㎎/body 皮下注7~Day 1

Len:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg1~Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg1~Day 1、8、15、22

前投薬

ダラツムマブ投与1~3時間前に下記薬剤を投与する.
デキサメタゾン
解熱鎮痛薬
抗ヒスタミン薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬 (モンテルカスト10mg経口). *任意

その他

1コースは28日間.
DARAはダラキューロ®配合皮下注かダラザレックス®点滴静注のどちらかを選択.
ダラキューロ®を投与する場合は1800mg/bodyを3~5分かけて臍周囲の腹部皮下へ投与
.ダラザレックス®を投与する場合は添付文書記載の希釈後の総量と投与速度の規定に従う.
ダラザレックス®の用量は16mg/kg.
CrCLが30~50mL/minの場合、 LEN 10mgより開始する.
75歳を超える、 又はBMI18.5kg/m²未満の過少体重の患者に対してはDEXの投与量を20mg/週へ減量可.
レジメン
DLd(DRd)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*ダラキューロ®適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*ダラザレックス®適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*レブラミド®適正使用ガイドは「ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

MAIA試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少症 (≧Grade3 50.0%)
  • 貧血 (≧Grade3 11.8%)
  • 血小板減少症 (≧Grade3 7.4%)
  • リンパ球減少症 (≧Grade3 15.1%)

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (3%)
  • 肺炎 (22.5%、 ≧Grade3 13.7%)
  • 下痢 (56.9%、 ≧Grade3 6.6%)
  • 便秘 (40.9%、 ≧Grade3 1.6%)
  • 倦怠感 (40.4%、 ≧Grade3 8.0%)
  • 末梢性浮腫 (38.5%、 ≧Grade3 1.9%)
  • 背部痛 (33.8%、 ≧Grade3 3.,%)
  • 無力症 (32.1%、 ≧Grade3 1.4%)
  • 悪心 (31.6%、 ≧Grade3 1.4%)

その他重要な有害事象

  • Infusion reaction (87.1%、 ≧Grade3 13.2%) ※前投薬あり
  • 二次性発がん

特徴と注意点

  • DLd療法は未治療移植非適応多発性骨髄腫に推奨.
  • ダラツムマブのLd療法への上乗せは、 PFS、 OSともに良好であった.²⁾ 
  • 好中球減少症や肺炎の発症に注意し、 リスクを考慮し適切な予防薬の投与を検討する.

ダラツムマブ

  • ダラツムマブは抗CD38モノクローナル抗体で骨髄腫細胞への直接作用と免疫調節作用を介した間接作用を有する.
  • ダラツムマブは、 ダラザレックス®点滴静注ダラキューロ®配合皮下注の製剤がある. ダラキューロ®の発売後、 各施設の運用方針に応じてダラザレックス®からダラキューロ®への切り替えが行われている.
  • ダラザレックス®に対するダラキューロ®の非劣性が証明されており、 ダラキューロ®の方がInfusion reaction (IRR)が少ない.³⁾
  • 投与前に不規則抗体スクリーニング検査を含めた一般的な輸血前検査を実施する (投与後約半年間、 間接クームス試験が偽陽性となることがある).
  • 呼吸器合併症のリスクが高い症例に対しては気管支拡張薬および、 吸入ステロイド薬の投与を考慮.

レナリドミド

  • レナリドミドは免疫調節薬であり、 セレブロンに結合しIKZF1/3の分解を促進することで、 骨髄腫細胞の増殖を抑制し、 免疫細胞を活性化する. 
  • レナリドミド使用時は 「RevMate® (レブラミド®・ポマリスト®適正管理手順)」を遵守. 妊娠回避を徹底.
  • 血栓塞栓症予防に抗血小板薬又は抗凝固薬の予防投与を推奨.
  • その他レナリドミド使用時の注意点についてはLd療法の項目を参照.

再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するDLd (DRd)の投与方法

  • デキサメタゾンの使用方法が未治療例への投与方法と異なる.

関連する臨床試験の結果

PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

MAIA試験 (MMY3008)の初回中間解析¹⁾

概要

  • 対象:未治療の自家移植非適応の多発性骨髄腫患者.
  • Ld療法へのダラツムマブ上乗せ効果を検討した第3相試験.
  • 主要評価項目:PFS
  • 副次的評価項目:OS

結果

  • 観察期間中央値:28.0ヵ月.
  • PFS中央値:DLd群 未到達 vs Ld群 31.9ヵ月 (HR 0.56、 95%Cl 0.43-0.73、 p<0.001)
  • ダラツムマブ投与群では、 好中球減少症と肺炎の発生率が高かった.

MAIA試験の中間解析のアップデート (OSの解析を含む)²⁾

  • 観察期間中央値:56.2ヵ月.
  • PFS中央値:DLd群 未到達 vs Ld群 34.4ヵ月 (HR 0.53、 p<0.0001).
  • OS中央値:DLd群 未到達 vs Ld群 未到達 (HR 0.68、 p=0.0013).
  • Grade3以上の有害事象 (DLd群 vs Ld群で記載):好中球減少 54% vs 37%、 肺炎 19% vs 11%、 貧血 17% vs 22%、 リンパ球減少 16% vs 11%.
  • DLd群の77%、 Ld群の70%に重篤な。害事象が発現した.
  • 治療関連死:DLd群 13例 (4%)、Ld群 10例 (3%).

POLLUX試験 (MMY3003)⁴⁾

概要

  • 再発又は難治性の多発性骨髄腫に対してLd療法へのダラツムマブ上乗せ効果を検討した第3相臨床試験
  • 主要評価項目:PFS

結果

  • 12ヵ月PFS:DLd群 83.2% vs Ld群 60.1% (HR 0.37、 95%Cl 0.27-0.52、 p<0.001).
  • DLd療法はLd療法と比較して、 輸注関連反応と好中球減少の発生率が高かった.

参考文献

  1. N Engl J Med. 2019 May 30;380(22):2104-2115.
  2. Lancet Oncol. 2021 Nov;22(11):1582-1596.
  3. Lancet Haematol. 2020 May;7(5):e370-e380.
  4. N Engl J Med. 2016 Oct 6;375(14):1319-1331.

最終更新:2022年5月26日
執筆担当:北海道がんセンタ-薬剤部 深井雄太
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ダラツムマブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
2023年05月07日更新

DARA:ダラツムマブ(ダラキューロ®)

投与量コース投与日
1800㎎/body 皮下注1~2Day 1、8、15、22
1800㎎/body 皮下注3~6Day 1、15
1800㎎/body 皮下注7~Day 1

Len:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg1~Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg1~Day 1、8、15、22

前投薬

ダラツムマブ投与1~3時間前に下記薬剤を投与する.
デキサメタゾン
解熱鎮痛薬
抗ヒスタミン薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬 (モンテルカスト10mg経口). *任意

その他

1コースは28日間.
DARAはダラキューロ®配合皮下注かダラザレックス®点滴静注のどちらかを選択.
ダラキューロ®を投与する場合は1800mg/bodyを3~5分かけて臍周囲の腹部皮下へ投与
.ダラザレックス®を投与する場合は添付文書記載の希釈後の総量と投与速度の規定に従う.
ダラザレックス®の用量は16mg/kg.
CrCLが30~50mL/minの場合、 LEN 10mgより開始する.
75歳を超える、 又はBMI18.5kg/m²未満の過少体重の患者に対してはDEXの投与量を20mg/週へ減量可.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*ダラキューロ®適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*ダラザレックス®適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
*レブラミド®適正使用ガイドは「ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

MAIA試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少症 (≧Grade3 50.0%)
  • 貧血 (≧Grade3 11.8%)
  • 血小板減少症 (≧Grade3 7.4%)
  • リンパ球減少症 (≧Grade3 15.1%)

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (3%)
  • 肺炎 (22.5%、 ≧Grade3 13.7%)
  • 下痢 (56.9%、 ≧Grade3 6.6%)
  • 便秘 (40.9%、 ≧Grade3 1.6%)
  • 倦怠感 (40.4%、 ≧Grade3 8.0%)
  • 末梢性浮腫 (38.5%、 ≧Grade3 1.9%)
  • 背部痛 (33.8%、 ≧Grade3 3.,%)
  • 無力症 (32.1%、 ≧Grade3 1.4%)
  • 悪心 (31.6%、 ≧Grade3 1.4%)

その他重要な有害事象

  • Infusion reaction (87.1%、 ≧Grade3 13.2%) ※前投薬あり
  • 二次性発がん

特徴と注意点

  • DLd療法は未治療移植非適応多発性骨髄腫に推奨.
  • ダラツムマブのLd療法への上乗せは、 PFS、 OSともに良好であった.²⁾ 
  • 好中球減少症や肺炎の発症に注意し、 リスクを考慮し適切な予防薬の投与を検討する.

ダラツムマブ

  • ダラツムマブは抗CD38モノクローナル抗体で骨髄腫細胞への直接作用と免疫調節作用を介した間接作用を有する.
  • ダラツムマブは、 ダラザレックス®点滴静注ダラキューロ®配合皮下注の製剤がある. ダラキューロ®の発売後、 各施設の運用方針に応じてダラザレックス®からダラキューロ®への切り替えが行われている.
  • ダラザレックス®に対するダラキューロ®の非劣性が証明されており、 ダラキューロ®の方がInfusion reaction (IRR)が少ない.³⁾
  • 投与前に不規則抗体スクリーニング検査を含めた一般的な輸血前検査を実施する (投与後約半年間、 間接クームス試験が偽陽性となることがある).
  • 呼吸器合併症のリスクが高い症例に対しては気管支拡張薬および、 吸入ステロイド薬の投与を考慮.

レナリドミド

  • レナリドミドは免疫調節薬であり、 セレブロンに結合しIKZF1/3の分解を促進することで、 骨髄腫細胞の増殖を抑制し、 免疫細胞を活性化する. 
  • レナリドミド使用時は 「RevMate® (レブラミド®・ポマリスト®適正管理手順)」を遵守. 妊娠回避を徹底.
  • 血栓塞栓症予防に抗血小板薬又は抗凝固薬の予防投与を推奨.
  • その他レナリドミド使用時の注意点についてはLd療法の項目を参照.

再発又は難治性の多発性骨髄腫に対するDLd (DRd)の投与方法

  • デキサメタゾンの使用方法が未治療例への投与方法と異なる.

関連する臨床試験の結果

PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

MAIA試験 (MMY3008)の初回中間解析¹⁾

概要

  • 対象:未治療の自家移植非適応の多発性骨髄腫患者.
  • Ld療法へのダラツムマブ上乗せ効果を検討した第3相試験.
  • 主要評価項目:PFS
  • 副次的評価項目:OS

結果

  • 観察期間中央値:28.0ヵ月.
  • PFS中央値:DLd群 未到達 vs Ld群 31.9ヵ月 (HR 0.56、 95%Cl 0.43-0.73、 p<0.001)
  • ダラツムマブ投与群では、 好中球減少症と肺炎の発生率が高かった.

MAIA試験の中間解析のアップデート (OSの解析を含む)²⁾

  • 観察期間中央値:56.2ヵ月.
  • PFS中央値:DLd群 未到達 vs Ld群 34.4ヵ月 (HR 0.53、 p<0.0001).
  • OS中央値:DLd群 未到達 vs Ld群 未到達 (HR 0.68、 p=0.0013).
  • Grade3以上の有害事象 (DLd群 vs Ld群で記載):好中球減少 54% vs 37%、 肺炎 19% vs 11%、 貧血 17% vs 22%、 リンパ球減少 16% vs 11%.
  • DLd群の77%、 Ld群の70%に重篤な。害事象が発現した.
  • 治療関連死:DLd群 13例 (4%)、Ld群 10例 (3%).

POLLUX試験 (MMY3003)⁴⁾

概要

  • 再発又は難治性の多発性骨髄腫に対してLd療法へのダラツムマブ上乗せ効果を検討した第3相臨床試験
  • 主要評価項目:PFS

結果

  • 12ヵ月PFS:DLd群 83.2% vs Ld群 60.1% (HR 0.37、 95%Cl 0.27-0.52、 p<0.001).
  • DLd療法はLd療法と比較して、 輸注関連反応と好中球減少の発生率が高かった.

参考文献

  1. N Engl J Med. 2019 May 30;380(22):2104-2115.
  2. Lancet Oncol. 2021 Nov;22(11):1582-1596.
  3. Lancet Haematol. 2020 May;7(5):e370-e380.
  4. N Engl J Med. 2016 Oct 6;375(14):1319-1331.

最終更新:2022年5月26日
執筆担当:北海道がんセンタ-薬剤部 深井雄太
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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