化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」 を対象として、 2026年2月19日に正式承認された。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ツカイザ錠® (ツカチニブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾*

*ファイザー株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】ツカチニブ* / Tmab : 最小度、 Cape : 軽度
【FN発症】不明**
*NCCN Guidelines Antiemesis Version 2. 2025
**HER2CLIMB試験³⁾ではFN発生率は未報告

ツカチニブ : 1回300mgを1日2回経口投与

カペシタビン (Cape) : BSAに応じた用量を1日2回 (朝食後および夕食後30分以内) 14日間連日経口投与し、 続く7日間は休薬。 これを1コースとして反復し、 患者の状態により適宜減量。

トラスツズマブ (Tmab) : 初回投与時 8mg/kgを、 2回目以降 6mg/kgを3週ごと (Day1) に投与

HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabの休薬が4週間を超える場合、 再開時に8mg/kgの負荷投与が必要と規定された。 

Key Data|臨床試験結果

📊 HER2CLIMB試験

N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.

Tmab、 ペルツズマブおよびT-DM1の治療歴を有するHER2陽性の手術不能または再発乳癌 (脳転移例を含む) を対象とした国際共同第II相試験。 ツカチニブ+Tmab+Cape群410例、 プラセボ+Tmab+Cape群202例に2:1で割り付け、 主要評価項目は無作為に割り付けられた最初の480例におけるPFSとされた。

【有効性】ツカチニブ群 (vs プラセボ群)

- PFS中央値 7.8ヵ月 (vs 5.6ヵ月)

  • HR 0.54 (95%CI 0.42–0.71、 p<0.001)

- OS中央値 21.9ヵ月 (vs 17.4ヵ月)

  • HR 0.66 (95%CI 0.50–0.88、 p=0.005)

- ORR 40.6% (vs 22.8%)

【安全性】主な有害事象 全Grade (Grade≧3)

- 下痢 80.9% (12.9%)

- 手掌・足底発赤知覚不全症候群 63.4% (13.1%)

- 悪心 58.4% (3.7%)

- 疲労 45.0% (4.7%)

- 嘔吐 35.9% (3.0%)

- 口内炎 25.5% (2.5%)

- 食欲減退 24.8% (0.5%)

- 頭痛 21.5% (0.5%)

- AST増加 21.3% (4.5%)

- ALT増加 20.0% (5.4%)

各プロトコル

適格基準

HER2CLIMB試験³⁾の主な適格基準

- 18歳以上

- ECOG PS 0–1

- 好中球数≧1500/μL

- 血小板数≧10万/μL

  ≧7.5万で安定していれば許容

- Hb≧9.0g/dL

- 腎機能 : CrCl≧50mL/min

  体重≦45kgの場合は血清Cre≦ULN

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN

  肝転移例は≦5.0×ULN

- LVEF≧50%

用量レベル

HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabは固定用量で投与され、 減量規定は設けられていない。 ツカチニブおよびCapeの用量レベルは以下のとおり。

HER2CLIMB試験³⁾のプロトコルを基に編集部が作成

腎障害患者に対する用量調整

ツカチニブ : 尿中未変化体排泄率は0.7%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調整は不要と考えられる。

ツカチニブは、 糸球体機能に影響を及ぼさないものの、 クレアチニンの腎尿細管輸送を阻害し血清クレアチニンを増加させることがある¹⁾。

Tmab : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。

編集部の見解

Cape⁴⁾ : CrCl 30–50mL/min : 75%用量に減量CrCl<30mL/min : 禁忌

肝障害患者に対する用量調整

正常肝機能者と比較してChild-Pugh分類CではツカチニブのAUCが1.61倍であったため、 重度の肝機能障害 (Child-Pugh分類C) では開始用量を1回200mgを1日2回とする。

>> Child-Pughスコアを確認する

HOKUTO計算ツールに遷移します

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ツカチニブ :

ツカイザ®電子添文¹⁾を基に編集部作成

HER2CLIMB試験³⁾のプロトコル :

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️HER2に対して選択性の高い低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、 世界的にはTmab+Capeとの併用療法が、 HER2陽性転移・再発乳癌に対する標準治療の一つとなっている。 HER2CLIMB試験および日本が参加したHER2CLIMB-03試験のデータをもとに、 日本でもようやく承認に至った。 特に脳転移症例に対する高い効果が示されており、 日本でも速やかに日常診療へ導入されるべき薬剤と考えている。 さらに、 HER2CLIMBシリーズでは、 異なる複数のツカチニブ併用療法が開発されている。 
がん研有明病院 乳腺内科副部長 尾崎由記範先生

作用機序の特徴

ツカチニブは、 HER2のキナーゼ活性を阻害することにより、 腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

薬物相互作用

主にCYP2C8で代謝され、 CYP3Aも一部関与するため、 併用薬の確認が必要である。

>> ツカイザ®電子添文で併用禁忌薬を確認

CYP2C8阻害薬⁵⁾について、 強い阻害薬 (クロピドグレル300mg) 併用時はツカチニブを1回100mgを1日2回で開始する必要があり¹⁾、 中程度以下の阻害薬 (クロピドグレル75mg、 デフェラシロクス等) 併用時も副作用発現に十分注意する。 

レジメン適用時の注意事項

肝機能障害 : 定期的に肝機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。

間質性肺疾患 : 初期症状 (呼吸困難、 咳嗽、 発熱等) の確認および胸部画像検査の実施等により、 患者の状態を十分に観察する。 また、 初期症状があらわれた場合は速やかに医療機関を受診するよう説明する。

LVEF低下 : 投与開始前および投与中は適宜心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察する。

RMP【重要な特定されたリスク】

ツカイザ® 医薬品リスク管理計画書 (RMP)

- 重度の下痢

- 肝機能障害

出典

1) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 電子添文 2026年2月 第1版.

2) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 適正使用ガイド 2026年2月作成.

3) N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.

4) チェプラファーム株式会社. ゼローダ錠300 適正使用ガイド 2024年2月改訂

5) 日本医療薬学会. 代謝酵素 (P450 分子種) およびトランスポーターを介する相互作用において留意すべき薬物のリスト-第2版-

最終更新日 : 2026年5月7日
執筆 : 京都桂病院 薬剤科 塩飽英二
監修 : がん研有明病院 乳腺内科 尾崎由記範

レジメン
Tucatinib+Trastuzumab+Capecitabine
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
Tucatinib+Trastuzumab+Capecitabine
レジメン
Tucatinib+Trastuzumab+Capecitabine

Tucatinib+Trastuzumab+Capecitabine

ツカチニブ (ツカイザ®) +トラスツズマブ+カペシタビン
HER2陽性 > 転移・再発
2026年05月07日更新
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌」 を対象として、 2026年2月19日に正式承認された。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ツカイザ錠® (ツカチニブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾*

*ファイザー株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】ツカチニブ* / Tmab : 最小度、 Cape : 軽度
【FN発症】不明**
*NCCN Guidelines Antiemesis Version 2. 2025
**HER2CLIMB試験³⁾ではFN発生率は未報告

ツカチニブ : 1回300mgを1日2回経口投与

カペシタビン (Cape) : BSAに応じた用量を1日2回 (朝食後および夕食後30分以内) 14日間連日経口投与し、 続く7日間は休薬。 これを1コースとして反復し、 患者の状態により適宜減量。

トラスツズマブ (Tmab) : 初回投与時 8mg/kgを、 2回目以降 6mg/kgを3週ごと (Day1) に投与

HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabの休薬が4週間を超える場合、 再開時に8mg/kgの負荷投与が必要と規定された。 

Key Data|臨床試験結果

📊 HER2CLIMB試験

N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.

Tmab、 ペルツズマブおよびT-DM1の治療歴を有するHER2陽性の手術不能または再発乳癌 (脳転移例を含む) を対象とした国際共同第II相試験。 ツカチニブ+Tmab+Cape群410例、 プラセボ+Tmab+Cape群202例に2:1で割り付け、 主要評価項目は無作為に割り付けられた最初の480例におけるPFSとされた。

【有効性】ツカチニブ群 (vs プラセボ群)

- PFS中央値 7.8ヵ月 (vs 5.6ヵ月)

  • HR 0.54 (95%CI 0.42–0.71、 p<0.001)

- OS中央値 21.9ヵ月 (vs 17.4ヵ月)

  • HR 0.66 (95%CI 0.50–0.88、 p=0.005)

- ORR 40.6% (vs 22.8%)

【安全性】主な有害事象 全Grade (Grade≧3)

- 下痢 80.9% (12.9%)

- 手掌・足底発赤知覚不全症候群 63.4% (13.1%)

- 悪心 58.4% (3.7%)

- 疲労 45.0% (4.7%)

- 嘔吐 35.9% (3.0%)

- 口内炎 25.5% (2.5%)

- 食欲減退 24.8% (0.5%)

- 頭痛 21.5% (0.5%)

- AST増加 21.3% (4.5%)

- ALT増加 20.0% (5.4%)

各プロトコル

適格基準

HER2CLIMB試験³⁾の主な適格基準

- 18歳以上

- ECOG PS 0–1

- 好中球数≧1500/μL

- 血小板数≧10万/μL

  ≧7.5万で安定していれば許容

- Hb≧9.0g/dL

- 腎機能 : CrCl≧50mL/min

  体重≦45kgの場合は血清Cre≦ULN

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN

  肝転移例は≦5.0×ULN

- LVEF≧50%

用量レベル

HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabは固定用量で投与され、 減量規定は設けられていない。 ツカチニブおよびCapeの用量レベルは以下のとおり。

HER2CLIMB試験³⁾のプロトコルを基に編集部が作成

腎障害患者に対する用量調整

ツカチニブ : 尿中未変化体排泄率は0.7%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調整は不要と考えられる。

ツカチニブは、 糸球体機能に影響を及ぼさないものの、 クレアチニンの腎尿細管輸送を阻害し血清クレアチニンを増加させることがある¹⁾。

Tmab : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。

編集部の見解

Cape⁴⁾ : CrCl 30–50mL/min : 75%用量に減量CrCl<30mL/min : 禁忌

肝障害患者に対する用量調整

正常肝機能者と比較してChild-Pugh分類CではツカチニブのAUCが1.61倍であったため、 重度の肝機能障害 (Child-Pugh分類C) では開始用量を1回200mgを1日2回とする。

>> Child-Pughスコアを確認する

HOKUTO計算ツールに遷移します

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ツカチニブ :

ツカイザ®電子添文¹⁾を基に編集部作成

HER2CLIMB試験³⁾のプロトコル :

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️HER2に対して選択性の高い低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、 世界的にはTmab+Capeとの併用療法が、 HER2陽性転移・再発乳癌に対する標準治療の一つとなっている。 HER2CLIMB試験および日本が参加したHER2CLIMB-03試験のデータをもとに、 日本でもようやく承認に至った。 特に脳転移症例に対する高い効果が示されており、 日本でも速やかに日常診療へ導入されるべき薬剤と考えている。 さらに、 HER2CLIMBシリーズでは、 異なる複数のツカチニブ併用療法が開発されている。 
がん研有明病院 乳腺内科副部長 尾崎由記範先生

作用機序の特徴

ツカチニブは、 HER2のキナーゼ活性を阻害することにより、 腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

薬物相互作用

主にCYP2C8で代謝され、 CYP3Aも一部関与するため、 併用薬の確認が必要である。

>> ツカイザ®電子添文で併用禁忌薬を確認

CYP2C8阻害薬⁵⁾について、 強い阻害薬 (クロピドグレル300mg) 併用時はツカチニブを1回100mgを1日2回で開始する必要があり¹⁾、 中程度以下の阻害薬 (クロピドグレル75mg、 デフェラシロクス等) 併用時も副作用発現に十分注意する。 

レジメン適用時の注意事項

肝機能障害 : 定期的に肝機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。

間質性肺疾患 : 初期症状 (呼吸困難、 咳嗽、 発熱等) の確認および胸部画像検査の実施等により、 患者の状態を十分に観察する。 また、 初期症状があらわれた場合は速やかに医療機関を受診するよう説明する。

LVEF低下 : 投与開始前および投与中は適宜心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察する。

RMP【重要な特定されたリスク】

ツカイザ® 医薬品リスク管理計画書 (RMP)

- 重度の下痢

- 肝機能障害

出典

1) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 電子添文 2026年2月 第1版.

2) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 適正使用ガイド 2026年2月作成.

3) N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.

4) チェプラファーム株式会社. ゼローダ錠300 適正使用ガイド 2024年2月改訂

5) 日本医療薬学会. 代謝酵素 (P450 分子種) およびトランスポーターを介する相互作用において留意すべき薬物のリスト-第2版-

最終更新日 : 2026年5月7日
執筆 : 京都桂病院 薬剤科 塩飽英二
監修 : がん研有明病院 乳腺内科 尾崎由記範

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(乳腺)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。