ツカイザ錠® (ツカチニブ)
【1コース】21日間
【催吐性】ツカチニブ* / Tmab : 最小度、 Cape : 軽度
【FN発症】不明**

ツカチニブ : 1回300mgを1日2回経口投与
カペシタビン (Cape) : BSAに応じた用量を1日2回 (朝食後および夕食後30分以内) 14日間連日経口投与し、 続く7日間は休薬。 これを1コースとして反復し、 患者の状態により適宜減量。

トラスツズマブ (Tmab) : 初回投与時 8mg/kgを、 2回目以降 6mg/kgを3週ごと (Day1) に投与
HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabの休薬が4週間を超える場合、 再開時に8mg/kgの負荷投与が必要と規定された。
N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.
Tmab、 ペルツズマブおよびT-DM1の治療歴を有するHER2陽性の手術不能または再発乳癌 (脳転移例を含む) を対象とした国際共同第II相試験。 ツカチニブ+Tmab+Cape群410例、 プラセボ+Tmab+Cape群202例に2:1で割り付け、 主要評価項目は無作為に割り付けられた最初の480例におけるPFSとされた。
【有効性】ツカチニブ群 (vs プラセボ群)
- PFS中央値 7.8ヵ月 (vs 5.6ヵ月)
- OS中央値 21.9ヵ月 (vs 17.4ヵ月)
- ORR 40.6% (vs 22.8%)
【安全性】主な有害事象 全Grade (Grade≧3)
- 下痢 80.9% (12.9%)
- 手掌・足底発赤知覚不全症候群 63.4% (13.1%)
- 悪心 58.4% (3.7%)
- 疲労 45.0% (4.7%)
- 嘔吐 35.9% (3.0%)
- 口内炎 25.5% (2.5%)
- 食欲減退 24.8% (0.5%)
- 頭痛 21.5% (0.5%)
- AST増加 21.3% (4.5%)
- ALT増加 20.0% (5.4%)
HER2CLIMB試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- 好中球数≧1500/μL
- 血小板数≧10万/μL
- Hb≧9.0g/dL
- 腎機能 : CrCl≧50mL/min
- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN
- LVEF≧50%
HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabは固定用量で投与され、 減量規定は設けられていない。 ツカチニブおよびCapeの用量レベルは以下のとおり。

ツカチニブ : 尿中未変化体排泄率は0.7%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調整は不要と考えられる。
Tmab : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。
Cape⁴⁾ : CrCl 30–50mL/min : 75%用量に減量CrCl<30mL/min : 禁忌
正常肝機能者と比較してChild-Pugh分類CではツカチニブのAUCが1.61倍であったため、 重度の肝機能障害 (Child-Pugh分類C) では開始用量を1回200mgを1日2回とする。
ツカチニブ :

HER2CLIMB試験³⁾のプロトコル :

🧑⚕️HER2に対して選択性の高い低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、 世界的にはTmab+Capeとの併用療法が、 HER2陽性転移・再発乳癌に対する標準治療の一つとなっている。 HER2CLIMB試験および日本が参加したHER2CLIMB-03試験のデータをもとに、 日本でもようやく承認に至った。 特に脳転移症例に対する高い効果が示されており、 日本でも速やかに日常診療へ導入されるべき薬剤と考えている。 さらに、 HER2CLIMBシリーズでは、 異なる複数のツカチニブ併用療法が開発されている。
ツカチニブは、 HER2のキナーゼ活性を阻害することにより、 腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
主にCYP2C8で代謝され、 CYP3Aも一部関与するため、 併用薬の確認が必要である。
CYP2C8阻害薬⁵⁾について、 強い阻害薬 (クロピドグレル300mg) 併用時はツカチニブを1回100mgを1日2回で開始する必要があり¹⁾、 中程度以下の阻害薬 (クロピドグレル75mg、 デフェラシロクス等) 併用時も副作用発現に十分注意する。
肝機能障害 : 定期的に肝機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
間質性肺疾患 : 初期症状 (呼吸困難、 咳嗽、 発熱等) の確認および胸部画像検査の実施等により、 患者の状態を十分に観察する。 また、 初期症状があらわれた場合は速やかに医療機関を受診するよう説明する。
LVEF低下 : 投与開始前および投与中は適宜心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察する。
- 重度の下痢
- 肝機能障害
1) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 電子添文 2026年2月 第1版.
2) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 適正使用ガイド 2026年2月作成.
3) N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.
4) チェプラファーム株式会社. ゼローダ錠300 適正使用ガイド 2024年2月改訂
5) 日本医療薬学会. 代謝酵素 (P450 分子種) およびトランスポーターを介する相互作用において留意すべき薬物のリスト-第2版-
最終更新日 : 2026年5月7日
執筆 : 京都桂病院 薬剤科 塩飽英二
監修 : がん研有明病院 乳腺内科 尾崎由記範
ツカイザ錠® (ツカチニブ)
【1コース】21日間
【催吐性】ツカチニブ* / Tmab : 最小度、 Cape : 軽度
【FN発症】不明**

ツカチニブ : 1回300mgを1日2回経口投与
カペシタビン (Cape) : BSAに応じた用量を1日2回 (朝食後および夕食後30分以内) 14日間連日経口投与し、 続く7日間は休薬。 これを1コースとして反復し、 患者の状態により適宜減量。

トラスツズマブ (Tmab) : 初回投与時 8mg/kgを、 2回目以降 6mg/kgを3週ごと (Day1) に投与
HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabの休薬が4週間を超える場合、 再開時に8mg/kgの負荷投与が必要と規定された。
N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.
Tmab、 ペルツズマブおよびT-DM1の治療歴を有するHER2陽性の手術不能または再発乳癌 (脳転移例を含む) を対象とした国際共同第II相試験。 ツカチニブ+Tmab+Cape群410例、 プラセボ+Tmab+Cape群202例に2:1で割り付け、 主要評価項目は無作為に割り付けられた最初の480例におけるPFSとされた。
【有効性】ツカチニブ群 (vs プラセボ群)
- PFS中央値 7.8ヵ月 (vs 5.6ヵ月)
- OS中央値 21.9ヵ月 (vs 17.4ヵ月)
- ORR 40.6% (vs 22.8%)
【安全性】主な有害事象 全Grade (Grade≧3)
- 下痢 80.9% (12.9%)
- 手掌・足底発赤知覚不全症候群 63.4% (13.1%)
- 悪心 58.4% (3.7%)
- 疲労 45.0% (4.7%)
- 嘔吐 35.9% (3.0%)
- 口内炎 25.5% (2.5%)
- 食欲減退 24.8% (0.5%)
- 頭痛 21.5% (0.5%)
- AST増加 21.3% (4.5%)
- ALT増加 20.0% (5.4%)
HER2CLIMB試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- 好中球数≧1500/μL
- 血小板数≧10万/μL
- Hb≧9.0g/dL
- 腎機能 : CrCl≧50mL/min
- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN
- LVEF≧50%
HER2CLIMB試験³⁾では、 Tmabは固定用量で投与され、 減量規定は設けられていない。 ツカチニブおよびCapeの用量レベルは以下のとおり。

ツカチニブ : 尿中未変化体排泄率は0.7%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいため、 腎障害時の用量調整は不要と考えられる。
Tmab : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。
Cape⁴⁾ : CrCl 30–50mL/min : 75%用量に減量CrCl<30mL/min : 禁忌
正常肝機能者と比較してChild-Pugh分類CではツカチニブのAUCが1.61倍であったため、 重度の肝機能障害 (Child-Pugh分類C) では開始用量を1回200mgを1日2回とする。
ツカチニブ :

HER2CLIMB試験³⁾のプロトコル :

🧑⚕️HER2に対して選択性の高い低分子チロシンキナーゼ阻害薬であり、 世界的にはTmab+Capeとの併用療法が、 HER2陽性転移・再発乳癌に対する標準治療の一つとなっている。 HER2CLIMB試験および日本が参加したHER2CLIMB-03試験のデータをもとに、 日本でもようやく承認に至った。 特に脳転移症例に対する高い効果が示されており、 日本でも速やかに日常診療へ導入されるべき薬剤と考えている。 さらに、 HER2CLIMBシリーズでは、 異なる複数のツカチニブ併用療法が開発されている。
ツカチニブは、 HER2のキナーゼ活性を阻害することにより、 腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
主にCYP2C8で代謝され、 CYP3Aも一部関与するため、 併用薬の確認が必要である。
CYP2C8阻害薬⁵⁾について、 強い阻害薬 (クロピドグレル300mg) 併用時はツカチニブを1回100mgを1日2回で開始する必要があり¹⁾、 中程度以下の阻害薬 (クロピドグレル75mg、 デフェラシロクス等) 併用時も副作用発現に十分注意する。
肝機能障害 : 定期的に肝機能検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
間質性肺疾患 : 初期症状 (呼吸困難、 咳嗽、 発熱等) の確認および胸部画像検査の実施等により、 患者の状態を十分に観察する。 また、 初期症状があらわれた場合は速やかに医療機関を受診するよう説明する。
LVEF低下 : 投与開始前および投与中は適宜心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察する。
- 重度の下痢
- 肝機能障害
1) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 電子添文 2026年2月 第1版.
2) ファイザー株式会社. ツカイザ錠50mg/ツカイザ錠150mg 適正使用ガイド 2026年2月作成.
3) N Engl J Med. 2020;382(7):597-609.
4) チェプラファーム株式会社. ゼローダ錠300 適正使用ガイド 2024年2月改訂
5) 日本医療薬学会. 代謝酵素 (P450 分子種) およびトランスポーターを介する相互作用において留意すべき薬物のリスト-第2版-
最終更新日 : 2026年5月7日
執筆 : 京都桂病院 薬剤科 塩飽英二
監修 : がん研有明病院 乳腺内科 尾崎由記範
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。