治療スケジュール
概要
監修医師

Nivolumab:ニボルマブ(オプジーボ®)

投与量コース投与日
240mg/body 点滴2週間間隔の場合Day1
480mg/body 点滴4週間間隔の場合Day1

その他

1コース2週間 or 4週間
レジメン
Nivolumab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

オプジーボ® (添付文書/適正使用情報*)

*小野薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

JCheckMate 142試験¹⁾の基準より抜粋

転移性もしくは再発性の大腸癌の組織学的または細胞学的診断のある18歳以上でPSが1以下の患者

主な有害事象

CheckMate 142試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 倦怠感 23.0% (1.4%)
  • 下痢 21.6% (1.4%)
  • 悪心 9.5% (0%)
  • 甲状腺機能低下症 9.5% (0%)
  • 発熱 5.4% (0%)
  • ALT増加 5.4% (1.4%)
  • 口内炎 4.1% (1.4%)

上手に使うためのワンポイント

  • 免疫関連有害事象のマネージメントは基本的にはがん免疫療法ガイドラインを参考に行う²⁾。 日本における保険承認状況と異なることに留意が必要ではあるが、 ASCO³⁾やESMO⁴⁾のガイドラインも参考になる。
  • 免疫関連有害事象の管理が最も重要である。 患者教育・多職種チーム医療はもちろん、 採血セットを作成する、 他科コンサルテーションのシステム作り、 患者にirAEを疑う症状が出現した際の相談部署・受診基準など院内でのirAE対策システムを構築することが望ましい。 神経内科医がいないなど、 院内のみで完結できないケースが多々あると考えられるが、 地域の基幹病院とコンサルテーションできるシステム作りが望ましい。 様々な施設の取り組みが各製薬会社のHPで紹介されているため、 参考にしていただきたい。
  • Pseudo progressionが一定数存在する。 CT上増悪を疑うような場合でも、 (明らかな増悪を除き) CTのみで増悪と判断せず、 腫瘍マーカーの変動、 臨床症状の変化など総合的に判断する。 担当医個人ではなく、 カンファレンスで検討することが望ましい。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、MSI-H/dMMR大腸癌既治療例の標準治療である²⁾。
  • 1次治療でペムブロリズマブが承認されたため、 投与機会が減っているが、 術後補助化学療法の早期再発例など1次治療でペムブロリズマブが投与されなかった症例が主な対象になると考えられる。

関連する臨床試験|CheckMate 142試験¹⁾

DNAミスマッチ修復機構欠損 (dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) を有する再発/転移性大腸癌に対するニボルマブ (Nivo) の効果を検証した第Ⅱ相多施設共同非盲検試験Check Mate 142の結果より、 Nivoの高い忍容性と、 持続的な奏効および病勢コントロールが示された。 さらに奏効が得られた患者の長期生存も確認された。

>>臨床試験の詳細を見る

担当医判定による奏効率

31.1%

(95%CI 20.8-42.9%)
独立中央判定でdMMR/MSI-Hと診断された53例に限定した場合の奏効率は36.0%

盲検下独立中央判定による奏効率

32.0%

(95%CI 22-44%)
独立中央判定でdMMR/MSI-Hと診断された53例に限定した場合の奏効率は36.0%

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

14.3ヵ月

(95%CI 4.3ヵ月-NE)

全生存期間 (OS) 中央値

未到達

(95%CI 18.0ヵ月-NE)

1年OS率

73%

(95%CI 62-82%)
最終解析時点で奏効23例は全例生存しており、 奏効期間中央値は未到達だった。 8例は12ヵ月以上奏効を維持していた。

QOL

EORTC QLQ-C30

機能、 症状および全般的な健康状態/QOLについて、 50%以上の症例は試験期間中、 臨床的に意味のある悪化 (10点以上の変化) なく経過した。

EQ-5D

治療開始時の平均VASスコアは51.1であり、 19週間の治療継続例の平均VASスコアは68.0-87.7に改善した。

参考文献

  1. Nivolumab in patients with metastatic DNA mismatch repair-deficient or microsatellite instability-high colorectal cancer (CheckMate 142): an open-label, multicentre, phase 2 study. Lancet Oncol. 2017 Sep;18(9):1182-1191. PMID: 28734759
  2. がん免疫療法ガイドライン第3版. 日本臨床腫瘍学会編. 金原出版株式会社.
  3. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: ASCO Guideline Update. J Clin Oncol. 2021 Dec 20;39(36):4073-4126. PMID: 34724392
  4. Management of toxicities from immunotherapy: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2022 Dec;33(12):1217-1238. PMID: 36270461
  5. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編. 金原出版株式会社.
最終更新日:2024年2月29日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
Nivolumab
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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Nivolumab

ニボルマブ (オプジーボ®)
2024年03月05日更新

Nivolumab:ニボルマブ(オプジーボ®)

投与量コース投与日
240mg/body 点滴2週間間隔の場合Day1
480mg/body 点滴4週間間隔の場合Day1

その他

1コース2週間 or 4週間

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

オプジーボ® (添付文書/適正使用情報*)

*小野薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

JCheckMate 142試験¹⁾の基準より抜粋

転移性もしくは再発性の大腸癌の組織学的または細胞学的診断のある18歳以上でPSが1以下の患者

主な有害事象

CheckMate 142試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 倦怠感 23.0% (1.4%)
  • 下痢 21.6% (1.4%)
  • 悪心 9.5% (0%)
  • 甲状腺機能低下症 9.5% (0%)
  • 発熱 5.4% (0%)
  • ALT増加 5.4% (1.4%)
  • 口内炎 4.1% (1.4%)

上手に使うためのワンポイント

  • 免疫関連有害事象のマネージメントは基本的にはがん免疫療法ガイドラインを参考に行う²⁾。 日本における保険承認状況と異なることに留意が必要ではあるが、 ASCO³⁾やESMO⁴⁾のガイドラインも参考になる。
  • 免疫関連有害事象の管理が最も重要である。 患者教育・多職種チーム医療はもちろん、 採血セットを作成する、 他科コンサルテーションのシステム作り、 患者にirAEを疑う症状が出現した際の相談部署・受診基準など院内でのirAE対策システムを構築することが望ましい。 神経内科医がいないなど、 院内のみで完結できないケースが多々あると考えられるが、 地域の基幹病院とコンサルテーションできるシステム作りが望ましい。 様々な施設の取り組みが各製薬会社のHPで紹介されているため、 参考にしていただきたい。
  • Pseudo progressionが一定数存在する。 CT上増悪を疑うような場合でも、 (明らかな増悪を除き) CTのみで増悪と判断せず、 腫瘍マーカーの変動、 臨床症状の変化など総合的に判断する。 担当医個人ではなく、 カンファレンスで検討することが望ましい。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、MSI-H/dMMR大腸癌既治療例の標準治療である²⁾。
  • 1次治療でペムブロリズマブが承認されたため、 投与機会が減っているが、 術後補助化学療法の早期再発例など1次治療でペムブロリズマブが投与されなかった症例が主な対象になると考えられる。

関連する臨床試験|CheckMate 142試験¹⁾

DNAミスマッチ修復機構欠損 (dMMR)または高頻度マイクロサテライト不安定性 (MSI-H) を有する再発/転移性大腸癌に対するニボルマブ (Nivo) の効果を検証した第Ⅱ相多施設共同非盲検試験Check Mate 142の結果より、 Nivoの高い忍容性と、 持続的な奏効および病勢コントロールが示された。 さらに奏効が得られた患者の長期生存も確認された。

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担当医判定による奏効率

31.1%

(95%CI 20.8-42.9%)
独立中央判定でdMMR/MSI-Hと診断された53例に限定した場合の奏効率は36.0%

盲検下独立中央判定による奏効率

32.0%

(95%CI 22-44%)
独立中央判定でdMMR/MSI-Hと診断された53例に限定した場合の奏効率は36.0%

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

14.3ヵ月

(95%CI 4.3ヵ月-NE)

全生存期間 (OS) 中央値

未到達

(95%CI 18.0ヵ月-NE)

1年OS率

73%

(95%CI 62-82%)
最終解析時点で奏効23例は全例生存しており、 奏効期間中央値は未到達だった。 8例は12ヵ月以上奏効を維持していた。

QOL

EORTC QLQ-C30

機能、 症状および全般的な健康状態/QOLについて、 50%以上の症例は試験期間中、 臨床的に意味のある悪化 (10点以上の変化) なく経過した。

EQ-5D

治療開始時の平均VASスコアは51.1であり、 19週間の治療継続例の平均VASスコアは68.0-87.7に改善した。

参考文献

  1. Nivolumab in patients with metastatic DNA mismatch repair-deficient or microsatellite instability-high colorectal cancer (CheckMate 142): an open-label, multicentre, phase 2 study. Lancet Oncol. 2017 Sep;18(9):1182-1191. PMID: 28734759
  2. がん免疫療法ガイドライン第3版. 日本臨床腫瘍学会編. 金原出版株式会社.
  3. Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy: ASCO Guideline Update. J Clin Oncol. 2021 Dec 20;39(36):4073-4126. PMID: 34724392
  4. Management of toxicities from immunotherapy: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2022 Dec;33(12):1217-1238. PMID: 36270461
  5. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編. 金原出版株式会社.
最終更新日:2024年2月29日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。