概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

【催吐性】 中等度催吐性

- タキソール® (添付文書¹⁾)

- パラプラチン® (添付文書²⁾)

- アバスチン® (添付文書³⁾/適正使用情報⁴⁾)

 *中外製薬株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

GOG-0213試験⁵⁾のプロトコル

6サイクル目まで継続後、 Bmabのみ継続

Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791⁵⁾より作図

電子添文の用法および用量
パクリタキセル : カルボプラチンとの併用において、 1日1回80mg/m²を1時間かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続する
タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版)¹⁾より引用
カルボプラチン²⁾ : 1日1回300~400mg/m²を投与し、 少なくとも4週間休薬
パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版)²⁾より引用
ベバシズマブ³⁾ : 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、 1回10mg/kgを2週間間隔又は1回15mg/kgを3週間間隔で点滴静脈内注射
アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版)³⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX9.9mg+ファモチジン 50mg+抗ヒスタミン薬+生食 100ml

- NK₁阻害剤+5HT₃拮抗剤+生食 50ml (30分)

- PTX 175mg/m²+5%ブ糖液 250mL (3時間)

- CBDCA+生食 250mL (0.5~1時間)

- Bmab 15mg/kg+生食 100ml (90分)

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供
参考 : パクリタキセル電子添文¹⁾
投与約30分前までに投与を終了するように、 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液 (デキサメタゾンとして8mg) 及びラニチジン塩酸塩注射液 (ラニチジンとして50mg) または注射用ファモチジン (ファモチジンとして20mg) を静脈内投与、 ジフェンヒドラミン塩酸塩錠 (ジフェンヒドラミン塩酸塩として50mg) を経口投与すること。
デキサメタゾンは初回投与時8mgとし、 次回投与時までに過敏症状の発現がみられなかった場合または臨床上特に問題のない過敏症状の場合は、 2週目の投与より半量 (4mg) に減量し投与してもよい。 以降の投与週においても同様の場合、 半量ずつ最低1mgまで減量し投与してもよい。
タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版)¹⁾より引用

投与開始基準

GOG-0213試験⁵⁾のプロトコル

Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791⁵⁾より作図

KeyData|臨床試験結果

GOG-0213試験⁵⁾

対象: プラチナ感受性再発卵巣癌患者674例
方法: PTX+CBDCA+BV群 vs PTX+CBDCA群

【有効性】PTX+CBDCA+BV群

  • ORR 78%
  • mPFS 13.8ヵ月
  • mOS 42.2ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 聴覚/耳 9.7% (0.9%)
  • アレルギー・免疫学 40.0% (9.7%)
  • 凝固 3.6% (1.8%)
  • 体質的症状 87.0% (8.8%)
  • 心臓 52.1% (13.9%)
  • 皮膚 89.4% (2.7%)
  • 死亡 (進行性疾患または原因不明) 1.5% (1.5%)
  • 内分泌 14.5% (0.3%)
  • 胃腸 90.0% (11.5%)
  • 腎臓/泌尿生殖器 19.1% (1.5%)
  • 出血 42.4% (1.8%)
  • 血液/骨髄 98.8% (86.4%)
  • 感染 38.2% (13.0%)
  • リンパ管 13.3% (0%)
  • 二次悪性腫瘍 0.3% (0.3%)
  • 筋骨格/軟部組織 23.0% (1.8%)
  • 代謝 63.6% (20.3%)
  • 神経内科 80.0% (8.8%)
  • 眼科/視覚 22.7% (0.9%)
  • 肺/上気道 56.7% (4.2%)
  • 痛み 82.4% (15.2%)
  • 血管 7.3% (4.2%)
Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791⁵⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

GOG213試験⁵⁾の概要と結果

GOG213試験⁵⁾は、 GOG218試験⁶⁾と同様のデザインで、 プラチナ感受性再発卵巣癌で、 TC療法にベバシズマブの上乗せ効果が得られるかどうかを検証したRCTです。 プライマリーエンドポイントの全生存期間 (OS) は、 中央値42.2ヵ月 (ベバシズマブ群)、 37.3ヵ月 (ベバシズマブなし群) HR=0.82,0.68-1.005、 P=0.056であり、 有意差は得られませんでした。 しかし、 674名を対象とした大規模研究で、 約5ヵ月のOS延長が認められているため、 臨床的にはベネフィットありと考えてよいと思われます。

この研究の対象者の大部分 (90%) は初回治療にベバシズマブを使用しておらず、 ベバシズマブの再投与 (rechallenge) に関する明確なエビデンスは得られていません。 そのため、 初回治療でベバシズマブを使用した患者に対する再投与の効果については、 さらなるデータが必要とされます。 この点を考慮に入れ、 今後の治療方針を検討する際には注意が必要です。

監修 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. クリニジェン株式会社. タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  2. クリニジェン株式会社. パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  3. 中外製薬株式会社. アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  4. 中外製薬株式会社. アバスチン®適正使用ガイド (2022年6月作成) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  5. Bevacizumab and paclitaxel-carboplatin chemotherapy and secondary cytoreduction in recurrent, platinum-sensitive ovarian cancer (NRG Oncology/Gynecologic Oncology Group study GOG-0213): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791. PMID: 28438473
  6. Final Overall Survival of a Randomized Trial of Bevacizumab for Primary Treatment of Ovarian Cancer. J Clin Oncol. 2019 Sep 10;37(26):2317-2328. PMID: 31216226
最終更新日 : 2024年8月3日
監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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パクリタキセル + カルボプラチン + ベバシズマブ
2024年08月03日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

【催吐性】 中等度催吐性

- タキソール® (添付文書¹⁾)

- パラプラチン® (添付文書²⁾)

- アバスチン® (添付文書³⁾/適正使用情報⁴⁾)

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用法用量

GOG-0213試験⁵⁾のプロトコル

6サイクル目まで継続後、 Bmabのみ継続

Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791⁵⁾より作図

電子添文の用法および用量
パクリタキセル : カルボプラチンとの併用において、 1日1回80mg/m²を1時間かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続する
タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版)¹⁾より引用
カルボプラチン²⁾ : 1日1回300~400mg/m²を投与し、 少なくとも4週間休薬
パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版)²⁾より引用
ベバシズマブ³⁾ : 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、 1回10mg/kgを2週間間隔又は1回15mg/kgを3週間間隔で点滴静脈内注射
アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版)³⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX9.9mg+ファモチジン 50mg+抗ヒスタミン薬+生食 100ml

- NK₁阻害剤+5HT₃拮抗剤+生食 50ml (30分)

- PTX 175mg/m²+5%ブ糖液 250mL (3時間)

- CBDCA+生食 250mL (0.5~1時間)

- Bmab 15mg/kg+生食 100ml (90分)

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供
参考 : パクリタキセル電子添文¹⁾
投与約30分前までに投与を終了するように、 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液 (デキサメタゾンとして8mg) 及びラニチジン塩酸塩注射液 (ラニチジンとして50mg) または注射用ファモチジン (ファモチジンとして20mg) を静脈内投与、 ジフェンヒドラミン塩酸塩錠 (ジフェンヒドラミン塩酸塩として50mg) を経口投与すること。
デキサメタゾンは初回投与時8mgとし、 次回投与時までに過敏症状の発現がみられなかった場合または臨床上特に問題のない過敏症状の場合は、 2週目の投与より半量 (4mg) に減量し投与してもよい。 以降の投与週においても同様の場合、 半量ずつ最低1mgまで減量し投与してもよい。
タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版)¹⁾より引用

投与開始基準

GOG-0213試験⁵⁾のプロトコル

Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791⁵⁾より作図

KeyData|臨床試験結果

GOG-0213試験⁵⁾

対象: プラチナ感受性再発卵巣癌患者674例
方法: PTX+CBDCA+BV群 vs PTX+CBDCA群

【有効性】PTX+CBDCA+BV群

  • ORR 78%
  • mPFS 13.8ヵ月
  • mOS 42.2ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 聴覚/耳 9.7% (0.9%)
  • アレルギー・免疫学 40.0% (9.7%)
  • 凝固 3.6% (1.8%)
  • 体質的症状 87.0% (8.8%)
  • 心臓 52.1% (13.9%)
  • 皮膚 89.4% (2.7%)
  • 死亡 (進行性疾患または原因不明) 1.5% (1.5%)
  • 内分泌 14.5% (0.3%)
  • 胃腸 90.0% (11.5%)
  • 腎臓/泌尿生殖器 19.1% (1.5%)
  • 出血 42.4% (1.8%)
  • 血液/骨髄 98.8% (86.4%)
  • 感染 38.2% (13.0%)
  • リンパ管 13.3% (0%)
  • 二次悪性腫瘍 0.3% (0.3%)
  • 筋骨格/軟部組織 23.0% (1.8%)
  • 代謝 63.6% (20.3%)
  • 神経内科 80.0% (8.8%)
  • 眼科/視覚 22.7% (0.9%)
  • 肺/上気道 56.7% (4.2%)
  • 痛み 82.4% (15.2%)
  • 血管 7.3% (4.2%)
Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791⁵⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

GOG213試験⁵⁾の概要と結果

GOG213試験⁵⁾は、 GOG218試験⁶⁾と同様のデザインで、 プラチナ感受性再発卵巣癌で、 TC療法にベバシズマブの上乗せ効果が得られるかどうかを検証したRCTです。 プライマリーエンドポイントの全生存期間 (OS) は、 中央値42.2ヵ月 (ベバシズマブ群)、 37.3ヵ月 (ベバシズマブなし群) HR=0.82,0.68-1.005、 P=0.056であり、 有意差は得られませんでした。 しかし、 674名を対象とした大規模研究で、 約5ヵ月のOS延長が認められているため、 臨床的にはベネフィットありと考えてよいと思われます。

この研究の対象者の大部分 (90%) は初回治療にベバシズマブを使用しておらず、 ベバシズマブの再投与 (rechallenge) に関する明確なエビデンスは得られていません。 そのため、 初回治療でベバシズマブを使用した患者に対する再投与の効果については、 さらなるデータが必要とされます。 この点を考慮に入れ、 今後の治療方針を検討する際には注意が必要です。

監修 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. クリニジェン株式会社. タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  2. クリニジェン株式会社. パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  3. 中外製薬株式会社. アバスチン®電子添文 (2024年3月改訂 第5版) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  4. 中外製薬株式会社. アバスチン®適正使用ガイド (2022年6月作成) [最終閲覧 : 2024/03/22]
  5. Bevacizumab and paclitaxel-carboplatin chemotherapy and secondary cytoreduction in recurrent, platinum-sensitive ovarian cancer (NRG Oncology/Gynecologic Oncology Group study GOG-0213): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):779-791. PMID: 28438473
  6. Final Overall Survival of a Randomized Trial of Bevacizumab for Primary Treatment of Ovarian Cancer. J Clin Oncol. 2019 Sep 10;37(26):2317-2328. PMID: 31216226
最終更新日 : 2024年8月3日
監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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