電子添文¹⁾³⁾の用法および用量
※術後補助療法の場合、 投与は12ヵ月まで
※食事1時間前~食後2時間までの服用は避ける
ダブラフェニブ、トラメチニブ電子添文¹⁾³⁾の基準
用量調節の目安
BRAFV600遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者に用いられる。
💊 ダブラフェニブ
BRAF変異型のキナーゼ活性を阻害し、 BRAF V600変異を有する腫瘍の増殖を抑制する。 一方シグナル伝達がBRAFを介さない迂回経路になることでMEK、 ERKを再活性化しシグナル伝達が急速に回復するという薬剤耐性獲得機序が知られている。
ダブラフェニブ1回150㎎を1日2回内服。食事1時間前~食後2時間までの間の服用は避ける。
💊 トラメチニブ
MEK1と2の活性化とキナーゼ活性を阻害しBRAF V600変異を有す腫瘍の増殖を抑制する。
トラメチニブ1回2㎎を1日1回内服。 食事1時間前~食後2時間までの間の服用は避ける。
これら2剤の併用療法によってBRAF、 MEKという二つの作用点を阻害することで強力に腫瘍増殖を阻害し、 薬剤耐性発現を遅らせると考えられている。 このような理由で、 通常は単剤ではなく2剤の併用療法が行われる。
BRAFV600遺伝子変異陽性根治切除不能Ⅲ期/Ⅳ期悪性黒色腫を対象に、 ベムラフェニブ単剤群と比較して、 ダブラフェニブ・トラメチニブ併用群は全生存期間 (OS) および無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長し、 有意に高い奏効率 (ORR)、 奏功期間中央値 (mDOR) を示した。
- mOS :25.6ヵ月 vs 18.0ヵ月
- mPFS :11.4ヵ月 vs 7.3ヵ月
- ORR :64% vs 51%
- mDOR:13.8ヵ月 vs 7.5ヵ月
BRAFV600遺伝子変異陽性根治切除不能Ⅲ期/Ⅳ期悪性黒色腫を対象にダブラフェニブ単剤群と比較してダブラフェニブ・トラメチニブ併用群はOSおよびPFSを有意に延長し、 有意に高いORRとmDORを示した。
- mOS :25.1ヵ月 vs 18.7ヵ月
- mPFS :11.0ヵ月 vs 8.8ヵ月
- ORR :69% vs 53%
- mDOR:12.9ヵ月 vs 10.6ヵ月
有害事象
ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法群の98% (548/559例) に認められた。 主なものは、 発熱325例 (58%)、 悪心207例 (37%)、 下痢199例 (36%) 等であった。 本試験において副作用による死亡例は認められなかった⁶⁾。
重篤な有害事象
ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法群の271例 (48%) に認められた。 主なものは、 発熱91例、 駆出率減少44例、 寒気24例等であった⁷⁾。
投与中止に至った有害事象
ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法群の99例 (18%) に認められた。 主なものは、 発熱23例、 駆出率減少21例、 ALT上昇7例等であった⁷⁾。
このことから、 定期的な心電図検査、 心臓超音波検査が必要である。
ダブラフェニブの特殊な有害事象として有棘細胞癌が20%にみられたがトラメチニブとの併用で3%に減少した。 皮膚所見に注意を要する⁷⁾。
副作用発現時には各薬剤の電子添文に記載の基準を参考に休薬、 減量、 中止する。 ただし有棘細胞癌など皮膚悪性腫瘍が発生した場合には切除など適切な処置を行った上で休薬、 減量を行わず治療を継続することができる。
副作用の中でも特に発熱で治療の継続が困難になることが知られており、 発熱のコントロールに関するガイドラインが存在する。
主な有害事象 (カッコ内はGrade3)
最終更新日 : 2025年1月3日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生
電子添文¹⁾³⁾の用法および用量
※術後補助療法の場合、 投与は12ヵ月まで
※食事1時間前~食後2時間までの服用は避ける
ダブラフェニブ、トラメチニブ電子添文¹⁾³⁾の基準
用量調節の目安
BRAFV600遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者に用いられる。
💊 ダブラフェニブ
BRAF変異型のキナーゼ活性を阻害し、 BRAF V600変異を有する腫瘍の増殖を抑制する。 一方シグナル伝達がBRAFを介さない迂回経路になることでMEK、 ERKを再活性化しシグナル伝達が急速に回復するという薬剤耐性獲得機序が知られている。
ダブラフェニブ1回150㎎を1日2回内服。食事1時間前~食後2時間までの間の服用は避ける。
💊 トラメチニブ
MEK1と2の活性化とキナーゼ活性を阻害しBRAF V600変異を有す腫瘍の増殖を抑制する。
トラメチニブ1回2㎎を1日1回内服。 食事1時間前~食後2時間までの間の服用は避ける。
これら2剤の併用療法によってBRAF、 MEKという二つの作用点を阻害することで強力に腫瘍増殖を阻害し、 薬剤耐性発現を遅らせると考えられている。 このような理由で、 通常は単剤ではなく2剤の併用療法が行われる。
BRAFV600遺伝子変異陽性根治切除不能Ⅲ期/Ⅳ期悪性黒色腫を対象に、 ベムラフェニブ単剤群と比較して、 ダブラフェニブ・トラメチニブ併用群は全生存期間 (OS) および無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長し、 有意に高い奏効率 (ORR)、 奏功期間中央値 (mDOR) を示した。
- mOS :25.6ヵ月 vs 18.0ヵ月
- mPFS :11.4ヵ月 vs 7.3ヵ月
- ORR :64% vs 51%
- mDOR:13.8ヵ月 vs 7.5ヵ月
BRAFV600遺伝子変異陽性根治切除不能Ⅲ期/Ⅳ期悪性黒色腫を対象にダブラフェニブ単剤群と比較してダブラフェニブ・トラメチニブ併用群はOSおよびPFSを有意に延長し、 有意に高いORRとmDORを示した。
- mOS :25.1ヵ月 vs 18.7ヵ月
- mPFS :11.0ヵ月 vs 8.8ヵ月
- ORR :69% vs 53%
- mDOR:12.9ヵ月 vs 10.6ヵ月
有害事象
ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法群の98% (548/559例) に認められた。 主なものは、 発熱325例 (58%)、 悪心207例 (37%)、 下痢199例 (36%) 等であった。 本試験において副作用による死亡例は認められなかった⁶⁾。
重篤な有害事象
ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法群の271例 (48%) に認められた。 主なものは、 発熱91例、 駆出率減少44例、 寒気24例等であった⁷⁾。
投与中止に至った有害事象
ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法群の99例 (18%) に認められた。 主なものは、 発熱23例、 駆出率減少21例、 ALT上昇7例等であった⁷⁾。
このことから、 定期的な心電図検査、 心臓超音波検査が必要である。
ダブラフェニブの特殊な有害事象として有棘細胞癌が20%にみられたがトラメチニブとの併用で3%に減少した。 皮膚所見に注意を要する⁷⁾。
副作用発現時には各薬剤の電子添文に記載の基準を参考に休薬、 減量、 中止する。 ただし有棘細胞癌など皮膚悪性腫瘍が発生した場合には切除など適切な処置を行った上で休薬、 減量を行わず治療を継続することができる。
副作用の中でも特に発熱で治療の継続が困難になることが知られており、 発熱のコントロールに関するガイドラインが存在する。
主な有害事象 (カッコ内はGrade3)
最終更新日 : 2025年1月3日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。