根治切除不能な局所進行または遠隔転移を有する有棘細胞癌に用いられることがある。 2024年2月にニボルマブが上皮系皮膚悪性腫瘍に承認されてからは、 ニボルマブに不応または自己免疫疾患を合併し免疫抑制剤を服用中等の理由で免疫療法が適さない患者に用いられる。
ドキソルビシン塩酸塩として50mg/m²を日局注射用水または日局生理食塩液に溶解し、 1日1回点滴静注し、 少なくとも3週間休薬する。
シスプラチンとして25mg/m²を1日1回、 3日間連続で点滴静注し、 少なくとも3週間休薬する。
これを1コースとして、 臨床効果が得られなくなるか、 許容できない副作用が発生するまで投与を繰り返す。 放射線治療と併用する場合、 適宜減量を考慮する。 Grade4の血液毒性やGrade3以上の非血液毒性をきたした場合、 次コースからは適宜減量する。
これまでに、 有棘細胞癌を対象にCA療法が検証的な臨床試験で評価されたことはない。
Guthrieらは、 シスプラチンを含む全身薬物療法を実施した進行期の基底細胞癌または有棘細胞癌28例のケースシリーズを報告しており、 有棘細胞癌7例における薬物療法単独での奏効割合は57% (CR2例、 PR2例) であった⁴⁾。
Nakamuraらは、 CA療法 (1例でシスプラチンをカルボプラチンに変更、 2例でドキソルビシンをエピルビシンに変更) を行った進行期有棘細胞癌8例の後ろ向き研究を報告しており、 奏効割合は38% (CR2例、 PR1例) であった⁵⁾。
Ogataらは、 有棘細胞癌に対する全身薬物療法の国内データを集計し、 CA療法が投与された30例における奏効割合は33% (CR5例、 PR5例) であったと報告している⁶⁾。
悪心・嘔吐のリスクは高く、 アプレピタント、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンによる予防が推奨される。
シスプラチンは、 重篤な腎障害がある場合は投与禁忌であり、 腎機能障害の軽減・予防のために、 投与前1,000-2,000ml、 投与後1,000-2,000mlの補液を行う。 利尿剤としてマンニトールを予防的に用いたり、 体重増加があればフロセミドを適宜追加する。 投与回数や投与量が増えるにつれて、 末梢神経障害や聴覚神経障害をきたすリスクが高まり注意を要する。
ドキソルビシン塩酸塩は、 心機能異常またはその既往歴がある場合は投与禁忌であり、 総投与量は一生涯で500mg/m²以下 (心臓部や肺部への照射歴があれば450mg/m²以下) とする必要がある。 心機能障害 (駆出率が45%以下、 狭心症、 心筋梗塞、 不整脈など) が生じた場合は投与を中止する。
最終更新日 : 2024年8月13日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生
根治切除不能な局所進行または遠隔転移を有する有棘細胞癌に用いられることがある。 2024年2月にニボルマブが上皮系皮膚悪性腫瘍に承認されてからは、 ニボルマブに不応または自己免疫疾患を合併し免疫抑制剤を服用中等の理由で免疫療法が適さない患者に用いられる。
ドキソルビシン塩酸塩として50mg/m²を日局注射用水または日局生理食塩液に溶解し、 1日1回点滴静注し、 少なくとも3週間休薬する。
シスプラチンとして25mg/m²を1日1回、 3日間連続で点滴静注し、 少なくとも3週間休薬する。
これを1コースとして、 臨床効果が得られなくなるか、 許容できない副作用が発生するまで投与を繰り返す。 放射線治療と併用する場合、 適宜減量を考慮する。 Grade4の血液毒性やGrade3以上の非血液毒性をきたした場合、 次コースからは適宜減量する。
これまでに、 有棘細胞癌を対象にCA療法が検証的な臨床試験で評価されたことはない。
Guthrieらは、 シスプラチンを含む全身薬物療法を実施した進行期の基底細胞癌または有棘細胞癌28例のケースシリーズを報告しており、 有棘細胞癌7例における薬物療法単独での奏効割合は57% (CR2例、 PR2例) であった⁴⁾。
Nakamuraらは、 CA療法 (1例でシスプラチンをカルボプラチンに変更、 2例でドキソルビシンをエピルビシンに変更) を行った進行期有棘細胞癌8例の後ろ向き研究を報告しており、 奏効割合は38% (CR2例、 PR1例) であった⁵⁾。
Ogataらは、 有棘細胞癌に対する全身薬物療法の国内データを集計し、 CA療法が投与された30例における奏効割合は33% (CR5例、 PR5例) であったと報告している⁶⁾。
悪心・嘔吐のリスクは高く、 アプレピタント、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンによる予防が推奨される。
シスプラチンは、 重篤な腎障害がある場合は投与禁忌であり、 腎機能障害の軽減・予防のために、 投与前1,000-2,000ml、 投与後1,000-2,000mlの補液を行う。 利尿剤としてマンニトールを予防的に用いたり、 体重増加があればフロセミドを適宜追加する。 投与回数や投与量が増えるにつれて、 末梢神経障害や聴覚神経障害をきたすリスクが高まり注意を要する。
ドキソルビシン塩酸塩は、 心機能異常またはその既往歴がある場合は投与禁忌であり、 総投与量は一生涯で500mg/m²以下 (心臓部や肺部への照射歴があれば450mg/m²以下) とする必要がある。 心機能障害 (駆出率が45%以下、 狭心症、 心筋梗塞、 不整脈など) が生じた場合は投与を中止する。
最終更新日 : 2024年8月13日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
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