治療スケジュール
概要
監修医師

Durvalumab:Durvalumab(イミフィンジ®)

投与量コース投与日
1,500mg/回 点滴1~Day1

Tremelimumab:Tremelimumab(イジュド®)

投与量コース投与日
300mg/回 点滴1 (初回1回のみ)Day1

その他

1コース28日間。
レジメン
Durvalumab + Tremelimumab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します
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用法用量

適正使用ガイド⁴⁾の基準

1サイクル4週間で、 デュルバルマブ1500mg/bodyとベバシズマブ300mg/bodyを1サイクル目のDay1に、 2サイクル目以降はデュルバルマブ1500mg/bodyをDay1に繰り返し投与する
イジュド®適正使用ガイド (2023年11月作成)⁴⁾より引用

投与開始基準

HIMALAYA試験⁵⁾のプロトコル

18歳以上の患者で以下を満たす

イジュド®適正使用ガイド (2023年11月作成)⁴⁾より引用

減量・休薬・中止基準

トレメリムマブ電子添文³⁾の基準

イジュド®電子添文 (2022年12月作成)³⁾より作図

主な有害事象

HIMALAYA試験⁵⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 下痢 16.5% (3.4%)
  • 甲状腺機能低下症 10.8% (0%)
  • 甲状腺機能亢進症 8.0% (0.3%)
  • 疲労 7.7% (1.5%)
  • 食欲減退 5.4% (0.3%)
  • 悪心 5.2% (0%)
  • 嘔吐 2.6% (0.5%)
  • 体重減少 1.8% (0.3%)
  • 腹痛 1.0% (0%)
  • 口内炎 1.0% (0%)

注意すべき有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 高血圧 0.8% (0.3%)
  • 手掌・足底発赤知覚不全症候群 0.5% (0%)
  • 脱毛症 0.3% (0%)
Future Oncol. 2023 Dec;19(38):2505-2516³⁾より引用

上手に使うためのワンポイント

4週毎の治療レジメンだが、 有害事象の発現時期はさまざまであり、 発症初期に対処することで重症化を防ぐことが可能な事象もあり、 治療導入初期は2週間間隔での通院を検討する。

執筆 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生

特徴と注意点

HIMALAYA試験

本レジメンは、 HIMALAYA試験において、 ソラフェニブに対する優越性が証明された⁵⁾。 切除不能肝細胞癌に対する一次薬物療法として推奨される化学療法レジメンである。 肝予備能が良好なChild-Pugh分類Aの症例に対して推奨され、 Child-Pugh分類A以外は臨床試験の対象外であり、 安全性が確認されていない。

免疫介在性有害事象 (imAE) が35.8%出現したと報告されており、 頻度の高い免疫介在性有害事象として、 甲状腺機能低下症 (10.8%)、 肝障害 (7.5%)、 大腸炎 (5.9%)、 皮膚炎 (4.9%)、 甲状腺機能亢進症(4.6%)が報告されている。

VEGF阻害剤が含まれない

肝細胞癌に対する薬物療法として使用可能な他のレジメンはいずれもVEGF阻害作用を有するが、 本レジメンはVEGF阻害剤が含まれておらず、 蛋白尿のコントロールが不十分な症例や、 出血の高リスク症例にも使用可能である。

免疫介在性有害事象 (imAE) は高頻度に出現することが知られており、 適切な診断とマネジメントが求められる。

執筆 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生

関連する臨床試験|HIMALAYA試験⁵⁾

国際オープンラベル第Ⅲ相無作為化比較試験HIMALAYAでは、 切除不能肝細胞癌の1次治療において、 STRIDEレジメン (抗CTLA-4抗体トレメリムマブの1回投与+抗PD-L1抗体デュルバルマブの複数回投与) またはデュルバルマブ単独の複数回投与の有効性および安全性が、 標準治療であるソラフェニブを対照に検証された。 その結果、 STRIDEレジメンによる全生存期間 (OS) の有意な延長が認められた。 一方で、 デュルバルマブ単独療法はソラフェニブと比べてOSの有意な延長は認めなかった。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • STRIDE群 : 16.43ヵ月
(95%CI 14.16-19.58ヵ月)
HR 0.78 (96.02%CI 0.65-0.93) 
  • デュルバルマブ単独群 : 16.56ヵ月
(95%CI 14.06-19.12ヵ月)
HR 0.86 (95.67%CI 0.73-1.03) 
  • ソラフェニブ群 : 13.77ヵ月
(95%CI 12.25-16.13ヵ月)

PFS中央値

3群間で結果はほぼ同様

  • STRIDE群 : 3.78ヵ月
(95%CI 3.68-5.32ヵ月)
HR 0.90 (95%CI 0.77-1.05) 
  • デュルバルマブ単独群 : 3.65ヵ月
(95%CI 3.19-3.75ヵ月)
HR 1.02 (95%CI 0.88-1.19) 
  • ソラフェニブ群 : 4.07ヵ月
(95%CI 3.75-5.49ヵ月)

出典

  1. アストラゼネカ株式会社. イミフィンジ®電子添文 (2023年11月改訂 第6版) [最終閲覧 : 2024/7/9]
  2. アストラゼネカ株式会社. イミフィンジ®適正使用ガイド (2023年11月作成) [最終閲覧 : 2024/03/26]
  3. アストラゼネカ株式会社. イジュド®電子添文 (2022年12月作成) [最終閲覧 : 2024/7/9]
  4. アストラゼネカ株式会社. イジュド®適正使用ガイド (2023年11月作成) [最終閲覧 : 2024/7/9]
  5. Plain language summary of the HIMALAYA study: tremelimumab and durvalumab for unresectable hepatocellular carcinoma (liver cancer). Future Oncol. 2023 Dec;19(38):2505-2516. PMID: 37671641
最終更新日 : 2024年7月9日
執筆医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生
監修医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
Durvalumab + Tremelimumab
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン
Durvalumab + Tremelimumab
レジメン
Durvalumab + Tremelimumab

Durvalumab + Tremelimumab

デュルバルマブ (イミフィンジ®) + トレメリムマブ (イジュド®)
2024年10月30日更新

Durvalumab:Durvalumab(イミフィンジ®)

投与量コース投与日
1,500mg/回 点滴1~Day1

Tremelimumab:Tremelimumab(イジュド®)

投与量コース投与日
300mg/回 点滴1 (初回1回のみ)Day1

その他

1コース28日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

適正使用ガイド⁴⁾の基準

1サイクル4週間で、 デュルバルマブ1500mg/bodyとベバシズマブ300mg/bodyを1サイクル目のDay1に、 2サイクル目以降はデュルバルマブ1500mg/bodyをDay1に繰り返し投与する
イジュド®適正使用ガイド (2023年11月作成)⁴⁾より引用

投与開始基準

HIMALAYA試験⁵⁾のプロトコル

18歳以上の患者で以下を満たす

イジュド®適正使用ガイド (2023年11月作成)⁴⁾より引用

減量・休薬・中止基準

トレメリムマブ電子添文³⁾の基準

イジュド®電子添文 (2022年12月作成)³⁾より作図

主な有害事象

HIMALAYA試験⁵⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 下痢 16.5% (3.4%)
  • 甲状腺機能低下症 10.8% (0%)
  • 甲状腺機能亢進症 8.0% (0.3%)
  • 疲労 7.7% (1.5%)
  • 食欲減退 5.4% (0.3%)
  • 悪心 5.2% (0%)
  • 嘔吐 2.6% (0.5%)
  • 体重減少 1.8% (0.3%)
  • 腹痛 1.0% (0%)
  • 口内炎 1.0% (0%)

注意すべき有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 高血圧 0.8% (0.3%)
  • 手掌・足底発赤知覚不全症候群 0.5% (0%)
  • 脱毛症 0.3% (0%)
Future Oncol. 2023 Dec;19(38):2505-2516³⁾より引用

上手に使うためのワンポイント

4週毎の治療レジメンだが、 有害事象の発現時期はさまざまであり、 発症初期に対処することで重症化を防ぐことが可能な事象もあり、 治療導入初期は2週間間隔での通院を検討する。

執筆 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生

特徴と注意点

HIMALAYA試験

本レジメンは、 HIMALAYA試験において、 ソラフェニブに対する優越性が証明された⁵⁾。 切除不能肝細胞癌に対する一次薬物療法として推奨される化学療法レジメンである。 肝予備能が良好なChild-Pugh分類Aの症例に対して推奨され、 Child-Pugh分類A以外は臨床試験の対象外であり、 安全性が確認されていない。

免疫介在性有害事象 (imAE) が35.8%出現したと報告されており、 頻度の高い免疫介在性有害事象として、 甲状腺機能低下症 (10.8%)、 肝障害 (7.5%)、 大腸炎 (5.9%)、 皮膚炎 (4.9%)、 甲状腺機能亢進症(4.6%)が報告されている。

VEGF阻害剤が含まれない

肝細胞癌に対する薬物療法として使用可能な他のレジメンはいずれもVEGF阻害作用を有するが、 本レジメンはVEGF阻害剤が含まれておらず、 蛋白尿のコントロールが不十分な症例や、 出血の高リスク症例にも使用可能である。

免疫介在性有害事象 (imAE) は高頻度に出現することが知られており、 適切な診断とマネジメントが求められる。

執筆 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生

関連する臨床試験|HIMALAYA試験⁵⁾

国際オープンラベル第Ⅲ相無作為化比較試験HIMALAYAでは、 切除不能肝細胞癌の1次治療において、 STRIDEレジメン (抗CTLA-4抗体トレメリムマブの1回投与+抗PD-L1抗体デュルバルマブの複数回投与) またはデュルバルマブ単独の複数回投与の有効性および安全性が、 標準治療であるソラフェニブを対照に検証された。 その結果、 STRIDEレジメンによる全生存期間 (OS) の有意な延長が認められた。 一方で、 デュルバルマブ単独療法はソラフェニブと比べてOSの有意な延長は認めなかった。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • STRIDE群 : 16.43ヵ月
(95%CI 14.16-19.58ヵ月)
HR 0.78 (96.02%CI 0.65-0.93) 
  • デュルバルマブ単独群 : 16.56ヵ月
(95%CI 14.06-19.12ヵ月)
HR 0.86 (95.67%CI 0.73-1.03) 
  • ソラフェニブ群 : 13.77ヵ月
(95%CI 12.25-16.13ヵ月)

PFS中央値

3群間で結果はほぼ同様

  • STRIDE群 : 3.78ヵ月
(95%CI 3.68-5.32ヵ月)
HR 0.90 (95%CI 0.77-1.05) 
  • デュルバルマブ単独群 : 3.65ヵ月
(95%CI 3.19-3.75ヵ月)
HR 1.02 (95%CI 0.88-1.19) 
  • ソラフェニブ群 : 4.07ヵ月
(95%CI 3.75-5.49ヵ月)

出典

  1. アストラゼネカ株式会社. イミフィンジ®電子添文 (2023年11月改訂 第6版) [最終閲覧 : 2024/7/9]
  2. アストラゼネカ株式会社. イミフィンジ®適正使用ガイド (2023年11月作成) [最終閲覧 : 2024/03/26]
  3. アストラゼネカ株式会社. イジュド®電子添文 (2022年12月作成) [最終閲覧 : 2024/7/9]
  4. アストラゼネカ株式会社. イジュド®適正使用ガイド (2023年11月作成) [最終閲覧 : 2024/7/9]
  5. Plain language summary of the HIMALAYA study: tremelimumab and durvalumab for unresectable hepatocellular carcinoma (liver cancer). Future Oncol. 2023 Dec;19(38):2505-2516. PMID: 37671641
最終更新日 : 2024年7月9日
執筆医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生
監修医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

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