治療スケジュール
概要
監修医師

S-1:Tegafur/Gimeracil/Oteracil(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/日 経口 (40~60mg/回 朝夕食後)1~Day1~14

L-OHP:Oxaliplatin(エルプラット®)

投与量コース投与日
100mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A
制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

その他

1コース21日間。
S-1+L-OHPをSOX療法と呼ぶ。
レジメン
SOX (Adj)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*大鵬薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

国内第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181⁴⁾より作図
電子添文の用法および用量
S-1 : 胃癌にはA法、 B法またはC法を使用する。 [A法] 朝食後及び夕食後の1日2回、 28日間連日経口投与し、 その後14日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。 [B法] 朝食後及び夕食後の1日2回、 21日間連日経口投与し、 その後14日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。 [C法] 朝食後及び夕食後の1日2回、 14日間連日経口投与し、 その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。
ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版)¹⁾ より引用
オキサリプラチン : A法またはB法を使用する。 [A法] 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、 85mg/m²を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、 少なくとも13日間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。 [B法] 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、 130mg/m²を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、 少なくとも20日間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。
エルプラット®電子添文 (2024年4月改訂 第4版)³⁾より引用

前投薬

制吐目的 : パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A

制吐目的+アレルギー予防 : パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

執筆 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生

投与開始基準

国内第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181⁴⁾より作図

主な有害事象

国内第Ⅱ相試験⁴⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3)

  • 好中球減少症 79.0% (32.3%)
  • 白血球減少症 71.0% (3.2%)
  • 貧血 56.5% (3.2%)
  • AST増加 54.8% (1.6%)
  • 血小板減少症 46.8% (4.8%)
  • ALT増加 33.9% (0%)
  • ALP増加 35.5% (1.6%)
  • 体重減少 64.5% (4.8%)
  • 下痢 54.8% (1.6%)
  • 悪心 41.9% (4.8%)
  • 倦怠感 30.6% (4.8%)
  • 口内炎 25.8% (0%)
  • 嘔吐 14.5% (0%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧 37.1% (3.2%)
Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181⁴⁾より引用

上手に使うためのワンポイント

アレルギーがGrade2以内で、 かつ、 末梢神経障害の忍容性があれば、 アレルギー予防を行い、 可能な限りオキサリプラチンは継続する⁵⁾。

執筆 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生

特徴と注意点

  • 胃癌治療ガイドラインでは、 pStageIIIの術後補助化学療法の選択肢の1つである⁶⁾。 脱毛拒否や短期間での治療終了を希望される症例に適応があると考えられる。
  • 治療期間は手術日を起点として半年間の投与が推奨されている⁴⁾。
  • S-1特有の有害事象として流涙がある。 流涙の予防には1日5~6回の人工涙液の点眼 (防腐剤フリーの点眼薬が望ましい。 著者の施設ではソフトサンティアⓇを患者さんに購入いただいている) が有効である。 休薬期間中も忘れずに点眼するように指導しておく。
  • 稀ではあるが、 角膜障害を生じることがあるため、 視力低下を訴える場合は必ず眼科へコンサルトする。
  • S-1はCrCl<30mL/minは禁忌である。
  • オキサリプラチンの末梢神経障害は、 長期に渡って遺残することが多い。 また、 中止後の増悪 (コースティング) も見られることから、 導入前に十分に患者に説明しておく。 オキサリプラチンは再発胃癌のキードラッグでもあるため、 末梢神経障害が増悪する場合には、 適切なタイミングで中止を検討する。
執筆 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生

関連する臨床試験

国内第Ⅱ相試験⁴⁾

ステージIIIの胃癌に対する補助化学療法としてのS-1とオキサリプラチンの忍容性と安全性を検討するための第Ⅱ相試験。 主要評価項目は8サイクルの治療完了率とされた。

Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181.⁴⁾

出典

  1. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/04/26]
  2. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®適正使用ガイド (2023年10月27日 更新) [最終閲覧 : 2024/04/26]
  3. ヤクルト本社. エルプラット®電子添文 (2024年4月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/04/26]
  4. Phase II study of adjuvant chemotherapy of S-1 plus oxaliplatin for patients with stage III gastric cancer after D2 gastrectomy. Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181. PMID: 26626800
  5. A single-arm Phase II validation study of preventing oxaliplatin-induced hypersensitivity reactions by dexamethasone: the AVOID trial. Drug Des Devel Ther. 2015 Nov 11;9:6067-73. PMID: 26648694
  6. 日本胃癌学会. 胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版
最終更新日 : 2024年5月7日
執筆医 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師 : 神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン
SOX (Adj)
レジメン
SOX (Adj)

SOX (Adj)

S-1+オキサリプラチン
2024年05月07日更新

S-1:Tegafur/Gimeracil/Oteracil(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/日 経口 (40~60mg/回 朝夕食後)1~Day1~14

L-OHP:Oxaliplatin(エルプラット®)

投与量コース投与日
100mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A
制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

その他

1コース21日間。
S-1+L-OHPをSOX療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*大鵬薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

国内第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181⁴⁾より作図
電子添文の用法および用量
S-1 : 胃癌にはA法、 B法またはC法を使用する。 [A法] 朝食後及び夕食後の1日2回、 28日間連日経口投与し、 その後14日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。 [B法] 朝食後及び夕食後の1日2回、 21日間連日経口投与し、 その後14日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。 [C法] 朝食後及び夕食後の1日2回、 14日間連日経口投与し、 その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。
ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版)¹⁾ より引用
オキサリプラチン : A法またはB法を使用する。 [A法] 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、 85mg/m²を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、 少なくとも13日間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。 [B法] 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、 130mg/m²を1日1回静脈内に2時間で点滴投与し、 少なくとも20日間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す。
エルプラット®電子添文 (2024年4月改訂 第4版)³⁾より引用

前投薬

制吐目的 : パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A

制吐目的+アレルギー予防 : パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

執筆 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生

投与開始基準

国内第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181⁴⁾より作図

主な有害事象

国内第Ⅱ相試験⁴⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3)

  • 好中球減少症 79.0% (32.3%)
  • 白血球減少症 71.0% (3.2%)
  • 貧血 56.5% (3.2%)
  • AST増加 54.8% (1.6%)
  • 血小板減少症 46.8% (4.8%)
  • ALT増加 33.9% (0%)
  • ALP増加 35.5% (1.6%)
  • 体重減少 64.5% (4.8%)
  • 下痢 54.8% (1.6%)
  • 悪心 41.9% (4.8%)
  • 倦怠感 30.6% (4.8%)
  • 口内炎 25.8% (0%)
  • 嘔吐 14.5% (0%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧 37.1% (3.2%)
Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181⁴⁾より引用

上手に使うためのワンポイント

アレルギーがGrade2以内で、 かつ、 末梢神経障害の忍容性があれば、 アレルギー予防を行い、 可能な限りオキサリプラチンは継続する⁵⁾。

執筆 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生

特徴と注意点

  • 胃癌治療ガイドラインでは、 pStageIIIの術後補助化学療法の選択肢の1つである⁶⁾。 脱毛拒否や短期間での治療終了を希望される症例に適応があると考えられる。
  • 治療期間は手術日を起点として半年間の投与が推奨されている⁴⁾。
  • S-1特有の有害事象として流涙がある。 流涙の予防には1日5~6回の人工涙液の点眼 (防腐剤フリーの点眼薬が望ましい。 著者の施設ではソフトサンティアⓇを患者さんに購入いただいている) が有効である。 休薬期間中も忘れずに点眼するように指導しておく。
  • 稀ではあるが、 角膜障害を生じることがあるため、 視力低下を訴える場合は必ず眼科へコンサルトする。
  • S-1はCrCl<30mL/minは禁忌である。
  • オキサリプラチンの末梢神経障害は、 長期に渡って遺残することが多い。 また、 中止後の増悪 (コースティング) も見られることから、 導入前に十分に患者に説明しておく。 オキサリプラチンは再発胃癌のキードラッグでもあるため、 末梢神経障害が増悪する場合には、 適切なタイミングで中止を検討する。
執筆 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生

関連する臨床試験

国内第Ⅱ相試験⁴⁾

ステージIIIの胃癌に対する補助化学療法としてのS-1とオキサリプラチンの忍容性と安全性を検討するための第Ⅱ相試験。 主要評価項目は8サイクルの治療完了率とされた。

Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181.⁴⁾

出典

  1. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/04/26]
  2. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®適正使用ガイド (2023年10月27日 更新) [最終閲覧 : 2024/04/26]
  3. ヤクルト本社. エルプラット®電子添文 (2024年4月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/04/26]
  4. Phase II study of adjuvant chemotherapy of S-1 plus oxaliplatin for patients with stage III gastric cancer after D2 gastrectomy. Gastric Cancer. 2017 Jan;20(1):175-181. PMID: 26626800
  5. A single-arm Phase II validation study of preventing oxaliplatin-induced hypersensitivity reactions by dexamethasone: the AVOID trial. Drug Des Devel Ther. 2015 Nov 11;9:6067-73. PMID: 26648694
  6. 日本胃癌学会. 胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版
最終更新日 : 2024年5月7日
執筆医 : 静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師 : 神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。