治療スケジュール
概要
監修医師

FTD/TPI:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(ロンサーフ®)

投与量コース投与日
70mg/m² 経口 1日2回朝夕食後1~Day1~5、 Day8~12

その他

1コース28日間。
レジメン
FTD/TPI
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ロンサーフ® (添付文書/適正使用情報*) 

*大鵬薬品の外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

J003試験¹⁾における投与患者の投与開始基準を参考 (PS、 感染症、 下痢の項目を追加)

減量基準

初回基準量と減量レベル

休薬基準

J003試験¹⁾における投与患者の休薬基準、 投与開始基準を参考に設定

上手に使うためのワンポイント

  • FTD/TPIは一般的に有害事象が軽微と考えられているが、 実際には悪心・嘔吐や疲労が強く出る症例が一定数いるため、 管理に注意を要する。 悪心・嘔吐に関しては、 まずは減量での対応が一般的ではあるが、 減量で改善が得られない場合、 著者はFTD/TPIの内服期間、 糖尿病のない症例においては、 オランザピン2.5〜5mgの連日投与を行い (適応外使用) 、 悪心・嘔吐のコントロールを行っている。
  • day1–5の内服が非血液毒性により継続が困難な症例や、 1コース目day29で好中球数減少など血液毒性のため延期となる症例を良く経験する。 BiTS試験では、 FTD/TPIを5日内服9日間休薬を2週毎に繰り返すスケジュールで、 原法よりも有害事象が低い傾向であった³⁾。 スケジュール変更を行うことで、 減量や延期を回避し、 用量強度を保てることがある。

特徴と注意点

  • ガイドラインではFTD/TPI±BEVは後方治療の標準治療である。 FTD/TPI+BEVは広く実施されているが、 日本人を含む第III相試験が実施されておらず、 FTD/TPI単剤療法より、 推奨度・エビデンスレベルは低い⁴⁾。
  • 高度腎障害 (CrCl<30mL/min、 ただしCr ≥1.5 mg/dL) の症例では、 FTD/TPIの用量を20mg/m²/回に減量して投与することが推奨されている⁵⁾。

関連する臨床試験①|J003試験¹⁾

フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、 イリノテカン及びオキサリプラチンを含む前治療2レジメン以上が施行され不応又は不耐となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を対象にロンサーフのプラセボ投与に対する有効性及び安全性の検討を目的とした多施設共同無作為化二重盲検第Ⅱ相比較試験。 主要評価項目は全生存期間 (OS)、 副次評価項目は奏効率 (ORR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 無増悪生存期間 (PFS)、治療成功期間(TTF)、腫瘍組織中のKRAS遺伝子のコドン12及び13の変異の有無とロンサーフの効果との相関等とされた。

Lancet Oncol. 2012 Oct;13(10):993-1001.

関連する臨床試験②|RECOURSE試験²⁾

難治性大腸癌において、 経口薬トリフルリジン/チピラシル配合剤 (開発コードTAS-102 、 商品名ロンサーフ) の効果を、 プラセボ対象に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験RECOURSEの結果より、 全生存期間 (OS) を有意に延長することが示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • TAS-102群 : 7.1ヵ月
(95%CI 6.5-7.8ヵ月)
  • プラセボ群 : 5.3ヵ月
(95%CI 4.6-6.0ヵ月)
HR 0.68 (95%CI 0.58-0.81)、 p<0.001

PFS中央値

  • TAS-102群 : 2.0ヵ月
(95%CI 1.9-2.1ヵ月)
  • プラセボ群 : 1.7ヵ月
(95%CI 1.7-1.8ヵ月)
HR 0.48 (95%CI 0.41-0.57)、 p<0.001

RR

  • TAS-102群 : 1.6%
  • プラセボ群 : 0.4%
p=0.29

病勢コントロール率

  • TAS-102群 : 44%
  • プラセボ群 : 16%
p<0.001

出典

  1. TAS-102 monotherapy for pretreated metastatic colorectal cancer: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 2 trial. Lancet Oncol. 2012 Oct;13(10):993-1001. PMID: 22951287
  2. Randomized trial of TAS-102 for refractory metastatic colorectal cancer. N Engl J Med. 2015 May 14;372(20):1909-19. PMID: 25970050
  3. Phase Ib/II Study of Biweekly TAS-102 in Combination with Bevacizumab for Patients with Metastatic Colorectal Cancer Refractory to Standard Therapies (BiTS Study). Oncologist. 2020 Dec;25(12):e1855-e1863. 
  4. 金原出版株式会社. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編
  5. ロンサーフ®配合錠. 適正使用情報
最終更新日:2024年1月29日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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トリフルリジン・チピラシル塩酸塩
2024年04月23日更新

FTD/TPI:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩(ロンサーフ®)

投与量コース投与日
70mg/m² 経口 1日2回朝夕食後1~Day1~5、 Day8~12

その他

1コース28日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ロンサーフ® (添付文書/適正使用情報*) 

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用法用量

投与開始基準

J003試験¹⁾における投与患者の投与開始基準を参考 (PS、 感染症、 下痢の項目を追加)

減量基準

初回基準量と減量レベル

休薬基準

J003試験¹⁾における投与患者の休薬基準、 投与開始基準を参考に設定

上手に使うためのワンポイント

  • FTD/TPIは一般的に有害事象が軽微と考えられているが、 実際には悪心・嘔吐や疲労が強く出る症例が一定数いるため、 管理に注意を要する。 悪心・嘔吐に関しては、 まずは減量での対応が一般的ではあるが、 減量で改善が得られない場合、 著者はFTD/TPIの内服期間、 糖尿病のない症例においては、 オランザピン2.5〜5mgの連日投与を行い (適応外使用) 、 悪心・嘔吐のコントロールを行っている。
  • day1–5の内服が非血液毒性により継続が困難な症例や、 1コース目day29で好中球数減少など血液毒性のため延期となる症例を良く経験する。 BiTS試験では、 FTD/TPIを5日内服9日間休薬を2週毎に繰り返すスケジュールで、 原法よりも有害事象が低い傾向であった³⁾。 スケジュール変更を行うことで、 減量や延期を回避し、 用量強度を保てることがある。

特徴と注意点

  • ガイドラインではFTD/TPI±BEVは後方治療の標準治療である。 FTD/TPI+BEVは広く実施されているが、 日本人を含む第III相試験が実施されておらず、 FTD/TPI単剤療法より、 推奨度・エビデンスレベルは低い⁴⁾。
  • 高度腎障害 (CrCl<30mL/min、 ただしCr ≥1.5 mg/dL) の症例では、 FTD/TPIの用量を20mg/m²/回に減量して投与することが推奨されている⁵⁾。

関連する臨床試験①|J003試験¹⁾

フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、 イリノテカン及びオキサリプラチンを含む前治療2レジメン以上が施行され不応又は不耐となった治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を対象にロンサーフのプラセボ投与に対する有効性及び安全性の検討を目的とした多施設共同無作為化二重盲検第Ⅱ相比較試験。 主要評価項目は全生存期間 (OS)、 副次評価項目は奏効率 (ORR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 無増悪生存期間 (PFS)、治療成功期間(TTF)、腫瘍組織中のKRAS遺伝子のコドン12及び13の変異の有無とロンサーフの効果との相関等とされた。

Lancet Oncol. 2012 Oct;13(10):993-1001.

関連する臨床試験②|RECOURSE試験²⁾

難治性大腸癌において、 経口薬トリフルリジン/チピラシル配合剤 (開発コードTAS-102 、 商品名ロンサーフ) の効果を、 プラセボ対象に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験RECOURSEの結果より、 全生存期間 (OS) を有意に延長することが示された。

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OS中央値

  • TAS-102群 : 7.1ヵ月
(95%CI 6.5-7.8ヵ月)
  • プラセボ群 : 5.3ヵ月
(95%CI 4.6-6.0ヵ月)
HR 0.68 (95%CI 0.58-0.81)、 p<0.001

PFS中央値

  • TAS-102群 : 2.0ヵ月
(95%CI 1.9-2.1ヵ月)
  • プラセボ群 : 1.7ヵ月
(95%CI 1.7-1.8ヵ月)
HR 0.48 (95%CI 0.41-0.57)、 p<0.001

RR

  • TAS-102群 : 1.6%
  • プラセボ群 : 0.4%
p=0.29

病勢コントロール率

  • TAS-102群 : 44%
  • プラセボ群 : 16%
p<0.001

出典

  1. TAS-102 monotherapy for pretreated metastatic colorectal cancer: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 2 trial. Lancet Oncol. 2012 Oct;13(10):993-1001. PMID: 22951287
  2. Randomized trial of TAS-102 for refractory metastatic colorectal cancer. N Engl J Med. 2015 May 14;372(20):1909-19. PMID: 25970050
  3. Phase Ib/II Study of Biweekly TAS-102 in Combination with Bevacizumab for Patients with Metastatic Colorectal Cancer Refractory to Standard Therapies (BiTS Study). Oncologist. 2020 Dec;25(12):e1855-e1863. 
  4. 金原出版株式会社. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編
  5. ロンサーフ®配合錠. 適正使用情報
最終更新日:2024年1月29日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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