概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。
2024/12/9時点、 メルケル細胞癌に対して本邦適応外レジメン

薬剤情報

- ベプシド® (添付文書¹⁾)

- ランダ®など (添付文書²⁾ / 安全性情報³⁾*)

  *日本化薬の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール ※本邦適応外

EORTCガイドライン⁴⁾のプロトコル

エトポシド80-120mg/m²をDay1-3に、 シスプラチン1回60-80mg/m²をDay1に点滴静注し、 これを1サイクルとして3-4週毎に繰り返す。

カルボプラチンを使用する場合は1回AUC5相当量をDay1に点滴静注し、 エトポシド80-100 mg/m²をDay1-3に点滴静注する。 これを1サイクルとして4週毎に繰り返す⁴⁾。

Eur J Cancer. 2022 Aug:171:203-231.⁴⁾より作図

エキスパートによるワンポイント

根治切除不能メルケル細胞癌の2次治療

メルケル細胞癌は皮膚の神経内分泌癌であることから、 アベルマブ承認前は肺神経内分泌腫瘍である小細胞肺癌 (SCLC) に準じた薬物療法が1次治療として行われており、 本レジメンもそのうちの一つであった。 アベルマブ不応、 不耐例や免疫チェックポイント阻害薬が使用できない患者で選択される。

なお、 高齢者の多いメルケル細胞癌ではCDDPの代わりにCBDCAが使用されることが多い。 なお、プラチナ併用としてはIP (Irinotecan+CDDP) も選択肢に挙がるが、 本レジメンが選択されることの方が多い。

他のレジメンとの比較試験は無いため、 患者の状態や既往歴、 合併症および薬剤の特性などから治療薬を選択するが、 アベルマブ以外にメルケル細胞癌の保険適用を持つ薬剤は無い。

投与方法と副作用管理

副作用として骨髄抑制が見られることが多く、 発熱性好中球減少症や敗血症の報告もあるため、 患者の状態に応じて減量や休薬を検討する。

高齢者に多い疾患であるためCDDPを使用する機会は少ない。 骨髄抑制や倦怠感、 脱毛、 悪心、 嘔吐、 腎毒性などの有害事象が多く見られ、 治療関連死の報告もある。 奏効率は高いものの奏効の持続は限られており、 副作用の観点からも昨今では1次治療として使用されることは無く、 アベルマブ投与後の2次治療として用いられる。

臨床試験成績

前向き試験は存在しないが、 症例集積研究では27例に対して奏効率60% (CR36%、 PR24%) であったと報告されている⁵⁾。

また、 EP/EC療法が69%を占める化学療法の症例集積では、 1次治療として使用された場合は奏効率55% (CR13%、 PR42%)、 無増悪生存期間中央値94日、 奏効持続期間中央値85日と報告されている⁶⁾。 2次治療の場合は有効性が劣るとされているが、 免疫チェックポイント阻害薬の承認前のデータであり、 今後の検証が必要である。 副作用は重篤なものとして発熱性好中球減少、 敗血症が挙げられている。

監修 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

主な有害事象

204症例のレビュー⁵⁾

主な有害事象

  • 明確な有毒死 (6件) と可能性が高い有毒死 (1件) (3.5%)
  • 急性腎不全を伴う腫瘍崩壊症候群 (0.5%)
Clin Oncol. 2000 Jun;18(12):2493-9⁵⁾より引用

後ろ向き研究⁶⁾

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 6.5%
  • 敗血症 4.8%
  • 疲労、 脱毛症、 悪心、 嘔吐、 粘膜炎、 好中球数減少・汎血球数減少、 腎毒性:頻度不明
Cancer Med. 2016 Sep;5(9):2294-301⁶⁾より引用

出典

  1. 小野薬品工業株式会社. ベプシド®電子添文 (2024年7月改訂第2版) [最終閲覧 : 2024/12/9]
  2. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2024年11月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/12/09]
  3. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/09]
  4. Diagnosis and treatment of Merkel cell carcinoma: European consensus-based interdisciplinary guideline - Update 2022. Eur J Cancer. 2022 Aug:171:203-231. PMID: 35732101
  5. Chemotherapy in neuroendocrine/Merkel cell carcinoma of the skin: case series and review of 204 cases. J Clin Oncol. 2000 Jun;18(12):2493-9. PMID: 10856110
  6. Response rates and durability of chemotherapy among 62 patients with metastatic Merkel cell carcinoma. Cancer Med. 2016 Sep;5(9):2294-301. PMID: 27431483
最終更新日 : 2024年12月10日
監修薬剤師:国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 宇田川 涼子先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

レジメン
EP (Etoposide+CDDP)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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2024年12月10日更新
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Eur J Cancer. 2022 Aug:171:203-231.⁴⁾より作図

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根治切除不能メルケル細胞癌の2次治療

メルケル細胞癌は皮膚の神経内分泌癌であることから、 アベルマブ承認前は肺神経内分泌腫瘍である小細胞肺癌 (SCLC) に準じた薬物療法が1次治療として行われており、 本レジメンもそのうちの一つであった。 アベルマブ不応、 不耐例や免疫チェックポイント阻害薬が使用できない患者で選択される。

なお、 高齢者の多いメルケル細胞癌ではCDDPの代わりにCBDCAが使用されることが多い。 なお、プラチナ併用としてはIP (Irinotecan+CDDP) も選択肢に挙がるが、 本レジメンが選択されることの方が多い。

他のレジメンとの比較試験は無いため、 患者の状態や既往歴、 合併症および薬剤の特性などから治療薬を選択するが、 アベルマブ以外にメルケル細胞癌の保険適用を持つ薬剤は無い。

投与方法と副作用管理

副作用として骨髄抑制が見られることが多く、 発熱性好中球減少症や敗血症の報告もあるため、 患者の状態に応じて減量や休薬を検討する。

高齢者に多い疾患であるためCDDPを使用する機会は少ない。 骨髄抑制や倦怠感、 脱毛、 悪心、 嘔吐、 腎毒性などの有害事象が多く見られ、 治療関連死の報告もある。 奏効率は高いものの奏効の持続は限られており、 副作用の観点からも昨今では1次治療として使用されることは無く、 アベルマブ投与後の2次治療として用いられる。

臨床試験成績

前向き試験は存在しないが、 症例集積研究では27例に対して奏効率60% (CR36%、 PR24%) であったと報告されている⁵⁾。

また、 EP/EC療法が69%を占める化学療法の症例集積では、 1次治療として使用された場合は奏効率55% (CR13%、 PR42%)、 無増悪生存期間中央値94日、 奏効持続期間中央値85日と報告されている⁶⁾。 2次治療の場合は有効性が劣るとされているが、 免疫チェックポイント阻害薬の承認前のデータであり、 今後の検証が必要である。 副作用は重篤なものとして発熱性好中球減少、 敗血症が挙げられている。

監修 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

主な有害事象

204症例のレビュー⁵⁾

主な有害事象

  • 明確な有毒死 (6件) と可能性が高い有毒死 (1件) (3.5%)
  • 急性腎不全を伴う腫瘍崩壊症候群 (0.5%)
Clin Oncol. 2000 Jun;18(12):2493-9⁵⁾より引用

後ろ向き研究⁶⁾

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 6.5%
  • 敗血症 4.8%
  • 疲労、 脱毛症、 悪心、 嘔吐、 粘膜炎、 好中球数減少・汎血球数減少、 腎毒性:頻度不明
Cancer Med. 2016 Sep;5(9):2294-301⁶⁾より引用

出典

  1. 小野薬品工業株式会社. ベプシド®電子添文 (2024年7月改訂第2版) [最終閲覧 : 2024/12/9]
  2. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2024年11月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/12/09]
  3. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/09]
  4. Diagnosis and treatment of Merkel cell carcinoma: European consensus-based interdisciplinary guideline - Update 2022. Eur J Cancer. 2022 Aug:171:203-231. PMID: 35732101
  5. Chemotherapy in neuroendocrine/Merkel cell carcinoma of the skin: case series and review of 204 cases. J Clin Oncol. 2000 Jun;18(12):2493-9. PMID: 10856110
  6. Response rates and durability of chemotherapy among 62 patients with metastatic Merkel cell carcinoma. Cancer Med. 2016 Sep;5(9):2294-301. PMID: 27431483
最終更新日 : 2024年12月10日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(皮膚)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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