治療スケジュール
概要
監修医師

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
10mg/m² (最大24mg)1~9Blina投与前、 最大5日間

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
20mg1~9Day 1 (1コース目のみday1、8)

Blina:ブリナツモマブ(ビーリンサイト®)

投与量コース投与日
開始用量9μg、 1コース目Day8から28μgへ増量.1~9Day 1~28連続投与

前投薬

デキサメタゾン(DEX):各コース投与開始前(Day 1)、 用量増量前(1コース目のDay 8のみ)の1時間以内に20mgを点滴静注.
Blina投与中断後の再開時も同様にDEX20㎎点滴静注.
小児では初回投与開始6~12時間前にDEX10mg/m²、 初回投与前30分以内に5mg/m²を経口又は点滴静注.

その他

1コースは42日間(28日間投与、 14日間休薬).
寛解導入療法2コース、 地固め療法3コースの計5コースを上限とする.
維持療法を実施する場合、 さらに4コース追加可. 1コースは84日間 (28日間投与、 56日間休薬).
体重45kg未満の場合、 開始用量5μg/m²、 1コース目day8から15μg/m²へ増量.
体重が45kg未満の場合、 体重が45kg以上の場合の投与量を超えないようにする.
レジメン
Blinatumomab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ビーリンサイト® (添付文書 / 適正使用ガイド*)

*アムジェン株式会社の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

TOWER試験 (NEJM 2017)¹⁾ より引用

骨髄抑制

- 貧血 (≧Grade3 19.9%)

- 好中球減少症 (≧Grade3 17.6%)

- 血小板減少症 (≧Grade3 15.0%)

主な有害事象

- 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 21.7%)

- 低K血症 (17.2%、 ≧Grade3 3.7%)

- 低Mg血症 (10.9%、 ≧Grade3 0.4%)

- 不眠症 (11.6%、 ≧Grade3 0.4%)

- 頭痛 (29.6%、 ≧Grade3 0.4%)

- 低血圧 (12.4%、 ≧Grade3 1.1%)

- 咳嗽 (15.7%、 ≧Grade3 0%)

-下痢 (22.1%、 ≧Grade3 1.5%)

- 悪心 (19.1%、 ≧Grade3 0%)

- 便秘 (13.1%、 ≧Grade3 0%)

- 背部痛 (13.5%、 ≧Grade3 1.5%)

- 骨痛 (11.6%、 ≧Grade3 3.0%)

- 発熱 (59.6%、 ≧Grade3 7.5%)

- 末梢性浮腫 (15.0%、 ≧Grade3 4.5%)

- 疲労 (13.5%、 ≧Grade3 1.9%)

その他重要な有害事象

- サイトカイン放出症候群 (16.1%、≧Grade3 4.9%)

- 神経学的事象 (58.8%、 ≧Grade3 9.4%)

特徴と注意点

特徴

ブリナツモマブは、 CD3とCD19の両者に結合する一本鎖抗体で、 T細胞とB細胞性白血病細胞を架橋しT細胞を活性化する。

対象

「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(小児含む)」 に対して保険適用がある。

副作用

サイトカイン放出症候群について

Cytokine Release Syndrome (CRS) では、 発熱、 頭痛、 低血圧、 悪心などが出現する。

デキサメタゾンの前治療、 前投与で可能な限り予防し、 CRS発現時にはNSAIDsを避け、 アセトアミノフェンあるいはデキサメタゾンが推奨される。 なお、 CRS発現症例のうち、 40/43例において初回投与で発現している。

神経学的事象について

神経学的事象 (脳血管障害、 脳症、 痙攣発作、 錯乱状態、 失語症など) の出現に注意を要する。

ALLの活動性中枢神経系病変や、 てんかんの既往がある場合、 神経学的事象出現のハイリスクであり、 神経学的事象発現時は投与を中止、 中断又は減量、 2回以上の痙攣発作には再投与は避ける。

関連する臨床試験の結果

TOWER試験¹⁾

海外の多施設共同、 非盲検、 第3相ランダム化比較試験。 対象は再発又は難治性の成人Ph陰性B細胞性ALL患者405例 (*中枢神経浸潤例は除外されていることに注意)。 ブリナツモマブと標準化学療法 (FLAG、 大量AraC、 大量MTX、 クロファラビン含有レジメン) の効果を比較した (主要評価項目 全生存期間)。

- 全生存期間中央値:7.7ヵ月

 vs 標準群 4.0ヵ月 (HR 0.71、 95%CI 0.55-0.93、 p=0.01).

- CR/CRh/CRi率:43.9%

 vs 標準群 24.6% (p<0.001)

- CR率:33.6%

 vs 標準群 15.7% (p<0.001)
CR (完全寛解):骨髄芽球≦5%かつ末梢血芽球消失の状態で、 血小板数>10万/mm³かつ好中球数>1,000/mm³.
CRh (造血機能の部分的な回復を伴う完全寛解):骨髄芽球≦5%かつ末梢血芽球消失の状態で、 血小板数>5万/mm³ かつ好中球数>500/mm³.
CRh (造血機能の回復が不十分な完全寛解):骨髄芽球≦5%かつ末梢血芽球消失の状態で、 血小板数>10万/mm³ 又は好中球数>1,000/mm³.

参考文献

1) N Engl J Med. 2017 Mar 2;376(9):836-847. 

最終更新:2024年7月30日
執筆担当:北海道がんセンタ-薬剤部 深井雄太
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
Blinatumomab
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ブリナツモマブ(ビーリンサイト®)
2024年07月30日更新

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
10mg/m² (最大24mg)1~9Blina投与前、 最大5日間

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
20mg1~9Day 1 (1コース目のみday1、8)

Blina:ブリナツモマブ(ビーリンサイト®)

投与量コース投与日
開始用量9μg、 1コース目Day8から28μgへ増量.1~9Day 1~28連続投与

前投薬

デキサメタゾン(DEX):各コース投与開始前(Day 1)、 用量増量前(1コース目のDay 8のみ)の1時間以内に20mgを点滴静注.
Blina投与中断後の再開時も同様にDEX20㎎点滴静注.
小児では初回投与開始6~12時間前にDEX10mg/m²、 初回投与前30分以内に5mg/m²を経口又は点滴静注.

その他

1コースは42日間(28日間投与、 14日間休薬).
寛解導入療法2コース、 地固め療法3コースの計5コースを上限とする.
維持療法を実施する場合、 さらに4コース追加可. 1コースは84日間 (28日間投与、 56日間休薬).
体重45kg未満の場合、 開始用量5μg/m²、 1コース目day8から15μg/m²へ増量.
体重が45kg未満の場合、 体重が45kg以上の場合の投与量を超えないようにする.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ビーリンサイト® (添付文書 / 適正使用ガイド*)

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主な有害事象

TOWER試験 (NEJM 2017)¹⁾ より引用

骨髄抑制

- 貧血 (≧Grade3 19.9%)

- 好中球減少症 (≧Grade3 17.6%)

- 血小板減少症 (≧Grade3 15.0%)

主な有害事象

- 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 21.7%)

- 低K血症 (17.2%、 ≧Grade3 3.7%)

- 低Mg血症 (10.9%、 ≧Grade3 0.4%)

- 不眠症 (11.6%、 ≧Grade3 0.4%)

- 頭痛 (29.6%、 ≧Grade3 0.4%)

- 低血圧 (12.4%、 ≧Grade3 1.1%)

- 咳嗽 (15.7%、 ≧Grade3 0%)

-下痢 (22.1%、 ≧Grade3 1.5%)

- 悪心 (19.1%、 ≧Grade3 0%)

- 便秘 (13.1%、 ≧Grade3 0%)

- 背部痛 (13.5%、 ≧Grade3 1.5%)

- 骨痛 (11.6%、 ≧Grade3 3.0%)

- 発熱 (59.6%、 ≧Grade3 7.5%)

- 末梢性浮腫 (15.0%、 ≧Grade3 4.5%)

- 疲労 (13.5%、 ≧Grade3 1.9%)

その他重要な有害事象

- サイトカイン放出症候群 (16.1%、≧Grade3 4.9%)

- 神経学的事象 (58.8%、 ≧Grade3 9.4%)

特徴と注意点

特徴

ブリナツモマブは、 CD3とCD19の両者に結合する一本鎖抗体で、 T細胞とB細胞性白血病細胞を架橋しT細胞を活性化する。

対象

「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(小児含む)」 に対して保険適用がある。

副作用

サイトカイン放出症候群について

Cytokine Release Syndrome (CRS) では、 発熱、 頭痛、 低血圧、 悪心などが出現する。

デキサメタゾンの前治療、 前投与で可能な限り予防し、 CRS発現時にはNSAIDsを避け、 アセトアミノフェンあるいはデキサメタゾンが推奨される。 なお、 CRS発現症例のうち、 40/43例において初回投与で発現している。

神経学的事象について

神経学的事象 (脳血管障害、 脳症、 痙攣発作、 錯乱状態、 失語症など) の出現に注意を要する。

ALLの活動性中枢神経系病変や、 てんかんの既往がある場合、 神経学的事象出現のハイリスクであり、 神経学的事象発現時は投与を中止、 中断又は減量、 2回以上の痙攣発作には再投与は避ける。

関連する臨床試験の結果

TOWER試験¹⁾

海外の多施設共同、 非盲検、 第3相ランダム化比較試験。 対象は再発又は難治性の成人Ph陰性B細胞性ALL患者405例 (*中枢神経浸潤例は除外されていることに注意)。 ブリナツモマブと標準化学療法 (FLAG、 大量AraC、 大量MTX、 クロファラビン含有レジメン) の効果を比較した (主要評価項目 全生存期間)。

- 全生存期間中央値:7.7ヵ月

 vs 標準群 4.0ヵ月 (HR 0.71、 95%CI 0.55-0.93、 p=0.01).

- CR/CRh/CRi率:43.9%

 vs 標準群 24.6% (p<0.001)

- CR率:33.6%

 vs 標準群 15.7% (p<0.001)
CR (完全寛解):骨髄芽球≦5%かつ末梢血芽球消失の状態で、 血小板数>10万/mm³かつ好中球数>1,000/mm³.
CRh (造血機能の部分的な回復を伴う完全寛解):骨髄芽球≦5%かつ末梢血芽球消失の状態で、 血小板数>5万/mm³ かつ好中球数>500/mm³.
CRh (造血機能の回復が不十分な完全寛解):骨髄芽球≦5%かつ末梢血芽球消失の状態で、 血小板数>10万/mm³ 又は好中球数>1,000/mm³.

参考文献

1) N Engl J Med. 2017 Mar 2;376(9):836-847. 

最終更新:2024年7月30日
執筆担当:北海道がんセンタ-薬剤部 深井雄太
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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