エンハーツ® (トラスツズマブ デルクステカン)
【1コース】 21日間
【催吐性*】 中等度 (日本)、 高度 (NCCN GL)
【FN発症**】 低リスク

トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) : 5.4mg/kg (胃癌では6.4mg/kg) を3週間ごとにDay 1に90分かけて点滴静注する。 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降は30分まで短縮可。
投与開始前に胸部CT検査と問診を行い、 間質性肺疾患の合併または既往がないことを確認したうえで、 投与可否を慎重に判断する。
J Clin Oncol. 2024;42(1):47-58.
HER2発現 (IHC 3+または2+) の局所進行または転移性固形癌で、 1レジメン以上の前治療歴を有する267例を対象に、 T-DXdの有効性を評価したオープンラベル第II相試験。 子宮体癌、 子宮頸癌、 卵巣癌、 膀胱癌、 胆道癌、 膵癌、 その他からなる7コホートで構成され、 主要評価項目はORR (RECIST 1.1に基づく治験担当医師判定) とされた。
【有効性】
全体集団267例 :
- ORR 37.1% (95%CI 31.3–43.2)
- DOR中央値 11.3ヵ月 (95%CI 9.6–17.8)
- PFS中央値 6.9ヵ月 (95%CI 5.6–8.0)
- OS中央値 13.4ヵ月 (95%CI 11.9–15.5)
IHC 3+集団75例 :
- ORR 61.3% (95%CI 49.4–72.4)
- DOR中央値 22.1ヵ月 (95%CI 9.6–NR)
- PFS中央値 11.9ヵ月 (95%CI 8.2–13.0)
- OS中央値 21.1ヵ月 (95%CI 15.3–29.6)
IHC 3+集団のコホート別ORR :
- 子宮体癌 (13例) 84.6% (95%CI 54.6–98.1)
- 子宮頸癌 (8例) 75.0% (95%CI 34.9–96.8)
- 卵巣癌 (11例) 63.6% (95%CI 30.8–89.1)
- 膀胱癌 (16例) 56.3% (95%CI 29.9–80.2)
- 胆道癌 (16例) 56.3% (95%CI 29.9–80.2)
- その他 (9例) 44.4% (95%CI 13.7–78.8)
- 膵癌 (2例) 0%
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 悪心 60.0% (2.7%)
- 疲労 57.3% (12.0%)
- 好中球減少 46.7% (22.7%)
- 貧血 44.0% (17.3%)
- 下痢 42.7% (8.0%)
- 食欲減退 32.0% (4.0%)
- 嘔吐 26.7% (1.3%)
- 血小板減少 24.0% (9.3%)
- 便秘 24.0% (2.7%)
- 腹痛 22.7% (2.7%)
- 間質性肺疾患 21.3% (5.3%)
- 筋骨格痛 20.0% (0%)
- 脱毛症 20.0% (0%)
- 白血球減少 18.7% (1.3%)
- トランスアミナーゼ上昇 17.3% (1.3%)
- 低カリウム血症 17.3% (8.0%)
- 咳嗽 16.0% (0%)
- 口内炎 12.0% (1.3%)
- 消化不良 12.0% (1.3%)
DESTINY-PanTumor02試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- 組織学的に確認された局所進行切除不能又は転移性の固形癌 (胆道癌・膀胱癌・子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌・膵癌・その他)
- ≧1レジメンの全身治療後に増悪又は代替治療がない
- ECOG PS 0–1
- HER2 IHC 3+/2+ (施設又は中央判定)
- ILD/肺臓炎 (ステロイド投与を要する非感染性) を有する患者は除外

軽度腎機能障害 (CrCl 60~90mL/min) 又は中等度腎機能障害 (CrCl 30~60mL/min) では、 用量調節は不要。 重度腎機能障害 (CrCl<30mL/min) における推奨用量は確立していない。

適応となる固形癌の患者は以下のとおり²⁾。

T-DXdは、 HER2に対するヒト化モノクローナル抗体と、 トポイソメラーゼⅠ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体をリンカーで結合させた抗体薬物複合体である。 腫瘍細胞膜上のHER2に結合し、 細胞内に取り込まれた後リンカーが加水分解され、 遊離したカンプトテシン誘導体がDNA傷害作用とアポトーシス誘導作用を示すことで腫瘍増殖を抑制すると考えられている。
間質性肺疾患 : 投与開始前および投与中は呼吸状態・咳・発熱などの臨床症状を観察し、 SpO₂、 胸部X線、 CTを定期的に実施。 必要に応じてKL-6、 PaO₂、 A-aDO₂、 DLcoなども評価。 CT画像などの読影は呼吸器疾患に精通した医師の助言を得る。 患者には初期症状出現時の速やかな受診を指導する。
骨髄抑制 : 投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を実施し状態を観察する。
心毒性 : LVEF低下の可能性があるため、 投与開始前に心機能を確認。 投与中は心症状や重症度に応じて心エコー等を適宜実施し、 LVEF変動を含めた状態を観察のうえ、 休薬・再開・中止を判断する。
臨床試験では、 スクリーニング時に加え、 4サイクルごとの投与開始前に12誘導心電図検査及び心エコー検査が規定された²⁾。
- 間質性肺疾患
- 骨髄抑制
- Infusion reaction
本剤の適応判定 (HER2 [ERBB2] 遺伝子増幅) に利用可能なコンパニオン診断薬は以下のとおり。
- Guardant360 CDx がん遺伝子パネル
1) 第一三共株式会社. エンハーツ®点滴静注用100mg 電子添文. 2026年3月改訂 第13版.
2) 第一三共株式会社. エンハーツ®点滴静注用100mg 適正使用ガイド. 2026年3月改定.
3) J Clin Oncol. 2024;42(1):47-58.
最終更新 : 2026年3月31日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部医師
エンハーツ® (トラスツズマブ デルクステカン)
【1コース】 21日間
【催吐性*】 中等度 (日本)、 高度 (NCCN GL)
【FN発症**】 低リスク

トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) : 5.4mg/kg (胃癌では6.4mg/kg) を3週間ごとにDay 1に90分かけて点滴静注する。 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降は30分まで短縮可。
投与開始前に胸部CT検査と問診を行い、 間質性肺疾患の合併または既往がないことを確認したうえで、 投与可否を慎重に判断する。
J Clin Oncol. 2024;42(1):47-58.
HER2発現 (IHC 3+または2+) の局所進行または転移性固形癌で、 1レジメン以上の前治療歴を有する267例を対象に、 T-DXdの有効性を評価したオープンラベル第II相試験。 子宮体癌、 子宮頸癌、 卵巣癌、 膀胱癌、 胆道癌、 膵癌、 その他からなる7コホートで構成され、 主要評価項目はORR (RECIST 1.1に基づく治験担当医師判定) とされた。
【有効性】
全体集団267例 :
- ORR 37.1% (95%CI 31.3–43.2)
- DOR中央値 11.3ヵ月 (95%CI 9.6–17.8)
- PFS中央値 6.9ヵ月 (95%CI 5.6–8.0)
- OS中央値 13.4ヵ月 (95%CI 11.9–15.5)
IHC 3+集団75例 :
- ORR 61.3% (95%CI 49.4–72.4)
- DOR中央値 22.1ヵ月 (95%CI 9.6–NR)
- PFS中央値 11.9ヵ月 (95%CI 8.2–13.0)
- OS中央値 21.1ヵ月 (95%CI 15.3–29.6)
IHC 3+集団のコホート別ORR :
- 子宮体癌 (13例) 84.6% (95%CI 54.6–98.1)
- 子宮頸癌 (8例) 75.0% (95%CI 34.9–96.8)
- 卵巣癌 (11例) 63.6% (95%CI 30.8–89.1)
- 膀胱癌 (16例) 56.3% (95%CI 29.9–80.2)
- 胆道癌 (16例) 56.3% (95%CI 29.9–80.2)
- その他 (9例) 44.4% (95%CI 13.7–78.8)
- 膵癌 (2例) 0%
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 悪心 60.0% (2.7%)
- 疲労 57.3% (12.0%)
- 好中球減少 46.7% (22.7%)
- 貧血 44.0% (17.3%)
- 下痢 42.7% (8.0%)
- 食欲減退 32.0% (4.0%)
- 嘔吐 26.7% (1.3%)
- 血小板減少 24.0% (9.3%)
- 便秘 24.0% (2.7%)
- 腹痛 22.7% (2.7%)
- 間質性肺疾患 21.3% (5.3%)
- 筋骨格痛 20.0% (0%)
- 脱毛症 20.0% (0%)
- 白血球減少 18.7% (1.3%)
- トランスアミナーゼ上昇 17.3% (1.3%)
- 低カリウム血症 17.3% (8.0%)
- 咳嗽 16.0% (0%)
- 口内炎 12.0% (1.3%)
- 消化不良 12.0% (1.3%)
DESTINY-PanTumor02試験³⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- 組織学的に確認された局所進行切除不能又は転移性の固形癌 (胆道癌・膀胱癌・子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌・膵癌・その他)
- ≧1レジメンの全身治療後に増悪又は代替治療がない
- ECOG PS 0–1
- HER2 IHC 3+/2+ (施設又は中央判定)
- ILD/肺臓炎 (ステロイド投与を要する非感染性) を有する患者は除外

軽度腎機能障害 (CrCl 60~90mL/min) 又は中等度腎機能障害 (CrCl 30~60mL/min) では、 用量調節は不要。 重度腎機能障害 (CrCl<30mL/min) における推奨用量は確立していない。

適応となる固形癌の患者は以下のとおり²⁾。

T-DXdは、 HER2に対するヒト化モノクローナル抗体と、 トポイソメラーゼⅠ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体をリンカーで結合させた抗体薬物複合体である。 腫瘍細胞膜上のHER2に結合し、 細胞内に取り込まれた後リンカーが加水分解され、 遊離したカンプトテシン誘導体がDNA傷害作用とアポトーシス誘導作用を示すことで腫瘍増殖を抑制すると考えられている。
間質性肺疾患 : 投与開始前および投与中は呼吸状態・咳・発熱などの臨床症状を観察し、 SpO₂、 胸部X線、 CTを定期的に実施。 必要に応じてKL-6、 PaO₂、 A-aDO₂、 DLcoなども評価。 CT画像などの読影は呼吸器疾患に精通した医師の助言を得る。 患者には初期症状出現時の速やかな受診を指導する。
骨髄抑制 : 投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を実施し状態を観察する。
心毒性 : LVEF低下の可能性があるため、 投与開始前に心機能を確認。 投与中は心症状や重症度に応じて心エコー等を適宜実施し、 LVEF変動を含めた状態を観察のうえ、 休薬・再開・中止を判断する。
臨床試験では、 スクリーニング時に加え、 4サイクルごとの投与開始前に12誘導心電図検査及び心エコー検査が規定された²⁾。
- 間質性肺疾患
- 骨髄抑制
- Infusion reaction
本剤の適応判定 (HER2 [ERBB2] 遺伝子増幅) に利用可能なコンパニオン診断薬は以下のとおり。
- Guardant360 CDx がん遺伝子パネル
1) 第一三共株式会社. エンハーツ®点滴静注用100mg 電子添文. 2026年3月改訂 第13版.
2) 第一三共株式会社. エンハーツ®点滴静注用100mg 適正使用ガイド. 2026年3月改定.
3) J Clin Oncol. 2024;42(1):47-58.
最終更新 : 2026年3月31日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : HOKUTO編集部医師
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。