概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

MITO-7試験³⁾のプロトコル

18週間継続

Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405³⁾よりより作図

電子添文の用法および用量
パクリタキセル²⁾ : 1日1回80mg/m²を1時間かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続する。
タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版)¹⁾より引用
カルボプラチン : 1日1回300~400mg/m²を投与し、 少なくとも4週間休薬
パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版)²⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX 3.3mg+ファモチジン 50mg+抗ヒスタミン薬+生食 100mL

- NK₁阻害剤+5-HT₃拮抗剤+生食 50ml (30分)

- PTX 60mg/m²+5%ブ糖液 250mL (1時間)

- CBDCA+生食 250mL (30~60分)

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供

投与開始基準

MITO-7試験³⁾のプロトコル

  • 卵巣癌、 卵管癌、 または原発性腹膜癌の細胞学的または組織学的診断、 ステージ IC-IV
  • 化学療法の適応
  • 年齢 >18歳
  • 3ヵ月以上の生存見込み
Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405³⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

MITO-7試験³⁾

対象: FIGOステージIC–IVの卵巣癌患者810例
方法: weekly TC群 vs triweekly TC群

【有効性】weekly TC群

  • ORR 56.2%
  • PFS 18.3ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 貧血 64.4% (6.3%)
  • 白血球数減少 60.7% (13.8%)
  • 好中球減少症 71.2% (41.9%)
  • 非好中球減少症感染症 5.8% (1.0%)
  • 血小板数減少 18.5% (1.0%)
  • アレルギー 13.5% (4.3%)
  • 腎臓 5.5% (0.3%)
  • 心臓 (一般) 5.5% (0%)
  • 肺 8.5% (1.0%)
  • 倦怠感 54.1% (3.8%)
  • 発熱 6.5% (0.3%)
  • 脱毛症 50.4% (0%)
  • 皮膚 12.0% (0.5%)
  • 拒食症 6.8% (0.8%)
  • 便秘 29.1% (1.3%)
  • 下痢 18.0% (0.5%)
  • 悪心 44.4% (1.5%)
  • 嘔吐 15.0% (1.3%)
  • 粘膜炎 9.5% (0%)
  • 肝臓 9.5% (0.5%)
  • 神経 6.5% (0%)
  • 神経障害 30.6% (0%)
Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405³⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

PFS中央値はTC療法とほぼ同等

MITO-7試験¹⁾は、 カルボプラチン、 パクリタキセル両者を週1回投与するweekly TC療法と、 従来のTC療法を比較しました。 パクリタキセルの投与量が60mg/m²とJGOG3016試験⁴⁾の投与量 (80mg/m²) よりも少ないことが特徴です。 この試験の結果、 PFS中央値は、 18.3ヵ月 (weekly TC療法)、 17.3ヵ月 (TC療法)でほぼ同等 (HR=0.96, 0.80-1.16, P=0.66) と言えます (ただ、 非劣性デザインではなかった)。

また、 weekly TC療法は、 TC療法と比べて、 全般的QOLが良好で、 好中球減少、 発熱性好中球減少、 末梢神経障害の頻度が有意に少なかったです。 この結果より、 weekly TC療法は、 標準治療のオプションと考えられますが、 高齢者で合併症をもった方、 初回治療時に合併症をもった方、 PS不良などの方などでは、 良い治療選択肢になると思います。

監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. クリニジェン株式会社. タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/03/11]
  2. クリニジェン株式会社. パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/03/11]
  3. Carboplatin plus paclitaxel once a week versus every 3 weeks in patients with advanced ovarian cancer (MITO-7): a randomised, multicentre, open-label, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405. PMID: 24582486
  4. Dose-dense paclitaxel once a week in combination with carboplatin every 3 weeks for advanced ovarian cancer: a phase 3, open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2009 Oct 17;374(9698):1331-8. PMID: 19767092
最終更新日 : 2024年7月22日
監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

レジメン
weekly TC (Weekly PTX + CBDCA)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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パクリタキセル (タキソール®) + カルボプラチン (パラプラチン®)
2024年07月22日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

MITO-7試験³⁾のプロトコル

18週間継続

Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405³⁾よりより作図

電子添文の用法および用量
パクリタキセル²⁾ : 1日1回80mg/m²を1時間かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続する。
タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版)¹⁾より引用
カルボプラチン : 1日1回300~400mg/m²を投与し、 少なくとも4週間休薬
パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版)²⁾より引用

前投薬・投与スケジュール例

- DEX 3.3mg+ファモチジン 50mg+抗ヒスタミン薬+生食 100mL

- NK₁阻害剤+5-HT₃拮抗剤+生食 50ml (30分)

- PTX 60mg/m²+5%ブ糖液 250mL (1時間)

- CBDCA+生食 250mL (30~60分)

日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生提供

投与開始基準

MITO-7試験³⁾のプロトコル

  • 卵巣癌、 卵管癌、 または原発性腹膜癌の細胞学的または組織学的診断、 ステージ IC-IV
  • 化学療法の適応
  • 年齢 >18歳
  • 3ヵ月以上の生存見込み
Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405³⁾より引用

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MITO-7試験³⁾

対象: FIGOステージIC–IVの卵巣癌患者810例
方法: weekly TC群 vs triweekly TC群

【有効性】weekly TC群

  • ORR 56.2%
  • PFS 18.3ヵ月

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

  • 貧血 64.4% (6.3%)
  • 白血球数減少 60.7% (13.8%)
  • 好中球減少症 71.2% (41.9%)
  • 非好中球減少症感染症 5.8% (1.0%)
  • 血小板数減少 18.5% (1.0%)
  • アレルギー 13.5% (4.3%)
  • 腎臓 5.5% (0.3%)
  • 心臓 (一般) 5.5% (0%)
  • 肺 8.5% (1.0%)
  • 倦怠感 54.1% (3.8%)
  • 発熱 6.5% (0.3%)
  • 脱毛症 50.4% (0%)
  • 皮膚 12.0% (0.5%)
  • 拒食症 6.8% (0.8%)
  • 便秘 29.1% (1.3%)
  • 下痢 18.0% (0.5%)
  • 悪心 44.4% (1.5%)
  • 嘔吐 15.0% (1.3%)
  • 粘膜炎 9.5% (0%)
  • 肝臓 9.5% (0.5%)
  • 神経 6.5% (0%)
  • 神経障害 30.6% (0%)
Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405³⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

PFS中央値はTC療法とほぼ同等

MITO-7試験¹⁾は、 カルボプラチン、 パクリタキセル両者を週1回投与するweekly TC療法と、 従来のTC療法を比較しました。 パクリタキセルの投与量が60mg/m²とJGOG3016試験⁴⁾の投与量 (80mg/m²) よりも少ないことが特徴です。 この試験の結果、 PFS中央値は、 18.3ヵ月 (weekly TC療法)、 17.3ヵ月 (TC療法)でほぼ同等 (HR=0.96, 0.80-1.16, P=0.66) と言えます (ただ、 非劣性デザインではなかった)。

また、 weekly TC療法は、 TC療法と比べて、 全般的QOLが良好で、 好中球減少、 発熱性好中球減少、 末梢神経障害の頻度が有意に少なかったです。 この結果より、 weekly TC療法は、 標準治療のオプションと考えられますが、 高齢者で合併症をもった方、 初回治療時に合併症をもった方、 PS不良などの方などでは、 良い治療選択肢になると思います。

監修医師 : 日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科教授 勝俣 範之先生

出典

  1. クリニジェン株式会社. タキソール®電子添文 (2023年7月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/03/11]
  2. クリニジェン株式会社. パラプラチン®電子添文 (2023年5月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/03/11]
  3. Carboplatin plus paclitaxel once a week versus every 3 weeks in patients with advanced ovarian cancer (MITO-7): a randomised, multicentre, open-label, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2014 Apr;15(4):396-405. PMID: 24582486
  4. Dose-dense paclitaxel once a week in combination with carboplatin every 3 weeks for advanced ovarian cancer: a phase 3, open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2009 Oct 17;374(9698):1331-8. PMID: 19767092
最終更新日 : 2024年7月22日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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