概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ヤーボイ® (添付文書¹⁾)

ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体 イピリムマブ
*ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社の外部サイトへ遷移

用法用量

根治切除不能な悪性黒色腫 : イピリムマブ 1回3mg/kgを3週間間隔で4回点滴静注する

ヤーボイ®電子添文 (2024年7月改訂 第13版)¹⁾ より引用

減量基準はなく、 ホルモン補充療法でコントロール可能な内分泌関連の免疫関連有害事象を除き、 グレード3以上またはグレードに関わらず致死的になり得る場合には中止する。

エキスパートによるワンポイント

治療選択肢の1つだが、単独利用は少ない

根治切除不能な悪性黒色腫患者に用いられる。 イピリムマブは,細胞傷害性Tリンパ球関連抗原 4 (CTLA-4) を抑制してT細胞の抗腫瘍効果を増強する。 併用薬剤としてニボルマブが認められている。 実臨床においては原則としてニボルマブと併用されており、 現在単独で投与されることは非常に少ない。

>>悪性黒色腫に対するIPI+Nivo療法はこちら

臨床試験の結果

海外第Ⅲ相臨床試験 (MDX010-20試験)²⁾

既治療の転移性悪性黒色腫患者に対するセカンドライン治療として、 イピリムマブ3mg/kg+gp100ワクチン併用群とイピリムマブ3mg/kg単独群、 gp100ペプチドワクチン単独群を比較したところ、 イピリムマブを投与した2つの群はgp100ワクチン単独群 (対照群) に比較して有意に生存期間を延長した (ハザード比 それぞれ0.66 (p=0.003) ・0.68(p<0.001)。

 - イピリムマブ単独群 10.1ヵ月
 - イピ+gp100ワクチン併用群 10.0ヵ月
 - gp100ワクチン単独群 6.4ヵ月

この試験は転移性悪性黒色腫を対象に初めて生存期間の延長を証明した試験である。

国内第II相臨床試験 (CA184396試験)³⁾

また、 日本人対象の第II相試験も行われている。 この試験は第II相試験であるにもかかわらず主要評価項目は安全性であった (結果は後述)。 なお、 奏効率は10%、 病勢制御率は20%であった。

安全性と副作用マネジメント

上記の海外第III相試験によれば、 Grade 3~4の免疫関連有害事象は、 イピリムマブ投与患者の10~15%でみられた。 14例 (2.1%) が試験薬に関連して死亡し、 うち7例は免疫関連有害事象に関連していた。

日本人対象試験では20例の登録患者のうち12例 (60%) に少なくとも1つの薬剤関連有害事象が発生したが、 試験中止に至ものはなかった。 最も多かったのは発疹 7例 (35%) でその他、 発熱 3例 (15%)、 肝酵素上昇 3例 (15%) であり、 Grade3の免疫関連副作用は3例 (15%) と糖尿病 1例 (5%)であった。

副作用マネジメントは、 原則として抗PD-1抗体と同様である。

主な有害事象

MDX010-20試験²⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):711-23.より引用

- 下痢 32.8% (5.3%)

- 悪心 35.1% (2.3%)

- 便秘 20.6% (2.3%)

- 嘔吐 23.7% (2.3%)

- 倦怠感 42.0% (6.9%)

- 食欲低下 26.7% (1.5%)

- 発熱 12.2% (0%)

- 貧血 11.5% (3.1%)

- 甲状腺機能低下症 1.5% (0%)

- ALT増加 1.5% (0%)

- AST増加 0.8% (0%)

出典

1) ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社. ヤーボイ®点滴静注 添付文書 (2024年7月改訂 第13版)

2) Improved survival with ipilimumab in patients with metastatic melanoma. N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):711-23. PMID: 20525992

3) Phase II study of ipilimumab monotherapy in Japanese patients with advanced melanoma. Cancer Chemother Pharmacol. 2015 Nov;76(5):997-1004. PMID: 26410424

最終更新日 : 2024年9月8日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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イピリムマブ (ヤーボイ®)
2024年09月09日更新
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ヤーボイ® (添付文書¹⁾)

ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体 イピリムマブ
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用法用量

根治切除不能な悪性黒色腫 : イピリムマブ 1回3mg/kgを3週間間隔で4回点滴静注する

ヤーボイ®電子添文 (2024年7月改訂 第13版)¹⁾ より引用

減量基準はなく、 ホルモン補充療法でコントロール可能な内分泌関連の免疫関連有害事象を除き、 グレード3以上またはグレードに関わらず致死的になり得る場合には中止する。

エキスパートによるワンポイント

治療選択肢の1つだが、単独利用は少ない

根治切除不能な悪性黒色腫患者に用いられる。 イピリムマブは,細胞傷害性Tリンパ球関連抗原 4 (CTLA-4) を抑制してT細胞の抗腫瘍効果を増強する。 併用薬剤としてニボルマブが認められている。 実臨床においては原則としてニボルマブと併用されており、 現在単独で投与されることは非常に少ない。

>>悪性黒色腫に対するIPI+Nivo療法はこちら

臨床試験の結果

海外第Ⅲ相臨床試験 (MDX010-20試験)²⁾

既治療の転移性悪性黒色腫患者に対するセカンドライン治療として、 イピリムマブ3mg/kg+gp100ワクチン併用群とイピリムマブ3mg/kg単独群、 gp100ペプチドワクチン単独群を比較したところ、 イピリムマブを投与した2つの群はgp100ワクチン単独群 (対照群) に比較して有意に生存期間を延長した (ハザード比 それぞれ0.66 (p=0.003) ・0.68(p<0.001)。

 - イピリムマブ単独群 10.1ヵ月
 - イピ+gp100ワクチン併用群 10.0ヵ月
 - gp100ワクチン単独群 6.4ヵ月

この試験は転移性悪性黒色腫を対象に初めて生存期間の延長を証明した試験である。

国内第II相臨床試験 (CA184396試験)³⁾

また、 日本人対象の第II相試験も行われている。 この試験は第II相試験であるにもかかわらず主要評価項目は安全性であった (結果は後述)。 なお、 奏効率は10%、 病勢制御率は20%であった。

安全性と副作用マネジメント

上記の海外第III相試験によれば、 Grade 3~4の免疫関連有害事象は、 イピリムマブ投与患者の10~15%でみられた。 14例 (2.1%) が試験薬に関連して死亡し、 うち7例は免疫関連有害事象に関連していた。

日本人対象試験では20例の登録患者のうち12例 (60%) に少なくとも1つの薬剤関連有害事象が発生したが、 試験中止に至ものはなかった。 最も多かったのは発疹 7例 (35%) でその他、 発熱 3例 (15%)、 肝酵素上昇 3例 (15%) であり、 Grade3の免疫関連副作用は3例 (15%) と糖尿病 1例 (5%)であった。

副作用マネジメントは、 原則として抗PD-1抗体と同様である。

主な有害事象

MDX010-20試験²⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):711-23.より引用

- 下痢 32.8% (5.3%)

- 悪心 35.1% (2.3%)

- 便秘 20.6% (2.3%)

- 嘔吐 23.7% (2.3%)

- 倦怠感 42.0% (6.9%)

- 食欲低下 26.7% (1.5%)

- 発熱 12.2% (0%)

- 貧血 11.5% (3.1%)

- 甲状腺機能低下症 1.5% (0%)

- ALT増加 1.5% (0%)

- AST増加 0.8% (0%)

出典

1) ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社. ヤーボイ®点滴静注 添付文書 (2024年7月改訂 第13版)

2) Improved survival with ipilimumab in patients with metastatic melanoma. N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):711-23. PMID: 20525992

3) Phase II study of ipilimumab monotherapy in Japanese patients with advanced melanoma. Cancer Chemother Pharmacol. 2015 Nov;76(5):997-1004. PMID: 26410424

最終更新日 : 2024年9月8日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科長 山崎直也先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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