治療スケジュール
概要
監修医師

IXA:イキサゾミブ(ニンラーロ®)

投与量コース投与日
4mg/body 経口(空腹時)1~Day 1、8、15

LEN:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg/body 経口1~Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg/body 経口1~Day 1、8、15、22

その他

1コースは28日間
イキサゾミブは、1日1回空腹時に内服
レジメン
ILd(IRd)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ニンラーロ® (添付文書²⁾ / 適正使用ガイド³⁾*)

*武田薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します。

レブラミド® (添付文書 / 適正使用ガイド*)

*BMS株式会社の外部サイトへ遷移します。

レナデックス® (添付文書)

投与スケジュール

再発又は難治性の多発性骨髄腫
【1コース】28日間
【催吐性】 軽度*
【FN発症】低リスク**
*イキサゾミブ、 レナリドミドはいずれも軽度催吐性
**TOURMALINE-MM1試験¹⁾のFN発生率 (<1%) を基に分類

イキサゾミブは、レナリドミドおよびデキサメタゾンと併用し、 4mgを週1回 (1、 8、 15日目) 空腹時に経口投与、 16~28日目は休薬とし、 4週間を1サイクルとして繰り返す。

クレアチニンクリアランス≦60mL/minの場合、 レナリドミドは10mgで開始し、 忍容性が良好で反応が不十分な場合は2サイクル後に15mgへ増量可能。 腎機能が改善し (>60mL/min) 忍容性が維持されていれば、 25mgまで増量可能¹⁾。

Key Data|臨床試験結果

📊 TOURMALINE-MM1試験¹⁾

N Engl J Med 2016;374:1621-34.

再発、 難治性、 又は再発かつ難治性の多発性骨髄腫患者722例を対象とした二重盲検プラセボ対照第III相無作為化比較試験。   患者はイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン群 (イキサゾミブ群) 又はプラセボ+レナリドミド+デキサメタゾン群 (プラセボ群) に1:1の比率で無作為に割り付けられ、 主要評価項目として無増悪生存期間 (PFS) が設定された。

【有効性】ILd (IRd) 群

  • PFS中央値 : 20.6ヵ月
  • 高リスク染色体異常を有する患者のPFS中央値 : 21.4ヵ月
  • del(17p)を有する患者のPFS中央値 : 21.4ヵ月
  • t(4;14)を有し、 かつdel(17p)またはt(14;16)を伴わない患者のPFS中央値 : 18.5ヵ月
  • 全奏効率 : 78%
  • CR率 : 12%
  • 奏効までの期間中央値 : 1.1ヵ月
  • 奏効期間中央値 : 20.5ヵ月

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (≧Grade3)

  • 好中球減少症 33% (23%)
  • 血小板減少症 31% (19%)
  • 貧血 29% (9%)
  • 下痢 45% (6%)
  • 発疹 36% (5%)
  • 便秘 35% (<1%)
  • 疲労 29% (4%)
  • 悪心 29% (2%)
  • 末梢性浮腫 28% (2%)
  • 末梢神経障害 27% (2%)
  • 背部痛 24% (<1%)
  • 嘔吐 23% (1%)
  • 上気道感染 23% (<1%)
  • 鼻咽頭炎 22% (0%)
  • 不眠症 20% (2%)
  • 筋痙縮 18% (0%)
  • 不整脈 16% (6%)
  • 血栓塞栓症 8% (3%)
  • 肝機能障害 7% (2%)
  • 高血圧 6% (3%)
  • 低血圧 6% (1%)
  • 心不全 4% (2%)
  • 急性腎不全 9% (2%)
  • 心筋梗塞 1% (<1%)
  • 脳症 <1% (<1%)
  • 間質性肺疾患 1% (<1%)
  • 二次癌 5%
  • ヘルペスウイルス感染症 10% (<1%)³⁾
予防投与あり<1%、 予防投与なし8%

各プロトコル

TOURMALINE-MM1試験の主な適格基準

  • 18歳以上
  • ECOG PS 0~2
  • 好中球数 ≧1,000/mm³
  • 血小板数 ≧75,000/mm³
  • 総ビリルビン ≦1.5 × ULN
  • ALT及びAST ≦3 × ULN
  • クレアチニンクリアランス ≧30 mL/min

用量レベル¹⁾²⁾³⁾

IXA: イキサゾミブ、 LEN: レナリドミド、 DEX: デキサメタゾン
LENとDEXの用量レベルはTOURMALINE-MM1試験のプロトコルを基に編集部が作成

減量・休薬・中止基準²⁾³⁾

有害事象発現時にイキサゾミブ、 レナリドミドのどちらを減量するかは、 有害事象の種類・発現時期・経過に基づき判断する。

TOURMALINE-MM1試験のプロトコルでは、 血小板減少および好中球減少が減量基準に達した場合、 イキサゾミブとレナリドミドを交互に減量することが定められていた。

適正使用ガイドには、 TOURMALINE-MM1試験におけるイキサゾミブおよびレナリドミドの用量調節基準 (血小板減少症、 好中球減少症、 発疹に対する対応) が詳細に記載されている。

レジメンの特徴と注意点

イキサゾミブ

  • 高脂肪食により血中濃度が低下するため、 食前1時間以上または食後2時間以上の空腹時に服用するよう指導
  • 規定服用日に飲み忘れた場合は、 次回服用まで72時間以上あれば、 気づいた時点で服用するよう指導
  • 帯状疱疹予防のため、 抗ヘルペスウイルス薬の予防投与を推奨
  • 消化器系副作用発現時は、 止瀉薬・制吐薬の使用を検討
  • 中等度以上の肝機能障害や重度腎機能障害では血中濃度上昇により副作用リスクが高まるため、 慎重な観察と有害事象への注意が必要

レナリドミド

  • 深部静脈血栓症予防として低用量アスピリン (81~100mg/日) の内服が推奨
  • 重篤な皮膚障害や過敏症が報告されており、 異常があれば速やかに中止・対応が必要
  • 催奇形性があるため、 適正管理手順 (RevMate®) を遵守し、 妊娠回避を徹底

出典

  1. N Engl J Med 2016;374:1621-34.
  2. 武田薬品工業株式会社. ニンラーロ®カプセル0.5mg/2.3mg/3mg/4mg 電子添文 2024年11月作成 (第6版) [最終確認: 2025/5/9]
  3. 武田薬品工業株式会社. ニンラーロ®カプセル0.5mg/2.3mg/3mg/4mg 適正使用ガイド 2024年11月作成 [最終確認: 2025/5/9]
  4. U.S. Food and Drug Administration. NINLARO® (ixazomib) capsules, for oral use. Initial U.S. Approval: 2015. Full prescribing information. [最終確認: 2025/5/9]
最終更新 : 2025年5月9日
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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イキサゾミブ、 レナリドミド、 デキサメタゾン
2025年05月11日更新

IXA:イキサゾミブ(ニンラーロ®)

投与量コース投与日
4mg/body 経口(空腹時)1~Day 1、8、15

LEN:レナリドミド(レブラミド®)

投与量コース投与日
25mg/body 経口1~Day 1~21

DEX:デキサメタゾン(レナデックス®)

投与量コース投与日
40mg/body 経口1~Day 1、8、15、22

その他

1コースは28日間
イキサゾミブは、1日1回空腹時に内服

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ニンラーロ® (添付文書²⁾ / 適正使用ガイド³⁾*)

*武田薬品工業株式会社の外部サイトへ遷移します。

レブラミド® (添付文書 / 適正使用ガイド*)

*BMS株式会社の外部サイトへ遷移します。

レナデックス® (添付文書)

投与スケジュール

再発又は難治性の多発性骨髄腫
【1コース】28日間
【催吐性】 軽度*
【FN発症】低リスク**
*イキサゾミブ、 レナリドミドはいずれも軽度催吐性
**TOURMALINE-MM1試験¹⁾のFN発生率 (<1%) を基に分類

イキサゾミブは、レナリドミドおよびデキサメタゾンと併用し、 4mgを週1回 (1、 8、 15日目) 空腹時に経口投与、 16~28日目は休薬とし、 4週間を1サイクルとして繰り返す。

クレアチニンクリアランス≦60mL/minの場合、 レナリドミドは10mgで開始し、 忍容性が良好で反応が不十分な場合は2サイクル後に15mgへ増量可能。 腎機能が改善し (>60mL/min) 忍容性が維持されていれば、 25mgまで増量可能¹⁾。

Key Data|臨床試験結果

📊 TOURMALINE-MM1試験¹⁾

N Engl J Med 2016;374:1621-34.

再発、 難治性、 又は再発かつ難治性の多発性骨髄腫患者722例を対象とした二重盲検プラセボ対照第III相無作為化比較試験。   患者はイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン群 (イキサゾミブ群) 又はプラセボ+レナリドミド+デキサメタゾン群 (プラセボ群) に1:1の比率で無作為に割り付けられ、 主要評価項目として無増悪生存期間 (PFS) が設定された。

【有効性】ILd (IRd) 群

  • PFS中央値 : 20.6ヵ月
  • 高リスク染色体異常を有する患者のPFS中央値 : 21.4ヵ月
  • del(17p)を有する患者のPFS中央値 : 21.4ヵ月
  • t(4;14)を有し、 かつdel(17p)またはt(14;16)を伴わない患者のPFS中央値 : 18.5ヵ月
  • 全奏効率 : 78%
  • CR率 : 12%
  • 奏効までの期間中央値 : 1.1ヵ月
  • 奏効期間中央値 : 20.5ヵ月

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (≧Grade3)

  • 好中球減少症 33% (23%)
  • 血小板減少症 31% (19%)
  • 貧血 29% (9%)
  • 下痢 45% (6%)
  • 発疹 36% (5%)
  • 便秘 35% (<1%)
  • 疲労 29% (4%)
  • 悪心 29% (2%)
  • 末梢性浮腫 28% (2%)
  • 末梢神経障害 27% (2%)
  • 背部痛 24% (<1%)
  • 嘔吐 23% (1%)
  • 上気道感染 23% (<1%)
  • 鼻咽頭炎 22% (0%)
  • 不眠症 20% (2%)
  • 筋痙縮 18% (0%)
  • 不整脈 16% (6%)
  • 血栓塞栓症 8% (3%)
  • 肝機能障害 7% (2%)
  • 高血圧 6% (3%)
  • 低血圧 6% (1%)
  • 心不全 4% (2%)
  • 急性腎不全 9% (2%)
  • 心筋梗塞 1% (<1%)
  • 脳症 <1% (<1%)
  • 間質性肺疾患 1% (<1%)
  • 二次癌 5%
  • ヘルペスウイルス感染症 10% (<1%)³⁾
予防投与あり<1%、 予防投与なし8%

各プロトコル

TOURMALINE-MM1試験の主な適格基準

  • 18歳以上
  • ECOG PS 0~2
  • 好中球数 ≧1,000/mm³
  • 血小板数 ≧75,000/mm³
  • 総ビリルビン ≦1.5 × ULN
  • ALT及びAST ≦3 × ULN
  • クレアチニンクリアランス ≧30 mL/min

用量レベル¹⁾²⁾³⁾

IXA: イキサゾミブ、 LEN: レナリドミド、 DEX: デキサメタゾン
LENとDEXの用量レベルはTOURMALINE-MM1試験のプロトコルを基に編集部が作成

減量・休薬・中止基準²⁾³⁾

有害事象発現時にイキサゾミブ、 レナリドミドのどちらを減量するかは、 有害事象の種類・発現時期・経過に基づき判断する。

TOURMALINE-MM1試験のプロトコルでは、 血小板減少および好中球減少が減量基準に達した場合、 イキサゾミブとレナリドミドを交互に減量することが定められていた。

適正使用ガイドには、 TOURMALINE-MM1試験におけるイキサゾミブおよびレナリドミドの用量調節基準 (血小板減少症、 好中球減少症、 発疹に対する対応) が詳細に記載されている。

レジメンの特徴と注意点

イキサゾミブ

  • 高脂肪食により血中濃度が低下するため、 食前1時間以上または食後2時間以上の空腹時に服用するよう指導
  • 規定服用日に飲み忘れた場合は、 次回服用まで72時間以上あれば、 気づいた時点で服用するよう指導
  • 帯状疱疹予防のため、 抗ヘルペスウイルス薬の予防投与を推奨
  • 消化器系副作用発現時は、 止瀉薬・制吐薬の使用を検討
  • 中等度以上の肝機能障害や重度腎機能障害では血中濃度上昇により副作用リスクが高まるため、 慎重な観察と有害事象への注意が必要

レナリドミド

  • 深部静脈血栓症予防として低用量アスピリン (81~100mg/日) の内服が推奨
  • 重篤な皮膚障害や過敏症が報告されており、 異常があれば速やかに中止・対応が必要
  • 催奇形性があるため、 適正管理手順 (RevMate®) を遵守し、 妊娠回避を徹底

出典

  1. N Engl J Med 2016;374:1621-34.
  2. 武田薬品工業株式会社. ニンラーロ®カプセル0.5mg/2.3mg/3mg/4mg 電子添文 2024年11月作成 (第6版) [最終確認: 2025/5/9]
  3. 武田薬品工業株式会社. ニンラーロ®カプセル0.5mg/2.3mg/3mg/4mg 適正使用ガイド 2024年11月作成 [最終確認: 2025/5/9]
  4. U.S. Food and Drug Administration. NINLARO® (ixazomib) capsules, for oral use. Initial U.S. Approval: 2015. Full prescribing information. [最終確認: 2025/5/9]
最終更新 : 2025年5月9日
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(血液)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。