概要
監修医師

2024/6/30時点で、 ペムブロリズマブはメルケル細胞癌に対して本邦適応外薬となっている¹⁾²⁾。

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

キイトルーダ® (添付文書¹⁾/適正使用情報²⁾*)

*MSD製薬の外部サイトへ遷移します

用法用量

KEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾のプロトコル

J Immunother Cancer. 2021 Apr;9(4):e002478³⁾より作図

投与開始基準

KEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾のプロトコル

J Immunother Cancer. 2021 Apr;9(4):e002478³⁾より作図

主な有害事象

KEYNOTE-017試験³⁾

主な有害事象

  • 副腎不全 2.0%
  • 大腸炎 2.0%
  • 甲状腺機能亢進症 2.0%
  • 甲状腺機能低下症 6.0%
  • 注入関連反応 2.0%
  • 心筋炎 2.0%
  • 膵炎 4.0%
  • 肺炎 6.0%
  • 紅斑性皮疹 4.0%
  • 甲状腺炎 2.0%
J Clin Oncol. 2019 Mar 20;37(9):693-702³⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

欧米では1次治療も・・・

欧米では根治切除不能なメルケル細胞癌の1次治療として選択される。 本邦ではメルケル細胞癌の1次治療はアベルマブが使用されることが多く、 2次治療以降で使用される可能性がある。

本邦で使用する場合、 がん遺伝子パネル検査で高い腫瘍遺伝子変異量 (TMB-high) を確認する必要がある。 抗PD-1抗体であるペムブロリズマブニボルマブ、 抗PD-L1抗体であるアベルマブを比較した臨床試験は無く、 海外の各ガイドラインではいずれも併記されている⁵⁾⁶⁾。

投与スケジュールと副作用

ペムブロリズマブ1回200mgを3週間間隔または1回400mgを6週間間隔で30分以上かけて点滴静注する。 副作用発現時には、 その内容、 CTCAEの重症度に応じて休薬や中止を検討する。

内分泌系の副作用ではホルモンの補充を行いながら継続することも可能であるが、 他の副作用ではGrade2以上の場合は休薬や中止が必要である。 原則、 減量は行わない。 休薬や中止、 再開の判断は適正使用ガイドなどを参考にするが、 他の免疫チェックポイント阻害薬と同様の対応が必要である。

KEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾での有効性と安全性

海外で実施された多施設第II相非盲検試験のKEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾は薬物治療歴のない患者に対するペムブロリズマブの有効性を評価した。 奏効率は58%で、 PFS中央値16.8ヵ月、 3年PFS39.1%、 OS中央値は未達、 3年OS59.4%であった。 奏効が得られた患者では3年OSが89.5%であった。 有害事象に関しては他のがんにおける既報告と同様であり、 新たな副作用の報告は無かった。 免疫チェックポイント阻害薬の特徴である奏効の持続性が確認され、 免疫関連を含めた有害事象を適切に管理することが必要であると考えられる。

本邦での使用と保険適応外の扱い

本邦ではメルケル細胞癌に対するペムブロリズマブは保険適用外である。 がん遺伝子パネル検査を実施しTMB-highであった時に使用できる。 メルケル細胞癌はしばしば進行が非常に早い症例も見られるため、 がん遺伝子パネル検査を検討する時期に注意が必要である。 なお、 アベルマブ不応あるいは無効となった患者に対するペムブロリズマブの有効性、 安全性については報告が無く不明である。

監修 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

出典

  1. MSD製薬. キイトルーダ®電子添文 (2024年5月改訂 第18版) [最終閲覧 : 2024/6/7]
  2. MSD製薬. キイトルーダ®適正使用ガイド (2024年5月作成) [最終閲覧 : 2024/6/7]
  3. Durable Tumor Regression and Overall Survival in Patients With Advanced Merkel Cell Carcinoma Receiving Pembrolizumab as First-Line Therapy. J Clin Oncol. 2019 Mar 20;37(9):693-702. PMID: 30726175
  4. Three-year survival, correlates and salvage therapies in patients receiving first-line pembrolizumab for advanced Merkel cell carcinoma. J Immunother Cancer. 2021 Apr;9(4):e002478. PMID: 33879601
  5. Merkel-cell carcinoma: ESMO-EURACAN Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. ESMO Open. 2024 May;9(5):102977. PMID: 38796285
  6. NCCN Guidelines® Insights: Merkel Cell Carcinoma, Version 1.2024. J Natl Compr Canc Netw. 2024 Jan;22(1D):e240002. PMID: 38244274
最終更新日 : 2024年6月30日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

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Pembrolizumab
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ペムブロリズマブ (キイトルーダ®)
2024年07月10日更新

2024/6/30時点で、 ペムブロリズマブはメルケル細胞癌に対して本邦適応外薬となっている¹⁾²⁾。

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

キイトルーダ® (添付文書¹⁾/適正使用情報²⁾*)

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用法用量

KEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾のプロトコル

J Immunother Cancer. 2021 Apr;9(4):e002478³⁾より作図

投与開始基準

KEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾のプロトコル

J Immunother Cancer. 2021 Apr;9(4):e002478³⁾より作図

主な有害事象

KEYNOTE-017試験³⁾

主な有害事象

  • 副腎不全 2.0%
  • 大腸炎 2.0%
  • 甲状腺機能亢進症 2.0%
  • 甲状腺機能低下症 6.0%
  • 注入関連反応 2.0%
  • 心筋炎 2.0%
  • 膵炎 4.0%
  • 肺炎 6.0%
  • 紅斑性皮疹 4.0%
  • 甲状腺炎 2.0%
J Clin Oncol. 2019 Mar 20;37(9):693-702³⁾より引用

エキスパートによるワンポイント

欧米では1次治療も・・・

欧米では根治切除不能なメルケル細胞癌の1次治療として選択される。 本邦ではメルケル細胞癌の1次治療はアベルマブが使用されることが多く、 2次治療以降で使用される可能性がある。

本邦で使用する場合、 がん遺伝子パネル検査で高い腫瘍遺伝子変異量 (TMB-high) を確認する必要がある。 抗PD-1抗体であるペムブロリズマブニボルマブ、 抗PD-L1抗体であるアベルマブを比較した臨床試験は無く、 海外の各ガイドラインではいずれも併記されている⁵⁾⁶⁾。

投与スケジュールと副作用

ペムブロリズマブ1回200mgを3週間間隔または1回400mgを6週間間隔で30分以上かけて点滴静注する。 副作用発現時には、 その内容、 CTCAEの重症度に応じて休薬や中止を検討する。

内分泌系の副作用ではホルモンの補充を行いながら継続することも可能であるが、 他の副作用ではGrade2以上の場合は休薬や中止が必要である。 原則、 減量は行わない。 休薬や中止、 再開の判断は適正使用ガイドなどを参考にするが、 他の免疫チェックポイント阻害薬と同様の対応が必要である。

KEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾での有効性と安全性

海外で実施された多施設第II相非盲検試験のKEYNOTE-017試験³⁾⁴⁾は薬物治療歴のない患者に対するペムブロリズマブの有効性を評価した。 奏効率は58%で、 PFS中央値16.8ヵ月、 3年PFS39.1%、 OS中央値は未達、 3年OS59.4%であった。 奏効が得られた患者では3年OSが89.5%であった。 有害事象に関しては他のがんにおける既報告と同様であり、 新たな副作用の報告は無かった。 免疫チェックポイント阻害薬の特徴である奏効の持続性が確認され、 免疫関連を含めた有害事象を適切に管理することが必要であると考えられる。

本邦での使用と保険適応外の扱い

本邦ではメルケル細胞癌に対するペムブロリズマブは保険適用外である。 がん遺伝子パネル検査を実施しTMB-highであった時に使用できる。 メルケル細胞癌はしばしば進行が非常に早い症例も見られるため、 がん遺伝子パネル検査を検討する時期に注意が必要である。 なお、 アベルマブ不応あるいは無効となった患者に対するペムブロリズマブの有効性、 安全性については報告が無く不明である。

監修 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

出典

  1. MSD製薬. キイトルーダ®電子添文 (2024年5月改訂 第18版) [最終閲覧 : 2024/6/7]
  2. MSD製薬. キイトルーダ®適正使用ガイド (2024年5月作成) [最終閲覧 : 2024/6/7]
  3. Durable Tumor Regression and Overall Survival in Patients With Advanced Merkel Cell Carcinoma Receiving Pembrolizumab as First-Line Therapy. J Clin Oncol. 2019 Mar 20;37(9):693-702. PMID: 30726175
  4. Three-year survival, correlates and salvage therapies in patients receiving first-line pembrolizumab for advanced Merkel cell carcinoma. J Immunother Cancer. 2021 Apr;9(4):e002478. PMID: 33879601
  5. Merkel-cell carcinoma: ESMO-EURACAN Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. ESMO Open. 2024 May;9(5):102977. PMID: 38796285
  6. NCCN Guidelines® Insights: Merkel Cell Carcinoma, Version 1.2024. J Natl Compr Canc Netw. 2024 Jan;22(1D):e240002. PMID: 38244274
最終更新日 : 2024年6月30日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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