従来、 「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC)」 に承認されていたが、 TALAPRO-2試験におけるOSの最終解析結果などに基づき、 2026年3月23日に 「遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」 に対する一部変更承認を取得した。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ターゼナ®カプセル (タラゾパリブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾

*ファイザー株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】連日経口投与
【催吐性】最小度~軽度*
【FN発症】未報告**
*NCCN Guidelines Version 2.2025. Antiemesis
**TALAPRO-2試験

タラゾパリブ : 0.5mgを1日1回経口投与

腎機能障害 (eGFR 30–60mL/min/1.73m²) では、 0.35mg/日に減量して開始する。 投与は、 画像上の増悪または許容できない毒性の発現まで継続する。 
0.1mgカプセルと0.25mgカプセルの生物学的同等性は示されていないため、 0.5mgを投与する際に0.1mgカプセルは使用しない。

エンザルタミド : 160mgを1日1回経口投与

Key Data|臨床試験結果

📊 TALAPRO-2試験

Lancet. 2025;406(10502):447-460.

無症候性又は軽症状のmCRPCに対する全身治療歴のない成人男性を対象とした第III相無作為化比較試験。 HRR遺伝子変異の有無にかかわらず登録された非選択コホートにおいて、 タラゾパリブ+エンザルタミド群402例とプラセボ+エンザルタミド群403例を比較した。 主要評価項目はBICR評価によるrPFS (画像上の無増悪生存期間)、 α保護された主要な副次評価項目はOSとされた。

【有効性】タラゾパリブ群 (vs プラセボ群)

- rPFS中央値 33.1ヵ月 (vs 19.5ヵ月)

  • HR 0.67 (95%CI 0.55–0.81、 p<0.0001)

- OS中央値 45.8ヵ月 (vs 37.0ヵ月)

  • HR 0.80 (95%CI 0.66–0.96、 p=0.016)

- OS中央値 (HRR欠損) 46ヵ月 (vs 31ヵ月)

  • HR 0.55 (95%CI 0.36–0.83、 p=0.0035)

- 奏効率 (測定可能病変例) 61% (vs 44%)

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- 貧血 68% (49%)

- 好中球減少 38% (19%)

- 疲労 35% (4%)

- 背部痛 27% (3%)

- 血小板減少 26% (7%)

- 白血球減少 24% (7%)

- 食欲減退 22% (2%)

- 転倒 22% (3%)

- 悪心 21% (<1%)

- 便秘 20% (<1%)

- 関節痛 17% (<1%)

- 下痢 16% (<1%)

- 無力症 15% (3%)

- 高血圧 15% (6%)

- 浮動性めまい 14% (1%)

- 体重減少 13% (1%)

- ほてり 13% (0%)

- リンパ球減少 13% (6%)

- 末梢性浮腫 12% (0%)

- 呼吸困難 11% (<1%)

- 四肢痛 11% (<1%)

- 頭痛 10% (<1%)

各プロトコル

適格基準

TALAPRO-2試験の主な適格基準

- ECOG PS 0–1

- 年齢≧18歳 (日本では≧20歳)

- HRR遺伝子変異の有無は問わない

- 好中球数≧1,500/μL

- 血小板数≧10万/μL

- Hgb≧9g/dL

- 腎機能 : eGFR≧30mL/min/1.73m² (MDRD)

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN

用量レベル

タラゾパリブの用量レベルは以下のとおり。 エンザルタミドは固定量投与 (160mg/日) のため減量規定はない。

ターゼナ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

タラゾパリブ : 中等度の腎機能障害 (eGFR 30–60mL/min/1.73m²) では0.35mg/日を開始用量とする。 重度の腎機能障害 (eGFR<30mL/min/1.73m²) では血中濃度が上昇し副作用が強くあらわれるおそれがあるため、 可能な限り投与を避ける。

FDA添付文書⁴⁾では、 中等度腎機能障害 (CrCl 30–59mL/min) では0.35mgを1日1回、 重度腎機能障害 (CrCl 15–29mL/min) では0.25mgを1日1回へ減量するよう記載されている。

エンザルタミド : 尿中未変化体排泄率は13%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいと考えられる⁵⁾。

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

タラゾパリブ :

ターゼナ®電子添文情報を基に編集部作成

エンザルタミド : Grade≧3または忍容できない副作用が発現した場合は、 休薬 (1週間またはGrade≦2に回復するまで) または減量 (120mgまたは80mgを1日1回経口投与) を考慮する。 なお、 再開時にも減量を考慮する。

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️タラゾパリブはPARP阻害薬であり、 前立腺癌ではTALAPRO-2試験の成績を背景に、 FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルをコンパニオン診断薬として、 BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する適応を取得した。 その後、 追加データを踏まえ、 現在はBRCA遺伝子変異やHRR関連遺伝子異常の有無を問わず、 遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌全体へ適応が拡大している。 BRCA/HRR異常例ではより高い有効性が期待される一方、 エンザルタミド併用によりDNA損傷応答が増強されることも、 作用機序の一つと考えられている。 なお、 乳癌では単剤1mg/日、 前立腺癌ではエンザルタミド併用下で0.5mg/日開始と用量が異なるため、 癌種や適応の確認は必須である。 主な有害事象は、 貧血、 好中球減少、 血小板減少、 疲労、 悪心などであり、 骨髄抑制に注意を要する。 また、 クラリスロマイシンやイトラコナゾールなどのP-gp阻害薬との併用では血中濃度が上昇するおそれがあり、 注意が必要である。
埼玉県立がんセンター 腫瘍内科 近藤千紘先生

作用機序の特徴

タラゾパリブは、 PARP-1及びPARP-2に対する阻害活性を有するPARP阻害薬である (各IC50値: 0.7及び0.3nmol/L)。 BRCA遺伝子変異陽性のヒト乳癌由来細胞株及びHRR関連遺伝子変異陽性のヒト前立腺癌由来細胞株に対して増殖抑制作用を示した (in vitro)。 また、 BRCA遺伝子変異陽性腫瘍の皮下移植モデルにおいても腫瘍増殖抑制作用が確認されている (in vivo)。

レジメン適用時の注意事項

▼タラゾパリブ

骨髄抑制 : 貧血、 好中球減少、 血小板減少等の骨髄抑制があらわれることがある。 投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。

▼エンザルタミド

痙攣発作 : 痙攣発作があらわれることがあるため、 投与中は自動車運転など危険を伴う機械操作に注意させる。

間質性肺疾患 : 初期症状 (息切れ、 呼吸困難、 咳嗽、 発熱など) に注意し、 胸部X線検査等で十分に観察する。 症状出現時は速やかに受診するよう説明する。

RMP【重要な特定されたリスク】

ターゼナ®RMP : 医薬品リスク管理計画書

- 骨髄抑制

- 間質性肺疾患

- 血栓塞栓症

出典

1) ファイザー株式会社. ターゼナ®カプセル 電子添文. 2026年3月改訂 第2版.

2) ファイザー株式会社. ターゼナ®カプセル 適正使用ガイド. 2026年3月作成 第4版.

3) Lancet. 2025;406(10502):447-460.

4) Pfizer Labs. TALZENNA® (talazoparib) capsules, for oral use: prescribing information. Revised March 2024. U.S. Food and Drug Administration.

5) アステラス製薬株式会社. イクスタンジ®錠 電子添文. 2026年6月 第6版.

最終更新 : 2026年6月16日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 埼玉県立がんセンター 近藤千紘

レジメン
Talazoparib+Enzalutamide
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
Talazoparib+Enzalutamide
レジメン
Talazoparib+Enzalutamide

Talazoparib+Enzalutamide

タラゾパリブ (ターゼナ®)+エンザルタミド (イクスタンジ®)
前立腺癌 > mCRPC (転移性去勢抵抗性前立腺癌)
2026年06月16日更新
従来、 「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC)」 に承認されていたが、 TALAPRO-2試験におけるOSの最終解析結果などに基づき、 2026年3月23日に 「遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌」 に対する一部変更承認を取得した。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ターゼナ®カプセル (タラゾパリブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾

*ファイザー株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】連日経口投与
【催吐性】最小度~軽度*
【FN発症】未報告**
*NCCN Guidelines Version 2.2025. Antiemesis
**TALAPRO-2試験

タラゾパリブ : 0.5mgを1日1回経口投与

腎機能障害 (eGFR 30–60mL/min/1.73m²) では、 0.35mg/日に減量して開始する。 投与は、 画像上の増悪または許容できない毒性の発現まで継続する。 
0.1mgカプセルと0.25mgカプセルの生物学的同等性は示されていないため、 0.5mgを投与する際に0.1mgカプセルは使用しない。

エンザルタミド : 160mgを1日1回経口投与

Key Data|臨床試験結果

📊 TALAPRO-2試験

Lancet. 2025;406(10502):447-460.

無症候性又は軽症状のmCRPCに対する全身治療歴のない成人男性を対象とした第III相無作為化比較試験。 HRR遺伝子変異の有無にかかわらず登録された非選択コホートにおいて、 タラゾパリブ+エンザルタミド群402例とプラセボ+エンザルタミド群403例を比較した。 主要評価項目はBICR評価によるrPFS (画像上の無増悪生存期間)、 α保護された主要な副次評価項目はOSとされた。

【有効性】タラゾパリブ群 (vs プラセボ群)

- rPFS中央値 33.1ヵ月 (vs 19.5ヵ月)

  • HR 0.67 (95%CI 0.55–0.81、 p<0.0001)

- OS中央値 45.8ヵ月 (vs 37.0ヵ月)

  • HR 0.80 (95%CI 0.66–0.96、 p=0.016)

- OS中央値 (HRR欠損) 46ヵ月 (vs 31ヵ月)

  • HR 0.55 (95%CI 0.36–0.83、 p=0.0035)

- 奏効率 (測定可能病変例) 61% (vs 44%)

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- 貧血 68% (49%)

- 好中球減少 38% (19%)

- 疲労 35% (4%)

- 背部痛 27% (3%)

- 血小板減少 26% (7%)

- 白血球減少 24% (7%)

- 食欲減退 22% (2%)

- 転倒 22% (3%)

- 悪心 21% (<1%)

- 便秘 20% (<1%)

- 関節痛 17% (<1%)

- 下痢 16% (<1%)

- 無力症 15% (3%)

- 高血圧 15% (6%)

- 浮動性めまい 14% (1%)

- 体重減少 13% (1%)

- ほてり 13% (0%)

- リンパ球減少 13% (6%)

- 末梢性浮腫 12% (0%)

- 呼吸困難 11% (<1%)

- 四肢痛 11% (<1%)

- 頭痛 10% (<1%)

各プロトコル

適格基準

TALAPRO-2試験の主な適格基準

- ECOG PS 0–1

- 年齢≧18歳 (日本では≧20歳)

- HRR遺伝子変異の有無は問わない

- 好中球数≧1,500/μL

- 血小板数≧10万/μL

- Hgb≧9g/dL

- 腎機能 : eGFR≧30mL/min/1.73m² (MDRD)

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN

用量レベル

タラゾパリブの用量レベルは以下のとおり。 エンザルタミドは固定量投与 (160mg/日) のため減量規定はない。

ターゼナ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

タラゾパリブ : 中等度の腎機能障害 (eGFR 30–60mL/min/1.73m²) では0.35mg/日を開始用量とする。 重度の腎機能障害 (eGFR<30mL/min/1.73m²) では血中濃度が上昇し副作用が強くあらわれるおそれがあるため、 可能な限り投与を避ける。

FDA添付文書⁴⁾では、 中等度腎機能障害 (CrCl 30–59mL/min) では0.35mgを1日1回、 重度腎機能障害 (CrCl 15–29mL/min) では0.25mgを1日1回へ減量するよう記載されている。

エンザルタミド : 尿中未変化体排泄率は13%と低く、 腎クリアランスの寄与は小さいと考えられる⁵⁾。

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

タラゾパリブ :

ターゼナ®電子添文情報を基に編集部作成

エンザルタミド : Grade≧3または忍容できない副作用が発現した場合は、 休薬 (1週間またはGrade≦2に回復するまで) または減量 (120mgまたは80mgを1日1回経口投与) を考慮する。 なお、 再開時にも減量を考慮する。

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️タラゾパリブはPARP阻害薬であり、 前立腺癌ではTALAPRO-2試験の成績を背景に、 FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルをコンパニオン診断薬として、 BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する適応を取得した。 その後、 追加データを踏まえ、 現在はBRCA遺伝子変異やHRR関連遺伝子異常の有無を問わず、 遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌全体へ適応が拡大している。 BRCA/HRR異常例ではより高い有効性が期待される一方、 エンザルタミド併用によりDNA損傷応答が増強されることも、 作用機序の一つと考えられている。 なお、 乳癌では単剤1mg/日、 前立腺癌ではエンザルタミド併用下で0.5mg/日開始と用量が異なるため、 癌種や適応の確認は必須である。 主な有害事象は、 貧血、 好中球減少、 血小板減少、 疲労、 悪心などであり、 骨髄抑制に注意を要する。 また、 クラリスロマイシンやイトラコナゾールなどのP-gp阻害薬との併用では血中濃度が上昇するおそれがあり、 注意が必要である。
埼玉県立がんセンター 腫瘍内科 近藤千紘先生

作用機序の特徴

タラゾパリブは、 PARP-1及びPARP-2に対する阻害活性を有するPARP阻害薬である (各IC50値: 0.7及び0.3nmol/L)。 BRCA遺伝子変異陽性のヒト乳癌由来細胞株及びHRR関連遺伝子変異陽性のヒト前立腺癌由来細胞株に対して増殖抑制作用を示した (in vitro)。 また、 BRCA遺伝子変異陽性腫瘍の皮下移植モデルにおいても腫瘍増殖抑制作用が確認されている (in vivo)。

レジメン適用時の注意事項

▼タラゾパリブ

骨髄抑制 : 貧血、 好中球減少、 血小板減少等の骨髄抑制があらわれることがある。 投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。

▼エンザルタミド

痙攣発作 : 痙攣発作があらわれることがあるため、 投与中は自動車運転など危険を伴う機械操作に注意させる。

間質性肺疾患 : 初期症状 (息切れ、 呼吸困難、 咳嗽、 発熱など) に注意し、 胸部X線検査等で十分に観察する。 症状出現時は速やかに受診するよう説明する。

RMP【重要な特定されたリスク】

ターゼナ®RMP : 医薬品リスク管理計画書

- 骨髄抑制

- 間質性肺疾患

- 血栓塞栓症

出典

1) ファイザー株式会社. ターゼナ®カプセル 電子添文. 2026年3月改訂 第2版.

2) ファイザー株式会社. ターゼナ®カプセル 適正使用ガイド. 2026年3月作成 第4版.

3) Lancet. 2025;406(10502):447-460.

4) Pfizer Labs. TALZENNA® (talazoparib) capsules, for oral use: prescribing information. Revised March 2024. U.S. Food and Drug Administration.

5) アステラス製薬株式会社. イクスタンジ®錠 電子添文. 2026年6月 第6版.

最終更新 : 2026年6月16日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : 埼玉県立がんセンター 近藤千紘

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(泌尿器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。