本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
*適正使用ガイドは「大塚製薬株式会社」 の外部サイトへ遷移します.
主な有害事象
PACE試験¹⁾より引用
骨髄抑制
- 白血球減少 (3%、 ≧Grade3 3%)
- 好中球減少 (12%、 ≧Grade3 12%)
- 血小板減少 (9%、 ≧Grade3 6%)
- 貧血 (16%、 ≧Grade3 12%)
- 発熱性好中球減少症 (6%、 ≧Grade3 6%)
主な有害事象
- 乾燥肌 (22%、 ≧Grade3 0%)
- 腹痛 (19%、 ≧Grade3 6%)
- 発疹 (19%、 ≧Grade3 3%)
- 便秘 (19%、 ≧Grade3 3%)
- 頭痛 (12%、 ≧Grade3 0%)
- リパーゼ増加 (9%、 ≧Grade3 6%)
- 倦怠感 (9%、 ≧Grade3 0%)
- 筋肉痛 (6%、 ≧Grade3 0%)
- ALT増加 (3%、 ≧Grade3 3%)
- AST増加 (3%、 ≧Grade3 3%)
- 高血圧 (3%、 ≧Grade3 3%)
- 関節痛 (3%、 ≧Grade3 0%)
- 嘔気 (3%、 ≧Grade3 0%)
- 血中アミラーゼ増加 (3%、 ≧Grade3 0%)
特徴と注意点
- 第3世代TKI (tyrosine kinase inhibitor) .
- イマチニブ抵抗性の原因となるBCR-ABL1融合遺伝子の点突然変異の1つであるT315I変異に有効.
- 血管閉塞性事象 (心筋梗塞、 脳梗塞、 網膜動脈閉塞症、 末梢動脈閉塞性疾患、 静脈血栓塞栓症) の死亡報告あり.
- 動脈の血管閉塞性事象は高齢および虚血性疾患の既往歴を有する患者に発現頻度が高い.
- Ponatinib+HyperCVAD²⁾³⁾やPonatinib+Blinatumomab⁴⁾の報告もあるが、 本邦において推奨されていないことに留意.
副作用と対策
ポナチニブ
- 投与前に必ず血圧、 心電図、 頸動脈エコー、 心エコー、 ABI検査、 血液検査等により心血管系疾患の危険因子を評価.
- 血管閉塞性事象又はGrade 3以上の心不全が発現した場合は直ちに中止.






関連する臨床試験
PACE試験¹⁾の対象は、 CML、 Ph陽性ALLであるが、 本項目ではPh陽性ALLを取り扱う
概要
- 多施設共同第2相試験
- 対象:他TKI抵抗性のPh陽性ALL患者32名*
*ダサチニブ又はニロチニブ抵抗性/不耐性 (T315I変異含む)
- 介入:MaHR、 MCyR、 CCyR、 OS、 安全性
MaHR:主要血液学的奏効 MCyR:主要細胞遺伝学的奏効
CCyR:細胞遺伝学的完全奏効 OS:全生存期間
結果
- 追跡期間中央値:15ヵ月 (試験全体)
- 6ヵ月までのMaHR:41% [95%CI 24~59]
- MCyR:47%、 CCyR:38%
- MaHRまでの期間中央値は2.9週 [範囲 1.6~24]、 奏効期間は2ヵ月~14ヵ月以上 [中央値 3ヵ月]、 12ヵ月の奏効持続率は推定8%.
- MCyRまでの期間中央値は1ヵ月 [範囲 0.9~3.7]、 奏効期間中央値は3.7ヵ月、 12ヵ月の奏効持続率は推定32%.
- 無増悪生存率 7% [中央値3ヵ月]、 12ヵ月時点の全生存率40% [中央値8ヵ月] と推定された.
- CML及びPh陽性ALLを含むPACE試験全体において、 高頻度の有害事象は血小板減少 (37%)、 皮疹 (34%)、 ドライスキン (32%)、 腹痛 (22%) であった.
- 重篤な動脈血栓性イベントは9%に認められ、 このうち3%が治療に関連すると判定された. 有害事象による治療中止は12%であった.
- ポナチニブは、 病期や遺伝子変異の有無にかかわらず、 既治療のPh陽性ALL患者の治療として臨床的に意味のある抗腫瘍効果を示した.
概要
- PACE試験の長期追跡調査
- 主にCML患者における長期的な効果、 安全性についての報告
- 追跡期間中央値:CP-CML 56.8ヵ月、 Ph陽性ALLを含む試験全体 37.3ヵ月
結果
- 5年間の追跡調査で報告された有害事象は、 以前に報告されたもの¹⁾と概して同様であった.
- PACE試験のデータにつき実施済みの事後解析では、 動脈閉塞イベント (AOE) が用量と関連する可能性が示されており、 1日当たりの平均用量強度を15mg削減するごとにAOEリスクが約33%低減されると予測された.
- AOEの累積発生率は経時的に増加したが、 新たに発生したAOEの曝露調整後発生率はCP-CML患者及び全患者のいずれにおいても試験期間を通じて比較的一定であった.
参考文献
- N Engl J Med. 2013 Nov 7;369(19):1783-96.
- Lancet Oncol. 2015 Nov;16(15):1547-1555.
- Cancer. 2016 Dec 1;122(23):3650-3656.
- Lancet Haematol. 2023 Jan;10(1):e24-e34.
- Blood. 2018 Jul 26;132(4):393-404.
最終更新:2023年8月1日
執筆担当:牛久愛和総合病院 薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔