概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。 (監修:和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗先生)

掲載中コンテンツ

irAE逆引きマニュアル

市立長浜病院呼吸器内科 野口哲男

肺臓炎/間質性肺炎

和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗

大腸炎・小腸炎

近畿大学 医学部 腫瘍内科部門 川上尚人

下垂体機能異常

京都大学医学部附属病院 山内一郎

甲状腺機能異常

京都大学医学部附属病院 山内一郎

1型糖尿病

京都大学医学部附属病院 山内一郎

ステロイド不応性irAE

がん研究会有明病院 先端医療開発科 宮脇英里子、北野滋久

インフュージョンリアクション

がん研究会有明病院 先端医療開発科 宮脇英里子、北野滋久

サイトカイン放出症候群

がん研究会有明病院 先端医療開発科 宮脇英里子、北野滋久

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はじめに

ICIの対象患者は増加傾向

2022年末時点で、 免疫チェックポイント阻害剤 (ICI*) の承認癌腫は18種類にもなる。 進行期のみならず、 周術期でも承認が進んでおり、 ICIを受ける患者対象は増加の一途を辿っている。

ICI:Immune Checkpoint Inhibitor

従来経験されなかった有害事象

ICIの有害事象は従来の細胞障害性抗癌剤に比して一般的に軽い。 しかし、 免疫関連有害事象 (irAE*) と総称される従来経験されなかったAEを生じることが知られている¹⁾²⁾。

irAE:immune-related Adverse Events

メタ解析によるirAEの頻度はany Gradeで40%、 重篤なものは1%前後である³⁾。

主なirAEと頻度

発症時期は?

irAEは脳炎、 重症筋無力症、 肺臓炎大腸炎、 肝障害、 甲状腺機能異常1型糖尿病など多臓器にわたり、 発症時期も投与直後のみならず、 投与終了後数カ月して生じることも稀ではない (主な有害事象の発症時期は図1¹⁾)。

Nat Rev Clin Oncol. 2019 Sep;16(9):563-580.を基に作図

どのICIでどのような頻度で発症する?

単独投与より多剤併用の場合に頻度が上昇する。 参考までにキイトルーダ®︎適正使用ガイドより、 各irAE発症頻度を引用する。

<単独投与時>

<併用投与時>

緊急性が高いirAEは?

irAEの中でも心筋炎脳炎は致命率が高い事が知られている。 また重篤なirAEは一般に発症が早い傾向にある (投与後30日前後)。

irAE管理における重要なポイント

irAEを常に疑い、定期的な検査を

自覚症状の多くは倦怠感息切れなど非特異的かつがん患者でよくみられる症状であるため 「まずはirAEを疑う」 ことが何より重要である。 また、 甲状腺機能副腎機能は定期的な検査が必要となる。

発症時の適切な対応が長期予後に繋がる

irAE発症例では非発症例に比して抗腫瘍効果が高いため⁴⁾、 irAEに遭遇した場合は 「進行がん患者だから」 などと諦めず、 しっかりと対応する事が長期予後につながる

他科との連携が重要である

一方で重篤なirAEを生じた場合、 特にステロイド不応追加の免疫抑制剤を要した場合にはステロイド単独に比して予後不良とする報告もあり⁵⁾、 この辺りの治療判断が悩ましい事も事実である。 主診療科以外との連携が重要となるが、 他科コンサルトの際はこうした状況も併せて伝えておくとよい。

治療を要するirAE

1) ステロイド投与を行うもの

肺臓炎大腸炎など

2) ホルモン補充療法を行うもの

甲状腺機能低下症、 副腎不全など

irAE管理に関するガイドライン

主なガイドラインを掲載する。 また、各薬剤の適正使用ガイドも参考になる。

米国臨床腫瘍学会 (ASCO, 2021)

Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy : ASCO Guideline Update.PMID: 34724392

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO, 2022)

Management of toxicities from immunotherapy: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. PMID : 36270461

日本臨床腫瘍学会 (JSMO, 2019)

がん免疫療法ガイドライン第2版, 金原出版 (日本臨床腫瘍学会員のみ学会HPよりWeb版ダウンロード可能) ※第3版が刊行間近

各ICIの安全・適正使用ガイド

オプジーボ®︎(ニボルマブ)

小野薬品工業ホームページへ遷移

キイトルーダ®︎(ペムブロリズマブ)

MSDホームページへ遷移

イミフィンジ®︎ (デュルバルマブ)

アストラゼネカホームページへ遷移

バベンチオ®︎ (アベルマブ)

メルクバイオファーマホームページへ遷移

テセントリク®︎ (アテゾリズマブ)

中外製薬ホームページへ遷移

ヤーボイ®︎ (イピリムマブ)

ブリストル・マイヤーズスクイブホームページへ遷移

引用文献

  1. Adverse effects of immune-checkpoint inhibitors: epidemiology, management and surveillance. Nat Rev Clin Oncol. 2019 Sep;16(9):563-580. PMID: 31092901
  2. Immune-checkpoint inhibitors: long-term implications of toxicity.Nat Rev Clin Oncol. 2022 Apr;19(4):254-267. PMID: 35082367
  3. Fatal Toxic Effects Associated With Immune Checkpoint Inhibitors: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Oncol. 2018 Dec 1;4(12):1721-1728. PMID: 30242316
  4. Association of Immune-Related Adverse Events With Nivolumab Efficacy in Non-Small-Cell Lung Cancer. JAMA Oncol. 2018 Mar 1;4(3):374-378.PMID: 28975219
  5. Association of Immune-Related Adverse Event Management With Survival in Patients With Advanced Melanoma.JAMA Oncol. 2022 Dec 1;8(12):1794-1801.PMID: 36301521
最終更新:2023年2月15日
和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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irAEのマネジメント
2023年03月26日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。 (監修:和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗先生)

掲載中コンテンツ

irAE逆引きマニュアル

市立長浜病院呼吸器内科 野口哲男

肺臓炎/間質性肺炎

和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗

大腸炎・小腸炎

近畿大学 医学部 腫瘍内科部門 川上尚人

下垂体機能異常

京都大学医学部附属病院 山内一郎

甲状腺機能異常

京都大学医学部附属病院 山内一郎

1型糖尿病

京都大学医学部附属病院 山内一郎

ステロイド不応性irAE

がん研究会有明病院 先端医療開発科 宮脇英里子、北野滋久

インフュージョンリアクション

がん研究会有明病院 先端医療開発科 宮脇英里子、北野滋久

サイトカイン放出症候群

がん研究会有明病院 先端医療開発科 宮脇英里子、北野滋久

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はじめに

ICIの対象患者は増加傾向

2022年末時点で、 免疫チェックポイント阻害剤 (ICI*) の承認癌腫は18種類にもなる。 進行期のみならず、 周術期でも承認が進んでおり、 ICIを受ける患者対象は増加の一途を辿っている。

ICI:Immune Checkpoint Inhibitor

従来経験されなかった有害事象

ICIの有害事象は従来の細胞障害性抗癌剤に比して一般的に軽い。 しかし、 免疫関連有害事象 (irAE*) と総称される従来経験されなかったAEを生じることが知られている¹⁾²⁾。

irAE:immune-related Adverse Events

メタ解析によるirAEの頻度はany Gradeで40%、 重篤なものは1%前後である³⁾。

主なirAEと頻度

発症時期は?

irAEは脳炎、 重症筋無力症、 肺臓炎大腸炎、 肝障害、 甲状腺機能異常1型糖尿病など多臓器にわたり、 発症時期も投与直後のみならず、 投与終了後数カ月して生じることも稀ではない (主な有害事象の発症時期は図1¹⁾)。

Nat Rev Clin Oncol. 2019 Sep;16(9):563-580.を基に作図

どのICIでどのような頻度で発症する?

単独投与より多剤併用の場合に頻度が上昇する。 参考までにキイトルーダ®︎適正使用ガイドより、 各irAE発症頻度を引用する。

<単独投与時>

<併用投与時>

緊急性が高いirAEは?

irAEの中でも心筋炎脳炎は致命率が高い事が知られている。 また重篤なirAEは一般に発症が早い傾向にある (投与後30日前後)。

irAE管理における重要なポイント

irAEを常に疑い、定期的な検査を

自覚症状の多くは倦怠感息切れなど非特異的かつがん患者でよくみられる症状であるため 「まずはirAEを疑う」 ことが何より重要である。 また、 甲状腺機能副腎機能は定期的な検査が必要となる。

発症時の適切な対応が長期予後に繋がる

irAE発症例では非発症例に比して抗腫瘍効果が高いため⁴⁾、 irAEに遭遇した場合は 「進行がん患者だから」 などと諦めず、 しっかりと対応する事が長期予後につながる

他科との連携が重要である

一方で重篤なirAEを生じた場合、 特にステロイド不応追加の免疫抑制剤を要した場合にはステロイド単独に比して予後不良とする報告もあり⁵⁾、 この辺りの治療判断が悩ましい事も事実である。 主診療科以外との連携が重要となるが、 他科コンサルトの際はこうした状況も併せて伝えておくとよい。

治療を要するirAE

1) ステロイド投与を行うもの

肺臓炎大腸炎など

2) ホルモン補充療法を行うもの

甲状腺機能低下症、 副腎不全など

irAE管理に関するガイドライン

主なガイドラインを掲載する。 また、各薬剤の適正使用ガイドも参考になる。

米国臨床腫瘍学会 (ASCO, 2021)

Management of Immune-Related Adverse Events in Patients Treated With Immune Checkpoint Inhibitor Therapy : ASCO Guideline Update.PMID: 34724392

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO, 2022)

Management of toxicities from immunotherapy: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. PMID : 36270461

日本臨床腫瘍学会 (JSMO, 2019)

がん免疫療法ガイドライン第2版, 金原出版 (日本臨床腫瘍学会員のみ学会HPよりWeb版ダウンロード可能) ※第3版が刊行間近

各ICIの安全・適正使用ガイド

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引用文献

  1. Adverse effects of immune-checkpoint inhibitors: epidemiology, management and surveillance. Nat Rev Clin Oncol. 2019 Sep;16(9):563-580. PMID: 31092901
  2. Immune-checkpoint inhibitors: long-term implications of toxicity.Nat Rev Clin Oncol. 2022 Apr;19(4):254-267. PMID: 35082367
  3. Fatal Toxic Effects Associated With Immune Checkpoint Inhibitors: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Oncol. 2018 Dec 1;4(12):1721-1728. PMID: 30242316
  4. Association of Immune-Related Adverse Events With Nivolumab Efficacy in Non-Small-Cell Lung Cancer. JAMA Oncol. 2018 Mar 1;4(3):374-378.PMID: 28975219
  5. Association of Immune-Related Adverse Event Management With Survival in Patients With Advanced Melanoma.JAMA Oncol. 2022 Dec 1;8(12):1794-1801.PMID: 36301521
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。