治療スケジュール
概要
監修医師

BV:ブレンツキシマブベドチン(アドセトリス®)

投与量コース投与日
1.8mg/kg 点滴静注1~Day 1

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
750mg/m² 点滴静注1~Day 1

DXR:ドキソルビシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
50mg/m² 点滴静注1~Day 1

PSL:プレドニゾロン(プレドニン®)

投与量コース投与日
100mg/body 経口or点滴静注1~Day 1~5

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬
アプレピタント (悪心/嘔吐の程度、 各施設の方針による)

その他

1コースは21日間. 6~8コース行う.
DXRは静注も可能. 各施設の運用方針による.
PSLは100mg/bodyが基本. 65歳以上では40mg/m²へ減量.
PSLは糖尿病など合併症を考慮して用量を決定.
レジメン
A-CHP
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「武田薬品工業株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

ECHELON-2試験¹⁾より引用

【骨髄抑制】

  • 好中球減少 (≧Grade3 35%)
  • 貧血 (≧Grade3 13%)
  • 血小板減少症 (≧Grade3 6%)
  • リンパ球減少 (≧Grade3 1%)

【主な有害事象】

  • 感染症 (52%)
  • 悪心 (46%)
  • 末梢性感覚神経障害 (45%)
  • 下痢 (38%)
  • 便秘 (29%)
  • 脱毛症 (26%)
  • 発熱 (26%)
  • 嘔吐 (26%)
  • 疲労 (24%)
  • 発熱性好中球減少症 (18%)
  • 食欲減退 (17%)
  • 呼吸困難 (14%)
  • 頭痛 (14%)
  • 浮動性めまい (13%)
  • 咳嗽 (12%)
  • 低カリウム血症 (12%)
  • 口内炎 (12%)
  • 無力症 (12%)
  • 体重減少 (12%)
  • 不眠症 (11%)
  • 筋肉痛 (11%)
  • 末梢性浮腫 (11%)
  • 発疹 (10%)

【その他重要な有害事象】

  • Infusion reaction (4%)
  • 末梢性運動神経障害 (4%)

特徴と注意点

背景

  • ALK陽性ALCLではCHOP療法が標準療法.
  • PTCL-NOS、 AITL、 ALK陰性ALCLでは、 CHOP (or CHOP類似) 療法が行われているが標準療法としては確立していない.
  • 未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫ではA-CHP療法を考慮する.

ブレンツキシマブベドチン (BV)

  • BVは抗CD30モノクローナル抗体に強力な微小管阻害薬MMAEを結合した抗体薬物複合体.
  • 免疫組織化学法等によりCD30陽性を確認した上で使用.
  • ブレオマイシンの投与中でないことを確認.
  • Infusion reaction予防のための前投薬は必須ではないが、 重度症状出現に備えた対応を.
  • 重度腎障害 (CrCL<30mL/min) や肝障害では減量を考慮.
  • MMAEの代謝は主にCYP3A4が関与. CYP3A4阻害剤との併用によるMMAE血中濃度増加の可能性あり.
  • 避妊を指導 (男女ともに投与中及び投与終了後6ヵ月間). 乳汁中への移行も不明.
  • その他BV投与に伴う重大な副作用として、 末梢神経障害、 感染症、 進行性多巣性白質脳症 (PML)、 骨髄抑制、 Infusion reaction、 腫瘍崩壊症候群、 皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群)、 急性膵炎、 劇症肝炎、 肝機能障害、 肺障害に注意する.
  • 調整後の希釈液を30分以上かけて点滴静注. 急速投与は行わない.

末梢神経障害発現時の用量調節の目安

その他の副作用と対策

  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.
  • 好中球数<1,000/µlとなった時、 ベースライン又は1,000/µl以上に回復するまで休薬.
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.
  • ニューモシスチス、 カンジダ、 ヘルペス含め日和見感染に注意.

関連する臨床試験の結果

ECHELON-2試験 (SGN35-014試験)¹⁾

概要

  • 国際共同ランダム化第3相試験 (二重盲検、 ダブルダミー).
  • 対象:CD30陽性の未治療PTCL患者 452例 (1:1 割り付け)
  • 治療:BV (1.8mg/m2)併用CHP (A-CHP) 6-8コース vs CHOP 6-8コース
  • プライマリーエンドポイント:PFS
  • セカンダリーエンドポイント:OS
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • PFS中央値:A-CHP群 48.2ヵ月 vs CHOP群 20.8ヵ月 (HR 0.71、 95%CI 0.54-0.93、 p=0.0110)
  • A-CHP群の死亡リスク減少率:34% (HR 0.66、 95%CI 0.46-0.95、 p=0.0244).
  • 75パーセンタイルOS中央値:A-CHP群 未到達 vs CHOP群 17.5ヵ月.
  • 主な有害事象 (BV+CHP群 vs CHOP群で記載):発熱性好中球減少症 (18% vs 15%)、 末梢神経障害 (52% vs 55%)、 致死的な有害事象 (3% vs 4%).

結論

  • CD30陽性PTCLに対するA-CHP療法は、 CHOP療法と比較してPFS、 OSを改善した.
  • 有害事象も管理可能であった.
  • サブグループ解析においてALK陽性及びALK陰性ともにALCLでは有意にPFSを改善したが、 AITLにおいてはCHOPの方が良い傾向にあった. PTCL-NOSにおいてはHR 0.75であるが有意差は認めなかった.

ECHELON-2試験のフォローアップ解析²⁾

  • 観察期間中央値:47.6ヵ月
  • 5年PFS:A-CHP群 51.4% vs CHOP群 43.0% (HR 0.70、 95%CI 0.53-0.91).
  • 5年OS:A-CHP群 70.1% vs CHOP群 61.0% (HR 0.72、 95%CI 0.53-0.99).
  • 末梢神経障害改善率:A-CHP群 72% vs CHOP群 78%.
  • 再発もしくはBVによる継続治療が行われた際の奏効率:A-CHP群 59% vs CHOP群 50%.

参考文献

  1. Lancet. 2019 Jan 19;393(10168):229-240.
  2. Ann Oncol. 2021 Dec 16;S0923-7534(21)04875-4.

最終更新:2022年2月3日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
A-CHP
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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BV併用CHP
2023年05月27日更新

BV:ブレンツキシマブベドチン(アドセトリス®)

投与量コース投与日
1.8mg/kg 点滴静注1~Day 1

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
750mg/m² 点滴静注1~Day 1

DXR:ドキソルビシン(アドリアシン®)

投与量コース投与日
50mg/m² 点滴静注1~Day 1

PSL:プレドニゾロン(プレドニン®)

投与量コース投与日
100mg/body 経口or点滴静注1~Day 1~5

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬
アプレピタント (悪心/嘔吐の程度、 各施設の方針による)

その他

1コースは21日間. 6~8コース行う.
DXRは静注も可能. 各施設の運用方針による.
PSLは100mg/bodyが基本. 65歳以上では40mg/m²へ減量.
PSLは糖尿病など合併症を考慮して用量を決定.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「武田薬品工業株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

ECHELON-2試験¹⁾より引用

【骨髄抑制】

  • 好中球減少 (≧Grade3 35%)
  • 貧血 (≧Grade3 13%)
  • 血小板減少症 (≧Grade3 6%)
  • リンパ球減少 (≧Grade3 1%)

【主な有害事象】

  • 感染症 (52%)
  • 悪心 (46%)
  • 末梢性感覚神経障害 (45%)
  • 下痢 (38%)
  • 便秘 (29%)
  • 脱毛症 (26%)
  • 発熱 (26%)
  • 嘔吐 (26%)
  • 疲労 (24%)
  • 発熱性好中球減少症 (18%)
  • 食欲減退 (17%)
  • 呼吸困難 (14%)
  • 頭痛 (14%)
  • 浮動性めまい (13%)
  • 咳嗽 (12%)
  • 低カリウム血症 (12%)
  • 口内炎 (12%)
  • 無力症 (12%)
  • 体重減少 (12%)
  • 不眠症 (11%)
  • 筋肉痛 (11%)
  • 末梢性浮腫 (11%)
  • 発疹 (10%)

【その他重要な有害事象】

  • Infusion reaction (4%)
  • 末梢性運動神経障害 (4%)

特徴と注意点

背景

  • ALK陽性ALCLではCHOP療法が標準療法.
  • PTCL-NOS、 AITL、 ALK陰性ALCLでは、 CHOP (or CHOP類似) 療法が行われているが標準療法としては確立していない.
  • 未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫ではA-CHP療法を考慮する.

ブレンツキシマブベドチン (BV)

  • BVは抗CD30モノクローナル抗体に強力な微小管阻害薬MMAEを結合した抗体薬物複合体.
  • 免疫組織化学法等によりCD30陽性を確認した上で使用.
  • ブレオマイシンの投与中でないことを確認.
  • Infusion reaction予防のための前投薬は必須ではないが、 重度症状出現に備えた対応を.
  • 重度腎障害 (CrCL<30mL/min) や肝障害では減量を考慮.
  • MMAEの代謝は主にCYP3A4が関与. CYP3A4阻害剤との併用によるMMAE血中濃度増加の可能性あり.
  • 避妊を指導 (男女ともに投与中及び投与終了後6ヵ月間). 乳汁中への移行も不明.
  • その他BV投与に伴う重大な副作用として、 末梢神経障害、 感染症、 進行性多巣性白質脳症 (PML)、 骨髄抑制、 Infusion reaction、 腫瘍崩壊症候群、 皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群)、 急性膵炎、 劇症肝炎、 肝機能障害、 肺障害に注意する.
  • 調整後の希釈液を30分以上かけて点滴静注. 急速投与は行わない.

末梢神経障害発現時の用量調節の目安

その他の副作用と対策

  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.
  • 好中球数<1,000/µlとなった時、 ベースライン又は1,000/µl以上に回復するまで休薬.
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.
  • ニューモシスチス、 カンジダ、 ヘルペス含め日和見感染に注意.

関連する臨床試験の結果

ECHELON-2試験 (SGN35-014試験)¹⁾

概要

  • 国際共同ランダム化第3相試験 (二重盲検、 ダブルダミー).
  • 対象:CD30陽性の未治療PTCL患者 452例 (1:1 割り付け)
  • 治療:BV (1.8mg/m2)併用CHP (A-CHP) 6-8コース vs CHOP 6-8コース
  • プライマリーエンドポイント:PFS
  • セカンダリーエンドポイント:OS
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間

結果

  • PFS中央値:A-CHP群 48.2ヵ月 vs CHOP群 20.8ヵ月 (HR 0.71、 95%CI 0.54-0.93、 p=0.0110)
  • A-CHP群の死亡リスク減少率:34% (HR 0.66、 95%CI 0.46-0.95、 p=0.0244).
  • 75パーセンタイルOS中央値:A-CHP群 未到達 vs CHOP群 17.5ヵ月.
  • 主な有害事象 (BV+CHP群 vs CHOP群で記載):発熱性好中球減少症 (18% vs 15%)、 末梢神経障害 (52% vs 55%)、 致死的な有害事象 (3% vs 4%).

結論

  • CD30陽性PTCLに対するA-CHP療法は、 CHOP療法と比較してPFS、 OSを改善した.
  • 有害事象も管理可能であった.
  • サブグループ解析においてALK陽性及びALK陰性ともにALCLでは有意にPFSを改善したが、 AITLにおいてはCHOPの方が良い傾向にあった. PTCL-NOSにおいてはHR 0.75であるが有意差は認めなかった.

ECHELON-2試験のフォローアップ解析²⁾

  • 観察期間中央値:47.6ヵ月
  • 5年PFS:A-CHP群 51.4% vs CHOP群 43.0% (HR 0.70、 95%CI 0.53-0.91).
  • 5年OS:A-CHP群 70.1% vs CHOP群 61.0% (HR 0.72、 95%CI 0.53-0.99).
  • 末梢神経障害改善率:A-CHP群 72% vs CHOP群 78%.
  • 再発もしくはBVによる継続治療が行われた際の奏効率:A-CHP群 59% vs CHOP群 50%.

参考文献

  1. Lancet. 2019 Jan 19;393(10168):229-240.
  2. Ann Oncol. 2021 Dec 16;S0923-7534(21)04875-4.

最終更新:2022年2月3日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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