治療スケジュール
概要
監修医師

5-FU:フルオロウラシル(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
400mg/m² 急速静注1~Day1
2400mg/m² 持続静注1~Day1~3

l-LV:レボホリナートカルシウム(アイソボリン®)

投与量コース投与日
200mg/m² 点滴1~Day1

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
85mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A
制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

その他

1コース14日間。
L−OHP+I-LV+5-FUをFOLFOX療法と呼ぶ。
レジメン
Adj. FOLFOX
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A

制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

投与開始基準

ACHIEVE試験¹⁾より抜粋

減量・休薬・中止基準

初回基準量と減量レベル

上手に使うためのワンポイント

  • アレルギーがGrade2以内で、 かつ、 末梢神経障害の忍容性があれば、 アレルギー予防を行い、 可能な限りオキサリプラチンは継続する²⁾。
  • Adjuvantの場合は、 オキサリプラチンの計画的中止は推奨されていない。 術後補助化学療法の11試験のプール解析で、 オキサリプラチンの早期中止の予後への影響が検討され、 オキサリプラチンのみの早期中止 (6サイクル未満のOX投与) はDFS、 OSを悪化させないが、 FOLFOX自体の早期中止はDFS、 OSを悪化させることが報告されている³⁾。
  • 末梢神経障害でオキサリプラチン継続が困難な場合であっても、 FU/LVは12サイクルまで継続する。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、 術後補助化学療法の標準治療の1つである⁴⁾。
  • 外来治療のためには、 中心静脈ポートの留置が必要である。
  • 投与期間は再発リスクによらず、 6ヵ月間の投与 (12サイクル) が推奨されている⁴⁾。

関連する臨床試験|ACHIEVE試験¹⁾

アジア人の根治切除後のStage III結腸癌患者において、 オキサリプラチン併用術後療法 (mFOLFOX6とCAPOXレジメン) の3ヵ月投与の6ヵ月投与に対する非劣性を検証した試験ACHIEVEの結果より、 3ヵ月投与の非劣性と安全性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

DFS率 (3年時、 5年時)

全患者

  • 3ヵ月群:79.5%、 75.2%
  • 6ヵ月群:77.9%、 74.2%
3年時:HR 0.95 (95%CI 0.76-1.20)
5年時:HR 0.95 (95%CI 0.77-1.18)、 p=0.64

mFOLFOX6レジメン集団

  • 3ヵ月群:73.9%、 68.6%
  • 6ヵ月群:72.3%、 69.7%
3年時:HR 1.07 (95%CI 0.71-1.60)
5年時:HR 1.04 (95%CI 0.71-1.54)、 p=0.82

CAPOXレジメン集団

  • 3ヵ月群:81.4%、 77.4%
  • 6ヵ月群:79.7%、 75.8%
3年時:HR 0.90 (95%CI 0.68-1.20)
5年時:HR 0.91 (95%CI 0.71-1.18)、 p=0.49

低リスク集団 (T1-3 and N1)

  • 3ヵ月群:90.5%、 86.5%
  • 6ヵ月群:87.3%、 84.8%
3年時:HR 0.81 (95%CI 0.53-1.24)
5年時:HR 0.85 (95%CI 0.59-1.23)、 p=0.39

3ヵ月のmFOLFOX6レジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも予後が悪い可能性が示唆された (HR 1.41、 95% CI 0.68-2.91、 p=0.35) 。

3ヵ月のCAPOXレジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも予後が良好であった (HR 0.70、 95%CI 0.45-1.09、 p=0.11) 。

高リスク集団 (T4 or N2)

  • 3ヵ月群:65.4%、 60.7%
  • 6ヵ月群:66.5%、 61.5%
3年時:HR 1.07 (95%CI 0.81-1.40)
5年時:HR 1.04 (95%CI 0.80-1.35)、 p=0.75

mFOLFOX6レジメンとCAPOXレジメンの3ヵ月と6ヵ月の治療成績は同等であった。

OS率 (5年時)

全患者

  • 3ヵ月群:87.0%
(95%CI 84.2-89.4%)
  • 6ヵ月群:86.4%
(95%CI 83.5-88.9%)
HR 0.91 (95%CI 0.69-1.20)、 p=0.51

mFOLFOX6レジメン

  • 3ヵ月群:83.2%
(95%CI 76.5-88.2%)
  • 6ヵ月群:84.6%
(95%CI 77.9-89.4%)
HR 0.99 (95%CI 0.61-1.60)、 p=0.95

CAPOXレジメン

  • 3ヵ月群:88.3%
(95%CI 85.1-90.9%)
  • 6ヵ月群:87.0%
(95%CI 83.6-89.7%)
HR 0.87 (95%CI 0.62-1.22)、 p=0.42

低リスク集団

  • 3ヵ月群:92.7%
(95%CI 89.5-95.0%)
  • 6ヵ月群:91.8%
(95%CI 88.4-94.3%)
HR 0.86 (95%CI 0.53-1.37)、 p=0.52

3ヵ月のmFOLFOX6レジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも、 予後が悪い可能性が示唆された (HR 1.26、 95%CI 0.54-2.94、 p=0.60) 。

3ヵ月のCAPOXレジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも予後が良好であった (HR 0.71、 95%CI 0.40-1.26、 p=0.24) 。

高リスク集団

  • 3ヵ月群:79.8%
(95%CI 74.6-84.0%)
  • 6ヵ月群:79.8%
(95%CI 74.7-84.1%)
HR 0.96 (95%CI 0.68-1.35)、 p=0.82

mFOLFOX6レジメンとCAPOXレジメンの3ヵ月と6ヵ月の治療成績は同等であった。

参考文献

  1. Efficacy and Long-term Peripheral Sensory Neuropathy of 3 vs 6 Months of Oxaliplatin-Based Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer: The ACHIEVE Phase 3 Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2019 Nov 1;5(11):1574-1581. PMID: 31513248
  2. A single-arm Phase II validation study of preventing oxaliplatin-induced hypersensitivity reactions by dexamethasone: the AVOID trial. Drug Des Devel Ther. 2015 Nov 11;9:6067-73. PMID: 26648694
  3. Prognostic Impact of Early Treatment and Oxaliplatin Discontinuation in Patients With Stage III Colon Cancer: An ACCENT/IDEA Pooled Analysis of 11 Adjuvant Trials. J Clin Oncol. 2023 Feb 1;41(4):803-815. PMID: 36306483
  4. 金原出版株式会社. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編.
最終更新日:2023年12月1日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
Adj. FOLFOX
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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監修・協力医一覧
レジメン
Adj. FOLFOX
レジメン
Adj. FOLFOX

Adj. FOLFOX

フルオロウラシル+レボホリナートカルシウム+オキサリプラチン
2023年12月05日更新

5-FU:フルオロウラシル(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
400mg/m² 急速静注1~Day1
2400mg/m² 持続静注1~Day1~3

l-LV:レボホリナートカルシウム(アイソボリン®)

投与量コース投与日
200mg/m² 点滴1~Day1

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
85mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A
制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

その他

1コース14日間。
L−OHP+I-LV+5-FUをFOLFOX療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

前投薬

制吐目的:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg2A

制吐目的+アレルギー予防:パロノセトロン点滴静注バッグ0.75mg50mL+デキサメタゾン注射液3.3mg4A+ファモチジン10mg1A+クロルフェニラミン5mg1A

投与開始基準

ACHIEVE試験¹⁾より抜粋

減量・休薬・中止基準

初回基準量と減量レベル

上手に使うためのワンポイント

  • アレルギーがGrade2以内で、 かつ、 末梢神経障害の忍容性があれば、 アレルギー予防を行い、 可能な限りオキサリプラチンは継続する²⁾。
  • Adjuvantの場合は、 オキサリプラチンの計画的中止は推奨されていない。 術後補助化学療法の11試験のプール解析で、 オキサリプラチンの早期中止の予後への影響が検討され、 オキサリプラチンのみの早期中止 (6サイクル未満のOX投与) はDFS、 OSを悪化させないが、 FOLFOX自体の早期中止はDFS、 OSを悪化させることが報告されている³⁾。
  • 末梢神経障害でオキサリプラチン継続が困難な場合であっても、 FU/LVは12サイクルまで継続する。

特徴と注意点

  • 大腸癌治療ガイドラインでは、 術後補助化学療法の標準治療の1つである⁴⁾。
  • 外来治療のためには、 中心静脈ポートの留置が必要である。
  • 投与期間は再発リスクによらず、 6ヵ月間の投与 (12サイクル) が推奨されている⁴⁾。

関連する臨床試験|ACHIEVE試験¹⁾

アジア人の根治切除後のStage III結腸癌患者において、 オキサリプラチン併用術後療法 (mFOLFOX6とCAPOXレジメン) の3ヵ月投与の6ヵ月投与に対する非劣性を検証した試験ACHIEVEの結果より、 3ヵ月投与の非劣性と安全性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

DFS率 (3年時、 5年時)

全患者

  • 3ヵ月群:79.5%、 75.2%
  • 6ヵ月群:77.9%、 74.2%
3年時:HR 0.95 (95%CI 0.76-1.20)
5年時:HR 0.95 (95%CI 0.77-1.18)、 p=0.64

mFOLFOX6レジメン集団

  • 3ヵ月群:73.9%、 68.6%
  • 6ヵ月群:72.3%、 69.7%
3年時:HR 1.07 (95%CI 0.71-1.60)
5年時:HR 1.04 (95%CI 0.71-1.54)、 p=0.82

CAPOXレジメン集団

  • 3ヵ月群:81.4%、 77.4%
  • 6ヵ月群:79.7%、 75.8%
3年時:HR 0.90 (95%CI 0.68-1.20)
5年時:HR 0.91 (95%CI 0.71-1.18)、 p=0.49

低リスク集団 (T1-3 and N1)

  • 3ヵ月群:90.5%、 86.5%
  • 6ヵ月群:87.3%、 84.8%
3年時:HR 0.81 (95%CI 0.53-1.24)
5年時:HR 0.85 (95%CI 0.59-1.23)、 p=0.39

3ヵ月のmFOLFOX6レジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも予後が悪い可能性が示唆された (HR 1.41、 95% CI 0.68-2.91、 p=0.35) 。

3ヵ月のCAPOXレジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも予後が良好であった (HR 0.70、 95%CI 0.45-1.09、 p=0.11) 。

高リスク集団 (T4 or N2)

  • 3ヵ月群:65.4%、 60.7%
  • 6ヵ月群:66.5%、 61.5%
3年時:HR 1.07 (95%CI 0.81-1.40)
5年時:HR 1.04 (95%CI 0.80-1.35)、 p=0.75

mFOLFOX6レジメンとCAPOXレジメンの3ヵ月と6ヵ月の治療成績は同等であった。

OS率 (5年時)

全患者

  • 3ヵ月群:87.0%
(95%CI 84.2-89.4%)
  • 6ヵ月群:86.4%
(95%CI 83.5-88.9%)
HR 0.91 (95%CI 0.69-1.20)、 p=0.51

mFOLFOX6レジメン

  • 3ヵ月群:83.2%
(95%CI 76.5-88.2%)
  • 6ヵ月群:84.6%
(95%CI 77.9-89.4%)
HR 0.99 (95%CI 0.61-1.60)、 p=0.95

CAPOXレジメン

  • 3ヵ月群:88.3%
(95%CI 85.1-90.9%)
  • 6ヵ月群:87.0%
(95%CI 83.6-89.7%)
HR 0.87 (95%CI 0.62-1.22)、 p=0.42

低リスク集団

  • 3ヵ月群:92.7%
(95%CI 89.5-95.0%)
  • 6ヵ月群:91.8%
(95%CI 88.4-94.3%)
HR 0.86 (95%CI 0.53-1.37)、 p=0.52

3ヵ月のmFOLFOX6レジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも、 予後が悪い可能性が示唆された (HR 1.26、 95%CI 0.54-2.94、 p=0.60) 。

3ヵ月のCAPOXレジメンは、 6ヵ月の同レジメンよりも予後が良好であった (HR 0.71、 95%CI 0.40-1.26、 p=0.24) 。

高リスク集団

  • 3ヵ月群:79.8%
(95%CI 74.6-84.0%)
  • 6ヵ月群:79.8%
(95%CI 74.7-84.1%)
HR 0.96 (95%CI 0.68-1.35)、 p=0.82

mFOLFOX6レジメンとCAPOXレジメンの3ヵ月と6ヵ月の治療成績は同等であった。

参考文献

  1. Efficacy and Long-term Peripheral Sensory Neuropathy of 3 vs 6 Months of Oxaliplatin-Based Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer: The ACHIEVE Phase 3 Randomized Clinical Trial. JAMA Oncol. 2019 Nov 1;5(11):1574-1581. PMID: 31513248
  2. A single-arm Phase II validation study of preventing oxaliplatin-induced hypersensitivity reactions by dexamethasone: the AVOID trial. Drug Des Devel Ther. 2015 Nov 11;9:6067-73. PMID: 26648694
  3. Prognostic Impact of Early Treatment and Oxaliplatin Discontinuation in Patients With Stage III Colon Cancer: An ACCENT/IDEA Pooled Analysis of 11 Adjuvant Trials. J Clin Oncol. 2023 Feb 1;41(4):803-815. PMID: 36306483
  4. 金原出版株式会社. 大腸癌治療ガイドライン医師用2022年版. 大腸癌研究会編.
最終更新日:2023年12月1日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。